アムロ再び戦場に立つ。   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。
毎度、助かっております。

すみません。最終決戦が1話で収まらず。
1話増えちゃいました。



アムロ人類の存亡を懸けた戦いに赴く

マクロスの発令所ブリッジでは絶望感が漂っていた。

 

「くっ、地球が!!」

ボドル基幹艦隊による集中砲火を浴びる地球の姿を見たグローバルの一人嘆く声が、ブリッジ中に響き渡る。

 

ブリッジクルーはそのあまりの衝撃な光景に、ただただ茫然と見ている事しかできない。

 

 

「艦長……エキセドル記録参謀閣下から、面会を求められてます。火急の要件です」

クローディアは、辛うじて立ち直り、通信を読み上げる。

 

「……わかった……行こう」

グローバルは帽子を深くかぶり直し、ブリッジを後にする。

 

 

大会議室に向かうグローバルはこの後のエキセドルとの会談について、思考を巡らせていた。

十中八九、マクロスの逃亡についてだろうと……、地球の惨状を見て、それも致し方が無いとも考えていた。

その反面、ボドル基幹艦隊にグローバルは一矢報いる方法が無い物かと模索していたのだ。しかし、どう考えても玉砕にしかならない。

 

 

マクロスの大会議室に着いたグローバルは、エキセドルから意外な言葉を聞くのだ。

 

「もはや、我々が協力し、ボドル基幹艦隊を退けるしか生き残る道はありませんな」

 

「エキセドル閣下……いや、私もその事について考えておりましたが、玉砕同然です。しかし、ブリタイ艦隊はなぜそこまで……、ボドル基幹艦隊はお味方の艦隊ではありませんか。閣下こそ我々を見捨て、お戻りになられた方が良いのではないですか?そうなされても我々はブリタイ艦隊に対して遺恨はありません」

グローバルの意見はもっともである。

ブリタイ艦隊がそこまで無茶をする必要性が全く見えない。そもそもブリタイ艦隊はボドル基幹艦隊の下部艦隊だ。エキセドルの言動は反逆に他ならないのだ。

 

「ふむ。基幹艦隊司令ボドルザー閣下は我々とラプラミズ艦隊に貴艦の足止めを命じられた」

エキセドルは淡々と語りだす。

 

「それは当然の処置だと……それでは我々と協力し反逆行為を行う意味がわかりかねます」

 

「……ボドルザー閣下はプロトカルチャーである地球人類の抹殺を命令された。その地球人類と長時間接触をして来たブリタイ艦隊とラプラミズ艦隊もその対象になったと判断せざるを得ない。マクロスごと我らも抹殺するおつもりだろう。ラプラミズ、ブリタイ艦隊で貴艦を止め置く理由はそれしか見当たらない」

エキセドルの判断は間違ってはいなかった。

ボドルザーは地球人類及び地球人類が接触した物をすべて焼き払うつもりだったのだ。

 

「な!?」

 

「ボドルザー閣下はプロトカルチャーや文化を恐れられてる節がある。50万周期で何も変わらなかった我々が……貴公らと接触し、文化に触れ、極わずかな時間で変化していくのを私自身感じている。ゼントラーディの過去を知る記録参謀の私には、それはボドルザー閣下にとって、いやゼントラーディ軍にとって、どれだけ脅威に映るであろう事も理解できる」

 

「いや、しかし」

 

「我らは争い以外の新しい未来と言うものを知った。もう後戻りはできまい。ならば我らも自らの手で未来を切り開くしかあるまいよ。貴公らと協力してな」

 

「……申し出はありがたいですが」

 

「艦長……、文化を絶やしてはならない。未来を知った我々もここで滅ぶのを良しとしない。現状ではもはや逃げる事もままならない。ならば倒すしかあるまいよ」

 

「……分かりました。我々も腹をくくりましょう」

 

