アムロ再び戦場に立つ。   作:ローファイト

5 / 15
感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。

今回は、無双は……ないかな?
何時もとはちょっと違った感じです。

すみません。ダミーバルーンの説明が抜けてましたので追加します。



アムロ戦場を語る。

火星基地にて敵の罠を打ち破り、無事補給を済ませたマクロスは、再び地球に向かい進む。

この8か月の功績にて、フォッカーは中佐に、アムロは少佐に略式ながら昇進を果たす。

バルキリー遊撃部隊隊長の立場は変わらないが、これでアムロはマクロス上層部作戦会議に参加できる資格を得た。

また、火星での活躍で一条輝は少尉に昇進し小隊長へ、その際新人二人を任させることに、一人はマクシミリアン・ジーナス軍曹、もう一人は柿崎速雄伍長。両者ともにパイロット候補生として優秀な成績を収めていた。特にマクシミリアン・ジーナス軍曹はシミュレーターでの候補生どうしの成績では負けなしであった。

 

 

佐官クラスが使用できる食堂スペースの個室で昇進を果たしたアムロとフォッカーの2人は食事をとっていた。

普段は一般食堂を使用してる二人だが、休憩時間が重なり人で埋め尽くされていたため、こちらを利用していた。

「アムロお前、早瀬中尉に何かやらかしたのか?」

 

「いや、心当たりがないな」

 

「火星から帰ってから機嫌が悪いそうだぞ。クローディアがぼやいていたが……どうやらお前が原因らしいぞ」

 

「……ああ、あれか。確かにちょっとは要因はあるかもしれないな。しかし……」

 

「何をやったんだ?」

 

「火星基地補給の際に早瀬中尉は基地にマクロス発進ぎりぎりまで留まっていたのは知っているな。正直マクロス発進時間に間に合いそうもなかったため、一条少尉にバルキリーで中尉が居た基地の部屋をこじ開けさせて、強引に連れ帰らせた……。後で少尉に聞いたのだが、どうやら中尉の亡くなった恋人が使っていた部屋だったらしい。そこで思いをはせていたのだろう。そこの部屋の破壊行為を承認したからな」

 

「ああ、それならば輝から聞いている。それだけではないだろう?」

 

「それだけのはずだが…一条少尉から早瀬中尉を見つけた際、近くにいた俺に対応を確認してきたのだが、少尉も大胆にも、基地を壊して連れ帰って来てもいいかと聞いてきた。それを苦笑しながら了承した……ああ、あれかもしれないな……中尉が感傷に浸ってほっといてくれと少尉に言ったらしくてな、それを聞いた俺は通信で『子供じゃないんだ。そんな初心な少女のような戯言は聞かなくていい。強引に連れて帰ってこい』と言って承認した。しかし、俺は少尉にしか回線を回していないはずだ。早瀬中尉は聞いていないだろう」

 

「ふははははっ!それだな。輝の奴、アムロの回線をそのままスピーカーで早瀬中尉に聞こえるように流したと言っていたぞ。丸聞こえだ。お前に子ども扱いされたと思ってるだろう中尉は」

 

「一条少尉に一杯食わされたと言う事か。しかし早瀬中尉がその程度の事で引っ張るとはな」

 

「確かに中尉の行動は戦場には相応しくない。だがな早瀬中尉はああ見えてもまだ19だぞ。難しい年頃だ。法律上は成人前だ。いわば大人の一歩手前。少女と呼んでもおかしくないということだ。偶然とは言えそれを思いっきり子ども扱いしたんだ、そりゃ不機嫌にもなる。何せまだ乙女だろうしな。クハハハハッ!」

 

「笑いごとではないぞロイ。ふぅ、まさか聞かれていたとは思ってなかった。それに俺はロイのように女の扱いは得意ではないんだ。勘弁してくれ」

 

「はあぁ?お前モテるのになんだ?女慣れしてないのか?それじゃいかんぞアムロ!俺なんてなちょっと前まで常時10人以上は恋人がいたもんだ!」

 

「ラサール中尉に申告しておかないとな」

 

「はははははっ、甘いぞアムロ。クローディアは承知の上さ。その中でも最高の女がクローディアだったからな」

 

「ふう、ご馳走様だ。……折見て早瀬中尉には声を掛けておくさ」

 

戦場では圧倒的な力を振るい他を寄せ付けない実力を持つアムロだが、こと女性の扱いに関しては、星の数ほど浮名を流してきたフォッカーとは、歴然とした差があった。

 

 

 

 

 

