その、徐々に返信できるように頑張ります><すみません。
誤字脱字報告ありがとうございます。非常に助かります。
アムロが地球に降り立ってから6日。
マクロスは地球からの大出力レーザー通信を受信し、条件付きではあるが地球への帰還許可を得る。
それから4日後。
マクロスは敵の攻撃を受けながらも、フォッカー大隊、ユニコーン遊撃部隊の活躍により地球へ、北太平洋ウエーク島南200㎞海上に降り立った。
時は11月下旬。マクロスが冥王星に飛ばされてから9カ月半、無事地球に帰還を果たしたのだった。
その2日後。
アラスカ統合軍総司令部とマクロスとの間で映像通信にて報告会議が開かれた。
マクロス側はグローバルと付き添い役の未沙の2名のみ。
総司令部は早瀬中将を含む、12名が参加していた。
会議はほぼ、総司令部メンバーの質問に対しグローバルが答えるという形であった。
内容は9カ月半に及ぶ戦闘記録についてやゼントラーディ軍の軍容などが主であり、今後のマクロスの扱いについては保留、要するに何も決定されなかったのだ。
しかも、マクロスは現在位置から移動を禁止され、乗員や収容された一般市民も一切の上陸を禁止されたのだ。
グローバルはそれを受け、マクロス内上層部と数時間の会議を行った後、発令所ブリッジに戻り、ため息を吐きながら艦長席のシートに深く腰を沈める。
「マクロスは地球統合軍に歓迎されていないか……早瀬中尉、市民の様子はどうかね」
「艦長、……マクロスの市民の方々には受け入れ先が決定されていないため、上陸はまだ先になるとは主旨を伝えましたが……」
未沙は沈痛な面持ちで答える。
「やはり、不平不満はでたか」
「はい……市民の皆さんは地球に降りて、直ぐに上陸できるものだと思ってましたから」
「マクロスは敵に狙われてる事は明白だ。この9カ月の間、地球は殆ど戦闘がなかった事からも……マクロスだけが狙われていると考えていいだろう。戦闘に住民が巻き込まれないためにも、この人が住んでいない太平洋の真ん中での待機命令だ。それは軍人として十分に理解できる。しかし、せめて一般市民への早急な上陸の許可を出してほしいものだ」
「艦長、少し休まれては……」
クローディアはグローバルの憔悴気味の顔を見て進言する。
それもそのはず、グローバルは地球に降り立つ3日前から今迄、ほぼ寝ていなかったのだ。
「すまない。ラサール中尉しばらくここを任す」
そう言って、グローバルは重い足取りでブリッジから出て行った。
地球統合軍上層部はマクロスの扱いについて、このような対応にせざるを得なかった。
ゼントラーディ軍との戦争をするにしろ、和平への道を進むにしろ、キーポイントはマクロスだからである。
いざ戦争となれば、マクロスには主力として戦わせなければならない。和平となれば、マクロスを執拗に狙うゼントラーディ軍との交渉材料として、有効に活用しなければならない。マクロスの明け渡しも視野に入れなければならないからだ。
戦争か和平かの最終判断を行っていない現段階では、マクロスを動かすことはできないのだ。
「未沙……レイ少佐と田中中佐は」
クローディアはグローバルが出て行くのを確認してから、未沙に先行して地球に降り立ち、音信不通となっていた二人について尋ねる。
「………田中中佐はそのままアラスカ総司令部付に辞令を……そのレイ少佐は……極東基地、バルキリー隊指導官及び隊長に就任されたと……」
そう言葉にする未沙に影が落ちる。
先般の総司令部との報告会議終盤で、未沙が質問許可を得て質問した内容がこれだったが、端的にこの事実だけが伝えられたのみだった。
「ロイは何か言っていたかしら?」
「……その参謀部の一人が、その……田中中佐とレイ少佐が裏切ったんじゃないかと……」
「火を見るより明らかね。ロイは参謀部のその人を殴り飛ばしたんじゃなくて?」
クローディアはフォッカーのそんな姿を思い浮かべながら苦笑する。
「席が離れていたから……皆が止めて」
どうやら、本当にフォッカーは手を上げる一歩手前まで行ったようだ。
「後で宥めるのに大変ね。それにしてもレイ少佐がマクロスを、私達を裏切るわけがないのに……」
「うん……」
