他所の妹が小町より可愛いわけがない   作:暮影司

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エロマンガ先生のクロスオーバーを書いてみたあとで俺妹も書いてしまうのだった……。そしてやはり思いつきで書き始めてしまっているのだった……。
あと平塚先生は異動しません。


やはり高坂桐乃は唐突に人生相談をする

俺の名前は比企谷八幡。ごく普通の高校三年生だ。

普通じゃないって? ぼっちなだけで結構普通よ?

 

妹の名前は比企谷小町。世界で一番可愛い妹だ。大好きな俺の後を追って俺の通う総武高校に入学した。

 

俺が所属している奉仕部は、雪ノ下雪乃、由比ヶ浜結衣、そして妹と俺の4人で行っている、まあボランティアのような部活だ。やってきた人を助けるのが目的で、魚を与えるのではなく魚の獲り方を教えるという崇高な理念がある。こう説明すると凄く立派っぽい! 実際は放課後ティータイムです。

 

「へっくっしょ、へっくしょ」

 

このくしゃみは小町のものだ。可愛いからすぐにわかる。

 

「あら、ごめんなさい。花粉症?」

「そうなんです……スギ花粉は小町的にポイント低いです……ヒノキもです……」

 

雪ノ下が窓を閉じながら心配して、小町は鼻を赤くしながら涙目。明らかに弱っていた。

つか、花粉のポイント高いやつなんていねえよ。マスク作ってる会社の株主くらいじゃねーの。

 

「てんちゃ? これ美味しいね」

 

あはは、と笑いながら甜茶を啜る由比ヶ浜。

花粉症の症状を抑えると聞いたので俺が買ってきたものだ。もちろん妹のために用意したのであり、決してガハマさんに飲ませるためではない。この季節はスギが終わりかけでヒノキは始まるとかで両方アレルギーの小町は大変らしい。

 

「小町は紅茶のほうが好きです」

「えっ、これ俺がお前のために買ったんだけど?」

「結衣先輩が私のために淹れてくれた紅茶に勝てると思う?」

 

勝てねえよ。

俺だってそれ飲みたいんだけど?

そう思いながらちびちびと甜茶を舐める。俺は花粉症じゃないんだが……。

 

小町が加入したことで賑やかになった奉仕部にようやく慣れてきた4月の中旬。

メールのお悩み相談もなく、いつもの平常運転だ。

ところが往々にして平和というのは、突然失われる。

それが骨身にしみるイベントが発生した。

 

コンコン。

 

「どうぞ」

 

雪ノ下は冷静に優しい声で入室を促した。

 

「ここが奉仕部? 人生相談、あるんだけど」

 

入ってきたのはロングのストレートの茶髪の女。やたら派手で不機嫌そうな顔を除けば、モテそうな美少女だった。眉毛はきちんと整えられ、大きくて二重の目はぱっちりしている。やたら垢抜けていて、芸能人かと思うほど。

チャラついている感じは三浦由美子と同じ分類だろうか。あーしさんよりも童顔でスレンダーな体型だ。

まぁ可愛いけど一目で分かるほど俺の苦手なタイプの女子だな。

短いスカートからすらりとした脚が伸びてどうしても見てしまうところとかが、あーしさんそっくり!

そっくりなのは本人じゃなくて俺の反応なわけだが……。

 

「こちらにどうぞ」

 

小町が椅子を薦めるとすぐにどかりと腰を下ろした。

そんな乱暴に座ったら見えちゃうよ!? と心配したが見えなかった。残念……。

しかし遠慮というものが微塵も感じない。それにしても、こんな目立つやつウチの学校に居たかな?

首をひねっていると小町がなにやら嬉しそうに立ったまま話しかける。

 

「高坂桐乃さんだよね? 比企谷小町です、よろしくね」

「ああ、比企谷さん。隣のクラスだよね? よろしく」

 

なんと1年だったか。俺が知らなかったことには納得だが、よくもまあ3年相手にこんな態度ができるものだ。

 

「あーでも、桐乃さんって凄くお友達多いし人気あるけど、やっぱり今がホントのキャラですか?」

 

小町が頬に人差し指を突きつけつつ小首をかしげると、高坂桐乃と言ったか。彼女はふんと鼻を上に向けると、悪びれる素振りもなく首肯した。

 

「そ。まぁ別に頑張って猫かぶってるんじゃなくて習性みたいなものなんだけど。でも、人生相談のときは本当の自分じゃないと意味ないかんね。平塚先生からも奉仕部ではありのままの自分で相談したほうがいいってさ。あの先生の前では全部見透かされている感じだよね~」

 

そう言って、腕を組んで脚も組む。

まー、ふてぶてしいことこの上ない。

猫をかぶってるところの方が想像つかん。

偉そうに髪をかきあげる指の、派手に飾られているネイルが目についた。

ん?

