うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる:その2 作:madamu
「風紀委員?」
「誰がいいと思う、キヨ」
女子生徒が見たらそれだけで嬉しい悲鳴を上げるコンビが食堂の隅でお茶をしていた。
渡辺摩利。
一科生にして三巨頭の一角、酒呑童子討伐や茨木童子退治で名をはせた渡辺綱の子孫。
男装の麗人をイメージさせるショートカットの美貌の女生徒。
そして風紀委員の長。あの十文字克人と肩を並べる存在。
相談を受けているのは二科の黒幕。もう一人の男装の麗人の空気を纏う清姫である。
「う~ん、二科生から入れてみる?」
「そうだな。風紀は実力主義だけどそのあたりも手を付けないといけないからな」
昨日の司波達也たちの下校姿を見た清姫の脳内には司波達也の三年生への接点が一つ減ったことを理解していた。
一校の一科生と二科生の対立問題はこの2年で軟化していた。
生徒会長の親友が二科生であり、一校で最初の九校戦の二科生エンジニア。
美貌、学力に関しては言えば一科生二科生の枠組みを超えて、学内でも最優の一人だ。
魔法技術も、決して稚拙ではなく家伝の魔法が「発動速度」を鑑みない体系のため現代魔法の評価基準から外れている弊害による評価だった。
その評価を受けていた清姫が二科生への教育要綱の修正案を一年時点から出し、今年の年度には大きく指導内容が変わった。
百山校長から「長年のしこりを学生自身が正すのは嬉しい限り」と言われた時、清姫は「制服問題が始点とは言えないよな~」と大人の狡さを許容した。
七草真由美と十二江清姫の表と裏の活動で二科生にも指導教員や、カリキュラムの統一化が図られている。
「う~ん、二科生だと千葉の次女いるけどさ」
そう言われて渡辺摩利は頭を抱える。
「だめ。エリカの実力には太鼓判を押すが性格が」
「まだ嫌われてるの?」
清姫の言葉に摩利は頭を抱える。
「そうだね~。二科生の活きの良さそうなのを見ておくけどいつまでに決めればいいの」
「明日か明後日」
摩利の回答に今度は清姫が頭を抱える。
「早いよ。なにそのスケジュール。カップラーメンの注文じゃないんだよ」
清姫は手元のカフェオレに口をつける。
摩利も少しバツが悪そうにコーヒーを飲む。彼氏の影響で入れるのはミルクだけ。
「まあ何とか見つけましょ。吉田家の若様もいるし」
その名前に摩利はコーヒーカップを下ろす。
周囲の雑音から一つ声を落として清姫に聞く。
「吉田って、あの吉田家の?実力者じゃないか」
「そう、あの古式の吉田。なんかね二科にいるのよ」
(あの子のリハビリもどうしようか。九校戦前に達也と仲良くさせないと)
清姫の中でスケジュールの調整が始まっていた。
吉田幹比古は遅かれ早かれ司波達也と交流をするだろう。
だが、幹比古の成長に必要な九校戦への参加は今のところ開けていない。
というのも、司波達也が「新入生総代の兄」「論文満点の生徒」でしかないから。
(どうにかして、ジュウモンに認められて「実力者」としての立ち位置与えないと周囲のレベルアップも見込めないな~)
清姫か小さくため息をついて、カップに残ったカフェオレを飲み立ち上がる。
「明日には候補あげるけど、そっちもそっちで誰か見繕ってね」
「わかった」
一校の麗人同士の話は、結論を迎えぬまま終わった。
◆
「司波達也君いる?」
授業も終わり司波達也は妹の深雪の付き添いで生徒会室に行くべく椅子から腰を上げた。
その瞬間に教室の入り口にいる一人の女性から声をかけられた。
女性は周りの生徒を気にせず教室に入って来る。
エンブレムのない制服は二科生。そして抜群の美貌だ。ショートカットに冷たい目。
男性的というよりも怜悧な印象を持たせる。
女性は歩みを止めず、司波達也の席の前に立つ。
「私、十二江清姫。三年生」
腰に手をやり自己紹介する自信に満ちた女性。少女というにはあまりにも立派な態度だ。
司波達也は座ったまま自己紹介を返す。
「自分が司波達也です。十二江先輩、自分に何か御用ですか。この後用事があるので何かあれば後日にしていただきたいのですか」
面倒ごとが向こうから来た、そんな印象を目の前の上級生に感じ司波達也は早々に深雪と合流して生徒会室へ行きたくなっていた。
生徒会室であれば物理的に厄介ごとから避難できるからだ。
「ちょっと生徒会室まで顔貸して」
司波達也はトラブルが動き出したと直感した。