「「凛空!?」」
瑠奈も銀も当然の反応をした。
「驚きました?」
「そりゃ驚くよ。」
「でも、ろくに喋れませんよ。だってただの記録媒体なんですから。」
すると、銀は珍しく鋭い勘を働かせた。
「わたしの体に使われている技術だな。」
さらに瑠奈が凛空を愛してるからこその考察を見せた。
「なるほどね。凛空はこの人形に自分の知識という知識を詰め込んだのね。あくまでも『自分の声で』ということなのね。」
「ふぅん・・・勘がいい子達だね。」
と素直に褒める栄華だった。
蓮がひょこっと出てきた。
「凛空botと呼びたまえ!」
「「凛空bot!?」」
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「じゃあ始めましょうか、臨時守護者会議を。」
蓮はそう宣言すると、早速銀が最初の質問を蓮に投げ掛けた。
「友奈の左胸の上にある紋章のことだ。ネロから聞いたぞ。どんな形だったんだ、ネロ?」
すると、フワッとネロが出てきた。
「うむ。あれは禍々しい太陽のような形をしていた。ガウェイン卿よ、太陽の騎士であるそなたにはなんなのかわからないのか?」
「神が絡んでいるということだけはわかりました。ですが、あれが何を意味しているのかはまるでわかりませんでした。我が王よ、あなたはあれをどう見ますか?」
すると今度は瑠奈の隣にアルトリアが出てきた。
「ええ。推測ですが・・・、この国の神の紋章でありこの国の主神が太陽を示すということなのではないでしょうか。」
そういうと栄華は
「そうだね。でもこの国の神は主神が二柱いるのよ。天津神と、国津神の二方にね。」
と捕捉した。栄華の隣に晴明が顕れた。
「そして、神樹を形作るのが国津神で我々の敵が天津神ということになる。では凛空の残滓よ、友奈の紋章についての知識を今我々が提示した情報に沿って話してくれ。」
『了解』
やはり声は凛空だがまるで感情がこもってなかった。
『情報から判断した結果その紋章は間違えなく天照大神のものである。』
すると、瑠奈が次の質問を凛空botに投げ掛けた。
「じゃあなんで友奈の体に紋章が刻まれたの?」
『理由は簡単である。凛空からの最後の情報のひとつに東郷美森の体に太陽の紋章が刻まれていたという内容があった。おそらく、結城友奈のものと同一と思われる。東郷美森は内行花文鏡の中に捕らわれ棒火祭の生け贄とされていたがそれを結城友奈が救出し、天の神は生け贄を失ったことになる。天の神は生け贄を選別した結果、全身がほぼ神樹によって生成された御姿によってできているため神に好かれやすい体になっている結城友奈を生け贄に選択。そして東郷美森救出の際、直接高天原に入ったときにその紋章をつけられたと思われる。』
「なるほど・・・。」
すると、蓮がこう聞いた。
「どうにかできないのか?」
『どうしようもない。さらに私は凛空からの小式神を使用し、結城友奈を常時モニターせよという最後の命令を施行していたがさらに日を重ねる毎に衰弱している。間違えなくタタリである。強力なタタリを付与されていた場合―。』
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~勇者部~
「みんなー」
風がそう一声かけると皆風の方に注目した。
「大赦が私達が壁の外に出たから一応健康診断するって。たしか明日だったかしら。勇者様のお住まいに参ります、だって。」
すると園子がピクッと反応した。
「ふーん。なーんか引っ掛かるけど~・・・まぁいっか!」
「どっちなのよ!」
とすかさず、突っ込む夏凜。
「大赦が・・・ですか?」
と、相変わらず元気がない友奈が質問した。
「らしいよー。」
「しておく分にこしたことは無いわよ、友奈ちゃん。」
と、美森が言う。
樹も
「そうですよ。」
と同意した。
「ところで、なんでここ一週間は守護者組がいないんでしょう?」
と、樹が頭の上にハテナを浮かべた。
「おー、言われてみれば~。ふーみん先輩はなんで休んでるのか知ってるんですか~?」
「知らないわよ。」
と、勇者部はいつもの勇者部だった。
ただ一人を除いて。
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~友奈の家~
「大赦の人・・・?」
友奈は少し困惑したが
「あ、け、健康診断ですね。どうぞ中へ。」
と大赦の人達を中へ招いた。
大赦の巫女達の中に一人だけ仮面をつけず黒い服を着た人がいた。
フードをとるとそこには、
「瑠奈・・・ちゃん?」
瑠奈の顔があった。
「一週間ぶりかな、友奈ちゃん。」