魔眼の少女   作:火影みみみ

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一週間ぶりの投稿!
けれどテストは終わらないOrz
今回は少し長め
ではでは


第16話

「おお、始まった始まった…………」

 

 戦場から少し離れたビルの屋上に、状況を観察中の私、八坂七海です。

 状況は四対四、いえ厳密に言えば、一対一が二つに、二対二が一つという感じですかね。三つとも互角でどちらも一歩も引きません。

 内訳はなのはさんvsテスタロッサさん、狼vsフェレット、あとはテスタロッサ側の転生者がペアで攻撃しているのでなのはさん側も転生者同士で仕方なく組んでいるようです。

 

「それにしても転生者多いな、しかもリニス生きてるし」

 

 転生者三名に原作死亡者一人、あの場にいる半数が元はいないものなのですよね。うるさくなったものです。

 

「おそらく、あちらの転生者さんの使い魔となることで生きながらえたのでしょうね、しかし彼女ほどの有能な使い魔を維持して尚且つあの戦闘能力、…………少しツナの特訓メニューをキツくした方がいいかもしれないですね」

 

「え、マジ!?」

 

『よそ見なんてしてる暇なんてねぇぞ』

 

「痛ぇ!!」

 

 私の方に振り向いたところに、リボーンさんの鉄拳制裁が降る。

 まあ、待機モードのままなので実際は体当たりに近いですけど。

 

 あ、なのはさんの砲撃とテスタロッサさんの雷撃がぶつかりました。

 辺りに飛び散る魔力や光がとても綺麗です。

 

「すっげぇ、生で見ると迫力が全然違うわ…………、姉ちゃんには負けるけど」

 

 一言多いですよ。

 

『あたりめぇだ、そもそも七海を人間と同レベルに見ること自体間違ってんぞ』

 

 それって私のこと明らかに人外指定してますよね。

 

「あ、相手の女の子の体が変わってく、…………変身(トランス)か?」

 

「懐かしいですね~、ブラックキャット」

 

 トレインさんとか大好きでした。

 

「あ、俺はTo Loveる派だった」

 

「聞いてません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく見ていると、彼女らの大体の力量を測ることができました。

 

 ふむ、実力的にはテスタロッサ側転生者、士郎=岐路、フェイト=なのは、リニス、アルフ=ユーノ、といった感じでしょうか。あ、もちろん強い順です。

 

 原作と違い直ぐに終わらないのは、まあ人数が多いからでしょうね。

 一人二人ならまだしも、ああも大人数では中央にあるジュエルシードを取りに行けませんものね。

 その上人数も同数、必ず誰かが誰かの相手をしなければならないのですから、手っ取り早くあれを手に入れるには倒したほうが早いわけですね。

 ですが、

 

「これは結構長くなりそうですね」

 

 まあ、横で見ているツナには勉強になるのでしょうけど、私にとってはかなり暇なのですよね。

 残念なことに私は携帯ゲーム機なんて持ち合わせていませんので、暇つぶしもできません。

 …………こんなことならリボーンさんに丸投げして私は家で寝ている「あれ?」、おや?

 

 そんなことを思っていると、ツナが何かを真剣な面持ちで見つめています。

 

「どうかしたのですか、ツナ」

 

「いや、あのジュエルシードがなんかさっきより光ってるような気がして」

 

「…………リアリィ?」

 

 急ぎサードアイの「千里眼」解除して、「見稽古」に変更。

 

「これは」

 

『ああ、ヤベェな』

 

 あの八人が撒き散らしている魔力、それがジュエルシードに吸収されています。

 そのことに誰も気がついていません。お互いの相手のことで精一杯なのでしょう。

 けれど、このままでは少しまずいことになります。

 

 仕方ないので転落防止のために設置されたフェンスの上に登り、ペンダントを取り出す。

 

「リボーンさん、後はお願いしますね」

 

『ああ、分かったぞ』

 

「ちょ! 姉さ――」

 

 そして私はツナの言葉を最後まで聞かず、そのままビルから飛び降りた。

 一瞬の浮遊感の後、重力に引かれ私は落下する。

 夜の冷たい空気が全身に当たって少し肌寒い。

 

「さあ、出番ですよ茶々零」

 

 そう言って、私は祈るようにペンダントを握り締める。

 指の隙間から光が漏れ、私の体を包んでいく。

 

「アア、任セナ御主人サマ」

 

 一秒もしないうちに光は消え、再び現れた私は凶悪な機械人形の姿に変わっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~フェイト・テスタロッサ~

 

 

 戦闘が開始して何分経ったのだろうか?