「勝ちましょうな」

ゼントラーディ人であるエキセドルから、グローバルに握手を求めたのだ。

これはエキセドルから、共に戦い生き抜こうと言う熱いメッセージだった。

 

 

こうして、マクロスとブリタイ艦隊との共闘作戦会議が始まったのだ。

 

先ずは、ブリタイ艦隊司令 ブリタイ・クリダニクは第一関門であったラプラミズ艦隊司令 ラプラミズとの共闘を漕ぎつける事に成功させた。

 

そして、一条輝が発案、エキセドルとマクロス上層部が作戦を練り、後世に伝わる伝説の作戦『リン・ミンメイ作戦(ミンメイ・アタック)』が考案されたのだ。

 

『リン・ミンメイ作戦』とは簡単に言うとこうだ。

リン・ミンメイの生歌をブリタイ艦隊のオープンチャンネルを使い、ボドル基幹艦隊の全艦船、全兵隊に行き渡る様に流し、初めて歌と言う文化に触れたボドル基幹艦隊の兵達は極度のカルチャー・ギャップによる混乱を起こす。

これは既にブリタイ艦隊は実体験済みである。

その混乱の隙にグランドキャノンの攻撃で空いた艦隊の穴を通って、敵の頭であるボドル基幹艦隊旗艦1400㎞級超大型空母にマクロスを中心としたブリタイ、ラプラミズ艦隊で突撃し、旗艦を落とす作戦だ。

エキセドルが言うには、基幹艦隊の旗艦が落とされた場合、各艦隊は無条件で撤退する仕組みとなっているとの事だった。

 

 

「しかし、もう一手欲しいところですな」

エキセドルは顎に手にやり思案する。

この作戦はある種の賭けでもある。

しかも、相当分が悪い。

成功率を高めるために、何か他にも手を打ちたい所であった。

 

「……そうですな」

グローバルはその言葉にアムロを思い起こすが……アムロを地球に送ってしまったのだ。悔いても悔いきれない思いがあった。

これ程、この場面で頼りになる人物はいないからだ。

しかし、あの地球の惨状では……生きている事は無いだろうと……

 

エキセドルも、グローバル以下マクロス上層部の曇り顔に思い当たる節があった。

アムロが地球に降り立った事をエキセドルも知っていたのだ。

もし、ブリタイ艦隊を苦しめたあの白い悪魔がここに居れば、もう一手打つ手はあっただろうと、エキセドルも思わずにはいられない状況であった。

 

会議室は一時、重い沈黙の空気が流れる。

 

 

「会議中失礼します。緊急報告です」

そこに通信ではなく、直接会議室に士官が慌てて報告に来たのだ。

 

「何かね?……構わない、この場で報告を」

本来ならエキセドルの前で行うべきではないが、もはやこのような事態だ。グローバルはその場で報告させる。

 

「アムロ・レイ中佐!早瀬未沙大尉!マクロスに戻られました!!」

その士官は声を大にして報告する。

 

「な、なんと!!それは本当かね!!」

グローバルは思わず立ち上がる。

この重苦しい空気を一掃する程の吉報が舞い込んできたのだ。

 

「はい!!中佐は専用バルキリー単騎で地球圏突破、敵分岐艦隊凡そ8艦隊を突破し、戻られました!!」

士官は興奮気味に伝える。

それを聞いたマクロス上層部全員が驚きと共に歓喜の声を上げていた。

 

「くくくっふはっ!そうだった。あいつはそう簡単にくたばる玉じゃなかったな!」

この会議に参加していたフォッカーも大声を上げ喜んでいた。

 

「信じられん。戦闘ポッド一機で集中砲火の地球を離脱し、分岐艦隊8艦隊を突破とな……やはり白い悪魔ということか」

エキセドルもこの時ばかりは驚きの声を上げていた。

 

「中佐は無事なのだな!?」

 

「はい、ご本人は無傷です!バルキリーには目立った損傷もありません!!現在パイロット待機室で休憩を取られております!!」

 

