身長160センチ無いと戦えんわ!って、その前にハードモードすぎて泣いた!!! 作:あるれしあちゃん
誰かが私の頰に触れた。その手は角張っていて爪が特徴的だなぁなんて思った。
頰を触ったその手は冷たい。ひんやりとしたその手は私の頰を撫でてから髪の毛をひとふさ持ち上げた。優しい手だ。
そして、手が弄ぶその髪は自分の髪じゃないくらい黒い髪。そして今に比べて短い。そしてコテで巻かれたのかクルクルとしている。
ゆっくりと髪を触る手を私が握った。自分の手はやけに小さく白く見える。相手が大きくて少し暗い色なだけだろう。
相手が握り返してくれたけど、子供と大人の手のように差があって滑稽だ。
「..........大きな手」
やけに響いたような気がするし響かなかったような気もする。曖昧だけど微睡みの中で私は眠る寸前をさまよっていた。
「小さい手だな.......髪も黒くして」
「それは....染めたから」
この人は誰だろうか。そんな事を思いながらも私は顔を見ようと飛びそうな意識を持とうと体を動かそうとした。
それを制するように手が出て私の目元を覆ってくる。ひんやりとしたその手は知っているようで知らない。
ありそうな名前を呼ぼうと考えたけど思いつかない。とっさに出てきた角張った手の人物の名前を呼んだ。
「......」
もちろん、
その言葉に答える声はなかった。
わたしの口からは誰の名前も出てくることは無かったからだ。
だれか出てきそうな気がしたけれど。
目元に乗せられたその手のせいで私はゆっくりと意識を手放した。
次に何か光を浴びて意識が浮上した。
ぼやけた視界がクリアになるのを待っている。そんな時に桜色の花びらが広がった。柔らかなその色に目を奪われて、思わず手を伸ばした。
「...わっ....お、おい!」
その瞬間ばさりと花弁が固まりで落ちてきた。あまりの多さに窒息しそうだと体を捩って花弁の山から頭を出した。
「......ま、マルフォイさん」
杖を握りしめたまま固まっているマルフォイを見てどうしたのだと驚いていると花が続けざまに頭の上から降ってきた。
「じぇ、ジェフィフィーナ。窒息するぞ」
よくよくベッドをみると一面ピンク色だった。落ちてきた花を手に取るとピンク色の桜だった。なぜ桜?
「日本の花だって本で読んだんだ」
「..なるほど。その......何で私はここに?ここって医務室ですか?」
カーテンで仕切られたその部屋は光が当たってきて暖かい。なんで私はここにいるんだろう。
「あぁ...薬草学の時に倒れたんだ」
マンドレイクの時に倒れたなぁと思い出してポッターの顔を思い出した。なぜかものすごく焦っていた。
あれ、もしかして。
「誰かに何かされました?」
「........あ...」
言いづらそうに私を見たマルフォイに聞き出そうと身を乗り出した瞬間だった。
シャッと音を立てて開くカーテン。その先にはスネイプ教授が渋い顔で立っていた。
「ジェフィフィーナ、起きたのかね。二人で話をする。
授業が始まるぞ」
そう言って出ていくようにマルフォイを顎でしゃくると私をちらっと見てからカーテンの先へと消えていった。
「おはようございます....こんにちはでしょうか?」
「時間的にはこんにちはですな」
降り続ける花弁に嫌な顔をしつつも教授は私の脇にあった椅子に座った。
事のあらましを説明してくれるんだろうかと私は教授の向かいになるようにベッドへ腰掛けた。
「まず、何が起きたか覚えているかね」
「いえ、作業をしていた際にポッターさんが焦ったように何か声をかけて来ていたのでなにかと思い、聞き返すジェスチャーをしました。
そして、ポッターさんが私の体の後ろの方、右の半身の方を指差したように思ったので体を見つめました」
私の説明に教授は軽く頷いていた。時折羊皮紙に何かをメモしていたけれど、それはほんの一瞬程度。
「そして、何か声が聞こえて起きたらここにいました」
「............我輩にはポッターのジェスチャーが下手くそだった事について文句を付ける権限が無い」
「ポッターさんは必死に私に何か伝えたがっていましたよ.......理解してあげられなくて申し訳なかったです」
今の自分の説明で理解した。誰かが私の耳あてを外したのだろう。マンドレイクの声で私は失神した。ポッターは取ろうとした生徒がいたことに気づいて私に声をかけてくれた。しかし、取られたと。
「頭のいい貴様なら事のあらましがわかっているだろう」
「..........はい。理解しました」
私は理解して身震いした。原作には全く無い動き。それだけじゃ無い。
私は結果はどうあれ殺されかけたのだ。
マンドレイクの声を聞いた人は死ぬ。その説明をグレンジャーがしたのにもかかわらず興味本位でやったのか、殺そうとしたのか。
自分の肩を抱いて殺されそうになった恐怖を噛み締めるようにしていると不意に教授が私の頭に手を置いた。
「........私は興味本意での実験台だったのでしょうか。
それとも..........」
「..........ジェフィフィーナ。
貴様は何日寝ていたと思う」
私はその問いに答えるほどの余裕がなかった。子供のマンドレイクでは失神する程度だとわかってはいながらも、意図的に誰かがやったという死と隣り合わせの事に気持ちが追いつかない。
「.......1週間眠っていたのだ」
「..いっ..しゅう..か.....ん.....」
「ロングボトムは半日程度だった。もろに聞いてしまった貴様は長く失神していた」
私は死の近さに溢れ出す恐怖ゆえの涙を手の甲で拭った。震えと涙で滑稽だ。そんな笑っている自分とは別に死を怖がる自分がいる。
「ジェフィフィーナ.........」
泣く私を教授が抱きしめてきたのを私はしがみ付いて泣いた。誰がやったのか聞いてもいいんだろうか。いや、貴族のことだからもみ消したりでもしたんだろうか。
それとも、誰がやったのかわからないんだろうか。
どんどん頭に降り積もる桜が教授のローブにかかって黒に目立つピンクを見つめると涙が止まってきた。
教授が私のことを抱きしめたまま頭を撫でるとポツリと謝罪の言葉を落とした。なんでこう、転生ぽいのに扱いが悪いんだろうか。前世の行いだろうか。
「教授.......学校に行かせて貰っている身でこんな事をいうのは悪い事だと理解しています..............怖いです」
「あぁ...........耳あてを外した生徒は.......スリザリンの生徒だ」
「........スリザリン.....」
「しかし、誰がやったのかわかっていない」
「...........そう、ですか」
「誰かわかるまで授業に出なくても構わん。ミネルバ達も同意見だ」
私は教授から離れるとゆっくりとお礼を言った。顔を見てない、そんな事があり得るんだろうか。
ポッターの記憶をいじるほどの能力を持つ者もいない。
「ジェフィフィーナ、自室へ戻るぞ。食事も部屋に運ばせる」
「はい」
教授がそう言って桜を杖を振って消した。
私も着ていた病院服から脇にあった制服に着替えるとマダムに礼を述べて教授と共に医務室を後にした。