他所の妹が小町より可愛いわけがない   作:暮影司

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どう考えても比企谷小町のアイデアは不安に満ちている

「それで、奉仕部に依頼したいというのかしら」

「そう。問題ある?」

 

俺は心臓を掴まれているかのような心地だが、高坂はあっけらかんとしたものだった。心臓に毛でも生えてるのかしら。頼もしすぎませんかね。

 

高坂は二人で考えてもわからないという結論を出した上、自分に任せろと言い切った。どうするのかと思ったら、まさか奉仕部に依頼するとは。雪ノ下と由比ヶ浜、それに我が妹の3人であれば文殊の知恵どころじゃない。確かに解決するかもしれん。しかし言い出せないだろ普通は。

 

「いろはちゃんを喜ばせる方法か~」

 

由比ヶ浜は早くも考えてくれているようだ。本当に理由を少しも聞こうとしない。わかっていたことだが、良いやつだな。雪ノ下は小首をかしげて少し考えるような仕草をしつつ高坂を横目で見る。

 

「高坂さんが一色さんを喜ばせたい……理由は聞かずに方法だけ考えて欲しいと……」

「うん」

 

雪ノ下は俺の方を見た。涼やかを通り越して、凍てつくような視線だ。本当はこいつ、ワンパンマンのフブキなんじゃないの?

高坂は平然としているがこいつも強すぎるだろ。よくもまぁそんなにふてぶてしくいられるものだ。

雪ノ下は俺から目線を外すと、今度は由比ヶ浜を見やる。視線に気づいた由比ヶ浜は「あはは……」と誤魔化すように笑うだけだった。雪ノ下はこめかみを抑えつつ、ふぅとため息をつく。

 

「なんでそっちで三角関係になるのかしら……」

 

なんか遠い目をして呟いている。由比ヶ浜は一瞬、><(こんなふう)にぎゅうっと目を瞑ったがすぐに笑顔に戻った。二人だけの事情があるのかしらん……。まぁ、俺には関係のない話だろうが。

 

「や、やっぱりヒッキーが何かするのがいいんじゃないかな」

 

由比ヶ浜が手を揉み揉みしながら言った。なんで俺なんだよ。

 

「そうね。比企谷くんが自白して自首したら喜びそうね」

「ちょっと? 何かをやっちゃってる前提は止めてね?」

 

全く冗談に聞こえない雪ノ下に一応反論を試みると、小町がぱあっと笑顔を作って八重歯を見せる。

 

「小町的にはお兄ちゃんが綺麗な体になってくれるのは嬉しいです」

「なんで小町も俺が何かやらかしてると思ってるの?」

「冗談だよ~、お兄ちゃんは何もしてないよ~。強いて言えば本当に、本当に、本当にな~んにもしてないよ」

「何もして無くてごめんね?」

 

とりあえず謝ってしまったが俺は何もしないをしているだけであり、そこにやましいことは無いはずだ。俺が悪いと言うならくまのプー太郎だって悪いことになる。あれ、なんか違うな。

 

「あんた達兄妹って仲いいよねー」

 

兄妹漫才を見せられた高坂から呆れたような声で言われたが、俺達は一緒にラブホテルに行くほどは仲良くないからな?

 

「ところで八幡が何かをするのが効果的、だと思うのはなんでなんですか?」

 

高坂が由比ヶ浜に問いかける。当然の疑問だな。由比ヶ浜は目を丸くした。

 

「な、なんとなく、だけど」

「へー。そうですか。じゃあ、由比ヶ浜先輩が八幡にしてもらったら嬉しいことってなんですか」

「ええっ!? あ、あたし!?」

「参考です、参考」

 

由比ヶ浜はしどろもどろだが、ここで高坂に口を挟もうというやつもいない。なんというか高坂が何かを言い出したりやりだしたときにそれを止めるというのは至難の業だと思われる。彼女の兄貴はさぞ苦労しているだろうな……。

 

「あたしがヒッキーにしてもらったら嬉しいこと、か~」

 

由比ヶ浜が俺の方を見ながら思案顔。うーん、なんか凄く恥ずかしいんですけど……。

 

「小町だったら小町のために何かしてくれるなら何でも嬉しいですけどね~。今の小町的にポイント高い~」

「はいはい」

 

小町のこのパターンはもはやお約束と化しており特に感慨がないな。

 

「ん~。あたしもヒッキーがあたしのために何かしてくれるなら何でも嬉しいけどな、えへへ」

 

そう言ってはにかむ由比ヶ浜を正視することはできなかった。何こいつ、何を言ってくれちゃってるの? べ、別に嬉しいわけじゃないんだからねっ!

