うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる:その2 作:madamu
「やはり、人数は絞られていますね。…参加生徒は100名もいません」
舞台の緞帳脇から観客席を見て達也きゅんが呟く。
どうせ知っていたんでしょ?このこの。
「ほら、邪魔ですよ」
理系三大美少女の一人、市原鈴音に後ろ頭をツンツンされ私は道を空けた。
コンペ開始前。各校のプレゼン担当者は舞台上の立ち位置の確認に余念が無い。
舞台の幕は降ろされているので、観客席からは見えない。
おりんは舞台上へ進み、緞帳の先の観客席へ視線を飛ばす。
いや~おりんは摩利と違った涼し気な美少女だから、こういった舞台上では映える。
「凛々しい娘役」と言った感じ。タカラヅカ!
◆
2095年10月30日。運命の論文コンペ。
この十二江清姫はこの日を迎えるまで基本的には蚊帳の外であった!
宮内庁への楠葉ちゃんと一緒に根回しは、なぜか先に国防軍の儀礼部が動いていて根回しどころじゃなかった。
それ以外にも十師族は国防軍との協力関係を結び義勇兵、パラサイト対策の提供などありとあらゆる協力をしていた。
東は国防軍中心、京都や大阪では十師族の魔法師たちを配置した。
101旅団の魔装大隊がもたらしたパラサイトの身柄、そして大亜連工作員の行動、そして第三勢力の暗躍。
それはこの日を迎えるまでに、いくらか削がれていた。
現存する国立魔法研究所にはパラサイトに憑依された人々を収監し、回復可能か調査している。
国防軍、宮内庁、厚生省等複数の行政組織が「縄張り争い」をする形で十師族の介入を防いでいる。
「パラサイト」を厚生省&宮内庁が囲い込みつつ、国防軍が研究する主導権を主張し十師族がそこに噛んで来ようとするのが、厚生省が「部外者による接触は不当主張である」と国防軍に言いつつ、宮内庁もそれに同意しつつも九島への優遇案を出したところを国防軍が「公平性に欠ける」といい、他の十師族への目配せも忘れない。
なに?縄張り争いって?と今の今まで馬鹿にしていたが、縄張り争いの副次効果をこんな感じで見せられると自分の黒幕ぶりの底の浅さに打ちのめされる。
◆
101旅団はこの事件の主導権を握っている。
「本作戦は101旅団を主力とし、作戦参謀本部の立案にて実施する。情報部にはすでに主要都市での情報収集の任に…」
壇上の偉そうな軍人さんが朗々と作戦の主旨を説明する。
10月上旬。
かつて皇軍とか近衛とか名乗っていた残滓、「宮内庁近習備」として一部残る古式の魔法師立達、つまりは呪禁師や陰陽師、修験者、星読みと言われる「古式中の古式」の連中は作戦のオブザーバーとして参加し、私も当日の天候操作の任もあり作戦説明の会場にいた。
数十人はいる会議室では近習備のお歴々(聞いた話だと中には軍属もいて階級は少将だとか中将だとかになるらしい)や、十師族からは代表して一条と九島、国防軍の幕僚連中、そして一校の後輩たちも数人混じっていた。
今回のパラサイトの件は、国防軍だけではなく古来よりの国家鎮守の妖魔退治を任としていた近習備もノリノリで参戦している。
特に年若くも実戦経験の少ない者たち、つまりは私の隣に座っている娘だったりする。
「キヨお姉、本気出してよ、当日は」
ジト目で釘を刺すのは獅子王院楠葉ちゃん。
日本人形を思わせる美しい黒髪に白い肌。
司波深雪ちゃんとも双璧を張る美少女であるが、どうも私の手抜き癖を知ってか作戦説明が終わった時に一言言われた。
楠葉ちゃん自身も「近習備」の一員であり、血統という意味では古い家柄の中でも一段上である。
彼女の家は古い家でもあるが、国防軍への一部兵站の共有をになうロジスティック企業でもある。
そのため国防軍系の情報も多少なりとも彼女の耳に入って来る。
「支援課第二班なんて木っ端部署の情報なんて見落としていた」と言っていたので関重蔵の所属していた第二班というのはそういう部署だったんだろう。
この10月上旬時点で十師族も古式も国防軍も警察組織も行政も大亜連、パラサイトへの対応へと方向性は合致しており、その中での些細な権益競争はあるものの遺恨を残すほどのことはなく、概ね順調であった。
その順調さの原動力は2周目転生者の各派閥への工作だった。
十師族には四葉光夜や藤林奏、五輪鳴門。
国防関係には関重蔵、黒羽竜也。
古式には獅子王院楠葉ちゃん。
うん、2周目転生者達の用意周到たるや、1周目の私や真人の出番は無い!
