妖精さんと一緒   作:白糸

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第二章 日常編
第十四話 お客さん(射命丸)


「すいませーん!」

 

宴会からしばらくたったある日のこと。家にお客さんがやって来た。

 

最近、手の空いた妖精さんたちが霧の湖沿いに人里まで続く道を作ってくれているようなのだが、まだ完成したとは聞いていない。なので、まさか人里からのお客さんではないと思うんだが。

 

「どちらさまです?」

 

ユズが俺より先にドアを開けてお客さんを確認したみたいだ。

 

「あら、可愛い~!お名前はなんて言うんですか?」

 

「ユズてす!おようじはなんです?」

 

「優弥さんはいらっしゃいますか?」

 

「はい、私ですが。」

 

俺も続いて玄関先に出る。

 

「どうも!私、伝統の幻想ブン屋こと、射命丸文です!本日は新聞の購読勧誘に来ました!」

 

文々。新聞といえば、二次創作や原作の一部の人々にはゴシップ記事扱いされているが、原作では確証を得た情報のみを記事にしていると言っていた。

 

「そうですか!しかし、今の私には対価として支払えるものは特に………」

 

これはまさに情報収集にはうってつけの手段であるが、今の俺は対価となる現地通貨を少しも持っていない。

 

「それに関しては、本日分は取材を受けてくだされば特別にタダで差し上げても良いですよ!今や貴方は注目の的ですから、記事を書ければ購読者数が他の新聞を引き離すこと間違いなしです!

 

次回号が発刊される頃には人里とここは繋がっているでしょうからお金も用意できるでしょう。何も問題ありません。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけで、新聞入手のために取材を受けることとなった。

 

「まずは、自己紹介を言って、どうぞ!」

 

「茅嶋優弥、14歳。身長165㎝、体重45㎏です。」

 

「ほうほう………身長の割には軽いですね。」

 

文が不思議そうにそういった。

 

「えぇ、外では引き籠もりがちで全く動いてなくて、その上ご飯は殆ど食べていませんでしたから筋肉も脂肪もありません。」

 

「そ、そうなんですか………能力は?」

 

「無いです。」

 

「無いのに異変解決に乗り出したんですか?!」

 

文は大袈裟に驚く。いや、事情を知らなければそれが当然か。

 

「いや、まぁ頼りになる道具があってね。まぁだから能力が無くても戦えたんですよね。」

 

「特別な竹刀と魔導砲のことですね。」

 

「ええ、あれが無ければ家を出ることすらままならなかったかも知れませんね。」

 

「なるほど………」

 

文は俺の言うことを一つ一つメモしていく。どうやらゴシップ記事にされる心配はしなくてよかったようだ。

 

「真面目なんですね。」

 

「そうです!清く正しい射命丸ですから!見たこと、聞いたことを正確に読者の皆さんにお伝えします!」

 

凄く真面目だ。正直俺の中の射命丸の像が爆音を立てて崩れていったが、こちらの方が好印象が持てる。

 

「そうそう、風の噂程度に聞いたことがあるんですけど、優弥さんとともに異変を解決した魔理沙さんと付き合っているって本当ですか?」

 

まだその噂が残っていたのか………

 

「確かによく聞かれますけどそんなことはありません。ついでにロリコンでもありません。」

 

「ふぅん?本当ですか?」

 

「それは魔理沙さんと付き合っていないということに対してですか?それともロリコンではないというところに対して?」

 

「両方です!」

 

すごく笑顔でそんなことを言われた。そんなに俺はロリコンだと思われているのか。噂って怖い。でも、見たこと聞いたことを正確に伝えるならこれで噂も払拭出来る。

 

そう思っていたんだが。

 

「ゆうやはへんたいさんですが?」

 

「違うわ!」

 

こんな最悪のタイミングでユズが爆弾発言をしだした。

 

「やっぱりですか!その事について詳しく!」

 

「わかったです、みみかっぽじってきけです!」

 

そしてそのまま射命丸はユズに俺のことを質問しだした。その後でしっかり否定したが。

 

 

 

「(今度の記事に載せよっと♪)まぁその件は良しとして。どうしてここにはこんなに妖精さんが?それに見たことのない種類がいますね。」

 

「見たことのないっていうのは分かりかねますが、数については恐らくここで育てているサトウキビを盗むためでしょうね。」

 

「なんと!」

 

また文が大袈裟に驚いた。何がそんなにおかしいっていうんだ。

 

「幻想郷では砂糖は貴重品ですよ!いや、是非今度うちのカフェに砂糖を卸してくださいね!」

 

なるほど。ここでは砂糖が珍しいのか。そう言えば射命丸はカフェを人里で運営していたから、そこで使うのか。ここでは妖精さんの謎パワーで凄い増産されているのでたくさん卸せそうだ。

 

「了解です。良い収入源になりますね。」

 

「うっさいなぁ………何の話をしてるんだ?」

 

そこに魔理沙がやって来た。さっきまで寝ていたのか、髪はボサボサでボケっとしている。

 

「な、な、なっ………!射命丸、見ちゃいました!」

 

おい射命丸、それはお前のネタじゃないだろ!

 

「お泊まりデートですか!昨日はお楽しみだったんですか!」

 

「(昨日?宴会のことか?)ん?まぁ、楽しかったぜ………?」

 

「言質はとりました!それでは!」

 

そう言って、射命丸は目にも見えぬ速さで玄関を飛び出して、次の瞬間には風だけを残して消えた。

 

「あんの野郎………」

 

「やろーでねーです、おとめです!」

 

「んぁ?どういう事だ?………まぁ良い、何もないなら二度寝するぜ………」

 

ユズが「ていせいしろです!」とか言っている間に、魔理沙はまた部屋に戻ってしまった。

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