魔眼の少女   作:火影みみみ

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第6話

 

 

 

 

「霧切さんまたね~」

 

「ばいばーい!」

 

「ほむらちゃんの家に行っていい?」

 

「うん、いいよ!」

 

 

 放課後、元気に家路を急ぐ生徒の声が聞こえる。

 一年前はどきどきの新入生だった彼らも、もうすっかりこの学校に慣れ、楽しげな学校生活を送っている。

 

 え?

 私はどう、ですって?

 ふ、そんなの決まっているじゃりませんか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……………………絶賛ぼっち中です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、それもわからなくはありません。

 要因を考えるだけでもキリがありませんが、いくつか申し上げるとしますと。

 

 1、盲目

 2、白髪

 3、時々授業が別になる。

 

 でしょうか。

 

 まあ、仕方ないことです。

 盲目の私が皆さんと同じ授業、特に体育とか、ができるはずがありませんので、そういった時間は別の教室でお勉強です。

 

 ……あ、別に友達が全くいない、というわけれはないのですよ。

 ただ、片手で足りてしまうほど少ないだけで……。

 

 

 

 

 ………………なんだか、とても悲しなってきました。

 最近ずっと一人で過ごしているせいか、少しナイーブになっているようです。

 

「はぁ……」

 

 思わずため息がこぼれ落ちます。

 いつもなら話し相手になってくれる唯一の友達がいたのですが、ここ最近学校に来ていません。

 なんでも、下半身の麻痺がひどくなってきた、らしくいつ倒れるかわからない程だそうです。

 今はどうしているのでしょう、はやてちゃん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………ええ、いくら鈍感な私でも流石にここまでくればここがどこの世界かわかりますよ。

 いつ気がついたと言うと彼女が初めて私と同じ授業を受けた時、彼女が自己紹介をした時です。

 いくら声だけでしか判別できないからと言ってもこれはない。

 ほんと、私の頭はポンコツです。大馬鹿です。

 思えば喫茶翠屋に訪れた時点で気づいておくべきだったのです。

 桃子さんになのは、あと恭也、これってあの有名な『リリカルなのは』の高町家の皆さんではありませんか!

 あの時ちゃんと自己紹介をしなかったことが、すごく悔やまれます。

 おかげでその後、私が「桃子さん」、彼女が「七海ちゃん」と呼び合う中になってしまい、苗字を知る機会を逸してしまいました。

 いえ、その後にチャンスがなかったわけではないのです。

 ただ私がたまにしか出かけない上に、翠屋に行くとどういうわけか桃子さんが執拗に絡んでくるのです。

 世間話に始まり、子供の相談、亭主さんの怪我、あと惚気など、思い出してもキリがありません。

 そして最後に恭也さんがやってきて桃子さんを連れて行く、というのも毎回お決まりのパターンとなっています。

 

 

 

 はやての体についても、ちゃんと思い出しました。

 確か、闇だか夜天だかの書物が暴走していて、彼女の体を蝕んでいるのでしたよね。

 彼女を助けるだけならその本をぶっ壊せばいいだけですが、そうすれば中にいる人たちを助けられません。

 それに、あの事件ははやてたちの成長には不可欠なものです。無闇矢鱈に介入していいもので…………、あ!?

 

 そんなことを考えていたらあの二人のことを思い出しました。

 私が翠屋に行くと五回中三回は遭遇する彼ら。

 今や彼らの喧嘩も日常となり桃子さんの悩みを順調に増やしているが、売上に響いていないのが実に不思議……じゃなくて。

 

 どう考えても彼らも転生者ですよね。

 なのはちゃんを取り合ってましたし、ハーレムでも狙っているのでしょうね。

 まあ、女の私には関係のないものですが、もしそれが今後の展開に関わるようであれば、嫌々ながらも私が介入しなければならないかもしれないですね。

 

 

 ……いえ、ちょっと待ってくだい。

 そも、私はデバイスなんて持っていませんよ!!