未沙の返事には何時ものはきはきとした切れが全くなかった。
クローディアはそんな元気のない未沙の顔を心配そうに見つめていた。
ゼントラーディ軍ボドル基幹艦隊直衛艦隊司令ラプラミズは艦隊で地球を包囲するも、地球への戦闘行為を禁止していた。
基幹艦隊司令長官ボドルザーが地球への攻撃禁止命令を下していたからだ。
ボドルザーは初期戦闘で地球人類がプロトカルチャーでは無いかという疑念を抱き、見極めるため地球への直接攻撃をせず監視をさせていたのだ。
ラプラミズはそのため地球に降り立ったマクロスに対しても、攻撃を禁止させる命令を下した。
ラプラミズは地球に対し、情報収集を行うために電波や望遠による監視を行っていたが、監視を行っている兵士が次々と不調をきたしていた事に悩まされていた。
実際には地球で流れてる歌や男女が一緒に生活する姿を見て衝撃を受けた兵士達の精神が情緒不安定になった結果なのだが、ラプラミズらにはそれが何故なのかが理由が分からなかったのだ。
ラプラミズとしても、地球への介入はできるだけ避けたいという意思があったのだ。
しかし、直属の部下であるミリア・ファリーナが自らをマイクローン化し、マクロスへの潜入調査に志願したのだった。
ラプラミズはマクロスへの潜入調査については、以前から検討していた。すでにブリタイ艦隊からは派遣され、情報が送られている事も知っていた。
早期に実行に移さなければならなかったが、前記の事から人員の選定も進まず、中々踏み出せずにいたのだ。
ミリア本人が熱望してる上にそのような状況下であったため、断腸の思いでミリアをマクロスへと送りこむことを決定した。
そんなミリアだが、潜入調査とは別にある目的があった。
自分を追い込んだあの青い機体のパイロット(マックス)をこの目で見るためだ。
ミリアはマックスと2度程戦っていた。1度目は痛み分けに近い内容であったが、2度目は完全に負けていたのだ。
マックスは短期間でさらにパイロット技術が向上し、ミリアを撃墜寸前まで追い込んだのだ。
その頃、ブリタイ艦隊司令も地球への攻撃を禁止していたが、部下のカムジン艦隊だけはマクロスだけを狙うとし、勝手に地球に降り立ったマクロスに対し攻撃を繰り返していた。
「あの白い奴……白い悪魔は誰も見てないんだな」
「へい、3度の攻撃でも見た奴は一人もいやせん」
「くくくくくっ、そうかそうか。奴はあの艦に居ないのか。理由は分からんが、先行して地上のマイクローン共の基地に行ったという情報もある。俺もようやく運が回って来たという事か。くくくくくっ」
「どうしやすか、隊長」
「あの忌々しい艦のせいで、俺はケチをつけられっぱなしだ。あの艦は地上では動きが鈍いどころか、ほとんど動かん。さらにあの白い悪魔も居ないと来た。今がチャンスだな……。戦艦の用意をしろ……あの艦に突撃する」
「隊長!さすがにブリタイ司令に怒られちまうぜ」
「ようは落とせばいいんだろ?あの艦をよ。そうすれば
「戦艦が大気圏突入のときに、あのバカでかいビーム砲に狙われて墜とされるのが落ちでっせ!」
「ふん。俺に考えがある」
カムジンはニヤリと口を歪ませていた。
マクロスを確実に落とすための作戦を実行するため、準備を進めだしていた。
一方、地球統合軍極東基地に転属し、バルキリー隊の教育係兼隊長に就任したアムロだが……
「アムロ君!!次はアレを試したい!!どうだね。早速君のバルキリーに取り付けよう!」
「……タカトク大佐。後で見ておきます。そろそろ私はバルキリー隊の訓練に行かなくては」
「少佐!!ゴースト用の独立AIプログラムの調整を見てくださいよ!!」
「近接兵器案プラン11のビーム集束率が上がりました!!確認願います」
「ストライクパック用の姿勢制御用サブモーターを強制機動レベルまでに出力を向上させることができたんで!早速試験飛行を!!」
「コクピットの操縦桿周りの大幅改修案が実現しそうです!設計図を確認願います少佐!」
「試作集束ビームライフルが完成しました!実地試験を願います!!」
皆、目をキラキラと輝かせ、アムロに迫る。
「……すまん。後で俺の作業端末に全部送っておいてくれ」
アムロは少々呆れた風な表情をしていたが、それでもお構いなしだった。
