悪いひとたち ~南方深海泊地へようこそ!~   作:シャブモルヒネ

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清霜改二実装記念
グアムに行こう!①


 不明瞭な世界。

 気がつけば祝福の声に囲まれていた。

 

『清霜おめでとーっ!』

『改二おめでとう!』

『戦艦護衛駆逐艦!』

『コンバート!』

『超強そう!』

 

 ん?

 あれっ?

 えーと……どういう状況?

 

『ポーズとってポーズ!』

『そう、左手をぐいっと掲げて足をクロスして……』

 

 えっとお……? こ、こうすればいいの?

 

『いいね~スゴイ! スゴく改二って感じ! カッコいい!』

『口開けてみて! あ~いいね~、改二って感じ!』

『次は口閉じて! ああ~いいねえ~~、丁って感じ!』

『すごい!』

『カッコいい!』

 

 え~~? えへへ……ほんと? 清霜、カッコいい? すごい?

 

『もちろん!』

『今日はね、とってもすっごくカッコよくなった清霜のためにぃ……じゃーん! ステーキを用意してみましたー!』

『ハンバーグも!』

『唐揚げもあるよ!』

『あとベーコン!』

『チキンも!』

 

 わあぁぁ……! これ食べていいの? やったぁ、いただきまーーーす!

 あ~~っむ!

 ……むっ。

 むむっ?

 あれ、なんか……味しないよ?

 なんで?

 ていうか、ここ、どこ?

 あれえっ?

 

 

 

 

 

 ぱちくり。

 

 目が覚めた。

 覚めた。ということは寝ていたということである。

 夢を見ていたということである。

 しばし呆然と、清霜は見知った天井を眺めていた。

 身を沈めているのはハンモック、差し込む陽射しは南国特有の眩しさで、ここが自分たちの住み家であるガダルカナル泊地に他ならないと理解した。

「寝てた……?」

 もうずっとずっと眠っていた気がする、と清霜はぼんやり考えた。具体的にいうと前回から4年間近く眠っていた気がすると。前回ってなんだろう、まあそれはいい。

 ハンモックからぐるりと身体を横に回して床に降り立って、寝ぼけ眼のまま辺りを見回した。

 小汚い部屋のまんなかに大きなテーブルが置いてある。

 雑然とたくさんの物が積み重なっている。

 空き缶がある。インクの切れたペンも。手紙の山が積み重なって、十回は読み直した新聞紙も落ちている。工具があって、駆逐艦用の弾薬が立ててあって、徹甲弾の薬莢が転がっていた。

 ……無い。

 最も重要なアレが無い。

 ステーキが無い。ハンバーグが無い。唐揚げも無いし、ベーコンも無いし、チキンも無い。テーブルの下を覗きこんでも見当たらない。

 つい先ほどまで確かにこの手のなかにあったはずの山盛りの肉料理の数々が一つもどこにも存在しなかった。

「お肉ぅ食べたかったのに~~!!」

 

 

 戦艦になりたい。

 それがかつての清霜の夢だった。

 駆逐艦から戦艦になる!

 そりゃあ当の清霜だって本気の本気でなれると信じていたわけではない。しかし現実は奇妙なもので、なんやかんやの事件の数々をくぐり抜けていたらマジで戦艦になっていた。そう、自称ではない本物の戦艦に。代償は高かったけれど。

 なれたのはただの戦艦ではなかった。深海棲艦の戦艦だった。

 戦艦レ級flagshipになってしまっていた。

 人類の味方からいきなり敵へとジョブチェンジした。戸惑う間もなく戦渦に巻き込まれ、生き抜くために右往左往しながらムカつく奴をぶっ飛ばしていたらいつの間にかそこそこの安寧を手に入れていた。

 清霜は事の経緯をきちんと把握しているわけではない。

 それでも「まあ悪くない人生なんじゃない?」と思っている。

 ずっと一緒だった司令官も隣にいるし、癖はあるけど信頼できる仲間たちも増えている。

 ただし悩み事がないわけではない。

 魅惑の南国。白い砂浜、透き通る海水に、きらめく太陽……観光地としてはSクラスかもしれないが住み続けるとなると話は変わる。テレビが無い。漫画も無い。ゲームなんかあるわけない。手製のトランプは三日で飽きた。とにかく娯楽が無いのである。

