次に更新できるのは早くて八日・・・・・・
忙しすぎて泣けますが、ちょっとお先にご挨拶を
では良いお年を!
海鳴の街の外れ、周りが森に囲まれたそこに屋敷があった。
そして古く、趣のあるそれ屋敷を訪ねる人影が三人。
彼らはインターフォンを鳴らすと、鉄格子でできた門が開く。
彼らが中へと進むと、勢いよく玄関の扉が開いた。
「あ、岐路君になのはちゃん、いらっしゃい!」
中から飛び出した少女は月村すずか、この屋敷の住人の一人だ。
彼女は岐路の腕を掴むと、少女とは思えない力で彼を屋敷の中へと引っ張り込む。
「お、おい! ちょっと待ちたまえ!」
彼はロクに抵抗もできず、大人しく連行される。
それを見て、苦笑するなのはたち。
「にゃはは、いつも以上に過激なの」
「そうなのよね~、あの子が恋に目覚めるのはいいことだけど、ちょっと心配だわ」
「にゃわ!?」
なのはは驚き、その場から飛び退く。
そこには月村家の長女・月村忍とメイドのファリンがそこにいた。
恭弥はそれに呆れたように言う。
「忍、あまりなのはを驚かせないでくれ」
「ごめんごめん、ちょっと警備ロボの整備をしててね」
よく見ると、所々服が汚れている。主に潤滑油だろう。
「ファリン! なのはちゃんをすずかたちの所に案内してあげて、で恭也はこっち!」
そう側にいたメイドにそう告げると、恭也の腕を引っ張って二回へと連れて行く。
その姿を見て、なのはが一言。
「…………そっくりなの」
「あはははは…………」
性格は違えど、やはり姉妹ということだろう。
「あ、なのは! 遅いじゃない、何をしてたの!!」
「………………」
そう言ってアリサはブラックコーヒーを一口。
すぐ横に座っている士郎も普段は飲まないブラックコーヒーを味わっている。
なのははその横、そこにいた子猫をどけて、椅子に腰をかける。
「にゃはは、ちょっと忍さんとお話していたの……、何かあったの?」
そう言うと、アリサは無言で後ろを指差す。
「?」
不審に思いなのはは彼女の後ろを覗き込む。
「ほら! こっちのケーキも美味しいよ」
「いや、もう私は」
そこには異様にケーキを勧める親友の姿があった。
「さっきいきなり出て行ったかと思うとすぐさまアレよ! 見せ付けられる私たちの身にもなって欲しいわよ!」
「まったくだ、今回は特にひどくて手がつけられねえ!」
「にゃはは、一生懸命なのはいいことだと、思うよ?」
『あああああああああああああああああああああああああ!?』
そう苦笑いしていると足元から悲鳴が聞こえてくる。
『ユーノ君?』
不思議の思って足元を見るが、彼の姿はなく、側にいたはずの子猫もいない。
『あいつならさっき子猫に追いかけられていったぞ』
『だ、大丈夫なの?』
『まあ、あいつのことだからうまく逃げ切るだろ、……今はこの状況をなんとかしなきゃな』
「これね! 去年撮ったアルバムなの、こっちはね――」
『誰か助け――』
ちなみに、この異様な空間は一時間続いた。
『みんな、ジュエルシードが!』
ユーノの緊急連絡が入ったのは、みんなが庭園に移動した頃だった。
「私、ちょっとユーノ君が心配だからちょっと探してくるね」
『うん! 今行くの』
「あ、それなら俺も行くわ」
『ああ、ちょっと待ってろ!』
「それなら私も――」
そう言って席を立とうとする岐路だったが、万力のような握力がそれを逃がさない。
「二人が行くなら別にいいんじゃないの?」
「いや、その、私もユーノのことが心配なのだが、……アリサ君もそう思わないかい?」
岐路は助けを求めるように、アリサを見つめる。
「そうね、別にあんたまで行く必要はないわ、……ていうか今のすずかとふたりっきりにしないで(ボソッ)」
しかし、逆に彼女が岐路の味方になることはなかった。
『なぁぁぁぁぁううぅぅぅうぅぅぅぅぅぅうぅぅぅぅぅ』
「「「……………………」」」
一方、ユーノが張った結果以内で彼らが見たものは予想外のものであった。
「猫、だよね」
最初に口を開いたのはなのはだった。
「多分、あの子の大きくなるって言う願いをジュエルシードが正しく叶えた結果だと思う……」
「にしてもデカすぎだろ……」
常識外の大猫に、士郎は首が痛くなるのを感じた。
今回は平和だな、となのはが思った時だった。
「!? 誰か来る!」
次の瞬間、辺りは緊張に包まれる。
「セイバー!」
『セットアップ!』
士郎は己のデバイスの名を叫ぶと、光が彼を包み、その姿を変える。
剣を携えた彼の姿は、まさに西洋の騎士といった感じだ。
同じく変身を終えたなのはも、ユーノが見ている方向へ視線を向ける。
「!?」
彼女の目に映ったのは、こちらに迫り来る幾つもの光の槍だった。
「効かねえよ!