アムロは自らの遊撃部隊ユニコーン隊の隊員を集めて、ミーティングを行っていた。

マクロスは火星以降、地球圏に近づくにつれ、攻撃を受ける回数が増加の一途を辿っていた。

現在部隊はアムロを含め25人、中隊規模ではあるが精鋭部隊とあって作戦では大隊規模と同等に扱われている。

 

「敵は消耗戦を仕掛けているのは確かだ。マクロスというよりもバルキリー隊に対しての攻撃に移行している。相手の戦闘ポッドとの衝突は増して、戦艦からの直接攻撃は減少しているのが顕著だ」

 

「隊長、なぜバルキリー隊が狙われているのでしょうか?」

年若い女性隊員が挙手し、質問を行う。

彼女は、レイラ・メイス軍曹、金髪碧眼の年はまだ18歳の少女だ。

歯に着せぬ物言いをする事が多い。

 

「大型戦艦。いや、マクロスと言えども戦闘ポッドに懐に入られれば大ダメージは避けられない。ピンポイントバリアは遠距離からの攻撃には有効だが、至近距離ではほぼ防御不可能だ。今までの戦闘では戦艦や中型砲艦数隻の一斉攻撃にも耐えている。そこを見越している可能性が高い。敵の物量とこちらの物量に差を狙った戦法だが、少ない物資に人材しかないこちらにとっては地味に痛い。バルキリーが一機やられるとその回復には少なくとも3か月はかかる」

 

「しかし、マクロスは常にバルキリーの生産と人材育成を行ってます。地球帰還までは耐えられるのではありませんか?」

次に挙手し、質問を行ったのはレイラ・メイス軍曹と同期のミレイ・カシマ軍曹19歳。名前からも日本人の血が流れているのだろう黒髪ショートカットの小柄な女性だ。

 

「パイロットは正直に言えば替えが利かない。熟練度や経験値が物を言う。経験値が10あるパイロットがやられれば、次の替えとしてパイロット候補生が補充される。人にもよるが、経験値1のパイロットだ。これは大きな違いだ。数は同じだが、実際の戦力は確実に落ちている。

だから君たちは生きろ。自分の命は大切だというのももちろんだが。君たちが生き残る事でマクロスが地球に生還できる可能性が増える」

アムロは一年戦争末期の頃、これを強く感じていた。

最終決戦の地であるア・バオア・クーでは、ジオン兵は訓練もろくに終えていない学徒兵ばかりだった。当時最新量産機であり高性能機であったゲルググに乗り込み出撃していたが、使いこなすことが出来ず、ただただ死を待つだけの存在と化していたのだ。

 

「はい」

 

「本題はここからだ。対戦闘ポッドの大隊同士の集団戦における戦術を新たに組み込む……」

この後はアムロは集団戦における戦術を説明し、シミュレーターを使用して訓練を行った。

 

アムロはレイラとミレイの若い女性パイロット二人を見ているとつい、一年戦争の事を思い出してしまう。

当時自分より年上で大人の女性だったセイラとミライを彷彿してしまうのだ。

姉のような存在だった彼女らだったのだが、彼女らにどこか似た少女たちが、今や自分の方が年が上で、指導する立場にあるのだ。

アムロは自然と笑みがこぼれ、そして新たにこの戦いを皆で生き抜く事を決意する。

 

 

 

 

 

ミスマクロス。

マクロス内で民間主催のミスコンがこの日開催された。

転移当初は娯楽が少なかったマクロスではあるが、住民の努力もあって、今ではTV放送も盛んにおこなわれている。ニュース番組などの基盤放送は1チャンネルだが、後のチャンネルは過去の映画や住民が持っていた面白動画やコミュニティー番組などを放送している。

特に娯楽メディアが発達し、マクロス内の小さなコミュニティ内でこのような大規模な企画が出来るまでになっていた。

 

ミスマクロス称号を得るのはマクロス一の女性。

選ばれた女性は、歌手デビューが約束され、ご当地(マクロス)アイドルとして活動することが出来る。

イベント会場ではミスマクロス候補の女性たちによる歌や演劇、水着審査などを行われる。

選定方法は審査員投票と一般投票があり、一般投票は住民投票さながらに大規模なイベントとなり、マクロス全体がお祭り騒ぎのように盛り上がっていた。

その審査員の一人にグローバル艦長が選ばれており、審査員席に座り参加していた。

 

 

アムロは偵察・哨戒任務の無い部下には、この日ばかりは全員暇を出していた。

ミスコンのお祭り騒ぎは、軍の方にも波及し、特に若い兵や現地徴収兵達を中心にこの話題で盛り上がっていたのだ。訓練等をするよりも休暇を出した方が効率が良いとの判断だった。

 

 