 加えて衣食住にも不便する。

 服は我慢できる。住居がボロなのも慣れた。しかし、食。これだけは限度というものがある。魚介類とそのへんに生えている植物(ヤシの実など)を獲ってくるのがメインの食材で、あとは目とは鼻の先にあるショートランド泊地から極稀に分けてもらえることもある、といった具合である。

 代わり映えのしない食卓。黄金よりも貴重な調味料は底が尽き、魚を生で食べるか焼いて食べるかという日々。肉が食べたいと誰かが言い出して、鳥を撃ち落として食べてみた。あまりの旨さに住人たちは狂喜して獲りまくる。獲り尽くしそうになって賢い者が自制を説いた。しかしバカが隠れて獲ろうとした結果、獲ったもん勝ちの状況ができあがる。競争が始まり、肉が絶滅。肉を食べられなくなった。

 肉が食べたい。

 肉が食べたいよう。

 

 そんなゾンビじみた思考に支配されつつあった住人たち、その一人である清霜が呟いた。

「ステーキが食べたい。ハンバーグも食べたい」

 ぶっすー、と頬杖をついた清霜の膨れ顔を振り返って、新貝は一言、

「俺だって食いたいわ」

 ガダルカナル島に住む深海棲艦たちの提督、新貝貞二。自身も含めて人間時代の記憶を色濃く残す者たちをまとめ、今は人類と深海棲艦の中間の立場で各方面と繋がっている。安全保障の交渉もあれば、物資の融通の駆け引きもある。後者についてはあまり上手くいっていない。

「今度な、ショートランド泊地から食い物をもらえるかもしれない」

「またそれ。こないだなんてパンしか入ってなかったじゃない」

「次は肉を入れろって言っておいた」

「くれるって言ってた?」

「……確約はできないって」

 はあ~~、と清霜はバカでかい溜め息をつく。かつては純真だった少女も繰り返し裏切られれば人を疑う心を持つものだ。

 人間は、深海棲艦に誠意を尽くしたりしない。

 特に新たに常駐するようになったアメリカの艦娘たちは深海勢である自分たちに厳しい。親交を深めるための演習戦で実弾をぶっ放してきたりする。もっともこちらも実弾で返したからお互いさまではあるけれど。

「お肉がね、食べたいの」

「俺だって食いてえよ。つか皆が食いてえよ。無いもんは無い。しょうがねえだろ」

「あるところにはあるじゃない?」

「そりゃお前……こないだ熊野が言ってたやつか?」

 グアム島には深海棲艦の街があり、飯屋が軒を連ねる大商業施設まであるという話。

 なんでも交通の要所にはそういった拠点ができやすいらしい。グアムは太平洋のなかではユーラシア大陸寄りの島ということもあり、中国・日本といった北側とアジア諸島やオーストラリアといった南側を繋ぐ拠点として栄えているとか。

「だからね、そこに行ってお肉が食べたいの。すごく食べたい!」

「んなこと言ってもお前、北の魔女が来るって宣戦布告してきてるし……」

「来ないじゃん! 全然来ないじゃん!」

 北の魔女。

 ガ島泊地に宣戦布告してきた大ホッケ海の深海棲艦の一団だ。しかし彼女たちは予告したくせに一ヵ月が過ぎてもガ島に現れなかった。

「熊野さんが噂話を教えてくれたでしょー。日本を通る途中でやっつけられちゃったかもってやつー」

 その深海勢の情報屋である熊野、曰く。

 本来なら海軍も静観すると双方の間で話がまとまっていたはずなのに、一団のボスである北の魔女が突然「富士山に登りたい!」と言い出して相談なしで駿河湾にルートを変更したらしい。駿河湾といえば首都東京に近く、横須賀鎮守府の目と鼻の先にある海域だ。そんな海を深海棲艦が突っ切って、更には日本の東西を繋ぐ大動脈である東海道本線と新幹線の路線を縦断し、あげく何万人もの人間が住む神奈川の地を踏むなど許されるはずがない。周辺警戒していた呉鎮守府と佐世保鎮守府の艦娘たちも加わった大連合艦隊がぶつかってボッコボコに蹂躙した結果、北の魔女の一団は一家離散の行方不明状態になったと話に聞いていた。