 

「あー、お兄ちゃん小町と違って本気で恥ずかしがってる~。まぁでも今の結衣先輩は小町から見ても可愛すぎますけどね」

「ええっ!? そ、そうかな、なんか恥ずかしい」

 

頭のお団子をくしくしとしながら顔を赤らめる由比ヶ浜。

 

「いやなんで二人で顔を真っ赤にしてるんだっつーの。何でも嬉しいとかはいいから具体的に考えてくださいよ」

 

むっつりと不機嫌な顔で由比ヶ浜を睨みつける高坂。正論ではあるがよくもまあ先輩にそこまで言えるよなこいつ。

 

「そういう高坂さんはどうなのかしら」

 

雪ノ下が沈黙を破った。やっぱりちょっと今の発言にいらっとしたんですかね? ゆるゆりしている由比ヶ浜さんをいじめるなーって感じですかね? そういうの素敵やん?

 

「あたし?」

「ええ。高坂さんの比企谷君にされたら嬉しいことは何?」

「あたしのオススメエロゲートップ10を全部やって感想文を書くこと」

「即答だ!?」

「全く参考にならない意見だったわね」

 

高坂を除く全員が同じような表情になった。トホホというかタハハというか、そんなような感じ。まったく、きりりんはしょうがないにゃあ……。

 

「お兄ちゃん、高坂さんが喜ぶなら小町はお兄ちゃんが妹もののエロゲーをやっていても我慢するよ」

「そりゃどうも」

 

うちの兄妹は高坂家に比べれば普通の兄妹なので、エロゲーについて会話するのは抵抗がある。小町は割と平気なのだろうか。あれか、俺とエロゲーにそれほど違和感がないからか。やってないんですけど?

 

「あたしの意見が参考にならないのなんてわかってたっつーの」

 

ふふんと鼻を鳴らして腕を組む高坂。こいつの謎の自信満々っぷりはどこからやってくるのかね。

 

「散々あたしと八幡で考えたけど思いつかなかったから今こうなってんの。二人だけじゃ何時間考えてもダメそうだったかんね」

「散々……」

「二人だけ……」

「何時間も……」

 

軽く言い放った高坂のセリフを、雪ノ下と由比ヶ浜と小町はなにやら重く受け止めたらしい。そんな真剣な顔をしなくても。

 

「雪ノ下センパイはどうなんですか?」

「そうね。由比ヶ浜さんと同じ、というか比企谷君と同じかしら」

 

しれっとした態度で言っているが、なんとも思わせぶりというかたっぷりと意味を含んだような口ぶりだった。

 

「え? それってどういう?」

「比企谷君が以前、由比ヶ浜さんとバレンタインチョコを作るときにアドバイスしたことがあったのだけれど」

「えっ!? 八幡が!? バレンタインのアドバイス!? ちょっと意味がわかんない!?」

 

高坂はおどろきにとまどっている!

メダパニ状態になるほど意外なのか。まぁ、冷静に考えてみたらそうだね? 俺が恋愛の達人みたいなことをするのはおかしいね? でも本当のことなんだよなあ。

 

「そこで比企谷君はイケメンでも乙女でもないのに、チョコは味じゃない、気持ちだ、心だみたいなことをのたまったのよ」

「何それ!? ちょーウケるんですけどー!」

 

お前らね……。

雪ノ下はほくそ笑み、高坂は抱腹絶倒だ。意外とこの二人相性いいの? 俺を肴に随分とお楽しみですね?

他の二人の様子を見ると小町もにやにやしていたが、由比ヶ浜は子供の頃の写真でも見てるのかと思うくらい微笑ましい顔で回想にふけっているようだった。目がとろんとしてあらぬ方向を見ている。そんなに俺の行動ってウケますかね?