「待ちたまえアムロ君!!君の要求を最大限に盛り込んだ試作可変機 VF-X3Z改(ブイエフエックススリーゼットカイ)からの新設計プラン1028号の基礎設計モデルがもうすぐ完成する!!もはやVF-X3とは似ても似つかない性能だ。そこでこの機体を3世代試作機としてYF-5と呼称したいと思う!どうかね!」
「タカトク大佐……VF-X3の量産機VF-3の先行少数量産計画が3カ月後に控えております。VF-3の量産試作機の調整も行わないといけません。
確かに現行のバルキリーの改善点を申し上げましたが……あれをすべて盛り込むのは厳しいのでは?」
「何を言うアムロ君!!君のお陰でVF-X3は次のステージへと上がった。量産機VF-3は出力・性能共に53%も下げた、VF-1の上位性能の所詮オモチャにすぎん!!君という技術に明るいエースパイロットのお陰で、究極の可変機が誕生する!それがYF-5なのだ!!VF-3の調整など、部下にやらせればいい!!私は早くYF-5に着手したいんだ!!だからだ。君に基礎設計図を見てもらい忌憚ない意見を聞きたい!!」
タカトク大佐は食って掛かるように興奮気味にアムロに迫る。
タカトク大佐はアムロと出会ってから常にこのテンションである。
VF-1の本来の性能の120%以上を出していたアムロに対し、一瞬で友情以上の物を感じてしまったようだ。さらに技術開発論議もパイロットの目線だけでなく、技術者の目線からも話すことができ、新しい発想も提供してくるとあっては、その惚れようはもはや恋する乙女の如くであった。
他の技術開発部の連中も同じような感じであった。
バルキリー次世代試作機VF-X3はアムロ着任と同時に起こったレーザー通信設備への襲撃を行った敵部隊をたった一機で撃退したアムロのデータ等を取り入れ、フレームから改装を施し始めていた。
それが今、作り上げているVF-X3Z改であった。いうならばエースパイロットアムロ専用に試作機をさらに再構築し、性能を向上させた試作機の試作機と言っていいだろう。
元々、試作機としてVF-X3は3機用意されていた。基本設計は一緒だがそれぞれ設定やフレーム、変形機構が多少異なっている。その中でも特にパイロットを無視し性能を突き詰めたものを選び、それに改修を施している最中なのがVF-X3Z改なのだ。
もはや常人が操縦できる仕様ではないのは言うまでもない。
更にそのVF-X3Z改を一から再設計し、アムロの意見を最大限に取り入れたのが、今タカトク大佐が躍起になって設計図を完成させたYF-5ということなのだ。
「……わかりました。私の作業端末に送っておいてください」
アムロは苦笑気味にそう言って、技術開発部から出て行く。
アムロの日課はこの技術開発部に新たに設けられた、アムロ用の設計作業ブースのデスクに座る事から始まる。
何故か技術開発部トップのタカトク大佐に気に入られ、さらに技術開発部全員がアムロに意見を求める毎日だった。
午後からはバルキリー隊の教育訓練となる。
アムロはマクロスが無事地球に到着したことを知り、戻る手立てを考えていた。
その第一段階に向け、動き出す。
それはウエーク島にある元空軍基地をバルキリー隊の訓練施設にすることだ。
現在マクロスはウエーク島南200㎞海上に留まっている。
ウエーク島から、バルキリーや戦闘機であれば目と鼻の先と言っても良いだろう。
その為の理由はこうだ。
『実戦に勝る訓練の場はない』
マクロスはゼントラーディ軍に狙われている事は、統合軍上層部にとって周知の事実だ。
アムロは今の時点で、地球に降り立ったマクロスがゼントラーディ軍の襲撃を少なくとも1回受けた事を知っていた。
この9カ月、地球ではレーザー通信施設が狙われたのを例外として、マクロス以外でゼントラーディ軍の襲撃をまともに受けた場所はないのだ。
マクロスの近くに拠点を構えれば、実戦を行える可能性が高い。
もう一つの理由は、マクロスの近隣の監視体制強化だ。
マクロスを襲撃してきた敵が他に飛び火しないように、警戒するためと。
それは表向きで、マクロス自身を監視するという意味合いの方が強い。
アムロはマクロスが地球統合軍にとって厄介な存在だと認識されている事を知っている。