部下のレイラとミレイから、一緒にミスマクロスを見に行かないかと誘われたが、やんわりと断りを入れ、自身は技術部の工作室の傍らにあるコンピューターで、バルキリーの装備改良案を作成していた。

因みに技術部の人間はほぼ全員、ミスマクロスの会場へと足を運んでおり、この工作室にはアムロ一人だ。

 

そんなアムロに声を掛ける人物が……

「レイ少佐。今日は非番ではなくて?ミスマクロスを見に行かなくていいのですか?」

 

「早瀬中尉か、俺は興味が無くてね。君は行かなくていいのかい?」

 

「私も興味がありません」

アムロに声を掛けたのは未沙だった。手にはコーヒーカップを二つ持ち。

一つをアムロの座るディスクに置く。

 

「ありがたく頂くよ。……それで中尉は何故ここに?」

 

「何となくです」

 

「そうか……そうだな。中尉ちょっと話をいいかい?」

アムロはコンピューターで作業する手を止め、椅子を回転させ未沙へ向く。

 

「え?……どうぞ」

未沙は意外そうな顔をし、近くにあった椅子を座る。

今迄、アムロの方からわざわざ話を振られたことが無かったからだ。

 

「この前は、言い過ぎたようだ。すまなかった。まさか聞こえていたとは思っていなかった」

 

「いえ、その当然の事です。あれは私がその私情であんな行為に……」

 

「……俺は15で戦場に出て、もう15年になる」

 

「え?……15で…そんな年で?」

 

「多くの人と出会い、さまざまな人の死を見て来た。口幅ったい事を言うが中尉、人の死に引き寄せられてはいけない。……中尉はまだ若い。まだこれからだ」

 

「……割り切れない。だってそうでしょう?好きだった人が私が知らない場所で、いつの間にか亡くなっていたんです!」

未沙は感情的になり、アムロに対して声を荒げる。

アムロは火星基地での亡くなった恋人の部屋で引きこもった未沙の行為に対し、アドバイスをしたつもりだったのだが、逆に未沙の感情を逆なですることになってしまったようだ。

 

「中尉は真面目過ぎる。どこかで息抜きをしないと……思いつめる」

 

「私は貴方のように何もかも受け入れる事はできない!!そんなに大人じゃないわ!!」

 

「今はそれでいい、しかし人は生きていくために一つ一つ受け入れていくしかないんだ」

 

「なぜそんなに強いんですか?あなたはこの世界にたった一人放りだされて……」

 

 

そこで、緊急警報が鳴り響く。

敵襲警報だ。

 

「こんな時に………俺は先行して出る。中尉はブリッジに」

 

「す、すみません。声を荒げてしまって……その…レイ少佐、ご武運を」

未沙は我に返ったようにアムロに頭を下げ、顔を赤らめながらブリッジに戻って行った。

 

 

アムロは直ぐにバルキリーでマクロスから飛び立ち、マクロス宙空域の警戒哨戒任務に当たっていた部隊を集め、さっそく迎撃に乗り出す。

 

「こちらは25機、あちらは180機以上……こんな近くまで何故気が付かなかった?……待ち伏せか……マクロスの予想進路を割り出し、宙域に漂う小惑星に隠れていたのか……。ジオンが良くやっていた手だ。相変わらず索敵能力に差があるということか!」

火星から地球に向けてマクロスは宙域を突き進んでいる。

マクロスが取れる大まかな進路は、地球圏に向かう事なのだが……マクロスの動力エンジンでは、その進路が一万キロずれたところで、現段階において大きな支障はない。……広大な予想進路範囲でここまで正確に待ち伏せに遭うこと自体予想されていなかった。

それは、相手が物量に任せ、至る所に伏兵を置いていたか、予想進路を正確に把握していたかのどちらかになる。

いつものように敵襲をもっと早い段階で察知出来ていれば、迎撃準備が十分整えることができていたのだが、マクロスの索敵範囲の中に突如として現れた伏兵による待ち伏せ襲撃には対応しきれなかった。

 

『少佐!まさか25機であいつらの対応するつもりじゃ……ってやっぱやるよな。アムロの旦那だったらさ』

アムロに哨戒中から合流したエストラント大尉から通信が入る。

 

「察しが良いなエストラント大尉。大尉が哨戒任務に当たってくれていて助かった。大尉は18機を率いて、一部敵を引きつけ各個撃破を狙い確実に仕留めてくれ。敵は少数だと侮っているはずだ。例の戦術プランが役に立つだろう」

 

