魔眼の少女   作:火影みみみ

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第13.5話

 現在地は八坂家のリビングルーム。

 私は小さな男の子と向かい合っていました。

 

 彼の名前は八坂綱吉。

 つい先日お父さんが拾ってきたことにより、魑魅魍魎はびこる八坂家の一員となった哀れな男の子です。

 

 

「…………………………」

 

「(ガクガクブルブルガクガクブルブル)」

 

 一体何分経ったのでしょう。

 彼は出会った時からずっと怯えています。

 私は何もしていないのですけどねぇ。

 

 あ、私視点じゃわかりにくので、次からはツナ視点でいきますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

~八坂綱吉~

 

 俺は森田幸太郎、転生者だ。

 

 特典は「死ぬ気の炎の全属性」を選んだ。

 畜生、王の財宝とか無限の剣製、写輪眼を選びたかった!

 けど、既に他の転生者に取られていたorz。

 

 このように他の人より遅れをとった俺だが、俺は他の転生者とは違うところがある。

 これは特典とは別に、出生のことについてだ。

 俺はその時に、「最強の転生者の弟」になるようにお願いした。

 正直これは無理そうだったが、必死に頼み込んだら渋々了承してくれた。

 どうやら転生者ごとに担当する神がいるらしく、今回は相手の神様の許しが出たからいいものの、普通は無理だそうだ。

 

 ん? なんでそんなことをしたのかって?

 そりゃ、最強の転生者の家族なら他の転生者も手を出しづらいだろうし、あわよくば鍛えてくれるかもしれないからだよ!

 それに、ちょっと聞いたところによると転生先は現代で、どうやらその最恐さんは女の人らしい。

 前世では一人っ子だった俺は、お姉さんなんていなかったから少し楽しみだ。

 

 

 

 

 

 そう思っていた時期も、俺にはあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、どうやらちゃんと転生はできたみたいだな」

 

 目が覚めたのはどこかの廃れた部屋。

 内装も禿げ、むき出しのコンクリートがここがもう何年も使われていないことがわかる。

 

「服は、ちゃんと着ているみたいだな……ん?」

 

 ポケットを探っていると、何かペンダントみたいな物体が出てきた。

 

「なんだこ『ちゃおっス』、うぉお!?」

 

 それは急に喋りだし、驚いた俺はそれを放り出してしまう。

 それは重力に引かれて床に落ちるかと思われたが、途中でピタリと止まると半回転し、俺に向かい合う。

 

『まったく、デバイスの扱いがなってねー、容姿通り「ダメツナ」だな』

 

「は? ダメツナ?」

 

 そう不思議に思っていると、ペンダントの中心が光り、空中に光る鏡のようなものを映し出す。

 

『これが今のお前の姿だぞ』

 

 恐る恐るそれを覗いてみると、写っていたのは「家庭教師ヒットマンREBORN!」の主人公、沢田綱吉を幼くしたような男の子だった。

 

 そう言えばこいつの声もどっかで聞いたことあると思えばリボーンじゃないか。

 

「ああ、死ぬ気の炎を頼んだからこうなったか……」

 

 まあ、一般人より上な感じだからいいか。

 

『納得したなら次だ、ここは「魔法少女リリカルなのは」をベースにした世界になってるぞ』

 

「おお! リリなのか、断然燃えてきた!」

 

 魔法、ロストロギア、それに戦闘機人!

 stsを見ていた時は興奮を抑えられなかったなぁ。

 

「あ、でも無印ってことはここは第一期の世界か?」

 

 確か、第二期はA'sだったはず。

 

『ああ、時間軸的に言えばもうジュエルシード事件発生中だな』

 

「まじかよ! 俺出遅れた!?」

 

 せっかく主人公と仲良くなって、後輩を紹介してもらう計画が二秒で崩れた。

 

『お前が無茶な要求したからな』

 

「え、どゆこと?」

 

 さっぱりわからない。

 

『本当ならな、お前の姉になる人物に弟が生まれるのは一年後のはずだったんだ、生まれる魂の順番も決まっているからな、その無茶を成立させるために今日ここに五歳児として放り出すしかなかったんだぞ』

 

「…………自業自得だったorz」

 

 何も言えない。

 神様、無茶なこと言ってごめんなさい。

 そして、叶えてくれてありがとう。

 

「? てことは俺はどうやってそいつの弟になるんだ?」

 

『ああ、それなら……、来たぞ』

 

「え!?」

 

 そう言うとそいつは俺のポケットに潜り込む。

 

『ここからの会話は全部念話だ、少しでも怪しい仕草をすれば命はねえぞ』

 

 え、何!?

 一体誰が来るの?

 リボーン(仮)がここまで警戒するってどんな危険人物なの!?

 

 俺もよく耳をすましてみると、コツコツ、と階段を上がる音が聞こえる。

 怪談を上がり、廊下を歩き、その足音はこの部屋の前で止まった。

 

 

 少しして、キキィィと扉が軋みながら開く。

 そして、男性の声。

 現れたのは顔を包帯で覆い隠し、黒いスーツを纏った男性。

 しかし、いくら包帯で隠そうとそのギラギラと燃えるような瞳は隠せていない。

 それに俺はそいつの顔に見覚えがあった。

 

 るろうに剣心で、主人公を苦しめた人斬り抜刀斎の二代目。

 

「ガキか…………」

 

 扉の先にいたのは狂人でした。

 

 え、なんでいんの!?

 志々雄さんなんているはずないよね!? 

 あの人、るろうにの人だよね、まじでなんでいんの!?

 

 そう怯えていると志々雄さんは何を思ったのか俺に近づいてくる。

 嫌だー! まだ死にたくないーー!!