あれ?

 

「こ、これさ」

 

ぼそぼそと声を出すと、彼女はビクッとなった。

 

「うわ、誰あんた。いつからいたの?」

「最初からいるんですけど……存在感がなくてごめんね?」

「なんか目が死んでるんだけど大丈夫?」

「生まれつきだからほっといて」

 

初対面でここまで生意気な人間を見たことがない。

まぁあんまり人と関わったことがないけどね?

 

「比企谷八幡だ、よろしくな」

 

後輩にあんた呼ばわりされるのもツラいので自己紹介する。

 

「え? 比企谷?」

 

小町と俺を交互に見ながら指を差す。

そうだよ兄妹だよ。

 

「……偶然?」

「なんでだよ! 比企谷なんて名字がそうそう居てたまるか」

「全然似てないし……まぁ、それはウチもか」

 

そこでなぜか頬を赤らめる高坂。

その瞬間を見逃さない小町はきゅぴーんと目を光らせた。

 

「桐乃さんも兄妹がいるんですか?」

「あー、そう。京介っていう兄貴」

 

目線を上に泳がせながら、頬をぽりぽりと掻く。

なんか照れてるのか?

小町と同じで兄のことが好き過ぎるのだろうか。小町と同じで。

 

「ひょっとしてー、お兄さんのこと好きなんですか?」

 

小町の質問に、こくりと頷く高坂を見て由比ヶ浜が目を丸くした。

 

「ひ、ひょえー」

「人生相談、というから随分と大仰な物言いだと思っていたけれど。どうやら本当に大変な悩みのようね」

 

雪ノ下はこめかみに手を当てながら、深刻そうな顔をした。

おいおい、マジなのかよ。

お兄ちゃんのことが好き過ぎる妹の話が世の中に多すぎるだろ。

 

「どういう風に好きなんだ」

 

俺は確認する意味も込めて質問した。

こちら側の早とちりという可能性もある。

 

「子供の時からずっと兄貴のことが好きで、ちょっと前まで付き合ってた」

 

な……。

雪ノ下も由比ヶ浜も固まっている。

俺も絶句するしかない。

小町も理解できないというような顔をしている。おかしい、小町は理解できるはずなんだが……。

 

「ふーむ、小町も兄のことは嫌いじゃありませんが、付き合うというのは具体的にどういう……」

「一緒にホテルに泊まった」

 

……マジマジと高坂桐乃を見つめ直してしまう。

この娘が兄と……。

エライことになったな……。

小町は青ざめ、由比ヶ浜は真っ赤になり、雪ノ下はうつむいてしまった。

ビッチの由比ヶ浜でも、お兄ちゃん大好きの小町でもこの案件は無理だ。

完璧超人の雪ノ下雪乃に関しては、完璧に拒否するだろう。理解できる気がしない。

 

「で、でも兄妹がホテルに泊まるって普通だよね」

 

由比ヶ浜はビッチらしからぬ健全な発想に至ったらしい。一度は想像したものの、そんなわけないと思い直したのだろう。そりゃそうだ。

 

「そうだな、ラブホテルに行ったわけじゃないだろう」

「あ、あ~。まぁラブホテルにも行ったことあるんだけどね」

 

ビシッと部室が凍ったような気がする。

もはや決定的だった。

 

「いやそのそれは取材だから、その別に何もしてないんだけど」

 

ようやく高坂桐乃というビッチ、まさにビッチだ。由比ヶ浜にはもう二度というまい。こいつこそビッチ。ビッチがようやっと自分の発言の危うさに気づいたのか、慌て始めた。遅すぎる。

しかし今こそ多少空気を和らげるチャンスだ。補足しよう。

 

「それなら安心だな。取材目的なら俺と小町だってラブホテルくらい行ってもおかしくないし」

「絶対イヤだよ!? そんなことになったら小町的にポイント全部無くなるよ!」

 

え? そうなの?

