うちの客の勘違い度合がもう手遅れレベルなんじゃが⋯ 作:セイハラン星人
希望ヶ花商店街の裏路地には、たった一軒だけ喫茶店が営業している。人の目につきにくく、希望ヶ花市の住民達でも知らぬ人が多く、訪れる客はだいたい決まっている。
店の名前は『アンダンテ』
どうやら今日も、悩みの種を抱えたお客がやってきたようだ。
「いやいや、やってきたようだじゃなくてね?」
特にこれといって言うこともない服を着ていながら、シャレのつもりか襟を立て肩にパチモンのゆるキャラを付けているところに妙にイラっと来る、それでいて某ポケットなモンスターに出て来るボスのような男がなにやら言っているがどうでもいい、名前は確かビューンとか言った気がする」
「長々と語ったと思ったらほぼディスられただけなんだけど聞こえてたからね?あと僕の名前はデューンだよ」
「失礼ヒイロさん」
「僕はそんな事あるごとに自爆するような名前ではないし何度も言うけどデューンだよ」
「失礼、噛みました」
「違う、わざとだ」
「噛み死ねば?」
「せめて隠そうその殺意!?」
隠せるわけがないだろうが、何を言っているんだこの男は?今日の客がデューンというだけでやる気が消えていく⋯⋯
「で、ご注文は」
「コーヒーを一つ」
「かしこまりました、インスタントですね」
「なんでさ⋯」
コーヒーを作りながらデューンを見る、相も変わらず疲れた顔をしているが、自業自得なのでどうしようもない。
「はい、コーヒー」
「ありがとう⋯ん、美味しい、ちゃんと淹れてくれてるじゃないか」
「それマ〇シム」
「oh⋯」
「それで、どうなのさ」
「⋯⋯何がだい」
「誤解」
毎度同じことを聞くが、そのたびに冷や汗を流して目をさまよわせている。変わらないとこを見ると今回もお察しのようだ。
「はあ⋯」
「もう無理なんじゃないかと思えてきたよ⋯⋯」
真っ白に燃え尽きたこのデューンは、砂漠の使徒という組織の頭領なのだが、はるか昔に母星を失なった流浪の民であり、第二の故郷を求め地球に訪れた、ようは宇宙人である。
地球に移住しようと降り立ったまではよかったのだが、ここで地球が砂漠の使徒を侵略者と判断しプリキュアを生み出した。悲しいね。
初めは直ぐに解けるだろうと思われた誤解も気づけば4世紀も経過、良くも悪くもプリキュアに選ばれた者は真っすぐな性格が多いようだとデューンは語っている。
4世紀も誤解されていることを笑えばいいのか、誤解が解けないことを悲しめばいいのか分からないが、チャンスがなかったわけでもない、先代のプリキュアであるキュアフラワーが稀にみる話の分かるプリキュアであったからだ。
これには砂漠の使徒も大歓喜である。
しかし、ここでデューンのストレスがまさかの大噴火である。馬鹿野郎。
4世紀の間に溜まったストレスが金輪際ないかもしれない千載一遇チャンスであったにも関わらず爆発させてしまい、砂漠の使徒も意気消沈である。
特にサラマンダー男爵が酷く、ボスナッキー曰くFXで有り金全部溶かした様な顔だったそうだ。
こうして振り返ると酷いもんだな⋯⋯
「だが新しいプリキュアが出たんだろう、そいつは駄目なのか?」
「まだ報告でしか見てないんだけどね、冷静な子ではあるようなんだけど⋯⋯」
「嫌な予感しかしない」
「サバーク博士の娘さんらしいんだよね」
ゆりちゃんだったかー
「いや、むしろ解きやすいんじゃね?サバーク博士が説明したら一発でしょうに」
「それが、さ」
「なに」
「実は誤解を解こうと行ってもらったんだけど、娘が真剣に立ち向かおうとする姿を見てたら自分の知らないところで成長していたんだなと思ったらしくてね」
「ん?」
「誤解を解くことなく悪役ムーブに徹してしまったそうなんだよね⋯⋯」
「」
サバークェ⋯⋯