うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる:その2   作:madamu

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「お前な!三年生より早く彼女作るとは言語道断!」

「今年もあの馬鹿騒ぎの一週間がやってきた!」と今頃渡辺さんが激を飛ばしているころだろう。

 

魔法科高校の劣等生序盤の一幕「部活勧誘期間」の幕開けだ。

うちの部活「剣道部」も新人勧誘の為、演武会の実施をする。

すでに、体育館では各部活が胴着やユニフォームに着替えて準備を始めている。

剣道部は白の胴着、紺は剣術部と色分けをしてある。

 

「へ~」

俺を含め部活の全員が少し離れたところにいる桐原に向けて笑顔で手を振る壬生紗耶香を囃し立てる。

二科の二年生。黒髪のポニーテールがトレードマークの袴が良く似合う美少女だ。

 

「紗耶香、桐原くんと付き合ってるらしいけどさ、ホント~」

「剣道部女子エースが剣術部の次期主将候補とお付き合いとはベストカップルか~」

「もう、止めてよ!」

笑顔で答えながら壬生紗耶香は女子剣道部の輪から離れて軽い足取りで剣術部の方へ行く。

桐原も嬉しそうな、囃し立てられるのに困ったような顔で壬生と立ち話を始める。

 

「萬、拳法部とMMA部はいいのか?」

剣道部の三年の先輩が心配してくる。

「大丈夫ですよ。MMAは明日ですし拳法部はそのあたりゆるくやってるんで」

実のところ拳法部は部員が多い。幽霊部員含め。というのも「軽運動部」としての側面があったりするからだ。

 

ガッツリ系運動ではなく柔軟体操プラスアルファ位の運動を提供する伝統があるらしく

月に1回はあの市原先輩や中条も「運動不足の解消」として顔を出してくる。

一度、七草、市原、渡辺、裏番が揃ったときは男子生徒が浮足立っていた。

レンタル用の胴着を着た七草会長の「ぶかぶかね、うふふ」という微笑みは最高でした。あざっす!

 

「先に剣道部で次が剣術部でしたよね」

「ああ、お前連続でだろ」

「一応、取り敢えず、しぶしぶながら剣術部ですから」

うちの道場は無手の柔術がメインだが、長物の取り扱いや剣術もそこそこある。

長物も槍やさす又、袖絡みやそれこそ梯子の取扱いの技術体系があったりする。

梯子は意外と暴漢の取り押さえには有効だ。

 

剣術も古流の技法が伝わっておりその縁で剣道と剣術の両部に兼部となった。

正しくは裏番のせいでいつの間にか兼部だったけど。

 

「よし、ぼちぼちウォーミングアップ始めるぞ。15分後には演武開始だ」

剣道部部長が一声かけると部員は「押忍!」と返事をし、女子部員は「紗耶香~」と

剣術部でおしゃべりしていた壬生に声を掛けていた。

 

 

「ありがとうございました!」

剣道部部員一同がお辞儀をする。

剣道部の演武も終わり、周辺からはまばらな拍手。

次は剣術部の出番だ。

 

ブランシュによる一校への侵略。それは芽で潰した。

あれが起きないように動いて、ついでに桐原の恋愛も応援して丸く収まった。

 

反魔法師団体「ブランシュ」

魔法師が政治に対しての影響力が高いことをやり玉に「魔法能力による差別撤廃」を標榜する団体。

公安から昔っからマークされている奴らだが、この冬見事に壊滅した。

うちの道場生で警視の立場にある人経由で公安が動き、見事全員逮捕。

何でも爆発物や銃火器も隠匿していたらしく、規模を聴いたらブランシュ襲撃を阻止して正解だった。

 

剣術部は桐原対4人による多対一の演武を披露する。

「可愛い彼女作りやがって!」という三年男子の熱い要望によるものだ。

現在の三年生は一科、二科対立の意識は少ない。

一科の美少女たち以外に、二科にはあの裏番がいる。

 

古流魔法師の流れを汲み、「儀式魔法」を練り上げる十二江家。

百家の中では天気・天候の「操作」を主にしており、今でも天候関連で豪雨対策や、旱魃対策などでの活動を聴くこともある。

 