流石に手を出すことはないよ? 多分、きっと、おそらく。

凍えるように肩を抱きしめながら戦慄する小町を見やりつつ、高坂は嘆息した。

 

「ま、そうだよね。ふつー兄妹ではラブホに行かない。取材だとしても。それはわかってる。それに付き合ってくれる京介が特別なんだって。でもどうしようもなく好きだったから恋人になった。でも、本当の兄妹だから。だから中学を卒業するまでっていう約束で、もう今は普通の兄妹になったの」

 

高坂はぽつぽつと語る。

スカートの裾をぎゅっと握りしめて、綺麗に整えられた眉毛をきゅっと中央に寄せて。

中学を卒業したばかりの女子が、高校生の先輩たちに囲まれて、慣れない部室でこんな重たい話をするのはさぞ勇気のいることだろう。

 

「約束は守る。でも、そんなすぐに気持ちは切り替えられない。男として兄貴のことがまだ好き。どうにかしてなんて言わないけど、どうしたらいいのかって……」

 

先程までと違い、みんな本気で彼女の気持ちを慮っていた。

小町は目を伏せ、唇を噛んだ。

雪ノ下は手を合わせながら目を閉じて、懸命に受け止めようとしている。

由比ヶ浜は心底つらそうに心臓のあたりを掴んでいる。

だが、これは。

この案件は違う。

 

「あ~、すまん。奉仕部の手には余ると思う」

 

頭をかきながら、頭を下げる。

 

「比企谷君……」

「ヒッキー……」

「お兄ちゃん……」

 

みんなどうしようもないのに、断るという選択肢を選ぶことが出来ないのだ。彼女の味方になってあげたい。それは悲恋のヒロインを見た女の子なら当然の考えなのかもしれない。

 

「だよね。忘れて?」

 

そう言った彼女があまりにも寂しそうで。

なにか声をかけたくなって、さっき言えなかったセリフを今更ながらに言った。

 

「ところでその、ネイルアートってやつ? それメルルの魔法陣じゃね?」

「あーっ!? わかった!? わかった!? 同士見つけたーっ!?」

 

先程までの深刻さはどこへやら。

高坂は飛び上がるように椅子から腰をあげると俺の手を握ってぶんぶん振りながら、目に星を瞬かせて俺に詰め寄った。近い、近い、近い。手が柔らかい、なんかいい匂いがする!

 

「オタクの友達いるんだけど、兄貴のこと好きだったから今はちょっと連絡取りづらくってね~。だからこうやって同士だけがわかるサインを準備してたんだけど初めて見つけた~っ!」

 

ハイテンションで盛り上がる高坂。

何が何やら、と冷たい目でこちらを見る雪ノ下と、クエスチョンマークを頭の上に乗せた由比ヶ浜。小町は興味深いとばかりに顎を手で擦っていた。

 

「ねえねえ! メルルだと何話が好き!? あたしは~」

「待て待て待て、お前は何しに来たんだ」

 

突如ハイテンションになって距離を縮めてくる女子と、それを冷徹に見つめる女子2人+実の妹。はっきりいって居心地が悪すぎる。

 

「人生相談したかったのは、高校でオタクの友達がいなくて寂しかったってことなの!」

「お、おう」

「だから、解決!」

 

俺の右手を、両手でぎゅっと掴む高坂。うわあ、アイドルの握手会みたい……。

 

「あたしのことは、きりりんって呼んで!」

 

き、きりりんだと……。

 

「ゆいゆいより恥ずかしいぞ……」

「流れ弾飛んできた!?」

 

うっかり恥ずかしい目にあった由比ヶ浜は目をバッテンにしながらお団子をくしくししていた。

俺の恥ずかしさを誤魔化すための犠牲にしてしまった……正直すまなかった。

 

「あー、じゃあ、きりりん氏」

「お!? 沙織スタイルで来た! 比企谷バジーナ!」

 

比企谷バジーナ……?

こいつは何を言っているんだ……。

さすがにきりりんは恥ずかしすぎるので氏をつけたら余計オタクっぽくなってしまったが、誰かと呼び方が同じなのかなにやら納得している。

 

「まぁ、きりりん氏でもいいよ。じゃ、早速行こうか」

「は……? どこに……?」

「んー、まぁどこでもいいけど。二人っきりで話せるところなら」

 

雪ノ下の冷え切った目と、由比ヶ浜のキョトンとした目と、小町のニヤニヤした目が俺に注がれる。やめて! 俺のライフはもうゼロよ!

 

「おおお、わかった、わかった、行こう行こう、オタク友達同士な! そうだ、材木座を紹介しよう~」

 

こんな言い訳がましいセリフ、通じる相手達じゃないんだよなあ……。

わかってはいても言わざるを得なかった。

背中を押すようにして部室を出ていく。

これからどうしよう……。

 




書き溜めてないどころかまだロクに続きも考えてないですが、よろしくおねがいします。
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