「まあ連中も来なさそうだし、グアムに行っても大丈夫だろうけどさあ……」

「いいのっ!?」

「お前一人じゃ行かせらんねえぞ。迷うし」

「迷わないーっ」

「敵対的な深海棲艦やヨソの艦娘が出たらどうすんだ。やられちまうぞ」

「やられないーっ」

「グアムは遠いんだぞ。一日じゃ着かない」

「むむむ……。だったら誰かと一緒に行けばいいでしょー!」

 新貝は、そうだなあと重々しく腕を組む。

「その誰と行くかが問題だ」

 

 というわけで。

 

「北上さんと雲龍さんと行くことになりましたーっ」

「平気かなぁ心配だなぁ」

「だーいじょうぶよっ! だって清霜、戦艦だもんっ! ねっ北上さん!」

「おー。お肉食べたいよねー。あとピザとかさ~」

「う、雲龍、頼むぞ。お前がお目付け役だからな」

「分かってます。ちゃんとラーメンと餃子を食べてくるわ」

「おい~~っ」

 ガ島泊地のさして多くない戦力をどう分けるか、それが問題だった。

 最近は南方海域も安定しているしグアム島の周辺も危険はないと聞いている。しかし全員で観光旅行に出かけてガ島を空にするわけにもいかない。同行希望者を募って選定し、戦力を振り分けた。

 結果、選ばれたのがこの三人だ。

 レ級flagship、雷巡棲姫、空母棲鬼。

 数はともかく質は一線級。大抵の敵は追い返せるだろう。

 ざざぁーん、ざざぁーんと打ち寄せる波打ち際で、多くの仲間たちに見送られて三人の深海棲艦が大海原へと漕ぎ出していく。

 居残り組たちは旅の安全を願って、こぞって手を振った。

「お土産にお菓子忘れないでねーーっ!」

「山雲はぁ~、アイスクリームが食べたいです~」

「ドラム缶に入れてたら溶けるでしょうに。やはり船と冷蔵庫を手に入れる必要があるわね……」

「俺は漫画がいいっ! 本屋があるらしいからハンターハンターと……バスタード! あと喧嘩稼業! もうさすがに続き出てるだろ! 頼んだぞ~!」

「イムヤは携帯ゲーム機が欲しいなぁ」

「あらあらァ……皆さん欲しいものばっかり……。薄情ですねェ」

「ふん。心配など。子どもの使いでもあるまいし」

 青空を見上げればヘンダーソン飛行場から偵察機が飛び立っていく。ぎらつく陽射しを浴びながら旅人たちを見守ってしばし旋回し続けた。

 

 で。

 当たり前の話だが、タダでメシが食えるわけがない。

 飯屋でも本屋でも服屋でも、購入するためにはお金がかかる。しかしそこは深海の街、人間の通貨は使えない。

 では何を使って食事をしたり物を買ったりするのか。

 深海棲艦の世界では物々交換が主流だが、街の中でどでかい水牛の死体や自動車をずるずる引きずって歩かれては迷惑だ。臭いしハエは飛ぶし、そこら辺にぶつけられたら建物が壊される。

 なのでグアムでは暫定的に、グアム内限定で使うことのできる通貨で取引することになっていた。

 通貨の名称はグアム・アビス・ドル。

 略してGA$。

 相場はおよそ日本円に等しいと思ってもらっていい。150GA$あればペットボトル一本分のジュースを買えるといった塩梅だ。

 なので来訪者は、まずグアム島に到着したら街の入り口の質屋に行き、持ちこんだ燃料弾薬や食料、衣類、電子機器などをこのGA$に換えてもらう。それがグアムの商業施設を利用するためのお約束だった。