「至急、レイ中佐を呼んできてくれ!」

 

 

こうして、マクロスは最終決戦へ向け、新たなる一手を手に入れる事になる。

 

 

 

 

 

 

ボドル基幹艦隊は、地球への2時間に及ぶ一斉艦砲射撃を終え……

いよいよ、マクロスへと攻撃を移そうとしていた。

 

しかし……

 

「目標!!ボドル基幹艦隊旗艦、1400㎞級超巨大空母!!マクロス!!突撃――――!!」

グローバルはカッと目を見開き、腰を浮かして、腕を前に振り降ろし、吠える。

 

「「「了解」」」

ブリッジクルーも全員それに答える。

 

『リン・ミンメイ作戦』が開始されたのだ。

 

 

マクロスは足止めをするはずのブリタイ艦隊とラプラミズ艦隊と陣形を組み、

ボドル基幹艦隊の旗艦を落とすべく、突撃を開始したのだ。

 

その陣形はこの宇宙進出時代では使用されていない古来の陣形、鋒矢(ほうし)の陣、西洋の槍の形(矢印↑の形)をした陣形で正面強行突破を図るための陣形だ。

破壊力がある反面、柔軟な対応が出来ない、まさに捨て身の陣形なのだ。

さらに、槍の陣形の穂先には強力無比な兵を置かなくては陣形が保てないという。

まさに猛者のみが許された陣形と言っていいだろう。

大将は穂先の中腹に陣を置くが、今回は最大攻撃力を誇る大将のマクロスとブリタイ・クリダニクの旗艦がほぼ最前列に並び突撃を敢行していた。

 

マクロス前方防衛にはフォッカー率いるスカル師団。

エストラント率いるユニコーン遊撃部隊と大隊に昇格した一条輝を隊長、マックスを副長としたバーミリオン大隊は遊撃任務に就く。

 

マクロス・ブリタイ・ラプラミズ連合艦隊は、アムロがマクロスに帰還する際使用したルートを通り、グランドキャノンの攻撃が空けた艦隊の穴に先ずは入り込もうとする。

 

 

そして、マクロスから宇宙を一望できるテラスでは……

『おぼえて、〇○〇すか~』

マヤンの島で発掘された詩を元に作曲された、あの後世に残る偉大な歌を歌うリン・ミンメイ。

その歌を、多種多様な文化の映像と共に、オープンチャンネルでボドル基幹艦隊全艦隊に流したのだ。

 

 

狙い通り、ボドル基幹艦隊はカルチャー・ギャップ・ショックにより混乱し、戦力は大幅に低下。

マクロス・ブリタイ・ラプラミズ連合艦隊はグランドキャノンの攻撃が空けた艦隊の穴に到着し、そこから旗艦1400㎞級超巨大空母に一直線に向かう。

 

 

しかし、グランドキャノンに戦力は2割奪われ、歌によるカルチャー・ショックで混乱しているとはいえ、ボドル基幹艦隊400万の超巨大船団である。

抵抗は生半可なものではない。

 

一方こちらは、強力無比なマクロスという戦力があるとはいえ、ブリタイ・ラプラミズ凡そ6000弱の艦隊だ。400万対6000の700倍の戦力差は如何ともしがたい。

マクロス・ブリタイ・ラプラミズ連合艦隊は1400㎞級超巨大空母に近づくにつれ、敵の抵抗により5000、4000、3000と戦力を減らしていく。

 

 

しかし、マクロスがボドル基幹艦隊旗艦を討つべく放たれた矢は、このマクロス・ブリタイ・ラプラミズ連合艦隊の鋒矢の矢だけではなかった。

 

 

 

「…………」

もう一つの白く輝く矢が、凄まじいスピードで敵旗艦の背後に迫りつつあった。

 

 

 

 

時間を遡り『リン・ミンメイ作戦』開始20分前……

 