七草真由美生徒会長とも路線の違う名家の一員。

渡辺先輩ばりの麗人で冷徹怜悧かつちょっとお茶目で、昨年の九校戦での休息日には浴衣姿を見せて

九校すべての男子生徒は風に舞って裾が捲れた裏番の膝に釘付けだったらしい。

 

三年生は一科、二科というより「超絶異生命体【十二江清姫】」の存在で手一杯なのだ。

 

「やあやあ、諸君」

ふと物思いにふけりつつ、桐原が三年と二年の団体戦レギュラーに挟み撃ちに合っているのをみていると

体育館の一階出入口から裏番が入ってきた。

 

丸メガネのサングラスをつけており、胡散臭いことしかたがない。うわ~黒幕ごっこだ。

体育館の女子たちは「清姫さん!」と声を上げ、男子は「うわぁ…」と残念な声をあげてる。

「おい、どうした十二江?」

剣道部主将が闖入者に声を掛ける。

「うん、丸さん。ちょっと面白いことを考えてね」

いつもの陽気かつ意地悪な、そして妖艶さに見とれる笑顔を剣道部主将の丸さんに向ける。

「木部君は?」

「今、桐原と一対一」

裏番の質問に丸さんは試合を指さす。

 

「お前な!三年生より早く彼女作るとは言語道断!」

「そんなの知るか!」

木部主将は竹刀に加重と硬化の魔法を使用し、桐原はそれに反論する。

「演武に剛剣(ハードブレード)とか本気じゃねぇか!」

「モテ男に天誅!」

金属並みの硬度と重量になった竹刀を振り回しながら追いかける先輩に桐原は構えを解いて逃げ出す。

周りからは「モテない男の恨みを喰らえ!」「幸せで爆発しやがれ!」と他の剣術、剣道部員からヤジが飛ぶ。

壬生紗耶香もまんざらじゃないようで笑いながら「頑張って逃げて~」と応援している。

 

3分間走り回ったところで、剛剣の魔法が解けた竹刀で面を喰らい桐原の敗北が決まった。

体育館内ではそこかしこに笑いが起きる。

一年生はオモシロいコントを見た感じだが、二年生や三年生としては「実力主義者の桐原」が二科生の彼女が出来て弄られている姿のギャップに笑いが絶えない。

 

剣術部の演武が終わったあたりで、裏番がどこからかマイクを持ってくる。

 

「え~見学にお集まりの皆さん。私は部活連の特別相談役を自認する十二江清姫です。特別にお試し部活参加を行いたいと思います。この体育館にいる一年生で、剣道、剣術に興味のある生徒を対象に【上級生との模擬戦】を行いたいと思います。腕に覚えのある参加者を募集中!剣道部には女子剣道では日本トップクラスの二年生の壬生や、剣術部には昨年の剣術大会で好成績を収めた桐原などの猛者がいる!」

 

体育館のスピーカーから澱みなく告げられるイベント。

丸さんは面白がって笑い、木部さんは面を取りながら「俺も相手するぞ!」と元気だ。

 

俺はため息をつくと、いつも通り裏番のトラブルメーカーぶりに巻き込まれたことを恨み天井を見上げた。

二度目の高校生活は賑やかでいいが、時折命懸けが混ざってくるのは止めて頂きたい。

役得で、市原先輩をお姫様抱っこしたということもあるが市原先輩には彼氏がいるらしいのでその後まで話が行かないのが残念ではある。

 

視線を上から戻す時に二階席にいた司波達也と千葉エリカが見えた。

そうか、この二人を巻き込むための布石かなにかか?