そのマクロスの動きを抑えるためにも、ウエーク島の軍隊滞在は抑止力となる。
これらの理由をアムロの口から言えば疑いの目を向けられるだろうが、バルキリー開発に大きな権限を持つタカトク大佐や技術開発部将官らが提案すれば、極東方面基地の司令官も折れ、許可が下りやすい。
幸い技術開発部はバルキリー性能向上や兵器開発に思考が偏っており、実戦性能テストによるよりよいデータ取りが可能だと説明すれば、二つ返事でその役目を受けてくれた。
こうして、アムロは極東方面基地のバルキリー部隊320機のうち、94機を引き連れ訓練及び監視警戒名目でウエーク島旧空軍基地に滞在することとなったのだ。
それに何故か、タカトク大佐以下技術開発部の半数以上が海上補給艦と海上空母、巨大な工作艦を引き連れてウエーク島に……
工作艦にはバルキリーが一から作成できる設備を載せられており、もはや動く技術開発部兼工場の様相を見せていた。
そんな時だ。
ゼントラーディ軍ブリタイ艦隊のカムジンはマクロスを沈めるべく動き出した。
「お前ら、わかってるな!今日こそあの忌々しい艦にけりをつけるぞ!」
空戦大型ブースターを装着した高性能戦闘ポッド グラージに自ら乗り込み、空戦ポッドの大部隊を率い大気圏を突破し、マクロスに迫る。
カムジンの作戦は単純明快だ。
空戦ポッドの大部隊を率い、マクロスに纏わりつき、マクロスキャノンを撃たせないようにしたうえで、戦艦三隻を突入させ、至近距離での一斉放射を浴びせる作戦だ。
マクロスは宇宙空間とは違い、大気圏内での動きが鈍い事は既に数度の襲撃で分かっていた。
ルートさえ確保すれば戦艦と言えどもマクロスに近づくことが可能だと踏んでいたのだ。
しかも、あの白い悪魔が居ない今が好機だと。
マクロスは空戦ポッドの大部隊の襲来を確認し、バルキリー隊を出撃させる。
スカル大隊を主力とし迎え撃つ、エストラント・キーリック大尉が代行で率いるユニコーン部隊はマクロスの防衛に回っていた。
『こちらスカルリーダーより各機、大気圏はこちらのホームグランドだ。ノコノコと現れた敵さんに目に物みせてやれ』
『「「「「了解」」」」」』
フォッカーの檄がバルキリー部隊全体に広がる。
「お前ら!少佐が居ないからって気を抜くなよ。空戦ポッド如きにやられたとあらば、あの世からどやされるぞ!」
「大尉、少佐は死んでません。それに少佐はそのように下品に怒りをあらわにしません」
「……あまりにも不謹慎ではありませんか?少佐は亡くなってません」
ユニコーン部隊を率いるエストラントは通信で部隊員に檄をとばすが、若い女性パイロットのレイラとミレイに反感を食らっていた。
「じょ、冗談だ。例えだ例え」
エストラントはたじたじであった。
ウエーク島でも、ゼントラーディ軍の空戦ポッド大部隊がマクロスに攻撃を仕掛けるコースを取っている事を把握し、援軍に向かう準備を進めていた。
『アムロ君!!今回はスーパーパックを大気圏用に改修したものだ。前のように途中でオーバーヒートは起こさないだろう!更にだ!!上部ミサイルポッドユニット部にビームランチャーを一門装備させてみた!!更に更にだ!!貫通力を重視した集束ビームライフルを用意した!!君が好きな近接武器も装備させてある!!存分にデータを持ち帰ってきたまえ!!』
出撃直前にタカトク大佐からこんな通信がアムロの下に入って来た。
「大佐……了解です」
既にアムロのVF-1S改には数々の試作兵器が搭載されていたようだ。
このスーパーパックは後程、ストライクパックと呼ばれるエース機専用の火力と機動性を向上させたパックの原型だった。
『こちらウエーク島基地管制、極東方面基地ウエーク島滞在第204部隊 零大隊、出撃してください』
「第204大隊、アムロ・レイ出る」
「艦長!三方から敵艦隊が大気圏を抜けてきます!2000m級戦艦3隻、中型砲艦6隻です!」
マクロスのブリッジオペレーター3人娘のメガネっ娘、レーダー担当官のヴァネッサ少尉が大声で報告する。
マクロスを囲むように3方向から戦艦1隻、中型砲艦2隻の3隻編隊を編成し、大気圏を突破してきたのだ。
「何!?敵は本気でマクロスを落とすつもりだな!!