アムロは会議室で作戦の打ち合わせを終わらせ、軽く食事を取った後、バルキリーの発進準備をすべく宇宙方面技術試験運用軍のドックに戻ったのだが……

早速、タカトク准将に捕まった。

 

「アムロ君!!作戦は聞いてある!!あの400万の艦隊に私のバルキリーを連れて、奇襲をかけるのだろ!!そうじゃなくとも、君はきっと単独でもあのバカでかい巨大空母に突っ込むつもりだっただろう!!だから私は用意した!!ついて来たまえ!!」

 

タカトク准将は通信連絡で、つい先ほど今回の作戦について知らされたばかりだった。

作戦内容はリン・ミンメイの歌によるカルチャー・ギャップによる混乱に乗じて、マクロス・ブリタイ・ラプラミズ連合艦隊をグランドキャノンの攻撃で空いた艦隊の隙間から、ボドル基幹艦隊旗艦1400㎞級超巨大空母へ突撃。

そしてアムロ・レイによる旗艦への単騎奇襲攻撃の三段構えだ。

アムロの役割は、マクロス・ブリタイ・ラプラミズ連合艦隊の突撃やリン・ミンメイの歌に敵が気を取られている隙を付いて、敵旗艦単騎奇襲攻撃を敢行するというものだ。

理想は敵旗艦をアムロと連合艦隊での挟み撃ち攻撃状態に持って行く事だが、もし、アムロの攻撃が奇襲にならずとも、敵旗艦後方で暴れているだけで連合艦隊が旗艦に到達する可能性が高くなるのだ。

 

 

アムロはタカトク准将に促され、とあるバルキリーの前に来る。

その周囲には技術開発スタッフが皆集まっていた。

 

アムロは目の前の真っ白なバルキリーにどこか見覚えがあった。

……両腕の集束ビームランチャーにVF-1に比べひと回り大きな機体……VF-X3Z改の面影があったが試作機らしい粗削りな雰囲気はなく、各所のフレームは洗練され、スマートな姿であった。

 

「アムロ君が戻って来て直ぐにVF-X3Z改は全力全速で改装を施した!!パーツの殆どを新調させてもらった!!1.12倍の機動力と1.21倍の出力だ!!どうだ!! YF-5の設計思想の試作機と位置付けたこのVF-X3Z改は!もはや、YF-5の設計思想そのものだ!!VF-X3とは非なるものとなったのだよ!!よって、正式にYF-5の試作機 YF-X5【RAY】(一筋の光)と名付ける事にした!!君がマクロスに戻って来る姿を超望遠カメラで見ていた!!まさしく一筋の光の様だった!!この機体は私と開発スタッフが今持てるすべてをつぎ込んだ、まさしく希望の光だ!!それにこの機体、君にしか到底扱えない!!君専用機だ!!だからコードネームは【RAY(レイ)】だ!!我ながら洒落てるとは思わんかね!!」

 

そして、今迄コクピット横フレームやウイングに施された603大隊の文字がなくなり、真っ白の機体に朱色のユニコーンマークのエンブレムが意匠されていたのだ。

 

「准将これは……」

 

「君の元部下共がうるさくするもんだから!!仕方なくだ!!まあ、このエンブレムも悪くはない!!だが、注目すべきはそこじゃない!!」

タカトク准将が元部下共というのはもちろん、ユニコーン部隊の面々だ。

 

すると……

「中佐!!VF-X3Z改じゃなかった。YF-X5の足回りの姿勢制御モーターを増やしました!」

「スーパーパックのように外付けするつもりでしたが、サブスラスターの小型化と元々こいつは一回り大きい躯体なんで、内蔵化に成功しました!」

「集束ビームライフルの出力を17パーセント向上しました!!どんな装甲も貫通させてみせますよ!」

「パイロットの疲労軽減のため、コクピット周りのシート素材を変更しました!」

「プラズマイオンソードの刃の形状をさらに伸ばしてますんで、試してください!!」

「サポート用ゴーストのエンジン回りを大幅に改修しました。これで一早く補給が可能になります」

技術開発スタッフは何時もの感じでアムロに改良要点を伝える。

 