 

「ただね」

 

雪ノ下は口元を緩めたまま、目を静かに伏せる。

 

「今はそれがよくわかるわ。私も由比ヶ浜さんと同じ。もし比企谷君が必死で私を喜ばせようとしたというなら、それがなんであれ嬉しいに違いない」

 

静かで温かなそのセリフを由比ヶ浜はうんうんと何度も頷きながら聞いていた。

高坂は逆にバカ笑いをやめて、真剣な表情に変わる。

 

「会長もそうだと思うってコト?」

「ええ。きっとそうじゃないかしら」

「そーだよ! きっといろはちゃんも同じだよー」

 

雪ノ下と由比ヶ浜はもはや解決モードなのか、クッキーに手を伸ばす。高坂は目をつぶって、腕を組んで脚を組んでかぶりを振った。どういう状況なんだこれは。小町だけは握りこぶしを振ってわくわくしている模様。なぜだ。それはすぐにわかった。

 

「それってみんな八幡が好きってコト?」

「ブッ」「はわっ!?」

 

高坂の発言に、雪ノ下は口から粉を吹き、由比ヶ浜は口の中のクッキーが丸見えにしながら驚いた。俺の思考回路は停止状態だ。今すぐ帰りたいよ。

 

「なっ、ななっ」

 

由比ヶ浜は慌てすぎて咀嚼を忘れている。口内が気になるから早く食え。歯並びの良さとかに気づいちゃうだろ。

 

「な、なぜそうなるのかしら」

 

ハンカチで口を拭きながら雪ノ下。

 

「いや、そうならない方がおかしいじゃん。それって純粋に自分が好きだから気持ちが嬉しいってだけじゃん。父の日のパパかっつーの」

 

確かにな。そりゃうちの父親だって、小町が感謝の気持ちを込めたものなら、いやものじゃなくったって泣いて喜ぶことは間違いない。肩たたき券でも泣いて喜んでいたし、手紙でも泣いて喜んでいた。父の日があって兄の日が無いことを泣いて悔しがっていたどうも俺です。

それは愛娘だから嬉しいのであって、別に俺の手紙など欲しくもないだろう。俺だって小町から貰ったら嬉しいが父親のはいらん。

 

「ふ~ん。そっか。一色会長、八幡のこと好きなんだ。ふ~ん」

 

派手な茶髪をかき上げながら、なるほどなるほどと頷いている。すぐに否定意見が出るかと思いきや、雪ノ下も由比ヶ浜も下を向いて黙りこくっている。小町はずっとニヤニヤしている。これだとまるで高坂が言ってることが事実みたいになっちゃいませんかねえ……。

 

「いや~、小町としてはなんでそんなにモテるのかよくわかりませんが、そういうことみたいですね~」

「小町、ぼっちがモテるわけないだろ」

 

誰も突っ込まないので自らツッコミを入れる。自虐的な発言は非常にスムーズに出てくることでおなじみ。悲しくなんて無いよ。

 

「ハッ。誰がぼっちだっての。黒猫ともあやせともすぐに仲良くなって。なんなら沙織だってあんたと友達だと思ってんじゃない? こんだけ友だちがいるのに気づかないとか隣人部かっつーの」

 

高坂はそう、あっさりと吐き捨てた。俺がぼっちじゃないと言い切った。小町はそれ言っちゃうんだーと呟いて口をぽかんと開ける。はがないと同じパターンとか言っちゃいけないことってあると思います。

小町以外の三人は膠着状態に陥ったためか、小町がはいはいと手を上げた。

 

「小町にいいアイデアがあります」

 

絶対いいアイデアじゃない方に2万点くらい賭けたい。雪ノ下と賭ケグルイたい。しかし雪ノ下も由比ヶ浜も何かを誤魔化すように小町のアイデアに乗っかるつもり満々のようだった。

 

 

 





はい、てなわけで、いつもどおりワチャワチャしてるだけでした。
しかし雪結衣が出てくると桐乃は可愛くねえなーw 
ガハマさんの可愛さが目立つ目立つw
自分で書いてるんじゃねーかと思うかもしれませんがそうじゃないのよね。これはね、ガハマさんが可愛いの。だからガハマさん可愛いですという感想はね、これはもういっぱい来るに違いないよコレ(感想を送るチャンスだ!)

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