◆
「第一班はエントランス、第二班は建物外部、第三班は施設内。各班は巡回順路を確認。第四班は待機だ。これを30分で順に行う。巡回は二人一組だ」
割り当てられた大会議室では警備班を目の前にじゅうもんは今日の基本行動を説明する。
人越しでもあのデカい体はよく見える。横にいるはんぞーくんの細いこと細いこと。
次の女装ははんぞーくんだな。
いや~発表準備は達也きゅんにお春(ジェットスクーター娘小早川千秋の姉)、鈴音もいるのでいったん抜けて警備班の様子を見に来た。
真人も真面目な顔をして話を聞いている。
贔屓無しでも真人はイケメンだが、一校の美男子ランキングは今年に入ってから大きく変動した。
今まで女子たちから「なんかいいよね~」と言われていたはんぞー君が大きく順位を下げ
6か月1位だった沢木碧ちゃんが3位圏内からはじき出された。
1位:四葉光夜
女子の声としては「カッコいい」「ザ・美形って感じ」「見てる分には良い」「見てる分には綺麗」「話しかけられたくはないが綺麗」「目を合わせたくないがカッコいい」「カッコいいが付き合いたくはない」「中条さんは偉い」「中条ちゃんは凄い」「中条さんが生徒会長なら安心」
2位:司波雪光
女子の声は「カッコいい」「中性的だけど男の子らしさがあっていい」「可愛い」「ちょっと手の届かない感じの男の子」
3位:黒羽竜也&司波達也
女子の声は「私は黒羽君派」「司波君派だけど深雪さんが怖い」「派手さは無いけど見飽きないイケメン」「たまに前髪をオールバックにしている黒羽君萌える」「達也君もオールバック見たいけど、その話をすると深雪さんが怖い」「光井さんが凄い。深雪さんに負けてない」「深雪さんの血縁にしては地味だけどカッコいい」「深雪さんは竜也君の外見褒めると同意するだけだけど、達也君の外見を褒めると「当たり前です!」とテンション上げるのはなぜ?」
4位:久慈灘幽玄
女子の声は「性格きつそうだけど綺麗」「性格はきつそうだけどカッコいい」「メガネ姿に萌える」「クールな感じ」「狼谷君とセットで見ると創作意欲がわく」
同率4位:吉田幹比古
女子の声は「知的な感じでカッコいい」「スタイルが良い」「顔小さすぎ」「腰細すぎ」「手足ながい」「スタイルの良さで女子に喧嘩売ってる」
5位:沢木碧
女子の声は「イケメン、スポーツマン、一科生で性格優しそう」「裏ファンクラブがいるのが強い」「名前呼ぶと怒るのは可愛い」
「沢木君ならワンチャンありそう」
居並ぶ警備班の面々の後ろから集団の前で、警備の意義について語るじゅうもんに手を振る。ブンブンと。
「んん!」
一つ咳払い。怒られちった(笑)
ある程度事情を知る者、つまりは私や十師族の血縁者、各校の生徒会役員などが今日の作戦を聞かされている。
つまりは「魔法科高校の論文コンペを餌にパラサイト残党を集めて捕縛又はせん滅を行う」というものだ。
作戦立案に際し、パラサイトの一部捕縛における敵勢力の弱体化が今回の作戦にGOを出させた。
作戦説明の時に天下の四葉の光夜様が壇上の将校に聞こえるよう、舌打ちをし会議場を凍らせた。
後ろに回った楠葉ちゃんが光夜くんの後頭部にチョップを入れて「失礼した」と謝らせて何とか会議は続行された。
悪い方向に事態は舵を切られた。
つまりは「敵を引込せん滅させる」という作戦の選択だ。
魔法科高校生や各重要施設の人間を「極力安全を確保しながら餌」として扱うというのだ。
その中にあーちゃんがいるのだから光夜君もおこである。
「キヨ」
「今日は警備班?」
声をかけてきたのは摩利だ。
「まあ、真由美の護衛といったところかな」
「で肝心の真由美は?」
「向こう」
視線を飛ばすと、白い礼服軍服姿の藤林響子と立ち話をしている。
「十師族のアレコレを聞かされてもな。あたしは二十八師補でもなければ百家でもないしな」
困った顔で嘆息一つ。
そうよね、十師族の腹の探り合い程面倒なものはない。
藤林響子もまゆみんも笑顔で話しているが言葉の節々が「九島の独走」だと「七草も手勢を?」と妙な探り合いを始めた。
楽しそうではあるが、九島と七草なんて地雷に触れたくはない。
「それで摩利は避難してきたわけか。でも彼氏と結婚すれば百家だから今のうち顔つなぎしておけば。千葉摩利さん」
「!!!!」
将来の名前で呼ばれて顔を真っ赤にする摩利。
擬音で「ボン!」と音がして頭から湯気が爆発するイメージが見える見える。
◆
開会までもうあと10分。
会場内のエントランスをふらつきながら転生者メンバーの配置を思い出す。
今日の布陣は!脳内ドラムロールを鳴らすのだ!
♪ダラララララララ♪ジャン!
【横浜・論文コンペ組】
四葉光夜:「いや、特段ないな」
司波雪光:「諸々の準備がなければ情報収集でも活躍してたし!!」
久慈灘幽玄:「インタビュー?姐御、結構暇だよな」
黒城兵介:「来年は発表する側を狙おうかな?」
萬真人:「また警備…」
十二江清姫:私!
【横浜・魔法協会関東支部】
黒羽竜也:「光夜!雪光!ほのかさんの身柄はちゃんと守れよ!いいか守れよ!」
藤林奏:「ふふふ」
四葉夜天:「うふふ」
アーデル・フォン・羅門:「やつらぶっ殺してやる」
【一校】
緋村武心:「よっし!じゃんけん勝った!虎退治ゲット!」
ミシェル・フィリオ:「あー、中華街でごはんしたかったー」
狼谷一樹:「俺が引率担当か」
【京都】
高村マリア:「法楽!うろちょろしない!」
鬼一法楽:「じゃんけん負けた~」
七海奈波:「カチューシャがいるなら安心」
五輪鳴門:「カチューシャがいるなら安心」
獅子王院楠葉:「カチューシャがいるなら安心」
仙波冬彌:「カチューシャがいるなら安心」
【その他】
相馬新(関重蔵):前日から姿が見えない。怪しい。
須田渉
「今日は自宅待機だね!戦場?無理無理!死んじゃう!ほら、情報収集で活躍したじゃない!無理~」