うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる:その2 作:madamu
「説明してよ!」
司波達也と黒羽竜也が並ぶとどちらかわかりずらい、というクレームもあり黒羽竜也は時折整髪剤を使い、前髪を弄りオールバックにして登校することがある。例えば今日だ。
人のいない放課後の教室。
千葉エリカは渋谷での一件を司波達也と黒羽竜也に聞くべく呼び出していた。
呼び出された両名は落ち着いた顔を見せているが考えていることは若干違った。
(エリカが千葉家の人間を使いこの件に介入するとなると余計な被害が出る。それにだ、エリカはあれで勘が鋭い。俺の四葉での立ち位置をあて推量で引き当てる可能性もあるな)
(達也が睨んで終わらせてくれないだろうか)
横目で達也を見た竜也は、一つため息をつく達也と目が合った。
(どうするつもりだ竜也)
(早く、エリカ!とか言って恫喝してくれないか)
この二人、同じ顔をしているが昔から今ひとつ意思の疎通が上手くいっていない。
というのも竜也は「達也の思考を推察できる」という意識がどこかにある。前々世での小説としてのこの世界を知っていることが原因である。
それ以上に、四葉竜也ことタツヤ・クドウ・シールズはやはり司波達也に対してどこか一線を引いているということも遠因だろう。
「あれは、偶然」
「偶然なわけない。サーヤと見たあれは確実に魔法師で、それも凄腕よ。それがあんなにサッと引いたんだよ。達也君の個人的な能力以上に、何か引く理由があったはずよ」
((無駄に勘が鋭い))
達也と竜也の意見が珍しく一致した瞬間だった。
「体形や装備から見て軍属。それも国内じゃない」
ブツブツと思考し始めるエリカ。
達也はやや危ないと思い始めた。
(エリカはこのままだと正解に近づくな)
彼女が司波と黒羽が十師族、それも四葉の関係者として連想するのは時間の問題かもしれない。
「竜也君、貴方もあの場にいたでしょ」
「いた、だがそれについてお前に話すことはできない」
「なんでよ、何か秘密が、秘密、十師族とかじゃ、でもそれを隠すような家は…」
「エリカ!」
(やっと言った)
司波達也の叱責を思わせる声に千葉エリカは一瞬体を震わせる。
それは緊張と恐怖の表れだ。
「竜也の秘密を探るのは止めるんだ」
(この野郎)
司波達也は竜也をダシに話の先を自分から外した。
視線だけ達也に向けた竜也はポーカーフェイスのまま、内心苦虫をかみつぶしたよう気持ちになった。
「エリカ。言っておこう。君の推測は当たっている。だが口に出すのはオススメしない」
四葉竜也は、既に16才にして四葉のアルコレが面倒になっていた。
七草弘一は父親で、四葉真夜は母親。
認知はされていないが、内密に年に一度は家族が揃う。
まったく嬉しくも感慨もないが前世よりかは幾分ましという状況である。
「母よ!」と泣きながら家の玄関先で騒ぎ立てる四葉真夜はいない。
タツヤ・クドウ・シールズが地元警察にピザの注文のように気軽に電話するのに時間はかからなかった。
今は光井ほのかの同級生として堂々と振る舞える。
お目付役の北山雫には時折ブロックされるが、それでも光井ほのかの好意が心地よい。
リーナの来日問題もあるが、千葉エリカの相手まで押し付けられて、同じ顔の従兄弟に恨み言の一つも言いたくなる。
「俺がどこの誰か、それを口に出すと学内で矛盾が生まれる。そこには触れてはだめだ」
学内に四葉は一人。四葉光夜だけ。
だが、そこにもう一人四葉の人間がいた場合、四葉を名乗る光夜の存在が浮く。
つまりは謎と矛盾。
十師族の闇。殺し屋魔法師集団。触れてはならぬもの。
それが四葉である。
三人の間に沈黙が流れる。
教室の扉が開く。
殺し屋集団の一族、十師族の闇、触れてはならぬものである四葉光夜が現れた。
エリカの眼には日頃のポーカーフェイスが一変し、恐ろしく冷徹な表情に見える。
本当は殺人者ではないのか?そう思わせる冷徹さだ。
「達也、竜也、四葉から招集だ。行くぞ」
光夜はエリカに気にすることなく達也と竜也に声をかける。
その言葉に達也も竜也も全く同じ頭を抱えるポーズをする。
((これだから光夜は…))
怯えを交えた真剣な眼差しと頭を抱えた双子の様な二人。そしてこの状況をあまり理解していない光夜だけの教室は
何とも言えぬ妙な空気だけを残した。