アーランドに転生したのでエスティさんをヒロインにしたい 作:血濡れの人形
~アーランド王国 城内 受付~
「こないな」
「こないわねぇ」
くだんの騒動から一週間ほどたった日の話である。
「高すぎたのかね?雇用金額」
「安い方よ。軍事目的とかであなた一人動かすだけで、本当なら国家予算の四分の一は必要なんだから」
エスティがそんな風に言ってくるが、そうでもないと思う。なにせ、
「さすがにそれは冗談が過ぎるだろ。高々ドラゴンを片手でたたき殺す程度しかできない男にそれはないぜ」
ギゼラさんとかならやりかねん。あと成長したメルヴィアさんもやるだろう。
「はぁ、どうにかしてその認識を治さないと、また大変なことになりそうね・・・まぁ、国家予算の四分の一は言い過ぎかもだけど、あなた一人の給料ってかなり高いのよ?」
エスティとそんな話をしながら、書類を片付けていくと、一つだけ妙に分厚い書類を見つけた。
「ん?何でこれだけまとめてあるんだ?」
「あぁ、それ、たった一人の女性によって発生した諸々の事件のまとめよ。ほら、少し前に騎士団の方にも話が出てたでしょう?」
そういわれて少し考えてみると案外すぐに思い出せた。ちょうど少し前に考えていた人のことだ。
「あぁ、橋とか遺跡壊したり、モンスターを街中で連れ回したりしていたっていう例の」
といいつつ、書類に目を通していく。俺が今見ているのは騎士団の書類なので、俺が見て問題がある物ではない。
「そっ、それで、貴方を行かせるべきかどうかって話になって、いろいろと話した末にその書類があなたのところに来たってことは」
「あぁ、これ、俺に行くように書いてあるわ」
話を聞いている時点で嫌な予感がしていたのに、そこにはもうすでに急ぎ向かうように書いてある。こういっては悪いが、心が折れそうだ。『現在地不明のため調査と同時に進行せよ』とか書いてあるし・・・しょうがない、
「エスティ、今夜家帰ったらいつものお願いしてもいいか?」
「あぁ、割と面倒くさい依頼だったのね・・・それじゃあ、早く仕事終わらせちゃいましょう。あれ、長時間やってると足痺れるのよねぇ」
「こんな依頼があるたびにすまんな。少し書類を回せ。その方が早く終われるだろうしな」
「助かるわ。王国祭の話もあるらしいから、これが終わった後にもう少し時間がかかっちゃうけど、その間待っててね」
「あぁ、そういえばそんな話があると俺も聞いたな・・・俺も出るように言われていたし、仕方がない。その話が終わった後にしてもらうとしよう」
むしろあの話し合い、俺らは参加する必要ないんじゃないだろうか、と思いながらも、早く帰るために書類にペンを走らせるのだった。
~近くで聞いていたロロナの反応~
「あ、あの二人、一体何をするんだろう」
と、顔を赤くしている姿が確認された。
ちなみに帰ってからしばらくの間、シルドはエスティに膝枕してもらっていた。頭を撫でられている間は至福の時、とは本人の談。