 

「つまりお金をもらうためには何かを持っていなきゃいけないってわけね!」

 無人島に上陸し、意気揚々と清霜が浜辺の砂を踏みしめた。

 目の前にはうっそうとした原生林が広がっており、頭上には野鳥がいきいきと飛んでいた。

「見て見て北上さんっ! 鳥っ! 生きてる鳥がいるー!」

「そりゃいるでしょ。ガ島みたいに獲り尽くしてないんだから」

「清霜、撃ち落としたらダメ。なるべく無傷じゃないと買取額が落ちるから」

「うんっ!」

「にしてもさ~、貧乏は嫌だよね~。買い物するための質草も無いんだからさ」

「仕方ないわ。ここでお金になりそうな動物を捕まえていきましょう」

 金・金・金の世の中なのは深海棲艦の間でもさして変わらない。ガ島勢はドがつくほどの貧乏であり、高値のつきそうな価値のある品をほとんど持ち合わせていなかった。

 モノが要る。そのために道中で無人島に立ち寄って、こうして深海棲艦3人で狩人の真似事をしているのである。

「わああ~……!」

 無秩序に生え狂う木々と雑草をかきわけていくと蛇がいて鳥がいた。コーッコケーッ!と騒がしい鳴き声に誘われて草の広場を突っ切っると野生化したニワトリが現れた。すぐ傍にヒヨコを連れて悠々と闊歩している。

 小指ほどしかないトカゲは捕まえるとひっくり返って動かなくなった。死んだふりをしてるのだ。

「あっ、すごい! スズメがいるよ!?」

 日本にしか生息していないと思っていたのだろう、清霜はあっけに取られて立ち止まってしまう。懐かしの郷土の光景を思い出す気持ちは雲龍もよく分かる。

「飼いたいの?」

「う~~、我慢します……」

 あくまで目的は値のつきそうな動物の確保である。

 誘惑を断ち切り、更に進んでいくと、なんと野生の豚を発見した。これはすごい捕まえようと腕をまくっているともっとすごい生き物を見つけた。ひんやりとした小川で水牛がくつろいでいた。傍らではマングローブオオトカゲが舌をちろちろと出しながら水を飲んでいる。なんだここは、肉の天国か。ガ島とのあまりの違いに、普段は眠たげな雲龍も瞳を見開いているようだった。

 とはいえ海上を運べる量には限度がある。

 水牛を捕まえたいところだがドラム缶には収まらない。だったら担げばいいじゃない! と清霜が鼻息を荒げたが無謀すぎる提案だった。いくら戦艦クラスの怪力であろうと牛の巨体を担げば航行に支障がでてしまう。

 ここはやはり無難に豚がいいだろう、いやいや大トカゲのほうが珍しいから高く売れそう……と3人で吟味していると、不意に北上がぴくりと耳を傾けた。

「ちょいと」

「どうしたの?」

「いや、なんか声がした。あっち」

 北上はじっと林の奥を見つめている。

「ひとの声だ」

「えっ、艦娘かな?」

「ん~……深海棲艦っぽい。なんか、揉めてる?」

 

 

 

 

 

「へいへいお嬢ちゃんたちこんなところで何してんのぉ~? アチキらと一緒に遊ばな~い?」

「えええ、な、なんスか、いったい……」

「お前らよぉ日本のモンだろ? 日本出身のやつはよく働くって評判だからよ~、ウチんチームに入れてやんよ~ありがてぇなあオイ~」

「い、いやぁ、自分たち、もう所属してるとこあるんで……」

「なんだぁ文句あるってのかぁ? ガキは大人しくついてくりゃいいんだよあーっ」

「ひぃぃ、ちょっ、困るんですけど……」

 南国のジャングル奥地で、なぜか恐喝じみた勧誘が行われていた。

 長身の3人の深海棲艦が、小柄な2人の深海棲艦に対して凄んでいる。

 あるいは日本出身という台詞を聞かなかったら清霜たちもスルーしていたかもしれない。力こそが正義のこの深海の世界、自分の身は自分で守るのが常識だ。

 しかし同郷の者であると聞いてしまったら話は変わる。肩入れしたくなる程度の人情は彼女たちにも残っていた。北上は指を鳴らしながら一歩ずつ近寄っていく。しかしヤンキーもどきの連中たちは背中を向けたままで気付かない。