グローバルが即時に判断する。
「発射可能ですが、敵の空戦ポッド部隊に進路を妨害され射線が定まりません!」
未沙がバスターキャノンの現状況を説明。
「構わん!!3時の方向、戦艦1隻、中型砲艦2隻に狙いを定めろ!!」
「了解、主砲(マクロスキャノン)発射準備、各員衝撃に備えよ」
クローディアは艦内に向け放送する。
戦闘前に既に強行型にトランスフォーメーションを行っており、主砲発射の準備はできていた。
「スタンバイOKです」
「撃て――――!!」
マクロスの主砲の大出力ビームが光の柱となって空の彼方へと撃ち抜く。
「敵3時方向、中型砲艦1隻撃墜、戦艦1隻、中型砲艦1隻は軽度のダメージです」
未沙は主砲の砲撃結果を報告する。
マクロスの主砲は逸れ、余波に巻き込まれた中型砲艦1隻が爆散するのみに留まった。
「くっ!逸れたか!マクロスはこのまま3時方向の敵だ!スカル大隊を7時の方向の艦隊!ユニコーン遊撃部隊を11時の方向の艦隊に向かわせろ!!マクロス防衛戦力をすべて出せ!!」
「了解!」
「スカル大隊 フォッカー中佐……7時の……」
「ユニコーン遊撃部隊 キーリック大尉……11時に」
ブリッジ内は慌ただしく言葉が飛び交う。
大気圏突破した敵2000m級戦艦及び中型砲艦は空戦ポッド部隊及び戦闘ポッド部隊を多量に投下し、バルキリー部隊と対峙させながら、マクロスへ迫っていく。
カムジンはこの状況をグラージの中でほくそ笑んでいた。
「くはははははっ、どうだ!!この敵の慌てよう!!精鋭と艦隊をつぎ込んだんだ。お遊びは終わりだってことだ!!」
しかし、11時の方向の中型砲艦が突如として爆散したのだ。
「何!?どうした!!」
カムジンは11時の方向の艦隊に目を向け、通信を行う。
『わかりません!!敵戦闘ポッドは味方戦闘ポッド部隊、空戦ポッド部隊と交戦し、我が艦隊には近接していない筈です!!……ん?なに?……上空から一機?うわっーーーーーーー!!』
そこで11時の方向の戦艦との通信が途切れる。
カムジンが見たものは戦艦が上空から何かに貫かれ、分解しながら爆散していく姿だった。
そして、11時の方向の生き残った中型砲艦からの通信も……
『上空から白い戦闘ポッドだと!!……し、白い悪魔だ……、回避!!回避ーーーっ!!』
中型砲艦も爆散し、分解しながら海へ落ちていく。
「な!?な!?なんで奴が!!」
カムジンは目の前の光景と味方からの通信で混乱する。
アムロは第204大隊バルキリー部隊を率いて、マクロスの救援に向かって居たが……
「敵の動きが速い。このままでは……大黒中尉!敵の状況はわかるな!俺は11時方向の艦隊を墜とす。中尉は大隊を率いマクロス正面3時方向に敵艦から出撃した戦闘ポッドと空戦ポッドを抑えろ!」
『しかしレイ少佐。3時方向の戦闘ポッド、空戦ポッドの数は300を超えてます……我が隊だけでは』
「中尉、戦術シミュレーションナンバー21通りに動け。機体性能はこちらの方が上だ。落ち着いて戦えば撃破も可能だ!」
『りょ、了解いたしました』
アムロは引き連れた86機を切り離し、アムロのビーム砲を搭載した大気圏用スーパーパックを装着したVF-1S改は一気に加速上昇し雲の先に消える。
アムロはマクロスから11時方向の敵戦隊を遥か上空から捉え、バトロイド形態に変形し、自由落下をしながら試作集束ビームライフルを構える。
「このビームライフルが予定の性能ならば、戦艦も貫けるはずだ……そこっ!」