 そんなことを考えながら、私は目の前の白い女の子と戦っている。

 いつもならアルフと一緒に戦うのだけど、今あの子はあっちのフェレットの相手をしている。

 妹のイブも私の先生のリニスも、男の子二人の相手をしていて手が離せない。

 だから私が彼女と戦っているけれど、思ったより長引いている。

 

「はあああああああああああ!!」

 

 私は精一杯の力を込めて、相棒を振るう。

 

「この!!」

 

 けれど刃は彼女に届かず、彼女の手、その上に生じたシールドに阻まれる。

 

 今度こそ決まったと思ったのに、また届かない。

 この子、前より格段に強い。

 シールドは硬い上に、彼女の砲撃に一度でも当たれば墜ちる。

 

 そう攻めあぐねていた時だった。

 

 ――――――――――――ドクンッ――――――――――――

 

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

 

 その場にいた全員が何か鼓動のようなものを感じた。

 皆が皆、その鼓動を感じた方へと視線を向ける。

 

「しまった、戦闘に時間をかけすぎたか」

 

 あちらの男の子、金髪の彼がそう言う。

 私たちの目に入ったのは青白い光を放つ、先ほど封印したはずのジュエルシードだった。

 さっきまでは何も感じなかったけれど、今は爆発寸前の爆弾のような危うさがヒシヒシと伝わってくる。

 

 このままでは危ない。

 

 そう思った私は急いでジュエルシードの元へ向かう。

 

「フェイト!?」

 

「なのは!?」

 

 しかし、それは白い子も同じだったようでこのままでは先に取られかねない。

 

「「間に合え!!」」

 

 自然と二人の声が合わさる。

 

 あと少し、あと少しの所まで近づく。

 けれど、私たちのどちらもそれに触れることはできなかった。

 

「きゃあ!?」「くっ!?」

 

 私たち二人共、ジュエルシードから放たれた衝撃波のようなものに弾かれる。

 私たちを弾いたそれは徐々に光を増していく。

 光が増すに連れて、ジュエルシードから発せられる魔力も高まる。

 つまりは時間切れ、あれはすぐに爆発するのだろう。

 小さな水晶でもロストロギア、もたらされる被害は想像できない。

 きっと、いや今近くにいる私たちは絶対にただじゃすまない。

 

「母さん」

 

 ごめんなさい。

 あなたの願いを叶えることができなくて。

 

 そう、私が覚悟を決めた時だった。

 

「JS・numberIX code・cessation」

 

 あの声が聞こえた。

 私があの褐色の男の子に追い詰められた時に助けてくれた、彼女の声が。

 

「な!?」「うそ……」

 

 驚く声が聞こえる。

 彼らが驚いたのも無理はない。

 その声が聞こえた途端、暴発寸前だったジュエルシードがピタリと活動を停止したのだから。

 実際に目にしている私も、信じられない。

 

「code・return」

 

 また、あの声が響く。

 その声に従うように、ジュエルシードは一直線に飛んでいく。

 そのまま飛んでいき、パシッと音を立て、建物の影から出ている人形の手のひらに収まる。

 

「そこにいるのは誰!?」

 

 イヴがそこにいるであろう人(?)に問いかける。

 

「ケケ、名乗ル程ノモンジャネエヨ」

 

 そう言うと、ゆっくりと彼女は影から姿を現した。

 

「ケド一応名乗ラセテモラウゼ、オレハ絡繰茶々零ダ、ヨロシクシナクテイイゼ、雑魚ニ興味ハネエカラナ」

 