 これでは戦力になら……ないこともないですが、話がややこしいことになるのは確実です。

 私の魔眼は異端な上にチートですから、知られればどこぞのマッドサイエンティストに実験台にされる恐れがありますね。

 その上私のクローンなんて作られたらまさに悪夢です。泣きたくなります。

 流石に特典全てがコピーされることはないと信じたいですが、写輪眼や白眼あたりは確実に持っていると考えたほうが良いでしょう。ゾッとします。

 そんなことになったら私以外誰も対処できないじゃないですかヤダー。

 

 

 

 とまあ最悪な未来にならないためにも、私は非介入の方針でいこうと思います。

 話が大分逸れましたが、彼らも多分おそらくきっとバッドエンドになるような展開は避けるでしょうし、彼らの手に負えない事態になるまではほっておきましょう。

 

 

 …………フラグのような気がするのは私だけでしょうか?

 考えれば考えるほど、嫌な予感しかしません。

 仕方ありません。この不安の正体を探るため少しばかりネタバレになりますが、ちょっと未来を見てみましょう。

 

 

  では、セット・未来測定。

 

 

 

 

 

    

 ――とても高い所で、私は可能な限りフェンスに近づき、何かを探している――

 

 

 この場所は、学校の屋上でしょうか?

 どうやら私はそこから海鳴市を見渡しているみたいですね。

 お、どうやら見つけたようです。

 

       ――視界に小さく現れる三人娘と男二人――

 

 

 これは、なのはにすすか、あとちっちゃい方のアリサですね。おまけもいますが。

 容姿は片方がfateのギルガメッシュ、もう片方は……見たことありませんね。肌は褐色ですが衛宮君ではありません。知らない人です。

 そこの子ギルの特典は予想できますが、そこの褐色はわかりませんね。

 

 

 

          ――突然、喧嘩を始める二人――

 

 

 初めて見るこの二人が転生者たちならいつもの光景ですが、やたら年が若いですね。 風景から察するにおそらくここ一ヶ月以内でしょうね。

 

 

      ――誰もがそれに注目して、たちまち人だかりができる――

 

 

 はて、そう言えば、……なぜ私はこの光景を見て(・・)いるのでしょう?

 未来測定の的中率は100%、絶対に外れませんが条件があります。

 元ネタのキャラは右目で自分が見たい未来を見て、左目でそれを確定させる手段を見ていました。

 しかし、確実にその未来を確定させたい場合はその未来が成る瞬間をその目で見ることが最低条件でした。

 つまり、この時の私がこれを見ているということは目を開けているということです。

 普段盲目の私がなぜ屋上でこんなことをしているのか、理由がわかりません。

 ……ん? 

 

 

         ――突然、無人のトラックが走り出す――

 

 

 え、ええ、あれ? まずくないですかこれ!?

 

 

   ――トラックは吸い込まれるようにその人だかりに突進していき――

 

 

 ……何だか、何が起こるかわかりましたよ。

   

 

            ――直前で捻れた――

       ――捻れて、捻れて、そのまま潰れてしまう――

 ――人だかりにいた彼らには何が起こったからわからず、皆唖然としている――

 

 

 ああ、そうですよね、これは私が望んだ未来ですよね。

 

 

 

 

 私が見たいと思ったのは、『彼らの手に負えない事態』でしたからね。

 

 

 

 

 

 それを私が解決して、彼女らがあるべき未来へと迎えるようにする。

 間違いなく、私が見たかった未来です。

 わかってはいても、なんだか面白くありません。この能力あまり使いべきではありませんね。

 

 まあ、見てしまったのは仕方ないので、今回だけは未来に従うとしましょう。

 問題は、それがいつ起こるか、ですが。

 お、左目に手段が写り始めましたよ。今度は両目ではなくサードアイからの視点ですが。

 えっと、今すぐ屋上に向かって彼女らを探して、千里眼と歪曲の魔眼を使う。

 

 

 

 

 …………………………今日!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~忍野岐路~

 

「ねえ昨日のあれ見た?」

 

「うん見た見た、びっくりしたよね~」

 

「確か、サードブレーキをかけ忘れたトラックが潰れちゃった事件だったよね?

