うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる:その2 作:madamu
正午をすぎた。
勝ちっしょ!と楽観はしないけど、それでも状況はこちらに有利のようだ。
「ま~り~」
少し離れたところで、肩で息する渡辺摩利に声をかける。
「キヨ」
摩利も軽く手を振って返す。
スクワッド、つまりは小隊規模での行動。
1時間ちょっと前、ホントは一校生だけで組もうかと思ったけど千葉エリカにオロチマル(でっかい刀)を届けにきた千葉警部と出会った。
ちょうど魔法犯罪対策班の部隊を引き連れていたので協力を要請。
「義理の妹のお願いきかないと後が怖いですよ」といったら頭を書きながらOKを出してくれた。
ついでに藤林響子の誕生日を教えておいた。
ほら魔法師社交界の華の藤林 ” エレクトロンソーサレス ” 響子さんの誕生日は知っている人は知っている。
十二江家も古式と現代魔法の中間の立ち位置ということもあり、藤林家にはシンパシーを感じている。
そこそこ交流があるが向こうの家の方が十師族の暗部に近いということで家族ぐるみと言わけではない。
ついでに言うと私も十二江 ” シルフボイス ” 清姫などという二つ名がある。
シ~ル~フ~ボ~イ~ス!
この二つを聞いたときまゆみんの前で駄々っ子の如く寝ころんで足をバタバタさせた。
出来れば ” 好天の巫女 ” とかさ ” 天羽の姫 ” みたいなカッコいい名前がいいです!
光夜君は「完璧」、竜也君は「当代第一」、雪光君は「王子様」、司波達也君は「天才エンジニア」、深雪ちゃんは「氷雪姫」と結構かっこいい二つ名がついている。
アーデルちゃんは「暴れん坊」「すぐ殴る美少女」「ツンデレではなくツン殺(コロ)」「美少女のなりをした森長可」といろいろ。
私たちは論文コンペ会場を出発して、散発的に仕掛けて来る敵勢力の一団を追跡。
一団を捕縛後に公共施設の占拠をすべく侵攻していた大亜連の工作員部隊、だいたい20人前後かな?をギッタンバッタンにした。
摩利の周囲には胴や腕に一撃を喰らい、痛みと衝撃で身動きの取れない大亜の工作員たちがうめいている。
銃弾飛び交う戦場を縦横無尽に走り回り、一人残らず切り倒す。
三巨頭に数えられるのも納得だ。
無駄のない移動魔法に、硬化魔法を併用した身体防護、そして剣術。
真由美が絶対的な狙撃者、じゅうもんが崩れることのない鉄壁ならば、摩利は切り裂く疾風と言ったところか(ダサい)
勿論この評価は「一般的な魔法科高校基準」での高評価であって二周目転生者のぶっ壊れ性能との比較ではない。
近くにいた警察の人たちが「緊急逮捕だ!」と言って工作員に手錠をかけて行く。
「さすが、修次の彼女だな」
警官隊を指揮していたのは藤林響子の愛の奴隷こと千葉警部だ。
スーツの上着は無く、ボディーアーマーに刀剣型のCAD。すでにシャツには土埃と少しの返り血で汚れている。
「警部さん、横浜全体としての状況はどうなんですか」
「状況は終結に向かているようだね。横浜港付近だと国防軍の特殊部隊が展開して相手を抑え込んでいるらしい」
どうやら、対大亜連についてはこちらの勝ちになりそうだ。
先程から情報端末に来る連絡を見るに転生者たちの活躍が顕著だ。
直立戦車はアーデルちゃんや雪光君、兵介君、幽玄君の活躍でほぼ横浜区域からいなくなった。
アーデルちゃんからの「処刑用BGMが足りない」ってどういうこと?
ただ、反面パラサイトの数は少ない。
真由美のところで3体が確認されている。他の戦闘区域をあわせても10体はいない。
時折届くマリアちゃんからの報告では京都でも20体未満と、東西合計しても30体には届かない。
事前に確保したパラサイトと、現場での数を見るとすべてのパラサイトを吐き出したのか、それともまだまだ予備戦力があるのか。
全体像は見えないが少なくとも現時点では対大亜連侵攻については日本の防衛線が十二分に機能している様だ。
空を見上げ、自分の術法が安定していることを確認した瞬間。
空を大地が覆った。
◆
「キヨ!」
摩利が驚きの声をあげる
空には巨大なビル群が覆いかぶさるように林立している。
悪い夢だね。
まるで上下に世界があるように、上空には衛星写真を立体的に張り付けたように横浜の街並みが映し出されている。
それでも太陽光は降り注ぐのは異様だ。
風は温い、潮の香りも消えている。
方位覚淵術の印を手元で結ぶ。3秒の知覚時間。あじゃぱー。ナニコレ?
