アーランドに転生したのでエスティさんをヒロインにしたい   作:血濡れの人形

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この手の話は書くのが苦手ですわぁ・・・


クロとレエラ

~夜の領域 黒竜の住処~

 

「フム、忘れ物はなさそうだな」

俺は、主について行ってからしばらくぶりに、かつての自分の住処に戻ってきていた。というのも、とある事情で置いてきたものをいくつか取りに来たのだ。なぜって?必要になったからというほかあるまい。

「クロ、ここにいたの?」

そう声をかけられ、思わず驚き、肩が跳ねる。頭の中で、なぜ、どうして彼女がここにいるのか疑問に思ってしまう。しかし、それを悟られるわけにはいかない。表情を取り繕い、質問する。

「・・・レエラこそ、なぜここに?たしかトトリ嬢を手伝うためにアランヤ村の方に行ったと聞いたのだが」

そう、彼女、いや、彼女たちはつい最近、アランヤ村出身のトトリ嬢を手伝うために、拠点をわざわざ向こうの村にうつしたのだ。だからこそ、都合がよいと思って今のうちに来たというのに、これでは苦労が水の泡になってしまう。他の二人ならまだよい。別にそっちになら見られても問題のない代物だ。だが、レエラはまずい。彼女だけにはコレ(・・)を見られるわけにはいかないのだ。

「ちょっと気になったことがあったのよ。それで、そのことについてクロに聞こうとしたら、お父様がここにいるって教えてくれたの」

つまり原因は主らしい。残念ながらあの方たちがかかわってしまっては口出しできないため、少し落ち込む程度にリアクションを抑えることにする。すでにあきらめの境地である。

「そうか・・・それで、尋ねたいこととは?」

「それほど大したことでもないわ。ただ、貴方が何か隠し事をしているような気がしたから、何を隠しているのかを聞きたかっただけ」

冷や汗が背中を伝うような感覚に襲われる。よりにもよって隠し事、それも、今この場で持っているコレ(・・)のことを指しているであろうその質問に、言葉に詰まってしまう。心の準備すらさせてくれない世界を軽く恨むが、こればっかりは言っても仕方があるまい。この場でなければつかえたであろう言い訳も、残念ながらここで使うには難しすぎる。状況が悪いのだ。状況が。つまり主を怨めばいいんだな、きっと。あ、なんかそう考えたらどこか落ち着いてきた。よし、とりあえず一応ごまかしてみよう。

「次に子供たちとどんな遊びをするか考えていたんだ」

「それだけならここに来る必要もないでしょう?だってあなた、ここに来る前に家で『アレ(・・)を取りに行くか』みたいなことを言ったって聞いたわよ?そのアレ(・・)があなたの隠し事だと思うのだけれど」

(うっかり呟いたの聞かれてたー!というか、一体誰が聞いてたんだ!?気配はなかったぞ!?)

「ちなみに教えてくれたのはお母様よ」

「奥様が原因ですかちくしょう!」

全力でオコである。ちなみに現実逃避の一環として行っているが、逃避できていないのであまり意味はない。クロは悲しみのあまり地面に穴を掘って埋まり、魔力暴走で自爆したいと思った。ついでに逃げ道も完全にふさがった。なぜなら、

「それで、結局あれって一体何のことなのかしら?もしかして、あなたが今もっているその小さな箱の中身がそうなの?」

そう、手で持っていた小さな箱がばれてしまったのだ。こればっかりはしまっていなかった俺が悪い。

「・・・そうだよ。ちょっとこの箱を取りに来てたんだ」

「へぇ・・・それで、一体何が入っているのかしら?わざわざ取りに来たんだから、大切なものなんでしょう?」

言葉に詰まる。さすがにここで中身を正直に話すわけにもいかない。というかぶっちゃけるとここであったことは忘れてほしい。無理だけど。ついでに言いわけも思いつかないから正直に話すほかない。

「・・・秘密だ、といいたいところだが、きっとレエラのことだから、きっと中身がわかるまで聞いてくるだろう?」

「当然。だって気になって夜も眠れなさそうだもの」

「・・・はぁ、そうだろうと思っていたさ。だからこそ、君がいない間に取りに来たかったというのに・・・いらん迷惑をかけてくれたな、主は・・・いや、まあいい。それで、これの中身だったな」

「そうよ。そんな小さな箱に入れるんだもの、よっぽど大切なものでしょう?」

まったく、こんなことにならないように、彼女の荷物をきちんと確認しておくべきだったか・・・いや、いまさら言っても遅いだろう。後の祭りというやつだ。

「本当ならもう少しまともな場所で見せたかったのだがね。それも、できれば少し落ち着けたときに」

「?」

「そんなに知りたいなら教えよう。これの中身は指輪だ。それも、竜種が別の種族の、人型の異性に送るための特別な指輪。同族に対しては送られることのないこれは、人間たちで言うところの『婚約指輪』、そしてドラゴンたちの間では、同族との決別と、異種族との婚約の意味を込め、『決約の指輪』と呼ばれている。これを異種族に渡したものは、もはや同族として扱われなくなるというある種呪われた指輪だ。さらに、その呪いを確定づけるため、この指輪には送る者の鱗が練りこまれている」

「・・・それで、何でそんな指輪をわざわざこんなところに取りに来たのかしら?」

「なぜ?それこそ決まっている。そうまでしても渡したい相手ができたから、だ」

そう俺が言うと、レエラの肩がびくりと跳ねる。少しだけ、目に涙がたまっているようにも見える。しかし、ここまで言った以上、やめるつもりもない。

「と、言うわけだ。できればレエラが受け取ってくれるとうれしい」

「・・・え?」

「なんだ、さっきまで話してた内容と今の俺の発言で気が付かなかったのか?俺はレエラに婚約を申し込んでるんだよ。恥ずかしいからあんまり言わせないでくれ」

驚いたような表情を浮かべているレエラに、そういう。暗いから見えづらいだろうが、見えているのであればきっと、俺の顔は真っ赤になっていることだろう。言っておいてなんだが、割と恥ずかしいものである。しかし、後悔はしていない。

「・・・え、あ、え・・・あの・・・は、はぃ・・・その・・・えっと・・・喜んで・・・?」

次の瞬間、思わずガッツポーズしそうになったのを抑えた俺はガンバッタと思う。




なお帰ってからめちゃくちゃいじられた模様。

シ)それで、いったいその夜の貴婦人の髪飾りはなんだ?
レ)え?あぁ、これは、クロが私にってプレゼントしてくれたものです
エ)・・・よっぽど好きなのねぇ。まさか、あれを渡す人がシルド以外にいるだなんて思ってなかったわ
ク)それ以上言おうとしたらいくら奥方であろうと容赦せんぞ

夜の貴婦人。形状的には黒薔薇と似通っているため、とりあえずこの世界では黒薔薇の花言葉と同一の扱いを取っている。ちなみに黒薔薇の花言葉は、「憎しみ」「恨み」「あなたはあくまで私のもの」「決して滅びることのない愛」「永遠」の五つ(黒薔薇の5つの花言葉・意味・由来・贈る時の注意点参照)。シルドも実はエスティにこの花を使ったブローチを渡した。

次回は令和記念のキャラ設定です。
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