殺生丸転生in鬼太郎   作:さくい

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朝の内にぱぱっと書いての投稿。
多分色々と変更する、かも。


嵐を呼んだ小判

 珍しく犬山家全員が揃った夕食後、殺生丸が徐に自室となっている部屋から白い包みを持ってきてダイニングテーブルに座る純子と祐一の前に置いた。

 

「殺生丸君、これは?」

「金も入れない居候の身は肩身が狭くてな、今までの生活費……とこれからも宜しく頼むという意味で、受け取ってくれ」

「あら、そんな事気にしなくていいのに」

 

 目の前に出された包みを不思議がる祐一に殺生丸が答えると、純子がニコニコ笑いながら言った。

 

 だが、殺生丸は見逃さなかった。

 

 今までの生活費と言ったその瞬間、目がスッと細まり「まさか出ていくなんて言わないわよねぇ?」とアイコンタクトしてきた事を。

 

 母親に初めて怒られた時に感じた以来の背筋が凍る様な恐怖が、殺生丸を襲った瞬間だった。

 

「せつ兄、お金持ってたんだ……」

 

 ソファに座り此方を見ていたまなが発した言葉を、何かが胸に突き刺さるのを感じながら無言で受け止めつつ包みを開いた。

 

 その瞬間、犬山家の時間が止まった。

 

 白い包みから現れたのは蛍光灯の光を反射する、黄金色の物体。

 時代劇で度々見かける小判が、ギンギラギンにさり気なく、されども確かな存在感を出しながら沈黙していた。

 

「……」

「……」

「うわあ、小判だぁ……」

 

 目をパチクリとさせながら固まる純子と祐一と、予想外の物が出てきて惚けた反応をするまな。

 

「慶長小判という。50枚あるが、換金したその半分を収めさせてもらいたい」

 

 何でもないように言う殺生丸だが、実際のところ慶長小判の正確な価値を知らない。

 小判だからそこそこの金額はするでしょ。100万いけばいいなぁ程度にしか考えていない。

 実際の価値を知ったら白目を剥くだろうが、少なくともこの場ではその堂々とした姿が大物感を出していた。

 

「……うおっほん! あー、えっと、うん……殺生丸君の気持ちは嬉しいけど、流石にこんなに貰うのは忍びないというか……」

「気にしなくていい、寧ろ貰ってもらわないと此方が困る」

「そ、そう言われても……流石に、なぁ?」

「……そうねぇ……あ、そうだわ! 換金額の半分はくれるって言ってるんだし、結納金にしちゃえば────」

「それはダメだぁ!! まなはまだ中学生なんだぞ!? 」

「え、それって……せつ兄と結婚するって事……?」

 

 父親のいきなりの言葉に吃驚しながら殺生丸を見るまな。

 その視線を受けた殺生丸は、ただただ静かにまなを見つめ返す。

 

「い、いかーん!! 駄目だぞまな! お前はまだ中学生なんだぞ! いくら殺生丸君がカッコよくて綺麗でお金持ちだとしても世間は、いや、俺は認めな──」

 

 端から見れば良い感じの雰囲気で見つめ合う中学生と成人男性。

 その何とも危ない、というかヤバイ様子を見て思わず声を上げる祐一だったが、隣から突如として吹き荒れてきた冷気に身震いして言葉を止めた。

 反射的に隣を見ると目を細めて此方を見る妻の姿があった。

 

「じゅ、純子?」

「あら、どうしたのかしら祐一さん?」

「あ、いや、その……何でそんなに睨んでるのかなぁって」

「あらあら、別に睨んでたわけじゃないのよ? ただ……」

「た、ただ?」

「ただ、娘の恋路を応援するどころか妨害しようとする害虫がいるなぁって」

「……」

 

 愛する妻からの害虫宣言に言葉を、序でに顔色を無くした祐一。

 その様子を更に笑みを深めて見つめる純子。そんな2人を余所に見つめ合う殺生丸とまな。

 そして、テーブルの中心で黄金に輝く小判。

 

 その混沌とした空間は30分程続き、改めて祐一が切り出した。

 

「それで、殺生丸君。まなとの婚約は認めないが、その心意気に誠意を示して受け取らせて貰うよ」

「そうね、まなが16歳になったら婚約して高校卒業と同時に結婚ということにしましょうか」

「……」

 

 祐一は思った。

 なんでそんなに結婚させたがるの? ……そういえば、この小判の出所って何処から? と。

 

「……あ〜、因みに殺生丸君。この小判は何処から持ってきたんだい?」

「ふむ、実家に帰省したら貰ったのだ」

 

 純子は思った。

 やっぱり殺生丸君の家は裕福なのねぇ。所作の一つ一つに品があったし、少し世間知らずな所とか特に。と。

 

「え、それじゃあなんで行く当てがないって言ってたの?」

「……言葉そのままに行く当てなく旅をしていたのだ」

 

 まなは思った。

 え、もしかして私の勘違い? でも、あの時はお金ないって言ってたし……どういう事なのぉ!? と。

 

 三者三様の考えを知らぬとばかりに湯呑みを持って茶を飲む殺生丸。

 

 その様子を見て祐一は、まあ殺生丸君だからと考える事で無理矢理溢れ出る疑問に蓋をして、純子は特に問題なく受け入れた。

 そしてまなは、殺生丸が妖怪だからという理由で納得した。

 

 結果的には小判を換金した半分の額を納める事に同意してもらい、殺生丸的には当初の予定通りに事が進んだ。

 

 しかし、それで終わりとはならなかった。

 

 祐一が知り合いの鑑定士に見てもらい、提示された金額は億を優に超えたのだ。

 流石にその鑑定士が払える値段ではなく、寧ろ歴史的観点から国に贈呈しなければいけないレベルだった。

 

 その事が何処からか漏れたのか、数日に渡りマスゴミや自称コレクター、自称高名な先生、自称歴史研究家等々の俗物が甘い物に群がる蟻のように殺到し、連日ニュースやワイドショーに取り上げられた。

 

 中には強引な手段に出ようとする輩もおり、純子やまなに対応させるわけにもいかないので祐一と殺生丸が対応した。

 

 祐一が日に日に心労でやつれていき、殺生丸のキューティクルが陰っていくのを見て、遂に純子はブチギレて小判全てをオークションに出品。

 

 様々なところから飛んでくる非難を法律を駆使して全て捩じ伏せた。

 

 最終的には日本文化が大好きなアメリカの大富豪が20億円で買い取り、世間の関心もその大富豪に移っていき嵐は去っていった。

 

 オークション故に幾らかの手数料は掛かったが、それでも普通に生きるなら働かなくてもいい金額を手に入れたものの祐一と純子はこれまで通り仕事をしている。

 

 理由としては大金を手に入れたとしても大の大人が自堕落に過ごす訳にもいかないし、第1このお金は結納金だから。らしい。

 

 主に純子の中で確定事項になっているまなと殺生丸の結婚話しは、誰あろうまなに一番の衝撃を与えている。

 

 お陰で以前までは気にならなかった殺生丸との接触に照れと恥ずかしさが出てきて、今まで通りに接する事ができなくなっていた。

 

 それでも、まなは思う。

 妖怪だけど、イケメンで優しくてお金持ち。

 こんな好物件ってそうそう無いよね。と。

 

 結構現実的なまなであった。

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