身長160センチ無いと戦えんわ!って、その前にハードモードすぎて泣いた!!! 作:あるれしあちゃん
「改めてまして、私はギルデロイ、ギルデロイ・ロックハートといいます。私と握手できる女性は中々いませんよ〜」
そう言って差し出された手を遠慮しまくりながらも握り返すと、なんだかスリスリと嫌な握り方をされて鳥肌がたったような気がした。
「.......私はアルレシア・ジェフィフィーナと申します。ロックハート先生、闇の魔術に対する防衛術担当だそうですね。よろしくおねがいします」
にっこりとした笑顔のままロックハートの握手から逃れてスネイプ教授のとなりに座った。
マグゴナガル教授が横目でロックハートを睨み付けると、一番端の席に座らせるように指示した。
皿にサラダとくるみパン。そしてハッシュドポテトを盛り付ける。深皿には冷製カボチャのスープ。横のスネイプ教授は油物を嫌いそうな顔をしつつもバターで煮た豆とベーコンエッグを盛り付けて食べていた。
私がいるのにも関わらず新学期の授業について話し始める先生達。クィレル先生が居ないことは何も無かったかのように時間は流れていく。
先生達の大体の問題児の話はフレッド、ジョージのウィーズリー双子組だ。今年は妹のジネブラも入学するとかで、妹にも被害が及ぶ可能性がと出る。
私はある程度話が終わるのをハッシュドポテトの衣を転がしながら待った。
みんな話が終わって解散していくのを見つめると、私も自然に席を立った。横のスネイプ教授も同じように席を立つとわたしの前を歩いていった。
「アルレシア、君にお手伝いをおねがいしたいのだが、いいかな?」
私の肩をガシッと掴んでくるこの男。ロックハートが私に向かってニヤニヤと言った。たしかに、私は先生のお手伝いをする立場ではあるけれど.....。
お前教科書(自慢本)読むだけだろうが!
周りを見ても、お世辞にも私を助けてくれそうにない森番と妖精魔法担当のなんとか、もはや名前も知らない女性教師。
詰んだ.....。
私は素早く苦笑いを作ると、申し訳なさげを出しつつも上目遣いでロックハートを見つめた。
「.........私では役不足になってしまうかもしれません」
「いえいえ!私は貴女にお願いしたいのです!」
「..どのような事を手伝ったらよいのでしょうか?」
「なーに、簡単な仕事ですよ」
肩を掴まれて案内され、大広間を出た。
「私の本は読んでくれましたか?」
「えぇ.....教科書にご指定なさったものは読ませていただきました」
「素晴らしいでしょう」
うっとりとした声でそう言われて、何か返せる言葉を探そうとしたけれど、何も思いつかない。なんと返せばいいのだろうか。
「貴女はとても光栄に思うべきですよアルレシア」
「......そうですね」
そこからもペラペラと喋り続けるロックハートに原作のハリーポッター同様にそうですねと相槌を打ち続けた。
「つきました、ここが私の部屋ですよ」
そう言われて開けられた扉の向こうはやけに蒸し暑い。一面が明るい色合いのその部屋は窓が全て閉じられていて、ジリジリと暑さを感じさせる。
「失礼します」
「えぇ、そうですね.....アルレシア、そこのソファに座りなさい」
示されたソファはスカイブルーのソファ。すわり心地どうこうよりも、目に痛いなぁ。
そこに座ると、ロックハートは私の前に座ると、何故か熱い紅茶を出してくる。何を考えているんだろうか。
「いやー、私は一度君とお話をしてみたくてですね!アルレシア、貴女はとても可哀想な生まれをしているみたいですね!」
嬉しそうにそういうロックハートは、馬鹿すぎて、馬鹿すぎて裏の裏まで読みきれない。何をしたいのか、明確な理由も何もかもも、読み取ることができないのだ。
「可哀想だなんて、世の中には私よりも大変な思いをしている方も大勢います。
私は恵まれていますよ」
差し出された紅茶に何故か無理やりミルクを入れられて差し出された。ものすごく怪しい、飲みたくないところだけど、飲まないといけない雰囲気だ。
「君は随分と謙遜する人のようだねアルレシア。まぁ、私は騙されませんがね!さあさあ、紅茶をどうぞ」
「......ありがとうございます」
紅茶を一口飲むと、やっぱり熱い。目の前のロックハートは汗ひとつかかずにいる。しかし、紅茶に手をつける雰囲気は一切ないし、やはりこのクソ暑い現状を作る意味がわからない。
「貴女は孤児院の出だそうですね。そして、貴女は.........娼婦だったんだとか」
