うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる:その2   作:madamu

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「小娘、殺すぞ」 「殺す?殺せるの?四葉が」

あ~、九校戦も一段落。

小早川先輩も準優勝。良かったね。

 

この何日かは深夜業務で検査員に毒物飲ませたり、検査機器を弄ったりと忙しかった。

 

まあ九校戦の警備陣には及第点を与えよう。

内部犯行かつ目的が特殊だと防ぎよう無いよね。

あと、渡辺先輩軽すぎ。

バトルボードの時にクッションになったけどもう少し肉食え、肉。

 

おっめー、多少肉付き良くないと出産大変よ。お腹の子供にエネルギー取られるからキツいらしい。

妹の出産話を聞くと大変だったようだし。

姪、甥に会いたい。

 

モーリーの件は残念だったが、検査入院程度で済んで良かった。

クロフィー部員ということで戦術アドバイスの際に「室内では固まらずに」と話したことで、室内では各人距離を置いていたおかげで瓦礫の直撃は少なかったらしい。

 

チームの一人が頭部に瓦礫を受け、もう一人はビルの床が抜けたせいで下の階に落下。

モーリーも崩れた瓦礫に押し出され、窓から外に落下するなどのアクシデント。

ビル外は下草の伸びた芝生だったおかげで、モーリーは重傷は避けられた。

他の二人も事故の規模の割には傷は重くない。

 

モーリーは全身は打ったが昨日はベッドから起き上がり、後夜祭にも短いながら参加した。

結局は司波達也無双となったが級友の怪我は知っているより小さく安心もした。

 

ちなみに七草家調査のため七草会長にダンスを申し込んだがなおざりなダンスだった。

 

俺は部下にお願いしておいたビールを受け取り、誰もいない一校が宿舎にしているホテルの別階にいた。

各高校はかち合わないように富士演習場付近の宿泊施設に分散して宿泊する。

そうすると、使われてない階がホテルに出て来る。そこにお邪魔してゆっくり一杯しようと思っているのだ。

 

相馬新でいると飲むわけにはいかないからね。

ウィスキー臭い高校生とか嫌でしょ。景浦安武じゃあるまいし。

「あぶさん」完結まで読めなかったな~。残念。

 

この楽しみにも問題が。

 

俺が広めの部屋にお邪魔して、窓から見える満月を見ながら一本目を開けるとドアが開く。

そう、この気配を消さない集団である。

君らが下の階から上がってくるの丸わかりだからね。

 

一校生が二人、六校生が一人、あとは年長の女性。

皆転生者なのだろう。

 

関重蔵の転生者判断方法!

 

・まずは「既知未来にいない人物」をリストアップ

・その人物が既知未来の人物と絡んでいれば転生者可能性上昇

・その人物が実力者なら転生者可能性上昇

・その人物が名門や実力者の関係者なら転生者可能性上昇

・その人物が既知未来の人物と友好関係を容易に構築出来れば転生者可能性上昇

 

まあこんなもんじゃない?

 

その意味では「萬真人」と「十二江清姫」は転生者の可能性が高い。

特に「ブランシュ」の壊滅について公安から調査依頼が来た時、その発端が「萬家」のお坊ちゃんと言うことで物凄く転生容疑は高まった。

その萬先輩を子分扱いしているので十二江清姫も十分容疑は濃い。

 

そこに一緒にいる美少女と美女も転生者と睨んでいる。

 

「アラタ~」

男前な美少女が凄い形相で俺の偽名を呼ぶ。

「いや~転生者ってバレちゃった?ビール飲む?」

「重蔵さん、きっとご記憶にはないとは思いますが霞がお迎えに参りました」

俺のはぐらかしに反応したのは美女の方だ。

美少女の前に無理やり出て、まるで母親のような優しい笑みを浮かべる。

 

「邪魔よ!この馬鹿を一発殴らせなさい!」

「さあ、今は四葉ですが明日にでも里は潰します。また暮らせますよ」

「何言ってんの!この馬鹿が早く死んだせいでカナデは未亡人になったのよ!」

「誰です?それ」

「誰?誰?!関重蔵の妻よ!」

「妻?妻?私以外に?何を言っているの?」

「あんたがこいつの女房なわけ?頭おかしいの?」

「小娘、殺すぞ」

「殺す?殺せるの?四葉が」

「命乞いの機会は差し上げます」

「命乞いの機会も与えないわ」

 

うわ~グラップラー刃牙みたいに空間が歪んで見えるぞ~。

 

男前美少女と美女は鼻息が交わるほど顔を近づけ睨み合っている。

 

「ちょっと、二人とも待って、待って」

いつもは上位者ぶっている十二江先輩が、慌てて二人の間に入る。

「この子が、相馬新?それにセキナンタラって誰?」

二人の間で両手を広げ距離を取らせると十二江先輩は俺に視線を向ける。

 

「ども」

軽く会釈で返す。

さて想定外だが、ここが正念場か。

もう少し接触は静にやりたかったが転がる石は止められない。

 

「俺の名前は相馬新。隠すつもりは無いが転生者だよ」

「重蔵さん」

「ん?」

美女の言葉に俺は疑問符を浮かべる顔をする。

 

転生者と伝えたからといって、本業をバラしてやる義理は無い。

俺は相馬新なの!