「みんな……助かる」

 

「アムロ君、そんなものは極々微々たるものだ!!VF-5の名前を冠する最大のコンセプトはだ!!その後ろを見たまえ!!」

タカトク准将はアムロにYF-X5の後ろに並ぶ機体を指さす。

 

「VF-3ですか、4機は地球から回収できたのですね」

そこには、地球から宙域試験を行うために輸送機で回収したVF-X3の量産機であるVF-3が並んでいた。

 

「はははははっ!まさか地球があんなことになるなんて思っても見なかった!これ全部無人機に改造してしまったのだよ!!」

タカトク准将は悪びれも無く、とんでもない事を言った。地球で少量量産されたVF-3を宇宙試験用に持ち込んだ貴重な4機をすべて、事もあろうか無人機に改造してしまったのだ。

 

「どうされるんですか?……いや、まさか?」

アムロはある事に気が付いたのだ。

 

「はははははっ、そのまさかなのだよ!!完成だ!!」

タカトク准将は鼻高々と叫ぶ。

 

そこに、ハロがアムロのもとに転がって来る。

「アムロ、アムロ、元気カ?」

 

「ハロも元気だったか?」

 

「中佐……ハロをお返しします」

ハロの後に、げっそりとしたジェフリー・ワイルダー訓練生がヨロヨロとアムロの前に出る。

 

「ジェフ、すまなかった」

アムロがワイルダー訓練生の頭にポンと手を置くと、涙を浮かべ笑顔で答える。

 

そこにタカトク准将が大声で割って入る。

「ハロ君はすばらしい!!最終実験では同時に8体の無人機のAIを制御して見せたのだよ!!これでハロ君とアムロ君とYF-X5が同調すれば!!戦場で無人機を意のままに操る事が出来る!!そう、これこそ私がYF-5に最も力をつぎ込み、成したかったスタイルの一つだったのだが!!ハロ君のお陰で随分と前倒しになった。これこそがYF-5の思想をそのままつぎ込んだものと言えるだろう!!」

ハロはアムロの脳波を感知し、アムロの意思を汲み取り、それをYF-X5に搭載されたハロ専用の制御システムを介し、無人機のAIとリンクさせることで、無人機に絶えず命令を下すことが出来るのだ。

要するにアムロの意思がハロを介して、無人機に反映されるシステムを構築してしまったのだ。

 

「准将、この短時間で完成させるとは思いもよりませんでした。流石です」

アムロはハロと無人機のAI制御について、検証を重ねて来た。

ハロの教育が進めば、戦闘に耐えうるレベルまで引き上げるのに数か月、場合によってはもっと一年以上がかかるだろうと考えていたが……

 

だが、タカトク准将と無人機及びAI技術開発チームはアムロの居ない1週間足らずで、戦闘レベルにギリギリ耐えうるレベルに引き上げたのだ。

その無茶を実現させるために、ワイルダー訓練生が犠牲となったようだ。

話を横で聞いていたワイルダー訓練生は涙目になっていた。相当ひどい目に遭ったのだろう。

 

「ははははははっ!!そうだろうそうだろう!!ところでアムロ君!!なぜハロ君は君の脳波を検知することが出来る!?あれほどの意思疎通が図れるのだね!?それが謎なのだ!!うむ、そんな事は帰った後でじっくり検証しよう!!VF-3の無人機4機と改良型サポート無人機QF-3500OE4機は既にハロ君とYF-X5にリンク済みだ!!君は今からこのYF-X5に乗って十分に暴れたまえ!!そして、必ず帰ってきたまえ!!まだYF-5の開発に着手したばかりだ!!君がいないと完成しないのだ!!バルキリーの未来のために!!いや、大いなる技術進歩のために!!君は無くてはならない人材なのだ!!」

