身長160センチ無いと戦えんわ!って、その前にハードモードすぎて泣いた!!! 作:あるれしあちゃん
目が覚めたら知らない家でした。それはおかしい。全体を見回しても、あるのは本ぐらいで自分が寝かされてるベッド脇にはワイングラスが一つ。
多分ここ、スピナーズエンドじゃね。ベッドからヨッコラセと降りてみると、ネグリジェは着たままだ。スネイプ教授が綺麗にしてくれたであろう全身をくまなくチェックしてからドアノブに手をかけた。
「すみませーん!スネイプ教授?」
寝室が一番奥の部屋なのか、右に向かっていくと明るい部屋が一つあった。そこに向かうと、スネイプ教授が何か紙を見て杖を振っていた。
「ジェフィフィーナ、入りなさい」
「はい、教授」
スネイプ教授のところまで来てみると、私のレポートを持っていた。足元には満月草がプランターに植えられている。
「貴様の考察を試している。月を作り出しているのだが、中々上手く行かん」
そりゃ月だけじゃ無理やて。
「教授、月は太陽の光の反射といいますか。太陽の光で月が光っています。というわけで、必要なのは月ではなく太陽の光です」
「.......なるほど」
「太陽で、夜と同じ条件を満たせば満月草になるのではないでしょうか」
「やってみる」
教授と2人で部屋を暗くしてから、木箱を取ってきた。木箱の中に土と満月草を植える。
「どうやって効力のレベルを出すのでしょうか?」
「手っ取り早く薬を作る。簡単なのは......膨れ薬の解毒薬だ」
「今年の課題薬ですか....」
「簡単な薬だ。何故膨れ薬の解毒薬の作り方を2年で教えんのか理解できん」
「まぁ、解毒薬の方が難易度が高いですし。知識がなく作っては打ち消せない可能性もありますし...」
「ふむ.......ジェフィフィーナ、膨れ薬を作れ」
「へ.......あ、はい」
仕方ないとスネイプ教授に実験室のようなところを案内された。ネグリジェ姿のまま渡されたエプロンを身につけると、教科書と材料を両手に鍋のところに立つ。
「我輩が見ている、失敗したら自分で服用したまえ」
さらっと何やて......。大急ぎで満月草をみじん切りにしつつも鍋を火にかけて薬を作る。柔らかな炎が鍋に当たるのを見つめながら、私は静かにナイフを動かした。
出来上がった薬は教授チェックの元クリアーとされましたパチパチ。
それを瓶に詰めて、実験する為の空き部屋に戻る。太陽の光のみが照らされた部屋。
「そういえば、どうやって薬の効力を確認するのですか?」
「......膨れ薬を少量手につけて薬を塗る」
それ私じゃないですよね...と言いたいのを我慢して、私はスネイプ教授と2人で木箱を覗き込んだ。緑色のホウレンソウの小さいバージョンみたいな奴だ。
そこに、スイセンの花が蕾のまま、まだ花を開いていない。満月の日にこの花一つ一つが満開状況になり、月が大きくなれば大きくなるほど大きく花は咲くらしい。
うーん、なんだろう、なんて表せばいいのやら。ようは開き具合が月のサイズで変わるんだとか。
雨の日は咲かないんだって。
木箱を見つめて、真っ暗な部屋から教授が木箱にだけ太陽が当たるようにカーテンを開けた。
光に当たった花が次々に花を咲かせる。木箱で周りを囲って暗くしたおかげで夜と勘違いしたのだろうか。
「わぁ........」
「ほぉ......」
花を薬を作る分だけ摘むと、そのまま教授の後ろについて実験室に向かった。
「成功といえば成功だ。これに効力さえあれば、本を出せるな」
「それはスプラウト先生にお願いした方が良いかもしれませんね。あるいは、教授にお願いいたします」
いい発見をしたけど、こんだけ幸先いいと心配すぎる。というかプレゼントくれ。
「著作権は貴様にあるだろうな。そこの椅子に座っていたまえ」
返事をして近くにあった椅子に座ると、教授はテキパキと薬を作り始めた。流れるようなその動作は、さながら実家の母である。
2つ同時に進めるのか、鍋が二つだ。
「貴様は休暇中何をしているのだ」
「主にバイトと勉強です。あまりする事がないので.....殆どはお客さんと話しています」
「学年トップの秀才がお気楽なものですな」
「まさか一位とは思いませんでした。なんだか大人気ないです」
「学んだ時期は同じだ。貴様のレポートにO(優)以外がつくことは無いだろうがな」
ネグリジェで結構涼しい所にいるせいか若干寒い。出来れば服が欲しいのだけど、そういうわけにもいかないのだろうか。
「レポート書くのは楽しいです。
スネイプ教授、お聴きしたいのですが」
「なんだ」
もうじき完成するのか鍋をかき混ぜて確認したり、粘り気を見たりとスネイプ教授が忙しそうに手を動かした。
「ロックハート教授の何がそんなにいいんでしょうか。書かれた本も現実味がなく、自慢話やら、若干の信憑性が無いものなど、とても気になります」
まぁ、全部嘘だとわかっているのだけれど。瓶に詰めて振ったりしながら教授は私の方を見つめずに遠くを見つめていた。
私の言葉には答えず、教授は出来上がった瓶を2つ持った。左右を透かして違いを確認しているようだけど、大きな違いは見当たらない。むしろ、違いはないようにも見える。
「私の意見ですので、私が膨れ薬を使わせてください」
「........わかった」
それぞれの瓶にラベルが貼られて、教授に両手を差し出した。手の甲に膨れ薬を少量落とすと、火傷をした時のようなピリリとした痛みが来る。我慢できるレベルなので気にしない。ぷくっぷくっと2.3個水ぶくれのようなものができた。
というか、なんでこんな薬を勉強するのか理解に苦しむんだが......。意味あるのかな。
「本来の満月草を使った解毒薬だ」
左手にその解毒薬を塗ると、みるみるうちに膨れていた水ぶくれのようなものが消えていく。そして、なんの傷も残さずに全て消えた。痛みも痒みもない。
「今回の実験したものだ」
右手にそれを落とすと、同じように水ぶくれがどんどん消えていく。しかし、いささか時間が掛かるようなのか。左手よりも20秒ほど完治に時間がかかった。何か条件があるのだろうか。
「うむ.......効力は若干落ちるが、実用は可能でしょうな。需要と供給のバランスが取れる」
「魔法界の不思議なところですね。満月の日以外の物は光が足りなかったと考えればいいのでしょうか」
「詳しくは知らんが、そうだろう。他の者の登校前にスプラウトと相談する時間を設けよう」
「ありがとうございます教授」
これでお金が入ればラッキーなんだけど、両手は綺麗に元どおり。十分。
教授と木箱を片付けて、リビングへと足を運んだ。時計を見たら、もう11時。これは、私が食事を作らないといけないパターンだろうか。いいっちゃーいいんだけどね。