『俺は助かってねーよ!!あのプランかよ!!ありゃ、ユニコーン部隊だったら可能だけどよ!この寄せ集め部隊で無茶言うぜ!!くそっ、俺だってミスマクロスを見に行きたかったんだよ!!ミンメイちゃんの晴れ舞台を見たかったのによ!!とんだ貧乏くじだぜ!!で……後の6機でどうするってアムロの旦那は?』

 

「大尉が居ないとこんな無茶を言わない。大尉だったら出来るだろ?俺は6機率いて正面で受ける」

 

『なんだよ。そんな事を言われたら。やらねーわけには行かねーだろ!ったく、6機で正面でってそっちこそ大丈夫なのかよ?』

 

「ああっ、何とかするさ」

 

『まあそうだろうけどな。じゃあ旦那後でな!ちょっくらこいつ等率いて行ってくるぜ!』

エストラント大尉率いる18機はアムロ達7機を置いて、急旋回をし離れて行く。

 

 

「一条少尉とネッガー准尉。悪いが一番の貧乏クジを引いてもらった。君らの小隊が優れていると見込んでだ。俺が正面から抑える。俺の後方24キロ地点宙域、敵部隊が崩れたところを狙ってくれ。一条少尉の隊はマクロスから換算し12.24.123地点、ネッガー准尉は12.56.56地点」

アムロはアムロと共に残った一条輝とネッガー准尉の小隊(3機編成)に命令を下す。

 

『了解』

『了解しました』

両小隊長は了解の返事を即答する。

 

 

 

 

『えええええ!?隊長!相手、180機以上いるんでしょ?たった7機で正面受けするって、俺達に死ねって事ですか!?』

輝からアムロの命令を伝えられた柿崎は流石に大いに狼狽していた。

多少の事では、驚かないどころか大言壮語を吐くぐらい肝が据わっている柿崎だが、今回ばかりはこのありさまだった。

 

『全部じゃない。エストラント大尉の部隊が幾つか引き受ける。半分以上引き付けてくれたらラッキーだな』

輝は柿崎に冷静に答える。

 

『半分って90機でしょ!?』

 

『はははっ、柿崎君はおっちょこちょいだね。本隊は多分140、50機以上来るよ。敵の目的は飽くまでもマクロスだからね。エストラント大尉の方は30~50機引き寄せてくれたらいい方だよ』

マックスはいつもの調子で柿崎に補足説明をする。

 

『おいマックス!150機って』

 

『そうだね。一人20機倒せば行けると思うよ』

軽い感じで答えるマックス。

 

『そんなのできるのはお前だけだって!!あーーーくそっ、どうにでもなれ!!やってやるさ!!柿崎速雄!!20機だろうが150機だろうがどんとこい!!』

 

『柿崎、少しうるさい。少佐は崩れた敵だけを狙えと言っていた。全部を相手にしなくていい。味方の援軍が来るまで耐えるんだ』

 

『だろうね。柿崎君。少佐がこの地点を僕たちに指示したという事は……勝算があるという事さ』

 

『マックス。レイ少佐の命令の意味が分かるのか?』

 

『隊長……でも、本当にそれをやってのけたら、レイ少佐はその……』

マックスはその後の言葉が出てこなかった。アムロは神か悪魔だと……

 

「折角ミンメイの晴れの舞台なのに、くそっ!」

輝はアムロの指示した場所に待機し、敵が迫る様を見ながら悪態をついていた。

 

 

 

186機の戦闘ポッドの大部隊がマクロスへ一直線に迫る。

エストラント率いるバルキリー隊が飛び去った方向に、敵部隊が30機程分かれ、迎撃に向かった。

尚も三角錐のような陣形を保ち敵156機がマクロスへ迫る。一点突破の陣形だ。

 

アムロのVF-1S改がバトロイド形態で敵を待つ。

真っ白な機体のバトロイド真正面、コクピットシェルター部には、朱色で大きくユニコーンのマークが描かれていた。

 

 

アムロは専用実弾ライフルを構え、敵の射程外から、敵陣形の三角錐の頭を張る戦闘ポッドを正確に撃ち抜く。

その後たて続けに3機撃墜した。

敵の射程に入り一斉にビーム砲が放たれるも。アムロは同時に前方にチャフグレネードを発射させ、ミサイルかく乱とビーム減衰を行いながら、その宙域で乱数回避のような動きをみせ確実に敵ビーム砲を回避しながら、次々と専用実弾ライフルで敵機を撃墜していく。

 

敵との距離がある程度迫った段階で、広範囲にダミーバルーンを複数展開。ガンポッドに持ち替え、更に迎撃。

放出したバルーンは敵のビーム攻撃で爆発し広範囲にスモーク状のガスがまき散らされ、敵の進む方向の視界を奪う。

敵部隊は爆破で視界が悪くなった宙域を避けるように5方向に分かれ、縫うように避けて進む。

 