そう言ってニヤニヤ笑うロックハートにようやくいろいろわかった気がした。このクソ暑い部屋で汗だくの自分は随分と暑いと思っていたけど、この紅茶に即効性のある媚薬とか、自白剤とか、変なもん打ち込まれる可能性は大いにある。
「................そうです。私は孤児院で生まれ育ちましたし、ホグワーツに引き取られるギリギリには娼婦でした」
「それをホグワーツに通う生徒が知ったら貴女をどういう目で見るでしょうか!あぁ、なんと哀れな事ですね、私がどうにかして差し上げましょうか?」
どういう事だ、わたしには全くこの男の言葉が理解できなかった。同じ人間かどうかも怪しくなってくるレベルだ。
「いえ、わたしと先生方しか存じてない事柄ですので。生徒の耳に入ることはないと思っております」
「えぇ、えぇ、もちろん。しかし、どこに耳があるかわかりませんよ?誰かがコロッと、口を滑らせてしまうかもしれませんね」
おまえだろ!絶対そうだ。そう言いたいの我慢して、ロックハートを少し怯えた方向でソファの端をつかんだ。
「脅しですか......手伝いがないのならば失礼します」
そう言ってソファを立って足を踏み出した瞬間だった。
「...きゃっ...」
ドンっとかるい音を出しながら、わたしは床へと膝をついた。体が重い、暑い部屋の中で意識がボーとしてくる。
盛られた......。
「大丈夫です、いい子にしていれば痛い思いはしなくてすみますからね!」
腕を捕まれて無理やり引っ張られそうになるのを全身で嫌だと抵抗する。力の差が大きすぎて、もはや無意味かもしれないけれど。
「わかりますか、アルレシア。このホグワーツでわたしは今まで通りするために新たな本を作らなければならない。
きみは、それに利用される、それだけですよ」
ですよね.......。ってなるか、ボケ。わたしは必死に逃げようと扉の方を向いた瞬間だった。
ドンドンッ
「ただ今取り込み中でして..」
扉が大きく叩かれる音がして、ロックハートがそう返したはずなのに、扉が強く開いた。スネイプ教授だった。きゅんきゅんしますね!
「.........どういうことかね」
「いえ、その....彼女が立ちくらみで座り込んでしまったので介抱して差し上げようとしただけですよ」
「左様ですかな、それでは、そこから先は我輩がやろう」
「いえ、私だってこれくらい朝飯前ですよ」
「彼女は我輩の寮生であり、我輩が後見人になっている」
そう言われてスネイプ教授はロックハートに睨みを効かせると私の事を抱き上げた。お姫様抱っこと思ったのに俵担ぎ。この人私のこと絶対嫌いだろ。
「ふんっ」
そう鼻を鳴らして廊下に出ると、後ろ手で扉を閉めた。
「我輩の忠告を忘れたのかね」
「すみません。手伝いを頼まれては断れなくて」
「解毒剤を調合する。あの間抜けに高度な薬が作れると思ってはおらん。自分の体の調子を言いたまえ」
「えっと.....貧血のように体が重い、手足の軽い痺れです」
「その他、気づいたことは」
「紅茶にミルクを入れて出されました。同じポットから紅茶を入れているので、ミルクに混ぜられていたと思います。即効性のある、なおかつ臭いが無いものです」
「一般的に売られている物ならば、SOCの2.5タイプだ。一般的には医療に使われるはずだが、どこから入手したのか」
Sleep out condition、和訳で言う、睡眠状態というようなものだ。主に体の動きを鈍くする働きだと思うけど。
廊下をドンドン歩いてついた私室で、教授は私をソファに下ろすと直ぐに調合を始めた。
しばらくフラフラと意識を飛ばしながら待っていると、比較的不味くなさそうな匂いを醸し出したゴブレットを渡された。
「ありがとうございます」
中身の色は同じミルクティー色。でも、香りはコーヒーのようだ。一気に飲んだその味は特に後味どうこうもない、不味くもうまくもない味だった。
しばらく手をグーパーしていれば、痺れも収まった。さすが教授。強い。
ソファに座りなおして改めて礼を述べると、スネイプ教授は特に何も言わなかった。
「私ってそんなに悲劇のヒロインみたいな感じがしますか?」
「我輩には見えんがな」
「ですよね......」
「明日には皆が来る、準備をしておけ」
「はい」
扉を魔法で開けられて、私は自分の部屋に向かった。軽く会釈をして扉を閉めると、昨晩同様にベッドに倒れこんだ。
明日にはポッターたちが特急に乗れないとか、あるんだよね。