うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる:その2   作:madamu

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絶望のリン

「いい加減に離れたら?」

「うるっさい!」

 

異議なしの言葉から、向こうのテーブルではマリアちゃんと夜天さんの口喧嘩。

楚々とした美女の夜天さんが子供みたいなリアクション。

あれだ、父親の足にしがみついている子供に離れるよう叱る母親だ。

 

各テーブルでは各面々の話や、テーブル間を移動しての個々のネットワークの確認が行われている。

「キヨお姉!獅子王院の全勢力使って情報集めるよ!」

大股で私の居るテーブルに来たのは楠葉ちゃんだ。

綺麗な日本人形的美少女は眉間に少しだけしわを見せている。

「楠葉ちゃん。お姉ちゃん少し混乱しているけど、うちと貴女のところの伝手だとそんなに情報収集は…」

「弱気にならない!宮内庁にある新陰陽寮に実働部隊の話があるからそこに働きかける!」

「え、初耳…」

「2101年に初陣だから現在は人選段階。それでも佐渡経験者と101旅団関係者がいるから諜報戦の実地訓練として説得!」

ちょっとマジ、それ。

 

この子たちは、いやこの人達は全員2周目ならこの先起きることを把握している。

各組織の動向や戦力を知り、そして何をするとどう動くかわかっている。

この人たちの記憶とチートを使えば、この前倒しされた来訪者編も解決が容易なのかもしれない。

「ちょっと待って。一応宮内庁への圧力をかけることは考えるけど・・・」

「弱気にならない!どうせ、宮内庁は魔法師関係は九島に握られているから十二江の様な非戦闘系魔法師の家系でも宮内庁からしたら貸し作れて今後の魔法師育成を依頼できるなら情報調査くらいなら引き受けはず!」

 

「落ち着きなよ~。それに十二江先輩と話したい人が多いみたいだし」

須田君が楠葉ちゃんを止める。

「ワタル先輩もそんな調子でいいんですか?!もっとしゃんとする!」

まるで家庭教師の先生と言った調子で、テーブルで突っ伏して溶けかかっている須田君を叱咤する。

「でもさ、楠葉ちゃん。君らが宮内庁動かすより、あそこにいる美女に挟まれて青い顔しているビックリドッキリおじさんに動いてもらった方が速いよ。再来年には従五位になるんだから」

 

視線の先の相馬君は青い顔に冷や汗。両手をそれぞれの美女に握られてあんなに描写するのも難しい顔するとは。

そんなに前世は酷いことしたのかね?

「そうですが…あの四葉に…」

楠葉ちゃんは相馬君の方を見て少し言葉が詰まる。

そこに割り込んできたのがうるさい4人組だった。

 

「オネーチャン!そうよ!あーちゃんを独り占めにする光夜を出し抜こうよ!あーちゃん独り占めだよ!」

私と変わらぬ身長に、グラビアアイドル以上のナイスバディな金髪褐色娘のミシェルが両手をバタつかせ言ってくる。

うん、あなたあーちゃん大好きだからね。小脇に抱えて逃げようとしたときは驚いたよ

 

「そうっすよ!姉御!生徒会のスカシノユキになんか負けられないっすよ!」

ローヤ君よ、雪光君をスカシ野郎とか言うとまた女子生徒から「野蛮人!」とか言われちゃうよ。

 

「姉御、ここはあの黒羽の野郎にギャフンと言わせるチャンスなんですよ!」

ホント、久慈灘君は黒羽君をライバル視している。やっぱり顔の問題かね。

知的クール系がかぶっているのが許せんのかい?