彼は両手にゴツゴツとした剣を投影すると、それを交差させ、なのはの前に立つ。
すると光の槍が彼の剣に触れた瞬間、それらは飲み込まれるように消えていく。
それはまるで、剣がその槍を喰らっているかのような感覚だ。
なのははキラキラとした目で、士郎を見つめる。
「はわ~、いつ見ても士郎君の投影はすごいの」
「それほどでもねえよ! 今はあいつに集中しな」
士郎は剣を別の方に向ける。
なのはがつられてそちらを見ると、
「ジュエルシードを、渡してください…………」
布が少ない黒の衣服に身を包んだ、金髪の少女がそこにいた。
驚いたなのはは、彼女に問いかける。
「あ、あなたは誰?どうしてジュエルシードを「あなたに答える必要は、ありません!」!?」
なのはが言い終わる前に、彼女は手に持ったデバイスを彼女に向ける。
「……どうやら、話を聞いてくれるほど大人しくないらしいな」
士郎は剣の片方を消し、彼の相棒である聖剣・エクスカリバーを握り締める。
「僕も、可能な限り援護するよ」
ユーノも、フェレットモードだが戦う意思を見せる。
「降参するなら今のうちだぜ」
「……お断りします」
士郎がそう話しかけるが、少女はそれを一蹴。
「なら」
士郎は聖剣を抜き、左手の雷喰剣と一緒に構える。
「手加減はしねえよ!」
二人の戦いは素人であるなのはが介入できるようなレベルではなかった。
二度三度、彼らは互の武器をぶつけ合う。
そしてその度に、火花が散り、残響が響き渡る。
この二人の実力は拮抗していたのだが、相性が悪かった。
雷を喰らう剣を持つ士郎に、彼女は少しずつだが追い詰められていく。
彼女が放つ槍も、手に持つ鎌の刃も、それに触れると立ち所に消えてしまう。
「おりゃあ!」
「あ!?」
そして遂に、彼女の手から斧がこぼれ落ちる。
それはくるくると回ると、森の中へ消えていく。
「さ、デバイスもなくなったが、どうする?」
「…………」
少女は答えず、ただ士郎を睨みつける。
「ユーノ、悪いがこいつを――」
拘束してくれ、そう言おうとした彼の目に写ったのは腕だった。
大人の女性の右腕、指は可能な限り広げられ、その付け根に太いロープのような物がついている。
黒い少女の後ろから現れたそれは、驚く彼女の顔のすぐ横を通り抜け、士郎の頭を掴もうと迫る。
「っ!?」
咄嗟のところでそれを避ける士郎。
目標を失った腕はピタリと止まると、しゅるしゅると音を立て、草むらへと消えていく。
「ケケケケ、サスガニアタラネエカ」
「誰だ!」
士郎が睨みつけると、それに応えるかのように草むらが揺れ、奥から誰かが出てくる。
「ケケ、ソウ熱烈ナ視線デ見ツメラレルト照レルゼ」
草むらから姿を現したのは、人間ではなかった。
所々に切れ目がある肌、カメラのようにレンズを調整している瞳、そして人間とは思えない彼女の背中の機械の翼。
それを見た士郎の顔が、強ばる。
「な、なんでお前がここにいる……」
「サアナ、コッチダッテイキナリコンナ所行ケッテ言ワレテ迷惑シテルンダゼ」
ケケケと笑う彼女。
しかしその言葉とは裏腹に、楽しそうに士郎を見つめる。
「ダガ、オマエミタイナ奴ヲ切リ刻メルナラ、俺モ楽シメソウダ」
そう言って、背中から先程少女が落とした斧を出し、彼女に手渡す。
「嬢チャンハ下ガッテナ、オ前ハ傷ツケルナッテ言ワレテルンダ」
彼女はそう言うと未だに放置されている巨大猫を見て、「さっさとジュエルシードを回収しろ」と目で合図を出す。
「…………」
少女は少し怪しいと感じたものの、目的のためすぐさま斧を構え、猫の元へ飛びたつ。
「サア、俺ヲ楽シマセテクレヨ、ガキ」
そう言って彼女、絡繰茶々零は笑った。
・木場士郎 追加データ
特典:『魔剣創造と無限の剣製を合わせたようなもの』
デバイス:セイバー
魔力量:S
担当した神:ヒゲの生えた老人の神様
「聖剣エクスカリバー」
通称 セイバー
神様が与えた特殊デバイス
声や人間モードの姿はご想像通り。
・絡繰茶々零
容姿:茶々丸
性格:チャチャゼロ
追加データはまた今度