昨日の帰り際に見たけど、すんごいグニャグニャだったよ」

 

 教室中、昨日の話題でもちきりだった。

 あれが人間業でないことは明らか、その上そんなことができるキャラは原作にいなかったことを考えれば、

 

「おい、忍野、ちょっと来い」

 

「…………」

 

 嫌々そちらを向くと、そこにはあの憎たらしい褐色がいた。

 

「何か用か? 今は私は考え事で忙しいのだが」

 

「お前もわかってんだろ? 昨日のことだよ」

 

 ……年中脳内ピンク色のこいつもどうやら昨日のことで思うところがあったらしい。

 

「断る、後にしてもらおう」

『誰かに聞かれる可能性が高い、こちらで話した方が良いだろう』

 

「ちっ、そうかよ」

『仕方ねえな』

 

 そう言ってアイツは自分の席に座る。

 頬杖をつき、窓の方を向きながら、改めてこちらに話しかけてくる。

 

『昨日のあれだけど、俺はあれの正体を多分知ってる』

 

『ほう奇遇だな、私もだ』

 

『やっぱり知ってたか』

 

 fateと同じtype-moonの作品の一つ、空の境界。

 その中に出てくる浅上藤乃が使用する歪曲の魔眼、それによく似ていた。

 

『ふむ、私と君以外にはいないと思っていたのだが、そうでもなかったようだな』

 

 もっとも、歩けるようになった途端翠屋に突撃してきたのもこいつだけだが。

 あの桃子さんのOHANASIのおかげかコイツも丸くなったもので、今では一応ながらも彼女らと一応良好な関係を築けている。

 まあ、時々過激なスキンシップがあるからその度に私が諌めなければならないのがこの上なく面倒だが。

 

『今までずっと身を潜めていたのか、それとも影で見守っていたのか、どちらにしろ覗き見とはいい趣味ではないな』

 

『まったくだ、もっと堂々としやがれってんだ』

 

『……君はもう少し本音を隠したまえ』

 

『あ゛!! 今なんつった!?』

 

『気にするな、取り敢えず今後はその三人目について気をつける必要があるだろう』

 

『ああ、そんな陰気野郎になのはは渡さねえ!』

 

『君のものではないと、何度言ったらわかる……』

 

 そう言って私は彼との念話を打ち切る。

 

『マスター』

 

『どうした?』

 

 彼との会話が終わってすぐに、私の相棒、エアが話しかけてきた。

 

『マスター、勝てますよね?』

 

 どうやら彼女は例の三人目についてなにか思うことがあるようだ。

 

『マスターなら大丈夫ですよね?』

 

 それに私は落ち着いて返す。

 

『君のレーダーにも引っかからない未知の相手になるが、私たちに負けはない、其奴が私たちに仇なすのなら、全力で排除するまでのことだ』

 

 




「未来測定」
空の境界・未来福音より
能力上、これを使用するには両目を使う必要がある。

なお、彼女の性格に合わなかったため、今後、彼女がこの能力を使うことはあまりないと思われる。

「歪曲の魔眼」
原作のキャラは透視と歪曲を同時に使っていたが、特典のシステム上不可能。
再現するためには透視能力と合わせ使用する必要がある。
例:右目・歪曲 左目・透視 など



 忍野岐路
容姿:ギルガメッシュ
性格:アーチャーっぽい(元は演技だったが今はこれが地、なおギルガメッシュは恥ずかしかった模様)
魔力量:AA
デバイス:乖離剣エア
魔力光:金
担当した神:青年の神様
特典:王の財宝

「乖離剣エア(デバイス)」
神様が与えた岐路専用デバイス
本来なら七海もデバイスを持っていても不思議じゃなかったが、女神が忘れたため無し。

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