身長160センチ無いと戦えんわ!って、その前にハードモードすぎて泣いた!!!   作:あるれしあちゃん

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第111話

頭を撫でるように触る感触に意識が戻って来た気がした。本当に触れてるかどうかというくらいで撫でられる頭。何往復か頭を撫で付け、その手はゆっくりと離れた。鼻を掠めるのは先ほどのマルフォイの香りではない。そうなると、頭を撫でていた物好きは誰だろうか。

 

気づくと、談話室で聞こえてくるはずの談笑の声もしない。私はソファにもたれかかったまま眠ってしまい、夕食どきかはたまた就寝の時間まで眠ってしまったのだろうか。

 

同窓会に参加しなきゃいけないのに。

 

「...アルレシア」

 

小さくポツリと、それでいてはっきりとした声に驚いて私はビクッと身体を動かして目を開けた。

 

「あ、え、あ...」

 

「...寝すぎだね」

 

「せ、セオドールさん」

 

私の隣でソファに腰掛けていたのはノットだった。いつもと何ら変わらない、読んでいただろう本を傍に置き、窓の向こうを眺めていた。

 

「アルレシアが寝こけてるなんて、初めて見たよ」

 

「試験で寝不足だったんです。マルフォイさん怒ってましたよね」

 

「...別に」

 

私の方に視線を視線を向けもせず、静かにノットは窓の外を眺めた。一体何がそんなにあるの、そう思ったのに窓の外を眺めると月の光かはたまた星か。美しく光が反射していた。

 

「外、綺麗ですね」

 

「...こんなものさ。君が知らなかっただけだ」

 

(アルレシア、セオドール・ノットはむっつりか)

 

突然話しかけられてそれにもびっくりしてしまう。トムが回復するくらい寝入っていたのか。

 

(トム、おかえり)

 

(こいつは君が寝こけていた間に頭を撫でたり顔を覗き込んだりしてたよ。頬を撫でたり。いつのまにこんな出癖の悪い男と関係を持ったのか、僕にはわからないんだけど)

 

(私だって付き合った覚えはありませんって)

 

「今、何時になりました?」

 

「これから夕食の時間。アルレシアが寝こけてるから仕方なく見ていてあげただけさ」

 

「もう夕食に」

 

「...君が寝こけてるなんて初めて見た。いつもいつも、アルレシアは警戒心の強い猫みたいだったからね」

 

「そりゃあ、人前で寝るなんて、ね。って話ですよ」

 

「君らしいといえば君らしいけど。でも、マルフォイが話しかけているのを無視できるくらいには図太くなったのか。それとも、マルフォイと関係でも持ったのかい」

 

「...何を言いたいんですか」

 

「マルフォイの隣で気持ちよく寝こけていたから。アルレシア、君はそんなタイプじゃないだろう。なのに、マルフォイの隣で気持ちよさそうに寝ていた」

 

何を言いたいんだ、そう思ってノットの方を見る。ノットはもう、窓の外なんて見ていなかった。私の目をじっと見つめている。菫色の瞳が離すまいと私の姿を射止め、そしてまるで嘲笑うようにキュと細まるのだ。

 

「僕の知ってる君は、いつも周囲を警戒して、掻い潜るように生徒の隙間と隙間を縫うように歩いていた。強かに、それでいていつも不安げな表情で。誰かのそばで身を預けることも、隣に人が座ることで安堵した表情だって見せなかった」

 

「...ずいぶん、私のことを見てくれているみたいですが」

 

「しかし、僕の知る君は...はぁ、もういい。何でもない。馬鹿馬鹿しい。君はアルレシア・ジェフィフィーナ、ただのマグル生まれ。ただ、君は潔癖というか。同性どころか異性も寄せ付けないような、難しいね。言葉が選べないよ。ただ、よくいえば高嶺の花、悪くいえば君は孤高を気取るだけの、周りに馴染めない人間だった」

 

(それはまあ、間違いないよね。アルレシアは友達1人いないし)

 

(何でこんなにズタボロに言われてるんですかね)

 

「君は変わってしまったよ。喜べばいいのか、はたまた嫌悪感を抱くべきなのか。わからないけどね」

 

「...何を言いたいのかわかりません。ただ、最初の方の話で考えればマルフォイさんの隣で寝てたのが悪いってことですか?」

 

私の問いかけに、ノットは少しだけ眉を上げて鼻で笑った。そして、軽蔑するように、そしてどこか煩わしさのような複雑な表情で私を見下ろした。

 

「別に」

 

「別にって...マルフォイさんがマグル生まれの私をガールフレンドにするわけないってわかってるくせに」

 

ノットはもう何も言わずに私をただ見てからため息を吐いて談話室から姿を消した。うーん、ノットは何がしたかったのだろうか。わけがわからない、その感想しか出なかった。

 

(私のことが好き、ハート、ちゅっちゅってこと?)