自然界にある想子を含む物質は方位によって、その性質に「色」が付く。
我が十二江家はその色を知覚して、方位を元に術を行う。
というわけで、現在いる場所の「方位」がぐっちゃぐちゃ。上にも西があれば下にも西がある。
勿論、西の方にも西がある。
これが鏡世界(ミラーワールド)
現実世界と同じ世界だけれど、それは術者の思い通りに動く特殊な世界。
この世界での建築物の破壊は現実世界へと影響しない。
世界を動かせるのは術者か、それに匹敵する世界の主導権を握れるもの。
そして私は、私たちはその鏡世界へと引き入れられたのだ。
情報端末を出し、現在ネットワークに繋がっている人間を確認する。
直ぐ近くにいる摩利は繋がる。真由美、鈴音はログアウト状態。
雪光君はログイン。カナデさんはログアウト。竜也君もログアウト。幽玄君はログアウト。
相馬君はログイン。あーちゃんはログアウト。光夜君はログイン。
アーデルちゃんはログインで夜天さんはログアウト。
ログインとログアウトの状態がまばらだ。
この鏡世界については、事前に幽玄君が全員に説明してくれた。
どうやら、二周目組で鏡世界での戦闘に巻き込まれたことがあるのは幽玄君と関重蔵だけで、その魔法構造を把握しているのは幽玄君だけのようだ。
「巻き込まれたらネットワークの接続状況を確認してくれ。鏡世界でも複製された電子ネットワークが存在するから現実世界との交信は出来ないがログイン状態が確認できる。つまり、ログインしている奴は同一世界にいる相手だ」ということらしい。
つまり、今は現実世界と鏡世界で戦力が分断されたという状況。
影の中の男がついに戦場を制圧しようと動き出したとみてよいのだ。
◆
状況を整理しよう。
ホント、整理しないと戦力配置もごちゃごちゃだし、何よりも不安で仕方がない。
千葉警部の指示で手短な公共施設に避難。
一階がコンビニの入っている横浜区役所の出張所だ。
摩利もいるし、15名近い警察隊もおり戦力的には孤立していない。
情報端末で連絡が付くのは「ログイン組」だけ。
千葉警部さんは指示を出し、捕まえた工作員を警察の本部へと移送すべく車両の手配を指示していた。
といってもどこかから車両を呼ぶというよりも、外にいる国防軍に協力を仰ぐようだ。
そして私は、ログインしている面々、そしてログアウトとなった面々の配置状況、鏡世界に囚われた瞬間のフレンド向け公開のGPS情報、通信ログから転生者たちや一校の各戦力の配置状況の把握に努めた。
非常に複雑でややこしいが、下記の状況が正しいのだろう。
戦域A:魔法協会関東支部(黒羽竜也、藤林奏、四葉夜天、十文字克人)ログアウト
戦域B:論文コンペ会場周辺(司波雪光、黒城兵介)ログイン
戦域B´:論文コンペ会場地下のシェルターの通路入口(シェルター移動の第2組:四葉光夜、吉祥寺真紅郎)ログイン
戦域C:避難シェルター(シェルター移動の第1組:中条あずさ、服部刑部、沢木碧、市原鈴音、萬真人、三七上ケリーetc)ログアウト
戦域D:市街地(私、渡辺摩利)ログイン
戦域E:シェルター通路の支道口地点(七草真由美、久慈灘幽玄、桐原武明、壬生紗耶香、千代田花音、五十里啓、千葉エリカ、光井ほのか、北山雫、西城レオンハルト、吉田幹比古、柴田美月)ログアウト
戦域F:中華街周辺(アーデル、一条将輝)ログイン
現実の横浜における防衛戦の継続と、鏡世界内での敵勢力との戦闘および脱出を行わなければならない。
人数差はあるものの戦力分布は現実と鏡世界でほぼ平均化されたとみてよい。
情報端末にログイン組に対してカナデさんに手配してもらった簡易SNSに「現状報告!」と書くとすぐに返信が来た。
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雪光>>>真由美さんどこ?!
清姫パイセン>>>ログアウト。幽玄君が一緒だから安全のはず
黒城兵介>>>自分で自分にパイセンつけるとか…
光夜>>>吉祥寺真紅郎と共に会場地下階の会議室に避難。国防軍の報告だとシェルターへの通路途中で鏡の壁があり通行不能。
清姫パイセン>>>コンペ会場に他に戦力は?
光夜>>>警備隊の生徒で動けるものが数名。他は国防軍の本隊がいるので籠城可能
雪光>>>鏡世界の対策は幽玄と竜也兄さんと光夜兄さんの担当だったよね。ヘルプいる?
光夜>>>15分で解析の予定。完了するまで空間内の警戒を任せたい
清姫パイセン>>>パイセンにお任せ♪
ア>>>一条、泡喰ってる。殴っていい?
黒城兵介>>>やめろ
清姫パイセン>>>それ以外の中華街の様子は?
ア>>>殴った
黒城兵介>>>はえーよ!
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時間は12時27分だ。