うちの魔法科高校の劣等生にはオリ主転生が多すぎる:その2 作:madamu
「清姫さん」
「ダメだった?」
うちの裏番に止めてもらいたいのは、不良生徒をけしかけるような昭和的発想だ。
たしか、「劣等生」放映当時には社会人だったらしい。逆算すると平成一桁くらいの生まれだろうか。
俺の目の前で裏番に対して報告するのはうちの学校でも少ない「不良」3人組だ。
不良と言っても酒を飲んだり、喧嘩騒ぎを起こす程度の不良だ。俺の前の時の不良はナイフとか持ってたり、カラーギャング、ヤカラなんてのもあった。
ちなみにこの三人と裏番と俺は「地獄飲み会」での共犯だ。
ざっくりいうと高校二年生と一年生だけで飲み会をした。2095年でも未成年の飲酒はダメだ。
結論から言うと裏番は酔っぱらうとキス魔だった。いやあれはキスというより唇を舐め繰り回されたと言った方がいい。
不良の一人は「ファーストキスは好きな人と…」と涙声だった。
いくら美人と言ってもあんなにありがたみの無いファーストキスは嫌だ。
裏番が「ありがとね」と言って労うと、3人はうな垂れて帰って行った。
ここは第2図書室の一角。
少量だが紙の本を管理しており、裏番は図書委員に名前を連ねておりこのスペースの管理をしている。
「で、この何日かの動きを説明してもらえます?」
「まあまあ真人。怒らないでよ」
裏番からの頼みで司波達也に絡んだのがあの3人。
あの3人としては「二科生風紀の箔付けの手伝い」として悪役を買って出たらしいが、箔付けする前に司波深雪に阻まれて手出し出来ずに退散したらしい。
近くの椅子に腰かけ、図書室の受付スペース内でくつろぐ裏番を睨む。
あの三人はそれこそ拳法部の幽霊部員だが体格もよく、「撫で合い」なら一般生徒には負けない。
下手すれば殴り合いの喧嘩に発展しかねない。それをけしかけたんだ。
睨まれたって文句は言えない。
「君、修正力とか信じる方?」
俺は周囲を見て、この部屋に他に生徒がいないことを確認した。
それ程広い部屋でもない。
裏番は手元にある紙の本をペラペラとめくり遊びながら聞いてくる。
「あまり。それが今回の件と関係するんですか?」
「するね。このまま行くと司波達也とジュウモンとの関係が希薄になる」
「何か問題でも?」
「あの二人の関係性が薄いと戦力の一体化が出来ないかもしれない」
「九校戦で?」
「ちがう。横浜」
「でもそれほど会頭と司波達也に接点はなかったかと思いますけど」
「大筋ではそうだけど、九校戦での司波達也のモノリス参戦はミキちゃんとレオの活躍兼レベルアップの場だからそのお膳立てをしておきたいの」
「それでこれですか」
「安直だけど【実力者】としてジュウモンに認識させるにはトラブルが一番だよ」
「ブランシュが無い場合の代替え案というわけですね」
「私たちだけで周公瑾に先手は打てない」
「ええ」
原作の未来予知の話をするとここに行き着く。
九校戦のジェネレーターはどうにかなる、いや俺がどうにかするつもりだが横浜の事件は規模が大きい。
俺と裏番の手の届く範囲を超えている。
だからこそ、司波達也とその周辺が大事になって来る。
横浜全域での戦闘。相手は戦車や銃火器を装備した兵士。そしてこちらには多数の市民と生徒たち。
アニメのように上手くいく場合もあるが、そうなる保証はない。
「都合よく修正力は働かない。ならば人為的に関係性の強化を図る」
俺が裏番の意図を口にする。
「そういうこと。ジュウモンの視界に「司波達也」を入れないとね」
「悩みどころですね」
「悩みどころなのだよ」
あっけらかんと言う裏番は余裕の笑みだが、この人の思考はわからない。
口笛を吹きながら司一を殴るような人なのだ。