 

(頭がおかしくなったみたいだね。アルレシア)

 

(ですよね。そんなわけないですよねはい。でもじゃあ、なんで?ノットはマルフォイが好きってこと?)

 

(それもまた違うだろうが...アルレシアにはわからないかもしれないが、彼らはまだ13歳の子供だよ。僕たちとは違う、成熟してない。若造なんだよ)

 

(そっか。何だか大人に見えちゃうけど、自分の物差しで見ちゃうからそう見えるだけで、本当は中学生になったばかりの子供だもんね)

 

私は納得したのかしてないかわからないままため息を吐いて夕食を食べに大広間に行くことにした。サッサと食べておじさん達の同窓会にでも行こうか。ちょっとパンとスープくらいで、あとは何か甘いものでも食べようかな。

 

ノットはとっくの昔にあの長い足で大広間に行ってしまったのだろう。追いかけようと階段を降りたところで、そういえばこっちに曲がれば厨房じゃんと思ったので行き先は変更と足を止めた。

 

(あ、ダメか。同窓会に参加するにはポッター達がハグリッドのところに行ったことを確認...えーと、あーそうだよね。ハグリッド、ピーター・ペティグリュー、逃げるぜわんちゃん現れ、スキャバーズ!!みたいな流れだものね)

 

(この前からずっと言っていたスネイプ達の同窓会参加の日程は今日だったね)

 

(そうそう。あれ、そういえばマルフォイがハグリッドのところに行く前にグレンジャーに殴られるシーンがあったはずなんだけど一緒にチェスしてたよね。うーん、時系列がもうあんまり記憶にないし...)

 

(僕が探してみるかい?)

 

(うんん、ポッターの忍びの地図に名前が表示されても困るし、多分今日みたいな日は持ち歩いてるかなって。あ、持ってないっけ。たしか映画では悪戯完了ってルーピン先生がポッターに返して...)

 

(確実性がないなら僕は動かないほうがいいね)

 

(そうね。無理せずで行った方がいいし、同窓会って言っても死人が出るようなものじゃないから同窓会見学ってだけよ)

 

そう言いながらもとりあえずは大広間に行く。ワイワイガヤガヤな大広間で入り口近くの席に座ると近くにあったパンとスープを食べた。

 

ノットは遠くの方で静かに食事をしているし、マルフォイは相変わらず取り巻き達と食べていた。スネイプ教授も席について食べているのでまだ同窓会は始まる前なのだろう。

 

そもそも、ポッター達を探さなくても教授のそばにいればいい話なのでは?それじゃん。と閃いて追加でサラダを食べる。

ビネガー、オリーブオイル、ブラックペッパー、塩、これでドレッシングは良い。ラディッシュとレタスも。きゅうりがあるのもイギリスのいいところだ。

概ね食べたところでゴブレットに食後のリングジュースを入れて胃を落ち着かせた。

 

教授も食べ終えて席を立ったのを見て、私も研究室に行こうと立ち上がる。立ち上がったところでマルフォイと目が合ってしまった。何か用事でも合ったのかと思ったがすぐに逸らされてしまった。たまたま目が合っただけなのだろう。そのまま寮に戻り、研究室の方をノックした。教授も戻っていることだろうし。

 

ひとりでに開く扉には教授がいて、既に私の作った薬の鍋をかき混ぜていた。

 

「アルレシア、遅い」

 

「すみません。うたた寝をしてしまったみたいで」

 

「自分の薬の結果も知りたくないのかね。傲慢である。薬については、ふむ...まあ、及第点だろう」

 

そう言いながらも脱狼薬の粘度を確かめ、教授は満足げに鼻を鳴らした。

 

「今後は貴様に任せても良いが...それまでルーピンがここに居るかは別の話である」

 

「...まあまあ」

 

「ルーピンに薬を届けに行く、貴様も来い。今後はアルレシアが調合を行うと伝える。これで我輩もこの研究とはお別れということですな」

 

「本当に思っていますか?本当は錠剤になるまでやりたいんじゃないですか」

 

「しばき倒しますぞ」

 

そう言いながらも教授はゴブレットに注ぎ込みながらぶつぶつと何かを言っている。私が作ったものを元に客観的に考えているのだろう。教授も私も研究が大好きすぎるようで困ったものだ。

 

「試験が終わったので今度いっぱい飲みましょうね教授」

 

「赤ワインが置いてある、エールもだ」

 

「わぁ!ほんとですか!ありがとうございます」

 

「つまみを作らせる。ルーピンの様子を見たらな」

 

楽しみですね〜と笑っていたがこのあと何が起こるかわかりきっているのでそこまでつまみの詳細までは話さない。考えるだけ勿体無い。

 

「じゃあ、ルーピン先生のところへいきましょうか」

 

ゴブレットを手に歩く教授の背中を追いかけた。

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