 そうケタケタ笑う彼女。

 

「あ、あの時の」

 

「来やがったな!!」

 

 彼女の出現で、あちら側の全員が身構える。

 前々回に酷い目にあったのだから当然だろう。

 

「ケケケ、全ク何ヤッテンダヨ、モウチョットデ酷イコトニナッテタゼ、特ニソコノ2人」

 

 そう言って私と白い子を見る彼女。

 

「助けて、くれたの?」

 

 そう白い子が言う。

 

「マアナ、今ココデアンタラニクタバラレルト色々困ルンダヨ、主ニ御主人サマガナ」

 

 そう言って彼女は笑う。

 

「それに関しては礼を言おう、だがそのジュエルシードは渡してもらおうか」

 

 金髪の子が彼女にその槍型のデバイスを向ける。

 

「ケケケケケ、嫌ダト言ッタラドウスン「こうするのよ!」」

 

 彼女が言い終わる前に、イヴが死角から彼女に斬りかかる。

 今の彼女の右腕は彼女の体内のナノマシンによって巨大な刃と化しており、常に小さく振動しているそれは触れるもの全てを斬り裂く無敵の刃だった。

 

 今日までは。

 

「え!?」

 

 聞こえるのは何か、金属同士がぶつかる音と彼女の声。

 

「ケケ、発想ハイイガチョット惜シカッタナ」

 

 イヴの右腕を防いだのは彼女の持っている剣だった。

 ただしよく見る両刃ではなく、片刃で細長い、更に目を引いたのは刀身から柄まで全て水晶でできているようで、あちら側の光景が刀身から透けて見える。

 触れれば刃こぼれしそうな繊細なイメージに反して、それ一つでイヴの刃を防いでいる。

 

「何デ防ゲタカ分カラナイッテ顔ダナ」

 

 当然だった。

 あんな武器にもならないようなもので防げる理由が理解できない。

 

「理由ハ単純明快、コレダヨ」

 

 そう言って彼女はイヴを振り払い、剣の柄に埋め込まれているそれを皆にわかるように見せた。

 高々と見せつけられたそれに、私たちは驚きを隠せなかった。

 

「「「「「「「「ジュエルシード!?」」」」」」」」

 

 柄の中心に埋め込まれていたのは紛れもなくジュエルシードだった。

 

「ケケケ、ソウイウコッタ」

 

 私たちの驚いた顔を見て満足そうに彼女は笑う。

 

「成程、ロストロギアで刀を強化しているのか」

 

 そう言う金色の子の言葉に、彼女を首を横に振る。

 

「ケケ、残念ダケドハズレダ、コレハナ……ン」

 

 何か話そうとした彼女だったが、急に黙り込む。

 そして聞こえてくるのはまるで見えない誰かと話しをしているような、彼女の独り言。

 誰かと念話をしているのかな?

 

「分カッタヨ……、アア、ササット引キ上ゲルサ、……了解シタヨ」

 

 彼女は見えない誰かとの会話を打ち切って、私たちの方に向き直る。

 

「悪イナ、御主人カラオ叱リ&帰還命令ガ来タカラ帰ルワ」

 

 そう言って背を向け去ってい…………ちょっと待って!!

 

「「「「ジュエルシードを渡してください(せ)(して欲しいの)(してからにしろ)!!」」」」

 

 私と何人かの声が重なる。

 今奪われた一つと、彼女が持っていた一つ、私はそれを手に入れなければならない。

 

 そんな私たちの必死の様子に反して、彼女は面倒そうに返す。

 

「ア? 残念ダガオレハモウヤル気ガネエカラオ断リダ、…………コイツラト遊ンデナ」

 

 そう言って彼女は何か、小さくて丸いものを幾つものバラまく。

 三十を超えるそれらはカラカラと軽い音が響いて、それらは私たちの近くに転がる。

 

「何、これ?」

 

 そう言って白い子がその一つを拾おうとした時だった。

 

 ――――ボッ

 

「きゃ!?」

 