5方向に分かれ中央付近を突き進む50機程の敵部隊の後ろから、視界が悪くなった宙域からアムロのバルキリーがファイター形態で突如として現れ、襲い掛かる。

 

アムロに後ろから襲われた敵部隊は正確な射撃で次々と撃墜されていく。

敵部隊は旋回して振り切ろうにも、隊列を分けて、周り込もうとしても、その挙動を正確に見極められ、アムロに挙動の起点となる機体を先に撃墜されて行くのだった。

 

 

5方向に分かれた敵部隊の20機程の1隊が輝、マックス、柿崎が待機している宙域を横切るように現れる。

アムロが狙っていたのは敵大部隊の分断とかく乱だった。そして各個撃破。

ダミーバルーンの爆発による視界不良やチャフによるレーダー阻害に見舞われない位置に輝たちの小隊をあらかじめ置き、迎撃態勢をとらせていたのだ。

 

『敵はまだ、こっちに気が付いていない……先制ミサイル攻撃行くぞ!』

『『了解』』

この戦闘で輝は6機撃墜。

マックスは12機撃墜。

柿崎は2機撃墜も被弾、脱落。

 

この後の追撃戦でマックスと輝は撃墜スコアを更に上げていく。

 

 

結局は敵機186機のうち、別動隊として動いた30機は見事エストラント率いる寄せ集め部隊に殲滅され、正面突破を計った156機の部隊は、半数以上がたった7機のバルキリーに撃墜。

その後、マクロスからのバルキリー部隊増援が現れ、敵部隊は撤退を開始、撤退の際に、エストラントが率いる部隊と輝とマックスの追撃でさらにその数を減らしていった。

 

味方は1機損耗、2機被弾脱落と被害は軽微で終わった。

 

 

 

マクロスに戻ったアムロのバルキリーも敵攻撃の直撃こそ受けなかったが流石に傷だらけの状態であった。

アムロはコクピットから降り、ボロボロとなったバルキリーを見上げる。

「流石に無茶し過ぎたか……コクピットの操縦桿連動のコンソールシステムがいまいち反応について行ってくれなかった。サイコミュが無くともνやリ・ガズィ系のコクピットモジュールのような直感性で操作できるものがあればいいが……技術部に言ってみるか」

 

「アムロの旦那。流石に今回は無茶し過ぎだぜ。……まあ、機体もこうなるわな。また、あの無表情の姉ちゃんオペレータに嫌み言われるぜ、きっと。……それにしても先日の戦術プランが役に立った。全くたいしたもんだぜ」

同じく戻って来たエストラントがアムロの横に並びボロボロとなった機体を見上げ声を掛ける。

どうやら、対戦闘ポッド戦用に組んだ戦術とその訓練が今回十二分に役に立った様だ。

 

「流石だなエストラント大尉。寄せ集め部隊で実行できるのは大尉の指揮能力によるところさ」

 

「お褒めに預かり光栄であります!少佐殿!って、おい、あんた一人で150機を正面受けとか何考えてやがる。そんで生きてるだけでおかしいっての。しかも一人で何機落としたんだよ!」

 

「それよりもあの新人……初陣で7機落とし、今回は15機撃墜か…たしかマクシミリアン軍曹と言ったか。凄まじい技量だ」

 

「人の話きけよ。ったく……ああ追撃戦でついて来た青いVF-1Aに乗ってた小僧か、確かにな。まあ、旦那見慣れてりゃ、そこまで思わねーよ。動きだけだったら、あの一条って少尉もなかなかのもんだぜ」

 

「いや、あの若さで大したものだ」

アムロは遠目で並んで歩く輝とマックスを見ながらそう呟いた。

 

 

 

 

その頃。

ミスマクロスは無事終了し、リン・ミンメイが選ばれる。

 

 

 

 

 

また、這う這うの体で退却し、無事戦艦に戻ったゼントラーディ軍の戦闘ポッド兵達の脳裏からAの字を象った朱色のユニコーンマークが入った全身真っ白い機体が襲ってくる姿が抜けなかった。

そして、末端の兵士達の間ではいつからか囁かれ始めていた。

真っ白な機体には近づくなと………

 

 

 

 

 




やっぱ無双っぽかったかな。

一人で突撃してくる戦闘ポッドを156機を正面から受けるんだから……
実際落としたのは50~60機位かな?

女性に対してはフォッカー中佐の方が無双ですね。
地味にエストラントのおっさんは大尉に昇進で、しかも活躍中です。

次回は無双確定回

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。