戦うことを選ばなかった凡人   作:ロック大佐

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 危うく週一投稿記録が切れそうだったので初投稿です。
 俺はギリギリ間に合ったぞ! ジョジョーーッ!!


皆揃って狂戦士(時々ママ)

「本当に、何も覚えていらっしゃらないのですか?」

 

 ……なんて答えたらいいのだろうか。

 俺には当然ながら安珍としての記憶なんてない。

 だが、清姫がどんな人物かは知っている。つまり覚えていないという答えは嘘になりかねない。

 せめて安珍の時の記憶をって言ってくれれば即否定できたのだが。

 

「……安珍の記憶は俺にはない。清姫さんと出会ったのも最初の挨拶の時だ」

 

 ここまでは嘘センサーには引っ掛からないはず。事実清姫の様子に変化はない。

 ただ、これだけでは納得はしないだろうから上手い言い訳を言わなければ。

 俺は脳を回転させて考える──

 

「ふむ、そうですか」

 

 ──が、意外なことに清姫はあっさりと納得した。え? 今の返答だけでいいの?

 質問攻めがもう終わったことに困惑したのを察したのか清姫は俺に説明をし始める。

 

「わたくしが知りたかったのは覚えているかという一点でしたので。先程も言ったようにそれ以外のことについて追求するつもりはありませんから」

「そ、そうなんですか」

 

 それだけ言うと清姫は自分の席へ戻って行った。

 どうやら他のことについての質問は次の機会に持ち越されたようである。

 意外すぎるほどにあっさり終わったな。実は罠じゃないよね?(疑心暗鬼)

 まあこれ以上質問されないのなら万々歳である。ここ食堂だし。

 そうだよここ食堂だよ! 誰かが今の会話を盗み聞きしてた可能性もあるんじゃ?

 思わず周りをチラチラ見てみるが、特にこちらへ注目している人はいなかった。

 ざわめきで聞こえなかったのか? それとも凡人の会話内容なんて興味ないのか……。

 机を見つめながら考えていると目の前にステーキが置かれた。

 それに続くようにご飯茶碗が置かれる。どうやら立香が丁度ご飯を持ってきてくれたようだ。

 

「ありがとう! 朝からステーキとは贅沢だね」

「裕司の好物は肉! ならそれを持ってくるしかないと思ってさ。遠慮なく食べてね」

「Fuuuuuuuuuuu……」

 

 流石立香。正直朝からステーキは若干重いが、確かに大好物である。

 立香も清姫の隣の席に座ったので早速食べ始め……ちょっと待て。

 隣から変な声が聞こえた気がする。フー! ってな感じの声が。

 ゆっくりと横を振り返ってみる。そこには黒い鎧姿の人物がいた。

 

「Guuuuuu……」

「あ、バサスロさん! どうしたの?」

 

 そこには手にお盆を持っているバーサーカーランスロットが立っていた。

 ランスロット()、俺達に一体なんの用事や。

 お盆の上に料理が乗っているが、まさか相席したいとか?

 というかどうやって食うんだよ。食う時ぐらいは兜を取ったりするのかな。

 

「Vaaaaaaaaaa!」

「なるほど、相席してもいいかっと……裕司、相席大丈夫?」

 

 俺 に 聞 く な !

 断ってもいいことなんてないだろ。実質選択肢は一つだけじゃないか。

 そもそもなんで言葉がわかるのだ立香よ。それも特典の影響? 元から?

 とりあえず断る理由はないのでOKサインを出した。だからこっち見んな。

 

「Merciiiiiiii!」

 

 するとバサスロさんは感謝の言葉を叫びながら俺の左隣の席についた。なんでさ。

 

「あれ、裕司の隣でいいの? バサスロさん」

 

 バサスロットは立香の質問にコクコクと頷いた。

 すると立香はそっかーと言いながら食事の方へ集中する。

 おう、友人がバーサーカーの隣にいるんやぞ。もっと危機感持ってください。

 

「ご安心くださいませ。バサスロさんは温和な方ですのよ」

 

 不安に思っていると清姫が彼は見かけに寄らず穏やかな人物だと説明してきた。

 確かにバサスロットはバーサーカーの中でも比較的穏和とか言われてたが……。

 そんなことを考えていると、突如右隣に誰かが座った。

 今度は許可も取らずに座ってくる人が現れたぞ。一体誰だ?

 俺はチラリと右側を見てみると、その人物はヘラクレスだった! なんでさ!?

 

「■■■■■■■■■■ーーー」

「あ、ヘラさんも相席希望? ……裕司、席変わる?」

 

 流石にバーサーカー二人に挟まれてる状態はやばそうだと思ったのか、立香が提案してくる。

 その表情は結構心配そうで、こちらの身を案じていることが一目でわかる程だ。

 正直、凄く魅力的な提案だが丁重にお断りした。

 この二人がわざわざ俺の隣に座ってきたということは何か考えがあってのこと……のはずだ。

 ならば逆にこのまま食事をすることで信頼を勝ち取ることができるのではないだろうか?

