身長160センチ無いと戦えんわ!って、その前にハードモードすぎて泣いた!!! 作:あるれしあちゃん
誰かを下敷きにしてしまっていると急いで退こうと上半身を起こすと優しく肩を掴まれた。なんだか驚きからか一瞬グラっと視界が揺れた。目を閉じてからパッと開けてゆっくりと顔を動かしてもなんともない。直ぐに気のせいだったかもと顔を上げた。
「アルレシア、大丈夫だった?」
「......え、え...えい..ぶりぃ..先輩」
優しげに笑う先輩に申し訳なく急いでそこから飛びのくと手を貸した。私の手を握りしめて、全く体重をかけないようにやさしげに立ち上がる姿までしっかりと出来上がっている。
「間に合ってよかったよ。どこか痛いところはない?」
「はい、大丈夫です。すみません」
散らばった本を私の代わりにさっと拾ってくれて渡してくれた。それを吃りながらもお礼を言って受け取ると、そのまま髪を撫でられる。
「先輩..?」
「いや.......少し乱れてるから」
そう言って綺麗に整えてくれているのか前髪をさらさらと触られた。数秒だった気もするが、なんともイケメンな顔が目の前にいるのは中々幸せな事で。
でも、合っているはずの目がどことなく怖ささえも感じさせた。黒く長い長いまつ毛に縁取られた瞳が吸い込まれそうなほど黒かった。
「うん...できた」
「ありがとうございます、先輩」
私の前で妖魅に笑うと何故か肩を抱かれて2人で長椅子に座った。
「アルレシアはとても頑張り屋なんだね」
「.....いえ、そんな事はないですよ」
「いや、スリザリンから意地悪を受けても凛とする姿は評価に値するよ」
そう言って頭を撫でられる。急に思い切り優しくなったなぁ。この転生世界。何故だと恐る恐る先輩を見つめると、黒曜石のように黒い瞳に自分の顔が写り込んだ。
「僕は、君にとても興味があるんだ.......」
先輩は静かに、ゆっくりと私にそう呟いた。そして、私から視線を外してどこか遠くを見つめていた。そして、少し間が開いた後に私に今度は笑みではなく、真剣な表情を見せてきた。これが身体的には同級生の威力......。おばさん嬉しい。ちょっとだけ嬉しい。イケメンやん。
「アルレシア、僕は君を入学した時から想っているんだ.....」
そう言って私をゆっくりと抱きしめてきた。抱きしめられて、なんだか体に力が入ってしまう。いや、なんだろう。抜けてしまいそうになる力に、無理やり体に力を入れて繋ぎ止めているような、そんな感じだ。
「エイブリー先輩.......」
急にこんな恋愛に飛ばされても困る。得意じゃ無いんだ。こういうのは。私は少し困りげに眉を下げると先輩の肩をゆっくりと押した。
「........アルレシア.....僕を拒むんだね」
「エイブリー先輩......その.....」
私が言葉を紡ごうとした時、エイブリー先輩が私の唇にゆっくりと触れてきた。自然と閉じる口に、先輩はにっこりと笑って唇から指を離した。
「今すぐ振るなんてそんなひどいことは無しさ」
「いや、その...」
「大した面識もないような先輩からそんなことを言われても驚くのは仕方ないさ」
「エイブリー先輩...」
「まだアルレシアにゆっくり考えて欲しいだけさ。ゆっくりと考えて。だから返事は来週の.....そうだなぁ.....水曜日、水曜日の夜にくれると嬉しいよ」
「来週......ですか....」
先輩は余裕そうな笑みを浮かべて頷いた。
イケメンだから是非オッケーしたいけど、そういうわけにもいかない。まぁ、どうしたものか。
「夜、じゃあ消灯時間後の談話室前で」
「.......はい」
「じゃあね、また」
颯爽と去っていった先輩の背中を送り届けると、私は何だか異様に疲れた気がして机に突っ伏した。
恋愛イベントは意外や意外、というか初じゃね、わーお。
もうじき、クィディッチが始まって、コリン何とかがお見舞いに行ったハリーポッターを見に行ったらカメラ越しに見ちゃった、イベントが始まるのだ。
本当に疲れた、なんでだろう。
慣れない雰囲気に飲まれてしまったのだろう。私はため息をついて杖を振って手に持っていた本を浮かせた、そしてその本が正しい場所に戻るようにと本棚を地道に探す。
ふわっとやっていると何だか急にビュッと本が飛んでいってしまった。おやおや。
本自体の魔法がちゃんと発動したのだろう。
肩がけのカバンをかけ直して、私はゆっくりと図書館を後にした