これはタカトク准将流の激励だった。少々照れくさいところがあるのだろう。

 

「了解です。戦闘データも持って帰ってきます」

 

「うむ!!」

タカトク准将は満足そうに頷く。

 

アムロはハロを抱きかかえながらYF-X5【RAY】に乗り込み、ハロをコクピットシートの後ろの台座にはめ込む。

 

アムロはタカトク准将以下宇宙方面技術試験運用軍の面々に見送られ、機動エレベーターへとYF-X5【RAY】を進ませる。

 

発進準備を進めるアムロのもとに次々と通信が入る。

 

『アムロ、どっちが先にあのデカブツ空母を落とすか賭けるか?』

「いや、いい……ロイ、マクロスを頼む」

『アムロ……必ず帰ってこい』

「ああ、そっちこそ」

通信画像に映るお互いの目を合わせるフォッカーとアムロ。

 

 

『アムロの旦那、さすがの俺も潮時だぜ。まあ、あんたが居なかったら俺はとっくに死んでた身だけどな』

「エストラント……あなたがいたお陰で、俺は随分と助けられた。感謝する」

『おいおいおい、今それを言うか?くそ、涙で前が見えねーじゃねーか』

「あなたにはまだ居て貰わないといけない。後続に続く若者を導く仕事が残ってる。こんなところで退場は困る」

『おい、勘弁してくれ、まだ俺を働かそうとする気かよ!ったく、……旦那、死ぬなよ』

「ああ、あなたも」

エストラントとも挨拶を済ませる。

 

この後、ユニコーン部隊のメンバーが次々と一言挨拶をアムロに行った。

 

『アムロ・レイ中佐……君には感謝しかない。平行世界から来た君にこの世界と運命を共にする義理は無い。しかし君は我々のために……』

「艦長……誰とも知れない人間を拾っていただきました。それに今の俺の帰る場所はマクロスです」

『レイ中佐……作戦の成功と、そしてなにより君の帰還を望む』

「了解です」

グローバルからも通信が届く。

 

今回の作戦、分が悪いのは承知だ。

これが今生の別れとなるかもしれないという思いを皆抱いているのだろう。

皆、思い思いに最後になるかもしれない挨拶を交わす。

 

YF-X5【RAY】はカタパルトに乗り、最後の通信が送られる。

『中佐……こうして発進オペレートを行うのはもう何度目でしょうか……』

「早瀬大尉、君には色々と世話になった」

『……アムロ・レイ中佐、必ず帰って来て下さい!私は貴方に聞いて頂きたいことが沢山あるんです!……だから、必ず……』

「ああ……」

 

YF-X5【RAY】は射出カウントに入る。

『レイ中佐……ご武運を……』

潤んだ目でアムロの顔を映像越しに見据える未沙。

アムロは敬礼で返す。

 

そして……

 

「アムロ・レイ、YF-X5出る!」

 

ユニコーンマークの意匠が施された純白のバルキリー YF-X5【RAY】は勢いよくマクロスを飛び立ち、その後ろを8機の無人機が追う。

 




VF-X3Z改はもはや、本来のVF-X3スタークルセイダーの面影が全くなくなってしまい。
YF-5の試作機の試作機として、YF-X5とさせてもらいました。
基本構造は変わらないのですが、ゴツゴツとしたVF-X3Z改から……洗礼されたフレームへと

VF-X3はギャプランっぽい感じで、VF-X3Z改は色々やり過ぎて、バルキリーのEX-Sガンダム化見たいになっちゃった所を……フレームを一新して、YF-X5はF-22の両翼にビームランチャーを、いや、VF-11のスーパーパックバージョンに近いイメージかな。そんなイメージ……

残り2話……予定。

敵の超巨大空母、1400㎞ってデカすぎ!
そこに突っ込む。マクロスとアムロ。半端ないです。



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