 

「一科二科というより、あの完璧四葉野郎に「ぐぬぬぬ」言わせたいのよ、姉御」

1人クールに言って来たのは赤い髪の美女。欧州の暗い空と情念をイメージさせる雰囲気。

が、論文系の成績で言えば二科最下位。在籍が一校の新七不思議。羅門ちゃん。通称ラモちゃん。

わいのわいのと私を慕ってくれる二科生の四人がアレコレ話してくる。

 

その姿を見ていた別のテーブルから四葉光夜と黒羽竜也が余裕のある態度で「ぐぬぬぬ」と「ギャフン」と言ってくれる。

この余裕のある態度が余計に火に油を注ぐ。

「三日後覚えておけよ!」

そう言って久慈灘君はレストランから出ていった。

 

「なんか仲悪いのかな~」

「どうであれ意識するしかないでしょう。お互い別な方法でこの世界を一度乗り越えてきたんですから」

 

私の呟きに真人が答える。

御都合主義だ…。

ホントに神様は世界の根底を意図も容易く変える。

 

 

そして、始業式。あれから数日後。

 

生徒会室に顔を出したら、まゆみんが上機嫌だった。

 

結局のところ、アレから大した進展は無い。

というかうちからは宮内庁への根回しくらいで情報収集やその他諸々は、四葉組が中心に手配をしている。

既に国外でジロー・マーシャル(ちょび髭のオッサン)は身柄を確保されたらしい。

 

雪光君が「1週間ばかり軟禁して公安に渡してお終い!」と言っていた。

その雪光君は上機嫌のまゆみんの髪をヘアブラシで磨いでいた。

 

「真由美さん、来週の図書室のメンテ業者ですが光夜と中条先輩に任せてみては?」

「あら、もしかして恋の応援かしら?」

人の恋愛に楽しそうなまゆみん。

「次期会長候補に引継ぎがてら慣れてもらわないと」

「雪光君は中条さんが会長になった方がいいの?」

「美人の次はカワイイ系の方がいいかな~」

「あら、おねーさん妬けちゃう」

「…本気?」

雪光君の真剣な一言でまゆみんが一気に顔が赤くなる。

髪を梳かす手が止まり、髪留めをサッとつけ、まゆみんの髪型が出来上がる。

 

「冗談ですよ」

余裕のある声で雪光君はそう言ってまゆみんの後から離れる。

「バカップルか」

私の言葉に誰も反応しない。

天然小悪魔美系少女も、恋愛の駆け引きに余裕のある年下美少年には勝てないようだ。

論文系三美女の一人、市原鈴音が一つ咳をして話を戻す。

「ですが冗談では無く、一科生と二科生の融和策を纏めるには中条さんの生徒会長就任と二科生の生徒会執行部入りは必須ですよ」

 

そうなのだ。二科生(この場合は達也きゅん)を生徒会に入れることで一科二科融和のモデルとなる。

 

まあ達也きゅんは九校戦優勝を支えた天才エンジニア、そして司波三兄妹弟をまとめる有名人。

論文1位にあの黒羽竜也の双子。

校内の有名人の一人だ。

 

光夜君は生徒会だし、深雪ちゃん、雪光君も追っかけからの「緊急避難」としてそれぞれ副会長補佐、会長補佐の立場にいる。

なんでも「前は最初は部活連だったんだけどね~」と雪光君が光夜君を見て笑っていた。

あーちゃんと光夜君はコンビとして忙しく校内を動き回っている。

 

日に日にあーちゃんがね、光夜君のことを好きになっていくのがわかるのですよ。

緊張から尊敬そして親愛。

(急造)記憶では最初は「中条先輩」って呼んでたのが九校戦が終わったあたりで「あずささん」と呼んでいたので光夜君も手が速い。

マリアちゃんが言ってた睦まじい夫婦のスタートですよ。

 

さて、恋愛事情は横において、大きく変化した一校の話をせねばなるまい。

そりゃ転生者が8人増えたのだ。私が体験した2095年4月~8月は驚くべき騒動があった。

 

まず生徒会の陣容である。

会長はまゆみん。

副会長ははんぞーくん。

会計にリンは変わらず。

書記にあーちゃん。

 

もう一人の書記で四葉光夜が参加。

男子の追っかけから緊急避難で深雪ちゃんが副会長補佐。

女子の追っかけから緊急避難で雪光君が会長補佐。

 