アムロはまずは中型砲艦に狙いを定め、エンジンルーム2か所、敵ミサイル弾薬庫2か所、管制室1か所を正確に撃ち貫いた。
中型砲艦は分解しながら爆散する。
その後アムロは戦艦に狙いを定めながら通信を開く。
「エストラント…キーリック大尉!聞こえるか!今からその戦艦を撃墜する!直ぐに離れろ!」
『え?旦那?……ま、まずい!!おいお前ら!!この空域から離れるぞ!!全速だ!!』
エストラントは一瞬その通信に驚くが、直ぐに慌てて部隊員に通信する。
ユニコーン部隊36機が一糸乱れず、戦闘空域から一気に離脱するところを確認し、アムロはビームライフルを放つ。
アムロが放ったビームライフル5発は2000m級戦艦のエンジンルーム、弾薬庫、管制室を見事貫き、誘爆し、分解し戦闘ポッドや空戦ポッドを巻き込みながら爆散していった。
「流石大尉だ。こうもまとめるとは………次だ!」
アムロはエストラントの部隊を率いる手腕を褒めながら、次のターゲットへと視線を移す。
残りの中型砲艦も、アムロのバルキリーは自由落下しながら正確に敵の急所を貫き、最後はすれ違い様に弾薬庫を撃ち、爆散させる。
アムロは爆発の余波を避けるためにファイター形態に変形し、空域を離脱。
『戻って来ると思ったぜ旦那!』
エストラントからの通信が直ぐにアムロの下に入る。
「いや、正確には戻れていない。指揮系統的に命令権は無いが……大尉、7時方向のスカル大隊の援護に向かい、敵を抑えてくれないか?」
『旦那、言いっこなしだぜ、俺らの中では、隊長はあんたしかいないんだ。命令権?そんなもん知った事か。いいぜ7時の方向だな。またあんたと戦えて嬉しいぜ』
「ああ」
アムロはそんなエストラントの返答に気恥しさを感じ、鼻を掻きたい思いがした。
アムロのバルキリーのスーパーパックのブースターに火が付き、3時方向に向かって一気に加速する。
マクロスの発令所ブリッジでは……
「11時方向の敵戦隊沈黙!?」
未沙はその光景を驚きながら報告する。
「何が起きた!!」
「友軍機による攻撃です!援軍のようです!3時方向にも友軍機大隊が向かってます」
ヴァネッサ少尉が状況を報告。
「何!?統合軍はマクロスを見捨てたのではなかったのか?……所属は?」
「不明です。ですが11時方向の友軍は一機です。望遠カメラではブースターのような物を装着した真っ白なバルキリーを確認しました」
さらにヴァネッサは報告を重ねる。
「まさか……」
ブリッジはその報告にある予感と期待を感じていた。
『マクロス……こちら極東方面基地第204大隊』
通信オペレーターのトップである未沙の下に通信が入った。
「………少佐?」
未沙は声とその通信映像に写る人物を不思議そうに見る。
『久しぶりだな早瀬中尉。艦長に3時方向の敵は任せてくれと伝えてくれ』
「レイ少佐!よく……了解、ご武運を!」
未沙は顔をほころぶのを我慢するが、声は上ずっていた。
『了解だ』
「艦長!アムロ・レイ少佐が帰還されました!3時の方向を任せろと!」
未沙はグローバルに即報告する。
「なんと!よし!マクロスに付き纏うポッドを蹴散らしつつ、7時方向に反転回頭!!」
この後、アムロは3時方向の戦艦1隻と中型砲艦を撃破し、遅れて到着した第204大隊と合流し戦闘ポッド、空戦ポッドの大部隊に大ダメージを与える。
7時方向ではフォッカー率いる大隊が善戦し、輝、マックス、柿崎のバーミリオン小隊が中型砲艦に取りつき、内部からの破壊に成功。