 

「そのセキナンタラって誰?誰かと間違えてない?」

「そうですか。そうですよね。任務もおありですし、そこには触れずにおきます」

美女は勝手に納得し笑みを浮かべて口を閉じる。

 

なんだ?この女、俺のバックボーンを知っている。

支援課ということまで把握しているのか。

視線はしっかりしている。

手先もモジモジするような挙動不審さは無い。

確信を持って話している。

重度の妄想狂か、本当に俺のことを知っているのか。

そのどちらかだろう。

 

四葉とか言っていたがあの話題に出てた四葉の娘か。

今頃、村井大佐も大忙しだろう。

上手く風間さんにアポが取れるかな?

 

「よくわからないが、ここにいるってことは転生者同士の顔合わせでいいんだよな」

「その通り」

1番まともそうな萬パイセンが答える。

姦しい、ではなく殺気を孕んだ二人には視線を向けず、俺の顔をマジマジと見る。

「お前が転生者とはな。俺と裏番のことは気づいていたな」

「そりゃ勿論。アレだけ目立てば」

裏番こと、十二江清姫は「ううん」と喉を鳴らし場を整えた。

「君が相馬君ね。名前と顔が一致しなかったけど君とは会ってるよね」

そう、生徒会室、というか服部副会長の敗北の時、そして千葉エリカと壬生沙耶香の試合の時。

二度この人と会っている。

最初に挨拶はしたが、まあその後の一連のイベントを過ごすと印象薄れるよね。

 

そっちの方が嬉しいし、そのためにエリカの一戦が印象に残るよう無様な道化も演じた。

不思議なもので一つのイベントで印象に残ることが起きると、それに付随する「気にならない不格好なこと」というのは忘れがちになる。

3年生にかっこつけて挑んで15秒で負けた奴など記憶の中から薄れていく。

特に既知未来を知る転生者からすれば「千葉エリカと壬生紗耶香」のコンビの前ではモブの名前など泡も同然だ。

 

「もう少し、顔と名前には敏感になった方が良いですよ」

あのエリカ対壬生戦を振り返ると、この二人の展開の読みと現状の把握状況が読めてくる。

 

なんで千葉エリカが壬生沙耶香に挑みやすい状況を作ったのか。

 

答えは「横浜騒乱」だ。

壬生紗耶香の活躍する機会は「入学編」と「横浜騒乱」だ。

 

正直、俺の限定的な既知未来知識ではそこまでしか知らないが

壬生紗耶香と桐原ホニャララを戦力化して同一ユニットとして、横浜騒乱に巻き込むには千葉エリカとの接触は実は重要だ。

 

千葉エリカと壬生沙耶香が面識のない横浜騒乱は良くて協力体制の弱体化、下手すれば不仲による作戦行動の不一致。

そうならないための面識なのだ。

 

九校戦で実力の知れた司波達也はこの後千葉エリカ経由で壬生沙耶香と誼を通じるだろう。

まあ、ここまで読んでの行動かわからないが「学校の中核を担う生徒同士が知り合い」という状況にしておかないと横浜が怖い。

 

既知未来で有利になるように辻褄を合わせたのだ。

うーん、行動がわかりやすい。

 

さて、俺を怒りの視線で睨んでいる六校の女子は横に置いておき…いやホントにこんなに殺気を持って睨まれるのは久しぶりよ。

 

「で、顔合せした感想は?」

俺は4人の顔を見た。

「やっぱりあんたのその顔好きになれないわ」

六校女子の厳しい言葉。俺が何したの?前世の君でもフったの?俺のこと好きだったの?

六校女子は背を向け部屋を出ようとする。

「まあいいわ。また改めて連絡する」

自分自身の怒りの感情が抑えきれないと感じたのだろう。

感情が爆発して、場を台無しにする前に退散するようだ。

賢明な判断だ。

 

背を向けた六校女子に美女が冷淡な声をかける。

「もう二度と顔を出さないで」

「死ね」

返事は完璧だった。

 

「なんというか、こんな感じなのよ」

あははは、と渇いた笑いでごまかす十二江先輩。

どうやらこの人、今まで順風満帆な転生者人生だったようだ。

 

既知未来を十分に使い速いタイミングでブランシュを潰し、学内での立ち位置を作った。

実力もあるのだろうが、未来を知っているアドバンテージを最大限に使っている。

だから、転生者同士の対立が怖い。未知の恐怖だ。

俺も自分以外の転生者と話をするのは初めてだもの。

 

わかるわかる?ん?なんで俺は落ち着いてるんだ?

 

まあ、USNAギャング潜入の時は毎日怒鳴り合いとナイフの見せ合いを経験していれば肚も決まるか。

さすが俺(ということにしておこう)

 

「一応、仲良くお喋りするって感じでもないですし、連絡先交換しますか。そこあなたもどうです?」

俺の提案を受けて、この場に残った4人は情報端末を取り出し、アドレスを交換する。

その際、四葉夜天と名乗った女性は「お暇な時にご連絡を」と妖艶な笑みを俺に向けた。

 

何だ?モテ期?

 

いやそれ以上に「四葉の娘」という世界規模の火薬庫の個人アドレスを手に入れてしまった。

どうにかして村井大佐と共有するか、それとも黙っておくか。

ちょっと思案が必要だ。

 

俺の九校戦は夜空に輝く月の下、妙な形で幕を閉じた。

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