完璧な陣容だ。まゆみんの進める一科二科の融和に対して反対する生徒のところにはあーちゃんを派遣。

あーちゃんのコンビとして光夜君が帯同。

光夜君の姿を見ただけで反対派の生徒は沈黙。

一度だけ蛮勇のある生徒が「中条!お前は一年の威を借りるのか!」とあーちゃんに矛先を向けた瞬間…光夜君に「口を開くな」と睨まれ、本当に何も喋れなくなったらしい。

 

成績優等生だったので、フォローに私が駆り出されてメンタルケアをさせられた。

「二科とか一科とか関係なく怖かった…」と涙目で凹んでいた。

 

次期生徒会長は器とかなんとかでなく光夜君を制御できるあーちゃんがっピッタリな気がする。

 

二科生の問題児チームは「人狼狩り」問題でモブ崎&須田コンビと忙しかった。

そこにエリカやレオ、幹比古、美月の面々も絡んで実戦を経験している。

黒羽竜也が事の顛末をまとめて解決させたので「保護者」の立場に。

本人は「二科生の面倒は二科生でやれ」と司波達也に言うが「俺は深雪の世話で忙しい」(「もう!お兄様」赤面)と笑われていた。

 

竜也君のほのかちゃんを見る目が純粋だ。

お前、うちのほのかちゃんに手を出すつもりか!

 

細かい事件は色々あった。

・ローヤ君による多摩地域不良統一決定戦!八王子で一番強い不良はだれだ!(結局真人に座を奪われる)

・雪光君を狙った近隣の女子高校生たちによる集団ストーカー事件(まゆみんの登場で女子高生たちが戦意喪失)

・ラモちゃんがリンに「賢くなる方法」を教わるべく突撃。「魔法の…系統?」で首を傾げたラモちゃんに絶望のリン。

 

そして楽しい九校戦だ。

今年の九校戦では黒羽竜也&四葉光夜&司波雪光が大暴れした。

 

四葉光夜による「9本同時フォノンメーザー」によるアイス・ピラーズ・ブレイクの最短記録や黒羽竜也による「クラウドボール荒らし(その場を動かない黒羽ゾーン)」、司波雪光のバトルボートの超絶試遊、そしてモノリスコード新人戦。

司波達也、司波雪光、四葉光夜による蹂躙。

唯一抗えたのは三校だけ。

 

無頭竜の行った細工はモノリスコード新人戦の下見で起きた。

モブ崎(一年生の転生者たちからはモーリーと呼ばないと怒られる)と須田君の負傷。

人為的な競技地形の改竄。

モブ崎君と須田君はそこで滑落。

 

モブ崎君は岩場に数m上から落ちて肩の骨折と酷い脳震盪。

須田君は左足の骨折と腰への打撲。

発見されるまで1時間かかった。

 

怒りにかられる二科生問題児チーム(彼らにすればモブ崎君は口は悪いが面倒見がいい家庭教師役)は速攻無頭竜を潰しに行った。

ついでに会場にいた無頭竜のジェネレーターは魔装大隊が出張る前にラモちゃんが文字通り「粉微塵」に。

 

この件に関して「四葉」「十文字」「七草」「一条」等の学生十師族が大会の中止を求めたが、運営委員会は実行を宣言。

見学に来ていた九島烈、七草弘一、四葉真夜が「調査をする」と言うと「十師族」と「高校生魔法競技大会運営」による政闘の影を帯び始めたが、軍部情報系組織の動きにより魔法協会内の一部職員による大陸系マフィアとの繋がりが証明され

「大会の続行」に対して「学生からの提案・お願い」によるバーター取引。それと大会警備には軍関係ではなく「監察」として警察が入ることとなった。

 

軍としては警察に監督されるという屈辱。

大会運営は一時的とはいえ学生と言う管理すべき相手への白旗降伏。

学生は運営への怒りを無理やり納得させての競技続行。

警察は軍との軋轢を起こさぬように気を使う。

 

