春休みの宿題ェ………
それと、魔理沙はヒロインではありません(もう何回言ったか忘れた)。そろそろ本物のヒロインに登場してもらいましょうかねぇ………
「あら、新しい顔ね。でも、凄く弱そう。さっさと片付けてしまいましょ。」
レミリアが、先程より一層濃い弾幕を張る。魔理沙や霊夢は何とか対応したが、戦い慣れしていない俺は見切れず、幾らか被弾してしまった。
「あがっ!」
激痛が走る。今まで感じたことの無いような痛み。体を庇うように動かした左手に集中的に被弾してしまった上、俺は霊力での身体保護が出来ないため、弾が弾幕ごっこ用とはいえかなり出血している。
「優弥?!」
魔理沙も心配してくれているようだが、濃くなった弾幕のせいで余り大胆な動きが出来ないでいるみたいだ。
魔理沙の戦う姿は、凄くかっこ良かった。見た目こそもうボロボロだが、確かにほぼ全ての弾を見切り、避けている。
これじゃあ、助けることも、認められることも出来ない。出来ることは、助けてもらうことと認めることだけ。
………そんなはずは無いと思っていても、魔理沙は俺のことを友達だなんて思っていないかもしれないと思うと怖かった。時間と共に関係が薄れていってしまいそうな気がした。
友達とは何かが、俺は友達がいなかったから、よく分からない。
心のどこかで魔理沙が家にいることが当然になっているなか、その『友達』という得体の知れない繋がりによって薄く繋ぎ止められているような感覚を恐ろしく思っていたのかもしれない。
では、どうすればそれをよりしっかりした関係にできるか。俺は無意識の内に魔理沙と霊夢を思い浮かべ、異変解決の実力で認められることを強く望んでいたのだろう。
左手一本、言うこと聞かなくなった程度で諦めるのか!魔理沙は俺にとってその程度の人間なのか!
使える腕は一本だけ。受け身の竹刀か、攻めの魔導砲か。
無論、何もしなくてもこの勝負はこちらの勝ちで終わるだろう。しかし、これを黙って見ていれば、本当に何のために来たのか分からなくなってしまう。
ポケットへ手を伸ばし、魔導砲を取る。魔理沙を助けるために、妖精さんがくれたもの。
幸い、レミリアは俺に対する興味を失ったのか、二人との戦いにのめり込んでいる。
時々流れ弾が飛んでくるが、被弾覚悟で、レミリアに照準を合わせる。今回は距離が遠いため、適当な照準では外れてしまうかも知れないので、丁寧に合わせる。
僅かに動く左手で右手を抑え、背中を壁に預ける。
照準をよく確認し、ボタンに指をかける。
「『魔符:妖精印の魔導砲』!」
レミリアがハッとしたような顔をする。
霊夢が興味深そうな顔をする。
魔理沙は驚きを隠せない。
この戦いで無力と判断された俺から放たれた、不意打ちの一撃。
美鈴、咲夜に続き正面突破ではないが、確かにこの一撃は、許容量以上のダメージをレミリアに与えた。
「優弥!無事だったか!?」
魔理沙がこちらに駆け寄ってくる。
大丈夫かと言われれば、左手が大分大丈夫じゃない事になっているが、そんな事を言うのは野暮というやつだろう。
「ああ、大丈夫………多分。」
「大丈夫じゃ無いだろ!こんなに出血して………
なんで異変なのに家から出たんだ!危ないだろ!」
魔理沙は、本当に俺のことを心配してくれているみたいだ。普段なら嬉しく思うが、今は何だか惨めな気持ちになった。
「なぁ、魔理沙。俺たちって、友達か?」
「急にどうした?そうに決まってるだろ?」
「良かった………多分、俺はそれを聞くためにここまで来たんだと思う。」
そう言うと魔理沙が、あっははは、と大笑いしだした。
「今更そんな事を確認して何になるって言うんだ。っていうかなんだそれ!だっさ!」
「だとしたら、お前が俺の友達第一号だな。」
「………時々思うんだが、昔なにがあったんだよ?」
「ちょっと良いかしら?」
ここで、霊夢が話しかけてきた。
「優弥さん、だったわよね?」
「ええ、そうです。」
「あんたみたいな力の弱い人間が、何であんな芸当が出来たのかは、この際は置いておいてあげるわ。でも、いろいろ聞きたいこともあるし、取り敢えず異変解決の宴会には必ず来ること。分かった?」
「分かりました。」
ここで霊夢と知り合いになれるのは都合が良い。宴会は何とか無難に乗り越えよう。それにしても、フランが出て来ないな………
「あーーーっ!?!?」
「ど、どうした!?」
すっかり忘れてた!フラン戦は異変当日じゃないんだった!
「いや、何でも無い。帰ろうぜ?」
「そうね。早く帰るわよ。」
何だかんだあって、無事攻略する事が出来た。何だかまだ忘れている物が一つある気がするが、そんな物のことはさっさと忘れて、俺たちは家に帰るのだった。