 

「こいつが例のガキで間違いなさそうだな」

 

 志々雄さんはそう言うと、急に俺の首元を掴む。

 

「え? 何!?」

 

「黙ってろ、これも依頼だ」

 

 そう言われて俺は両手で口を塞ぐ。

 え、依頼って何?

 

『おそらく、神様がそういう形でお前が家族になるように仕組んだと思うぞ』

 

 なるほど! さすが神様!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――という訳で、今日からここに住むことになった綱吉だ」

 

 その後、志々雄さんに連れられてやってきたのは彼の家でした。

 名前も、この人に勝手に決められたorz。

 

「きゃー! 可愛い男の子ですね!!」

 

 そう元気にはしゃぐのは銀髪碧眼の美人。

 八坂ニャル子さん、志々雄さんの奥さんらしい。

 ……カオスすぎる。

 

「そうですか……」

 

 興味なさそうにお茶をすする俺より年上の女の子。

 八坂七海、俺の姉さんになる人だ。

 髪は白髪で、見た目は刀語の鑢七実を幼くした感じの美少女だ。

 目が見えないのか、片手には細い杖のようなものをずっと握っている。

 おそらく、彼女が転生者なのだろう。

 容姿からして見稽古持ちなのだろうが、何で白髪なんだろう? 

 

「じゃあ俺は次の仕事があるから後は任せた」

 

 そう言って玄関の方へと向かう志々雄さん。

 

「あ、途中まで私も行きますよ!」

 

 ニャル子も元気そうに彼の後に続く。

 

 後に残ったのは七海と俺だけ。

 

「……………………」

 

 無言でお茶をすする七海。

 まるで俺のことなんて眼中にないようだ。

 ……まあ、見えてもいないのだが。

 

『……やべーぞ、ツナ』

 

『どうした? 志々雄さんならもう行ったぞ』

 

 ポケットの中のリボーン(決定)が真剣な声で話しかけてくる。

 

『七海とか言ったか、こいつ尋常じゃねえ強さだぞ』

 

『え!? そんなこと分かるの!』

 

『ああ、嫌な気配がにじみ出てやがる、こいつ相当にヤバイモノ背負ってるみてーだぞ』

 

 え、何!?

 目の前にいるのは狂人じゃなくて魔王なのか!?

 魔王が二人って最悪じゃねえか!!

 

『……ちなみに、今俺が全力で襲ったら?』

 

『一秒以内にミンチの出来上がりだな』

 

 想像以上です。

 オワタ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~八坂七海~

 

 以上、私が読み取った彼の思考です。

 まったく、お父さんが子供を拾ってくるからどんなのかと思えば、まさか転生者ですか。

 まあ、歳や目的からしてsts用の転生者でしょうが、よりにもよって私の弟になることもないでしょうに。

 興味がないのでお茶を味わっていましたが、何だか彼の中の私のイメージが大魔王へと進化し始めましたので、そろそろ声をかけるとしましょうか。

 

「…………いい加減デバイスとの相談は止めにしませんか?」

 

 私がそう言うと彼はビクッと体を震わせる。

 

「な、「なんでバレたのか? ですか」、!?」

 

 彼が言おうとしたセリフを、先に言う。

 

「簡単です、私にはあなたの心が読めますから」

 

 私は右手を広げ、その上にサードアイを可視状態にして彼に見せる。

 

「さ、サードアイ!?」

 

 あ、ちゃんと東方知っていたのですね。

 説明する手間が省けます。

 

「ここには監視カメラも盗聴器もありません、なので安心して色々と話してくれていいですよ」

 

「そ、そうなんだ……」

 

 おどおどと話し出すツナ。

 ……もうツナでいいかもしれませんね。

 

『まったく、相手がそう言ってんだ、もっと堂々とすべきだぞ』

 

 あ、ポケットから光るペンダントが飛び出してきました。

 

「あなたがリボーンでいいかしら?」

 

『ああ、オレのことも筒抜けみてーだな』

 

「ええ、…………ところで特殊弾って撃てるかしら?」

 

 ふと気になったことを彼に聞いてみる。

 

『? 撃てるが、それがどうしたんだ?』

 

 流石神様謹製デバイスですね、そこまでできますか。

 

「いいえ、死ぬ気弾があれば多少修行が楽になると思ったので」

 

「しゅ、修行って?」

 

 ツナが恐る恐る聞いてくる。

 

「あら? あなたは”最強の私に鍛えてもらう”のも目的だったのでしょ? もちろんあなたの修行ですよ」

 

 私がそう告げると、ツナの顔が一気に明るくなる。

 

「原作ツナ並の苦しさになることは確定だからね」

 

 今度は絶望一色に染まる。

 ……なかなか面白い子ですね、いじりがいがあります。

 

『オレもビシバシ鍛えていくからな、覚悟しろよ』

 

 リボーンさんもツナに追い討ちをかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さあ、日頃お父さんにやられているイジメを、あなたにも教え込んで差し上げましょう!




八坂綱吉
性格:ちょっとビビリ
見た目:沢田綱吉
魔力量:AAA
魔力光:オレンジ
デバイス:リボーン
特典:死ぬ気の炎全種
担当神:老人の神様

「リボーン(デバイス)」
拳銃型デバイス、ザンザンスの拳銃のような機能の他に、
特殊弾を製造する機能や、リングになる機能など、様々な機能を備えている。
これは、死ぬ気の炎だけでは他の転生者に遅れをとると考えた、神様のサービス。


※なお、彼の出番は無印ではありません、ただ出したかっただけです、すいません。

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