うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる:その2   作:madamu

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戦争

魔法協会関東支部。

 

15階の大会議室には装備を固めた義勇兵が待機していた。

彼らは予備戦力であり、関東支部での不測の事態で戦力が手薄になった地点へ投入される。

 

すでに1階や地下階、屋上や屋上近くの階には元軍人などの十師族の手駒の魔法師達が控えている。

 

「俺達の出番あると思うか?」

「出来れば無い方が嬉しいな」

二人の青年、関西魔法技術大学の院生である。

二人の会話は自然と小声になる。

 

片方の男子生徒の母親が国防軍関係者であり、2090年度のモノリスコード本戦準優勝の腕前を見込まれ義勇兵の募集に誘われて参加した。

流石に一人だと恐かったので研究室仲間で、マジックマーシャルアーツの経験者である友人と参戦した。

 

二人とも学生時代によく見たモノリスコードの装備よりしっかりしているものを装着している。

ミリタリーの専門サイトでは「ライト・バトルドレス」と呼ばれる装備一式だ。

簡易的な都市迷彩としてグレイを主体とした装備で、性能通りなら6.8mm弾の貫通を防ぐはずである。

 

彼らには個々人のCAD以外に小口径の小火器が準備されている。

これは戦争なのだ。

 

義勇兵達は国防軍の予備兵役として登録された者が殆どだが、実戦経験者は決して多くない。

今や戦闘は魔法師同士による少人数による遭遇戦がメインとなる。

佐渡や沖縄での広範囲の戦域での戦闘は本来であればイレギュラーなのだ。

 

2020年から各国の軍の、特に人員と予算が豊富な大国の軍事戦略としては、少数の魔法師をいかに敵軍の後方に送り込み

通常の正規軍と後方の魔法師による挟撃作戦を成功させるかがメインとなっている。

 

「戦闘巧者の魔法師一人は機甲師団に匹敵する」と評したのはUSNA設立以前のUSA陸軍参謀で魔法師の戦闘運用の基礎理論を構築したピーター・スプラドリン将軍の言葉である。

 

単独で戦術核と同様の意味を持つ戦略級魔法師というは機甲師団以上の価値を保有する。

前述のピーター・スプラドリン参謀長は「戦略級魔法師」という存在にして

「最高の存在だ。生きている限り何度でも再利用できるのが最高だ」と後年語っており、「戦略級魔法師」の価値は単なる破壊力ではなく、車両や軍事兵器の維持と違いそのメンテナンスにかかる手間と再度の利用が可能である点と語っている。

 

2020年の主力戦車の一台当たりの納入価格と言うのはゆうに300万ドルを超えている。

年間の整備、長期間での維持コストを考えると容易には買い替えが出来ない。

主力戦車15輌で約4500万ドル超、5年間の整備費用を考えると小さな町の年間予算を超える。

 

戦車1輌の購入費用、燃料費、運用に必要な乗員あたりの人件費、車輛維持のための施設維持と管理、戦地への運搬費用…。

 

2050年でUSNA軍の主計委員会の算定では、2050年時点の主力戦車購入から10年間の運用費用と、魔法師育成と運用費用を比較し、魔法師の方が「燃費が良い」と発表した。

 

実際に2095年にはUSNA軍では、戦闘車輛の保持車両数は30年前より22%減少している。

反面、USNAの軍事魔法師集団スターズの隊員数は30年前と比較して311%増加している。

 

単純な破壊力という面だけでなく運用経費という面でも魔法師というは軍事行動へ大きな影響がある。

 

「人一人を育てるのに莫大な金と時間がかかる」と議会で声高らかに言ったUSA下院のゼネビー・ウィーランド議員は

主計委員から「時間の面では同意するが、資金面では同意しかねる」と返されたことが議事録に残されている。

 

費用面から言えば、魔法師と言うのは非常に「安価で強力で長期稼働か可能な戦力」といえる。

戦術面から言えば「柔軟な対応」が可能な「思考・判断」できる戦力である。

 

戦闘巧者でなくとも熟達した魔法師数名の特殊部隊が敵国の中心地に潜入し行動する。

その部隊は思考し判断し、その際に最善の行動をとろうとする。

ただの破壊活動ではない。

発電施設、エネルギー供給のパイプライン、浄水施設、行政施設etc。

 

事前の作戦行動を状況によって変更できる。

戦車と違い、身を隠し、相手の裏をかき、そして姿を見せないで社会的脅威を与える。

人心の不安程、敵国の恐怖は無い。

CADさえあれば物理事象を捻じ曲げ無尽蔵に破壊工作が行える。

魔法師という存在は戦争では脅威なのだ。

「歩く破壊兵器」それが魔法師である。

 

今回の大亜連合の軍事行動は「少数の魔法師の潜入及び破壊工作」を主軸とした「未確認軍事集団を装った上陸陽動」を行う作戦であると日本国防軍の軍事参謀本部喝破していた。

 

 

会議室の扉が開き、野戦服を着た軍人が義勇兵を取りまとめる分隊長に現在の状況を伝える。

 

午前10時5分

横浜の街は未だ平静を保っていた。

 

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