うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる:その2 作:madamu
関重蔵が座っているのは応接室だ。
服装は一校の制服。
応接室のソファは黒の皮張り。合皮ではなく本革の相当値段の張るものでもある。
壁紙に部屋に飾られている絵。決して品のないものでもなく、高級感がある。
二度のノック。扉が開く。
「失礼いたします」
何度目かの再会だ。
「ご無沙汰しております」
担当神は、伸ばした背筋を折り曲げ深々とお辞儀する。
「これ何度目かですよね。よく覚えていませんけど」
「はい」
担当神はお辞儀を止め答える。
10秒間の沈黙。
「大変申し訳ありません!」
担当神はその場に土下座した。
関重蔵は神の綺麗な背中を見て「DO☆GE☆ZA」とイメージし、その後シコルスキーの土下寝を思い出した。
「いきなりの土下座では判断できません。座って話をしていただけますか」
そう関重蔵が促すと担当神は立ち上がり俯き加減に対面のソファへ座る。
「事情は非常に複雑でして」
話は想像以上に長かった。
◆
分岐した複数の世界。転生先としての世界。全く同様の世界に全く違う登場人物。
神々からの転生処理で関重蔵の魂は同時に二つの世界に存在した。
そして全く同じ扱いで同じ世界に存在したのが【影の中の男】だった。
そして二つの世界はそれぞれ進行した。
神々の受けは上々だった。
だが問題が。
【ロキ】である。
完結された関重蔵の魂を予定外にもう一度転生させたのだ。
二つの世界から適当に二周目者を選択し、何も考えも無しに転生者を配置したのだ。
「これはオモシロいよ!三度目の対決!二つの世界の転生者!序盤から出る謎と違和感!1話切りした奴が4話目くらいで【まあ序盤にそんな雰囲気あったしね】と自慢する!サイコーじゃないか!掲示板の自称古参とにわかの言い合いに、前作を知る人から【まあ、「うちの~」だからね】と諦めて呟く。超脳勃起もんだよ!夜天と奏の喧嘩を求めるユーザー!掲示板ではどっちの嫁が最高か論争!カナデ派が「夜天は霞とキャラデザが違うから同一性ないだろ」と突っ込んで、霞派は「カナデはBBA」と反論!荒れる掲示板!それを遠巻きに見る「光夜×あずさ派」!う~ん参戦したい!」
有名な神による勝手な転生劇。
北欧系派閥に対しての痛烈な批判。始末書の嵐。該当転生魂の管理責任。前ループの担当者への緊急の対応依頼。システム担当者は別プロジェクトで対応できない。
代打の開発担当者はシステムの解析と対応に追われ残業。ホワイト職場を標榜するので残業も出来ない。仕事も持ち帰れない。
差し込まれる別の仕事でズルズルと対応が遅れる。進行するトラブル。白紙に戻せない。
「このタイミングしかないですよ!」
上司に直談判し、前ループの担当者は関重蔵への土下座と他の魂への説明を買って出て事態の収束に乗り出した。
まずは関重蔵に土下座した後に、魂を「完結状態」に戻す錠剤を飲んでもらった。
完結状態になった関重蔵は、厳しい視線と担当に向けたあと大きくため息をついた。
「で、この状況をどう回収するんですか」
(混じった記憶で混乱しないのは気持ち悪いな)
関重蔵は脳内に思いだされた二人の妻や家族の記憶、友人、部下、そして世界。
自分という人格は一つだし、他人の記憶でもないし、他人の人生でもない。
自分の経験が並行して存在している。
(これで当人が混乱しないのは神様パワ~か)
「その、【影の中の男】を止めるのがこの世界の均衡の最善なんです」
「それで方法は。転生者の努力ですか」
あの【影の中の男】を倒す戦力としてはギリギリだ。
関重蔵の中では勝率は決して高くない。
(すでにあの男はパラサイトを手元に置いている。消耗品として使える程度に)
それをあの戦力を覆す難しさを冷静に考えていた。
「特例中の特例を使いまして。関さんには10分後に元いた世界に戻っていただきます」
担当者の真剣な眼差しで言葉をつなげる。
「オールスターキャストです」
ソファに深く座り直し関重蔵は天井を見て呟く。
「アベンジャーズアッセンブル」
担当者は深く頷いた。
「それです」