うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる:その2   作:madamu

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久々に書いたな(と言いつつ3,500文字に数ヶ月かかる男スパイダーマ!)



宵闇

シエルター地下ホールの一角に簡易的に作られた指令所に完全武装の兵士が小走りに向かう。

兵士たちは薄い紺のボディアーマーに自動小銃、そしていくつかのグレネードと複数の弾倉。

ヘルメットは強化カーボン製。

標準的な戦闘用装備だがボディーアーマーの下の戦闘服は緊張の汗で濡れている。

 

「地上A突破されそうです。分隊長判断で防衛線を階段下バリケードまで下げました」

怯える高校生たちに動揺させまいと伝令は副隊長の耳打ちする近さで伝えた。

 

シェルター撤退第一組を指揮する国防陸軍関東方面管轄の第一旅団第二大隊の副隊長は頷くと、地下通路の封鎖を助けた学生たちの顔を見た。

「服部隊長代理」

「はい」

緊張を含む返事。

シエルターに繋がる地下道は人為的な天井崩落により地下出入口は塞がれ敵の侵入は断った。

そして次の指示を想像するに服部は実戦であると意識した。

 

一校の中でも実戦経験者は少ない。

服部は実戦を意識した訓練を体験したことがあるが、それでも実際に人間を殺した経験はない。

 

 

「出入り口まで撤退!弾幕!」

地上出入口では放置車両を利用した簡易防壁が二重に造られていたが、外側の防壁から兵士たちが下がり内側の防壁へと撤退する。

一部の兵士が敵へ向かって自動小銃を連射し、撤退を支援する。

指示を出した少尉は外側防壁に兵士がいないことを確認すると隊の魔法師へ合図を送る。

「障壁展開!」

「障壁展開します!」

障壁。系統無しの物理障壁である。

 

敵は牽制で近くに落ちる頭部大の瓦礫を投げつけるが障壁に阻まれる。

投げられた瓦礫は本来であれば波打つことのない魔法の障壁に波紋を起こす。

投げたのはパラサイトである。

 

彼らは人間が物理世界を動くのと同じように情報次元世界を動く。

それは物理世界の行動に重ねて行えるのだ。

 

「学生警備到着しました!」

地下へ続く階段から上ってきた学生からの到着報告を受けて隊を率いる少尉は心中で舌打ちした。

学生たちの戦力化は、国防軍の戦力枯渇を示している。

今いる地点と別地点での入り口でも学生が戦力として投入されている。

シェルターを放棄して別の拠点に移動も一瞬少尉の頭に浮かんだが、30人はいる戦闘に向かない非戦闘員の学生たちを連れて移動する先が思い浮かばない。

 

「陣地を構築し直す!障壁や遠距離魔法で距離と時間を稼いでくれ!軍曹!人員は!」

思考を放棄して脊髄反射のように指示を出す。

思考をするまでもなく状況を感じとり判断するのは職業軍人の業だ。

「重傷で二名動けません!あとは全員戦闘継続可能です!」

軍曹の叫ぶ声に少尉は頷く。

「学生たちが魔法で時間を稼ぐ!適当なそこら辺の車を押してこい!壁だ!」

 

 

「ぐっ!」

後方の学生警備1人が直線で放たれた雷撃を受けて数秒の痙攣と共に気絶する。

「誰か後方に下げてくれ!」

爆風に数度巻き込まれた服部は汚れた制服姿で指示を飛ばす。

 

通常兵器にひるまない民間人風のゲリラ兵たちを魔法科高校の生徒たちは使える魔法を駆使して押し返す。

危険を顧みず、二重防壁の内側を出ている。

 

その先頭には魔法科高校第一校のジェネラルの異名をとる服部刑部だ。

よくよく見ると童顔には、すでに瓦礫の破片で出来た擦過傷や切り傷が見える。

雷、障壁、爆炎、突風。

使用できる魔法を駆使し、広範囲に牽制を行う。

複合型の魔法のためかパラサイト達の対応も単一魔法に比べて数秒時間がかかる。

 

既に無傷の生徒の方が少ない。

 

「あそこだ!」

放置車両の影。二人の国防軍兵士が倒れ込んでいる。

目ざとく見つけたのは防壁内側で想子切れ間近で膝を着いた生徒だ。

 

学生警備隊到着前の負傷者か死者か。

はたまた壁用に車両を動かすための人員か。

 

2秒の逡巡。

踏み出したのは沢木碧だった。

 

走り出した沢木は空気甲冑の魔法で身を包み飛んでくる瓦礫のダメージを防ぐ。

しかし、パラサイトの投げる瓦礫は空気甲冑の魔法特性を減少させる。

改変された事象を改変しなかったように扱える。

このパラサイトの特性は魔法科の生徒たちとは相性が悪いが、魔法の使えぬ国防軍兵士よりか幾分かマシだった。

 

肩に飛来した瓦礫が思い切りぶつかりバランスを崩すが、沢木は車両脇まで到着し、手首のCADを弄り最大限の強度を持つ障壁を展開する。

 

「無茶したな!」

沢木の後に次いで走り込んできたのは萬真人だ。

 

