アーランドに転生したのでエスティさんをヒロインにしたい 作:血濡れの人形
~アーランド王国 エアハルト家~
今日俺がいるのは、エスティの実家であるエアハルト家の一室。とはいっても、彼女の家族へのあいさつは済ませてあるし、そういった理由でここにきているわけではない。単純に、エスティから妹の人見知り改善に役立ってもらおうと派遣されただけである。ちなみにエスティもちゃんと一緒にいる。今は妹を引っ張り出すためにここにいないだけだ。
「ふえぇぇ、突然部屋から連れ出してなんですかぁ!」
「いいから早くこっちにくる!まったく、部屋にこもってるんじゃないわよ!」
扉が開き、エスティとその妹のフィリーが現れる。ちなみにこれで顔合わせが三回目なフィリーは涙目である。毎度この顔で現れるため、すでにこれ以外の表情を見るのはあきらめている。この子のおかげといっていいのかわからないが、ステルクの気持ちが少しわかった気がした。
「やぁ、少しお邪魔しているよ」
俺がそういうと、驚いた様子でこちらを見た後、全力で部屋から逃げ出そうとする。少し悲しい。
「えぇ!?ちょっとお姉ちゃん!なんでシルドさんがうちにいるの!?」
「あなたのその人見知りを治すためにわざわざ協力してもらってるのよ!わかったらとっとと中に入りなさい!」
そういって中に押し込むエスティと、それから逃れようとするフィリーに、思わず苦笑いを浮かべる。
「毎回そんな反応だと、さすがに悲しくなるなぁ」
いやもうほんと、最初のあいさつのときは気絶されるし、二回目の時は気絶はしなかったけど逃げられるし、今回もこんな感じだし。まぁ、名前とエスティとの関係は知っているので不審者とかみたいな扱いを受けることはなと思うが。
「は、はわわ」
なんて考えていたら、フィリーが涙目のまま固まってしまった。さて、本当にどうしたものか・・・ふむ、
「これはむしろ、人見知りがどうこう言う以前の問題なのではないだろうか?ここまでくると、いっそのこと買い物に連れて行って強制的に人にかかわらせるのがいいと思うのだが」
そこまで言ったあたりで、フィリーの顔は絶望に、エスティの顔はその手があったかと言わんがばかりの驚愕に染まった。
「とはいえ、さすがに一人で行かせるのはまずいだろうから、それをやるならおれかエスティがついていくべきだろうがな。そうしないと、外でステルクにあった時に帰ってこれないだろうし」
そういったあたりで、何となく状況が理解できたのだろう。エスティが苦笑いを浮かべる。
「ま、やるんだとしたら次の休みだな。俺たち二人の休みが重なるのは・・・」
「大体一週間後ね。それじゃあ、そのときにでいいわね」
「え?わ、私?」
「あ、拒否権はないから」
「そんなぁ!」
こうして、一週間後にフィリーの護衛兼買い物デートの予定がたてられたのであった。
というわけで次回、人見知り改善という名の買い物デートです。