皆それぞれ、それなりの負担を負いながらの九校戦となった。

 

国家政策の意味を持つ九校戦に関して多大なる不手際。

まあ考えればマフィアの無頭竜のジェネレーターが普通に入り込めるんだから原作の九校戦も結構ガバガバだ。

 

結局九校戦では達也きゅんは天才エンジニアとして名前を轟かせ、一条将輝を破ったダークホースとして注目されることとなった。

 

少し脱線した。

一科二科の融和策だ。

 

「風紀や選管、懲罰委員の実務者とか役職付きにするのは確かに融和策を有名無実で終わらせない為にも必要だね」

私の言葉に生徒会室にいた一同は頷く。

 

「候補は?」とまゆみん。

「司波達也の生徒会入り、吉田幹比古の主要委員会への所属」と私。

「ミシェル・フィリオさんにも役職を与えるのが有効かと」とリン。

「個人的には西城レオンハルトの部活連執行部入りを希望します」と雪光君。

 

達也きゅんとミッキー君の実力はもう二科生としては天元突破している。

ミシェルは…二科生のマスコット。柴田美月ちゃんと並ぶ一年生の男子がちらちら見る女子トップクラス。

いい加減何かしら役職に就けて、生徒自治へ組み込んだ方が良い。

「PoiがOKしたらね~」と告白してくる男子をじゅうもんへたらい回しするのはやめた方がいい。

じゅうもんが「なぜ俺が人の告白の相談を聞かねばならぬ」と言っていた。

レオはね~、人好きする性格だしモブ崎&須田コンビとも仲いいし部活連での二科生のモデルケースにはいいかも。

 

「勢ぞろいだな」

生徒会室入ってきたのは、彼氏が間合い3mなら世界三指に入る女、渡辺摩利である。あれ?5mだっけ?

誰かに断ることなく、一番近い椅子、つまり私の隣りに座る。

 

「風紀の次期委員長を決めた」

まゆみんに少し胸を張る。先に後任を決められたことを少し自慢している。

「真人?それとも別口?」

私が可能性を口にするが、結果はみえている。

「千代田だ」

「地雷ちゃん?」

千代田花音を「地雷ちゃん」と呼んで怒られないのは学校内でも私だけ。

おかっぱの美少年、五十里啓を愛でた仲なのだ。

「その千代田だよ」

摩利はその端正な顔にやっぱり後任を決めた安心感と断固たる決意を見せる。

 

「で、なんで?地雷ちゃん、風紀って言うにはバカスカ魔法使いそうだけど」

「そう思われていれば、千代田の前で悪さする奴は少ないだろう」

抑止効果としての登用ね。

 

「沢木先輩の負担増えそう」

雪光君は少し意地悪そうな笑みを浮かべている。

 

「いや、そこでだ。二科生の羅門を風紀に入れたい」

「羅門さん?でもあの子は」

リンの言葉は、5月の事件を思い出させる。

「そうだ。あの事件で魔法を他の生徒に見られている。あれだけの魔法を使うんだ。抑止力としては最高だろう」

 

人狼事件による学内に潜入した工作員二人を「巨人の手(ハンズオブタイタン)」という彼女特有の【魔術】、

青白く光る巨人の手により拘束していたのを他の生徒に見られている。

 

ラモちゃんの魔法は「巨人の力を再現する」なのだ。

巨人(ジャイアント)ではなく巨人(タイタン)なのが厄介だ。

彼女は「情報次元存在の物理空間への干渉召喚」をやってのけたのだ。

これについては久慈灘君と達也きゅんが今でも討議して結論が出ていない。

タイタンとは神ではないかと。

 

「千代田も自分以上のじゃじゃ馬がいれば、少しは自重するだろう」

 

甘いな、摩利よ。ラモちゃんはじゃじゃ馬じゃない!暴れ馬だ!




やっぱりお喋りしかしていないこの作品の登場人物たち。足腰弱るな~。
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