アーランドに転生したのでエスティさんをヒロインにしたい 作:血濡れの人形
~シルド・エスティ宅 寝室~
ここは、シルド・エスティ宅の二階、その端にあるシルドとエスティの寝室である。シエルの寝室はきちんと別にあるので気にしないでほしい。まぁ、そんなことはどうでもいいのだ。とりあえず重要なのは、二人が昨夜、酒を飲み、エスティが先に酔いつぶれたという事実だけである。
「おはよう」
「・・・うぅ、なんだか頭が痛いわね・・・昨日寝る前何していたかしら・・・」
そういいながらモゾモゾと起きだしたエスティに、ニヤリと怪しげな笑みを浮かべる。シルドは素面であったため、昨夜の彼女の甘えっぷりをきちんと覚えていたのだ。
「知りたいのか?別にいいが、止めろって言われても止めないぞ?」
もちろん、そんな顔に嫌な予感を覚えるのは必然、当然遠慮しようとするが、まぁ、エスティが顔を赤くするのが見たいシルドがそれを許すはずがない。
「まぁ、拒否権はない。幸い今日は予定もなく、シエルはクロと一緒に街で子供たちと遊びに行っている。なのであの子の世話も心配しなくてよい。さ、とりあえずお酒を飲み始めた直後から話をしようか」
~回想~
「それじゃ、乾杯」
カンッ
シエルを寝かせた後、二人はリビングでワインを飲んでいた。今日は二人の結婚記念日なのである。
「でも、時間が経つのって本当に速いわよねぇ・・・二十歳になったあたりで肉体の成長が止まったから(シルドが生成した薬が原因)そんなに時間が経ってる気がしないけれど」
「そうだなぁ・・・それに、特別なことなんて特にしていなかったから、より一層そう感じるな」
「それなら普通長く感じるんじゃないかしら?」
そんなエスティの言葉に、シルドはフッっと笑うと、
「当然。お前といる時点で時間の進みは速く感じるものさ。なにせ、仕事があった時はあまり一緒に居られなかったしな」
という。とてもイイ笑顔である。むしろドヤ顔である。まあさすがにドヤ顔は言い過ぎだが。それはそれとして、そんな不意打ちを食らったエスティは、思わず頬を赤く染める。
「んもぅ、不意打ちなんて卑怯よ」
そういいながらワインを飲む彼女に、シルドは思わずクスリと笑う。そんなシルドの反応に、エスティは頬を膨らませる。
「そんな顔しても可愛いだけだぞ?ほら、ワイン注いでやるから」
シルドに言われ、ワイングラスを差し出したエスティ。しかし、その顔は少しだけ背けられている。そんな彼女を見て、ついいたずらしたくなってしまったシルドは、ワイン・・・ではなく、椅子の下においておいたイチゴジュースのウォッカ割(度数25ほど)を取り出し、ワイングラスに流し込む。色は似ているが、匂いを嗅げばわかる違和感なので、きっと気が付くだろう、そう思って入れたものが、そのまま飲み干される。
「あ」
当然こんな反応になるのは必然というものだろう。しかし、それ以上に問題があったのだ。実は彼女、エスティは、仕事の付き合いなどで酒を飲む過程で、ある程度酒に強くなっている。しかし、体質の問題だろうか。彼女はウォッカだけはどうしてもだめなのだ。たとえそれ以上に度数の強い酒を飲んでも大丈夫になっているのに、ウォッカだけは一口飲めば酔ってしまうほどに耐性がない。そんなウォッカを、たとえ多少薄めたとはいえワイングラス一杯分を一気飲みした彼女が、この後どうなるかなど、言うまでもないのだ。
「・・・シルド、抱っこして」
酔いが回ったエスティはとても甘えん坊になる。ついでに記憶も完全ではないながら無くなる。特定の情報をもとに芋づる式で記憶が戻ったりするが、それは今は気にする必要もないだろう。まぁ、そんな彼女も可愛いので、命令通りに自分の上にエスティを乗せた後、腹のあたりに腕を回し、抱きしめる。
「んみゅぅ、温かぃ」
そういいながら俺の胸に顔をすりすりするエスティを見て、思わず頭をなでる。少しの間されるがままであったエスティは、小さく欠伸をした。
「眠いのか?それならベットに運ぶが」
「・・・ん、ちゅれてって」
若干呂律の回っていない彼女に水を飲ませ、そのまま二人の寝室に運ぶ。その間も、俺にすり付くのをやめないので、少しだけ脇をくすぐる。エスティは身をよじらせながら、
「くしゅぐったぃ」
といって、まるで怒ってるのを主張するように頬を膨らませる。寝室につき、ベットに寝かせる。前もって寝巻に着替えていたことに安堵しつつ、俺もそのままベットに横になる。いつもならそこで終わるのだが、今日は一味違っていた。
「んぅ・・・寝る前にちゅ~して」
酔っていたゆえだろうか。いつもなら言わないようなことを言うエスティに少しの間固まるが、寝た姿勢のままキスをする。
「お休み、エスティ」
「おやすみなさぃ、私の旦那様ぁ・・・」
エスティはそういうと、そのまま眠りについた。その穏やかな寝顔を見て、俺も眠りについたのだった。
~回想終了~
「てことがあった」
「そんなのいつもの私じゃないわ!」
「酔ってたからな!」
堂々とそう言う
「いてて、まったく、そう照れることないじゃないか。ねぇ、俺の奥様?」
「ヤメテ!それ以上は本当に無理だからぁ!絶対そんなの素面じゃ言えないからぁ!」
エスティはそう叫び、そのまま毛布に潜りこむのだった。
というわけでリクエストからでした。他にもこんな話を書いてほしい!などありましたら(多分)したのURLから飛べると思いますので、そちらにお願いします。
アトリエ意見箱
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=212358&uid=113432