「お嬢ちゃんたちはま~だ分かってないみたいだねぇ? アチキらがあの南方海域の暴れ竜って呼ばれてること」

「あ、暴れ竜っすか?」

「そーよ! かの南方海域をシメた超強~い深海棲艦といやぁ何を隠そうアチキらのこと! まずはこのアチキ、超戦艦キヨ・シモ・ザ・グレートとっ!」

「超雷巡、アルティメット・キタ・カミっ!」

「そして超空母のデカパイ・ザ・ウン・リューに逆らおうなんざ……」

「こんにちわ」

 

 ドカーン!

 

「ギャアアアアア!!」

「なっ……なんだあっ!?」

 ヤンキーじみた深海棲艦たちが振り返る。

 そこにいたのは黄金色の瞳をもつレ級、の右拳だった。

「どうもでーす超戦艦の清霜でーす、本物でーす!」

 

 ドカーーン!

 

「ウギェエエエ!?」

 会話するためには同じテーブルにつかなければならない。

 しかし南方海域では殴り倒されるまで誰も座らない。遭遇・即・攻撃の流儀に染まりきったガ島泊地のメンバーはそんじょそこらの半グレよりもタチが悪かった。

「肖像権侵害ぱーんち!」

 

 バゴーン!

 

「ホゲェエエエ!!」

 速攻ダイレクトコミュニケーションにより3人ともぶっ飛ばした。

 最後の奴は「まっ待ってくれ!」となにやら話そうとしていたが、即座に降伏できなかったのが悪すぎた。偽者たちはそれぞれ名乗った本物たちの手により昼の星へとなっていく。最後に制裁を加えた超雷巡の北上は何事もなかったかのように振り返りってへらへら笑う。

「いやーパチモン見たの初めてだー。もしかしてアタシらって有名?」

「なっなっ、なに、なんの用スか……?」

 突如吹き荒れた暴力の突風に小柄な深海棲艦たちは目をぱちくりさせている。そりゃ退け腰になっても仕方ない。

「特に用はありません。私たちは通りすがり」

「そ、そうなの……?」

 すわ新たな脅迫者かと不審がる少女たち。清霜は構わずにニコニコと近寄っていく。

「ここで会ったも何かの縁じゃない? 私は清霜って言います。あなたたち日本艦? だったらいっしょ!」

「あ、はい。……えーと、ほんとに日本のひと?」

「そう、日本の艦娘でした! あなたのお名前は?」

「ええと、あたしは――」

 もう一人の相方を守るようにして立つ少女は全身が白かった。

 服も白ければ、肌も白い。髪も脱色したように真っ白だ。アルビノよりも更に白い姿は深海棲艦としては珍しいものではない。清霜たちも艦娘時代に資料映像で見たことがある姫級だった。護衛棲姫と呼ばれる軽空母。

「ええと、トゥリー……って今は名乗ってマス。艦娘のときは大鷹、でした」

 もう1人の少女も肌は白い。けれど纏う服は黒かった。

 透き通るような水色の瞳、ヘアスタイルは黒髪ロングで、和服の肩を紐でたすきがけにした楚々とした佇まい。つるりとした肌質と相まってまるで等身大の日本人形のようである。俗に駆逐古姫と呼ばれる駆逐艦の姫級だ。

「チェティーリ」

 こちらは艦娘名を名乗らなかったが清霜たちは気にしない。

 握手のために腕を伸ばしていく。

「私たちね、グアムに行く途中なの。よろしくね!」

 




他の話と並行して書いているので更新はいつになるか分かりません。
いや~短編に収まらないどころか舞台のグアム島に着きもしないとは思いませんでした。
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