援軍に駆けつけたエストラント率いるユニコーン部隊も中型砲艦を撃墜。
残るは戦艦だが、捨て身の様相を見せバルキリー部隊を抜け、マクロスにビーム攻撃を浴びせながら迫る。
マクロスはビーム攻撃はピンポイントバリアで何とか防ぐが、敵の突撃を抑えられないでいた。
眼前に迫ってくる敵戦艦……
しかし、マクロスのブリッジの真横を白い閃光が過ぎ去っていった。
アムロのバルキリーだ。
敵にスーパーパックに取り付けられたビーム砲を浴びせながら戦艦真正面に突撃をする。
「ビーム砲の貫通力が低い様だな。ならば!」
ビーム砲は戦艦にダメージを与えていたが、貫通力が弱く、表層の破壊に留まる。
ビームライフルのエネルギーも既にゼロであった。
アムロは敵の弾幕を避けながら、艦首の前でバトロイド形態に変形し、伸縮する棒を取り出し、敵管制室のあるブロックに投げつけた。棒の先端が光り輝き、槍状の突起が現れ、管制室に突き刺さった。
これは極東方面基地の開発陣がアムロの意向で作成していた近接用のビーム兵器だった。
ビームサーベルはやはり、この世界では作成が困難であったが、その過程で出来たものがこれだった。高い収束率を必要としなかったのと、敵に当たる瞬間だけ放出するように設定することで、ビームジャベリンとほぼ同等の物が出来上がったのだ。
アムロは直ぐにファイター形態に変形させ、左のエンジンブロック目掛けてミサイルとビーム砲を全弾放ち破壊する。
敵戦艦は大きく右に逸れ、マクロスから遠ざかり、海上に落ちる。
その光景をむざむざと見せつけられたカムジンは怒り狂ったようにグラージをアムロのバルキリーの後ろから突撃させる。
「くそーーーーーーっ!!この悪魔がーーーーー!!」
ほぼ全弾撃ち尽くしたアムロのバルキリーだが、突撃を難なくかわすと同時に頭部レーザービームと残りのガンポッドの僅かな残弾で難なくカムジンのグラージを撃墜し、カムジンのグラージは海へと墜落する。
撤退していく空戦ポッドと戦闘ポッドの追撃戦も終わり、アムロはマクロスに接触通信で要点だけを伝え、第204大隊を率い、ウエーク島へと帰還していった。
「そうか、レイ少佐を強制的に極東方面基地に転属させたのか……やはりマクロスは厄介ものという事か」
グローバルは呻く。
アムロの接触通信で現状のマクロスの立場を、アムロが調べることが出来た範囲で伝えられたのだった。
「……レイ少佐」
未沙はアムロが飛び去った空を眺めていた。
ウエーク島に帰還したアムロを待っていたものは。
むさくるしい技術開発陣。
さらなる兵器の向上に尽力するそうです。
一応スーパーパックでしたが、ビーム砲が一門搭載されてます。
ほぼストライクパックですね。
一応ストライクパックの前段階という意味で、スーパーパックの名のままにさせてもらってます。
マクロスの全方位バリアの暴走回避!!
柿崎君死亡フラグ回避!!
フォッカー死亡フラグ回避!!
今回のアムロの活躍ですが……
戦艦3機中型砲艦3機撃墜。
戦闘ポッドと空戦ポッドは沢山。
何機落としたのかわからないですね。
今回は一年戦争のアムロの戦闘シーンのBGMが耳になってました。
ドムとムサイを落としいく二つ三つってカウントするシーンを妄想してました。
マックスが徐々にアムロの影響を受けて来たようです。実質中型砲艦を1隻落としたのはマックスです。
次は宇宙に放り出されるマクロスがどうなるか?
歌も混ぜたいですね。