遠距離戦を得意としない萬や沢木の様なタイプは救護兵として戦場を走り、負傷者を自陣に運ぶ役目であった。

ある意味で敵の的になることだが、それでも出来ることを行う。

「我ながら無茶をしたよ、戻ることを考えなかった!」

死地だが笑顔が消えない。沢木碧と言うのはそういう若者である。

 

その沢木の笑顔につられた真人は一度笑うとすぐに表情を硬くした。

 

「【宵闇】をやる。20m程度距離を取ってくれ」

「本気か・・・」

沢木は額から一筋汗を流し、呟きつつ真人から距離を取る。

先程喰らった礫の痛みを我慢し、倒れた二人の兵士を無理やり抱え、引きずりながら1m、2mと距離を稼ぐ。

二重防壁の内側から沢木の移動を助けるように、学生たちが沢木の後方に長大な障壁を構築し少しでもパラサイトの攻撃が

届かぬようする。

 

真人も敵の的になるように車輛の影から姿を出す。

沢木から離れるように前方へ移動。敵の視線が沢木から無防備な真人に注がれる。

 

「簡単に潰れるなよ」

真人は眼を細め一気に十一の印を素早く手元で結ぶ。

 

パラサイト達はその周辺のサイオンの変化に気付き離脱の為、跳躍しようとするが間に合わなかった。

視線の先にある一校生の姿が歪んで見える。

一校生だけではな周囲が、歪む。そして初めて感じる圧力、身体の重さ、押しつぶされるような上からの重量。

 

ある一定の距離を取ったものから見れば萬真人の周辺だけ帳が落ちたように薄暗く見える。

不可思議な現象である。

 

【宵闇】

 

萬家に伝わる古式魔法。

その発動は体術の動きの中に無く、取手術、柔術の一門において唯一伝承されている純粋な魔法である。

体術を主とする古式魔法は動きの中に発動要素を混ぜるがこの術だけは単体発動だ。

 

萬真人の周辺11mは超重力の力場だ。

それは光の粒子さえ正常とは言えぬ動きをする。

周囲からは夜の帳。つまりは宵闇。

 

正午を幾分か過ぎたとはいえ、この晴天下で起こる光の異常現象はそれだけの高重力の力場である証明だ。

2000年代も多少過ぎたときに、真人の曽祖父にあたる人物が宵闇の重力場を図ったところ10Gを越えていた。

 

そして歴代の使い手で最優と目される真人の宵闇はG換算で21Gに及ぶ。

その重力は太陽と同じであり、人間が活動可能な重力上限5Gの4倍にもなる。

 

いくら想子によって強化され人間ならざるパラサイトでも憑依している人間の肉体構造、骨や筋力の上限の数倍では身動きが取れない。

肉体から脱出したくとも高重力は想子によって事象改変された現象。影響範囲は情報次元にも少なからず及んでいる。

パラサイト達は呼吸は出来るが身動きの出来ぬ海の底をはいずる気持ちだ。

 

萬真人が十二江清姫の評価で2年生でも最強である理由。

強力な重力。それは範囲外からの魔法さえも正常に稼働し得ない空間。

そして萬真人を倒すにはこの宵闇の中を抜けるか、高重力にも負けぬ常識外れの干渉力で打ち破るしかない。

だが万一の確率で重力空間を抜けても古流柔術を収めた格闘家が待ち受けるのだ。

 

吉祥寺真紅郎の「不可視の弾丸」も同様に重力を使う魔法だが、現代魔法らしい「弾丸」という発想に対して

萬家の【宵闇】は全方位を抑える空間魔法と言っても良い。

この魔法の肝は術者は高重力に囚われない点だ。

 

真人は展開された空間を歩き、手近にいる這いつくばるパラサイトに問うた。

「お前達は憑依対象を解放することは出来ないらしいな」

 

パラサイトは身動きを取ろうにも指先が小さく動くだけだ。

真人は左手の親指を小さく左右に振る。

声をかけられたパラサイトは更なる加重で身を地面に沈める。

 

真人のチート能力は「武芸百般」「秘中の秘」の二つであった。

つまりは家伝武術に長け、秘中の秘である【宵闇】の自在の使用を可能にしている。

 

十二江清姫の「魔法演算能力向上」「ハッキング」「ひと誑し」を補う戦闘用のチートである。

 

【宵闇】内では最大重力を局所的に変更することが可能だ。

これは体系づけられた魔法の使用というよりも真人の感覚による調整に近く、同じ血を分け秘伝にも通ずる父や門人にも教えたことは無い。

最高重力は21Gではなく局所的に【33G】に達する。

 

「教えてくれ。俺の【宵闇】はお前たちの魂も押しつぶすのか」

パラサイトは真人の言葉に無言だ。

真人は重力がパラサイトの霊子そのものを押しつぶし霧散させるという自信はなく、パラサイト達を近習備の古式魔法師が到着するまで地面に縛り続けた。

 

その間約2時間。パラサイトは7体にも及んだ。

シェルター避難第一組の安全は近習備がパラサイトを封印した瞬間、それは萬真人が想子切れで失神する瞬間によって達成された。




やっぱり文章を書くリハビリが必要だと思った男、スパイダーマ!!
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