 それら全てに藍色の炎が灯る。

 白い子はそれに驚いて、慌てて手を引っ込める。

 

「これは、まさか!?」

 

 金色の子は何か知っているようだったけど、そんなことはどうでもいい。

 問題は小さなそれがモゾモゾと動き始めたことだった。

 ただの丸い球だったそれは、グニャグニャと形を変化させていく。

 最初は一センチ以下だったそれは、今はもう手のひらほどの大きさの星型の生物へと変わっていた。

 

「ヒトデ?」

 

「オット、タダノヒドデト思ッテルト火傷スルゼ、ジャアナ」

 

 そう言って今度こそ彼女は去っていく。

 

「「させるか!!」」

 

 イヴと褐色の子が彼女に切りかかろうとするけど、

 

「きゃあ!?」「なん!?」

 

 無数のヒトデが彼女らの行く手を遮る。

 そのヒトデは重力を無視するように縦横無尽に中を飛び、回転しながら体当たりでこの場にいる全員に襲いかかってくる。

 

「遅い」

 

 幸いにもそれほど速くないので私はそれを避け、他はシールドで防ぐ。

 

「え!?」

 

 白い子は驚いて声を出す。

 それも無理はないと思う。

 そのヒトデは彼女たちのシールドにぶつかった途端、粉々に砕けてしまったのだから。

 だけど、それだけじゃなかった。

 

「ちっ、これもアニメ通りかよ……」

 

 そう褐色の子が呟く。

 彼の視線の先を見ると、粉々になったヒトデの破片が集まり、大きなヒトデへとなって再生していた。

 

「これは、少し厄介ですね」

 

 誰かの声が聞こえる。

 再生し、さらに強力になるヒトデ。

 確かに少し厄介だ。

 気を引き締め、私はバルディッシュを握り締める。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私たちがそれを残さず殲滅した時には、もう彼女の後を追う力も残っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~おまけ 七海~

 

「ただいま」

 

 今度は普通にドアから屋上へ入る。

 するとさっきの様子を見ていたツナが慌てて近寄ってきました。

 

「ちょっと! 匣兵器なんてどこにあったんだよ!?」

 

 ちょっとうるさいです。

 そんなに驚くことでもないでしょうに。

 

「造りました、あれは試作品ですよ、活動時間も短いので十分もすれば自然に壊れます」

 

 まあ十分に実験もしたのでもういらないですし。

 

『造ったって、そんな簡単にできるもんじゃねえぞ』

 

「ええ、普通はできませんよ」

 

 ちょっと三つ目の力を借りましたので。

 あれ、非常に頭がよくなるので便利です。

 

『それが七海の特典か?』

 

「まあ、その効果の一つと考えてください」

 

 正直全部話してもいい気がしますが、面倒なので誤魔化しましょう。

 

「さあそんなことより早く帰って晩御飯にしますよ、私はお腹がすきました」

 

 私は魔力を持っていないので茶々零に変身するエネルギーは代わりに体力が持っていかれるのです。

 前回は褐色君の魔力をいただいたので逆に体力が有り余るくらいでしたが、今回はジュエルシード操作に加え、匣兵器を使ったのでお腹ぺこぺこです。

 

『今日はママンの創作料理だぞ…………』

 

「マジですか…………」

 

 どうやら、私の戦いはまだ終わっていなかったようです。




イヴ・テスタロッサ
容姿:ブラックキャットのイヴ またはTo Laveるの金色の闇
性格:元気の塊
魔力量;S+
特典:ナノマシン
デバイス:リニス特性ストレージデバイス 特殊デバイスはなし
設定:アリシアを生き返らせる研究の副産物、
ナノマシンを埋め込まれたアリシアのクローン、
しかしナノマシンの影響か姿は髪の色以外は似ても似つかないようになってしまった……………………ということになっている。
また、彼女に特殊デバイスがないのは、あるとプレシアに不審がられるため。



茶々零 ver1.1
七海の意識を残したまま茶々零に変身できるようになった。
ジュエルシード製の刀が増えた。


2014/01/26 18:00
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