他にいる男子生徒と何やら三人で裏番の方を見ながら笑っている。

 

少しだけ体育館内がざわつく。いきなり二年生と勝負させてやる、と言われてもそりゃ困るわな。

 

「相手の指名は可能?!」

二階席から元気な女生徒の声が聞こえる。

周囲は一斉にそちらへ向く。赤毛の美少女、千葉エリカだ。

「指名?指名したい相手でもいるのお嬢さん!?」

裏番がお嬢さん呼びをして場を煽る。

 

「そこにいる壬生紗耶香との勝負を希望するわ!」

「え、私?」と驚き周りの女子部員の顔を見る壬生紗耶香。

すでに千葉エリカの視線は壬生に釘付けだ。

「よし!受けた!下に降りて準備して!あとそこにいる風紀委員、立ち合いを認めてね!?」

ほら裏番が司波達也を巻き込んだ。

 

 

「では、これより壬生紗耶香対千葉エリカの特別試合を行います」

司波達也が立会いをすることとなった。

試合場では二人が剣道用の防具を付け、対面し一礼する。

 

準備中に「千葉、千刃流の?」と壬生が気づき、千葉エリカは「女子剣道の実力者と一度対戦してみたかったの」と壬生を軽く挑発する。

 

あと「静和流にも興味があるけどね」と俺にも視線を投げてきた。いやだよ。剣での勝負じゃ厳しい。

 

「イヤァァ!」「セイ!」

二人の美少女の声が、体育館に響く。周囲には剣道、剣術の両部や手の空いている他の部活の面々、あと一年生たちが固唾をのんで見ている。

 

ルールは剣術寄りのルールとなった。ただし殺傷性のある魔法の使用はNG。責任は裏番と、立ち合いは中立である風紀委員。

司波達也は「一度本部に確認します」と言ってヘッドホンで確認したところ「風紀委員長が溜息をついてOK出しましたよ」とあきれていた。

 

試合場では千葉エリカが押せ押せだ。自己加速による歩法は有効だ。だが一本を取るほどではない。壬生は防戦。

いや後の先狙いかな?どうだろうか。

 

自己加速の中、右左と回り込みながら千葉エリカが壬生の隙を伺う。

 

千刃流と静和流はあんまり付き合いがない。

というのも、うちは無手の逮捕術。向こうは昭和、平成で採用された剣道にとって代わる魔法師向けの剣術の最大手。

仲良くはないが悪くもない。

 

合同稽古なんて指導カリキュラムが違うのでやる意味がない。

せいぜい年一の古武道の演武会で千葉の当主が観覧席にご列席するくらいだ。

 

千葉エリカの攻めに壬生が試合場の角まで押され、開き直ったように大上段に構える。

「ほう」

木部さんが声をあげる。

気付いた部員も何人もいる。これは押されたのではなく壬生が誘い込んだ。

試合なので線を跨ぐと場外となる。試合は仕切り直される。

壬生が角に陣取ったので千葉エリカは左右から回り込むことが出来ず、正面から行くしかない。

 

あとは壬生が飛び込む千葉を切って落とすか、千葉が速度にモノを言わせて切り崩すか。

どちらかになりそうだ。

 

千葉エリカも「チェェェ!」と気合を挙げるが壬生は身じろぎもしない。

肝が据わっている状態だ。

千葉は前後に大きく動き揺さぶるが壬生は釣られない。

会場も静の壬生、動の千葉の意図がわかり始め緊張が上がり始める。

 

「エェェェイ!」

壬生の裂ぱくの気合が体育館に響く。

勝負は決まった。

 

 

千葉エリカは一瞬息をのみ自己加速を発動。

正面から大きく踏み込むが、それを読んで壬生は大上段から面を狙い竹刀を振り下ろす。

 

それで壬生が勝ったと思ったが、千葉エリカは自己加速で踏み込んだ瞬間に後ろにのけぞり面をすかす。

千葉は振り下ろされた壬生の右小手を左に持った竹刀で小手を取る。

「一本!」

片手での小手取り。単なる力業ではなく、剣術・剣道でも十分に評価される技術の一撃。

 

二人は開始線に戻り一礼。

試合は終わった。

 

試合場から離れて二人は面と小手を取り握手する。

「凄いわね」

「壬生先輩も。千葉の免許持ちを本気にさせたのよ」

そこから「サーヤって呼んでいい?」「いいわよ、その代わり剣道部どう?」「え~汗臭い」「幽霊部員じゃなければ参加は強制しないわよ」「考えとく」と早速打ち解けはじめていた。

 

この後、千葉エリカの連れ立った相馬という男子生徒が木部さんに一発で負けて会場から失笑を取っていた。

裏番は予定通りなのか、薄く笑いを浮かべていた。

 

またよからぬことを企んでるな。

 

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