 そう考えた俺は凄く怖いけどバーサーカーに挟まれた状態で食事を取ることにした。

 何かが切っ掛けで暴れ出さないか少し不安だが、まあ立香がいるから大丈夫だと信じよう。

 

「いただきます」

 

 立香達と一緒に食事の挨拶を済ませ、箸を取って肉を分ける作業に取り掛かる。

 

「ぬ、む」

 

 箸を取って肉を分ける作業に取り掛かる(Take2)

 

「ぐむむ!」

 

 ……取り掛かったは良いものの、肉がしぶとく繋がり続けている。

 しばらく肉と奮闘していたが、どう頑張っても切れそうにない。

 おのれ、箸じゃ無理なのか! ナイフを持って来いってことか!

 

「立香。ナイフがどこにあるか教えてくれない?」

「あ、ごめん。箸じゃ切り辛かったかぁ……じゃあ私が持ってくるよ」

「いや、俺が自分で持ってくるから大丈夫だよ」

「いやいや、私が──」

「いやいや、俺が──」

 

 立香とどちらが持ってくるかの議論をしていると皿からカチャリと音がした。

 なんだと思って見てみるとそこには俺の皿にバサスロットがナイフを置いていた。

 もしかして使えってことなのか?

 バサスロットに顔を向ける。するとバサスロットはサムズアップをした。

 ありがとうバサスロさん。気持ちは凄く嬉しいよ。

 でもこのナイフ()()()()()()んだけど使っても大丈夫なの?

 

「ありがとうございます。バサスロ、さん?」

「…………」

 

 バサスロットは既に侵食されているナイフとフォークで食事をしている。

 わざとなのかマイ食器のつもりなのかどっちだろう。

 というか兜の隙間に料理突っ込んでるんだけど、それちゃんと食えてるのか?

 チラリと視線を立香に向けるが、既に立香は自分のハンバーガーを頬張っている。可愛い。

 ヘラクレスに目を向けると豪快に巨大な肉を頬張っている。ワイルドだぜぇ。

 とりあえず折角渡してくれたナイフを無碍にするわけにもいかないので食事を再開する。

 結果、バサスロットの渡してきたナイフは驚くほど簡単に肉を切断した。

 そのお蔭で美味しくステーキを食べれたのだが、皿が傷だらけになってしまった。やべぇ。

 

「すいませんでした! 本当に!」

「かまわないがそのナイフは危険だ。こちらで預かっておく。今度は直接取りに来るといい」

 

 優しい。怒らないでくれてありがとうおかん(エミヤ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に美味しかったね、今日ねー」

 

 食事を終えた俺達は再び仕事場の見学&案内を再開させた。

 ちなみにバサスロさんとヘラさんは食事を終えたらどこかへ行ってしまった。

 結局何がしたかったのだろうか……実は何も考えてなかったとか?

 疑問を抱きながらも立香と二人で通路を歩いていく。ちなみに清姫は用事があるとかで別れた。

 安珍疑惑のある人間を一旦放置するレベルの清姫の用事って嫌な予感しかしないんだが。

 

「これから毎日あのレベルの食事ができるんだぜ? だぜー?」

「それは毎日が楽しみになるな!」

 

 今日食べたステーキは本当に今まで食べたものの中でも一番レベルで美味しかった。

 あんな美味いものが毎日食えるなら永住するのも悪くないかも……。

 いや、騙されるな俺。ここは死と隣り合わせのブラック企業だ。

 俺は意思をしっかりと持つ。

 

「ここの職場は個性的な人達が多いね」

「まだまだいるけど大丈夫? 疲れてない?」

「大丈夫だ、問題ない」

 

 既に覚悟はできているよ。主に頼光ママと出会う準備はな。

 ここまで連続でやばい鯖に出会ったら流石にわかるぞ。

 恐らく今までの出会いは偶然じゃない。偶然で溶岩水泳部と連続エンカウントなんてするかい。

 静謐ちゃんと清姫とはもう出会った。ならば次は必然的にあの人だろう。

 さあ、掛かってくるがいい。溶岩水泳部の中でも最も面倒臭いと言われているお母さんよ。

 覚悟はいいか? 俺はできている!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかあさん見ーつけた!」

 

 俺が、俺達がお母さんだったのか?(錯乱)




 好感度を上げると一般人解体ショーの始まりや。
 好感度を下げると一般人解体ショーの始まりや。
 詰んだッ! 第一部完!

 次回からは英霊に殺されたという事実から逆説的に英雄が殺すに値する凄い人間という意味不明な理由で魂を英霊の座に誘拐され、すぐにカルデアに召喚された裕司がなんやかんや色々苦労する第二部が始まります(大嘘)



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  • 一番下
  • 日常編と次の章の間(何を書くかは不明)
  • どうでもいい
  • お母さん! 僕のお尻から焼きそ(ry

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