身長160センチ無いと戦えんわ!って、その前にハードモードすぎて泣いた!!! 作:あるれしあちゃん
「起きたかね」
寝起きで開きの悪い瞼をこじ開けると、目の前にはスネイプ教授が疲れた顔で私を覗き込んでいた。
「.........きょう...じゅ」
私の額に手を伸ばして大きな手で触れてきた。ひんやりとして、少しガサついた手に重たい頭が軽くなるような気がした。
「握ってみなさい」
そう言われてもう片方の手から何か石のような卵型のものを渡され、力の入らない手で握るとじんわりと暖かい感覚がした。これはなんなんだろう。教授にそのまま石のようなものを取られて目の前に差し出された。
石の中心だけが淡く光っていた。しかし、その光はひどく弱くて消え去りそうだった。
「....これ..は」
「魔力量を出すスフィア石だ、ジェフィフィーナ、何か魔法を使った覚えは」
「な...いはずです、唯の風邪では...ないのですか」
「風邪はもう少しすれば完治する。それ以外に原因があるはずだ」
そう言いながら教授は石を握りしめた。私のは淡いブルーだったのに対して教授は淡いグリーンの光だった。そして、石全体が電球のように光っていた。
そのグリーン、まるでポッターの目みたいですね。とは口が裂けても言えまい。
「もう少し眠れ。今、貴様にできるのは眠ることだけだ」
そう言われて目を覆うように手を置かれて私は目を瞑った。なんだか酷く疲れていて、すぐにすぅと眠りについた。
そして直ぐに目覚める。まるで数分の出来事だったようにも感じるし、はたまた数時間にも数日にも感じる眠りだった。
パッと目が醒めると、隣でもハリーポッターがもぞもぞとカーテンの向こうで何かしていた。
「あら、ジェフィフィーナも起きたのね。あなたはスネイプ教授がまた見に来てくださるからそれまで待っていてね」
「はい、マダム」
カーテンの向こうからそんな声が聴こえて、起こしかけた体の腰の部分に枕を敷いて座った。髪の毛を1つに纏めると三つ編みをしていく。
それでヘアゴムてしっかりと髪の毛を纏めると、髪を肩に垂らした。
柔らかなマットレスに手を置いて沈むのをただただ見つめた。
別に特別何かしたいことがあるわけじゃないし、それといった考えることもない気がする。
特に何もせずいい子にしていた側でハリーポッターは医務室を出て行った。クィディッチで骨抜きにされた腕は完治したらしい。
やる事が何もなくて近くに置かれていた杖を手にとって転がしたり投げたりして遊んだ。
「オーキデヴス」
そう言って振った杖からピリッと何か静電気のような物を感じてポロリと落としてしまう。あぁ、やっちまったと思いながらもぽさっと落ちてきた花を手に取った。
マリーゴールドの花だった。花言葉は嫉妬だっただろうか。もしかしたら違うかもしれないなぁと頭の隅で考えながら花弁にさらりと触れた。
そしてまた右手の親指と中指を擦って、弾いて、だろうか。パチンと音を鳴らして唱えた。
「オーキデヴス」
何も起きない。
よくわからないなぁと首をかしげた。それでも教授がきたらすぐに挨拶できるようにしようとカーテンに手を伸ばしてシャーと音を立てて開けた。それと同時に持っていた花が手から離れて床に転がったのを見て手を伸ばす。もちろん届くわけもないが。
少しひんやりした医務室には優しい光が当たって花を照らしていた。そして、誰かがいることにも気づいてそっと顔を上げるのだ。
「...マルフォイさん...こんにちは」
グレーのセーター姿、気まずそうな顔で医務室の扉に手を掛けていた。私がちょうどカーテンを開けたことに驚いているような様子だ。
「...ジェフィフィーナ」
花と何か袋を持って現れたと思うとゆっくりと私のベッドに近づいて、腰掛けた。そして袋をガサガサと漁ったと思うと桃色の布を出して私の肩に掛けてくれた。柔らかな感触を首筋に感じて手を伸ばす。ストール、膝掛け、ポンチョ。どれに値するのかわからないけれど、柔らかくて上質なものだ。
「これは?」
「お詫びの....つもりだ。僕は、こんな時...どうしたらいいのかわからない。だから」
そう言うと花を押し付けてきた。その花は赤い花。多分ダリアだと思うが、そこまで花に興味があるわけでも無いのでどうだろうか。
「そんな、マルフォイさんは何も悪くないですよ」
肩にかけられた布をゆっくりと手元に置くと、柔らかな桃色に丁寧に金の模様替え描かれたものだと気づく。よほどいいセンスの人が選んだのか、男子が選びにくいようなシンプルすぎず、尚且つ長く使えそうな物だった。膝掛けにもできるし、嬉しいけどなぁ。なんだか無性に申し訳なさを感じる。体調不良は自身のせいなのに。
「すまなかった」
「本当に、謝らないでください。マルフォイさんのせいでは無いんです。ほら、スネイプ教授がもうじきいらっしゃるんです。だか」
だから早く、行った方がいい、そんな言葉を言う前にマルフォイはばっと立ち上がった。
「ジェフィフィーナ、スリザリン...いや、ホグワーツは.......マグル生まれを避ける...かも、しれない」
ちらりとマルフォイはしまったカーテンのあるベッドを見つめた。もう、情報が回っているのか。私は少し苦味のある笑みを浮かべるとそうですねと答えた。
「でも、避けられようと避けられまいと.......変わらないんですよ」
マルフォイの腕を掴んでこちらに引き寄せて頭を撫でてあげると、続けざまに私は言った。
「でも、きっと周りはあなたが継承者だと怪しむでしょう。どうか、気に病まないで」
ゆっくりと頷くマルフォイに私は先ほどとは違った笑みを浮かべた。もう行く、そうポツリと呟くと私の手から毛布を奪いもう一度肩に掛けてくれた。
「風邪には気をつけろ」
「ありがとうございます」
何も言わずに、マルフォイは静かに歩き始めた。そして、ゆっくりと医務室から姿を消してしまったのだ。
何だか毒気の抜けたマルフォイにこちらも気が抜けてしまった。これから原作で何があってどうしていけばいいのか。退院したらゆっくりと考えよう。
そして、エイブリー先輩についても。あの黒髪を脳裏に思い浮かべて1つため息をつくと、私はダリアの花束を傍らのテーブルにゆっくりと置いた。
そして、コツコツと聞こえてきた足音に気づいて、あぁ、教授が来たとまた1つため息をついて前髪を撫で付けた。
真っ黒なローブがぬっと医務室に顔を出した。スネイプ教授だ。
「おはようございます、教授」
「寝られたか」
「はい、身体も軽いですよ」
ずんずん歩いてくると私のおでこに手を当てて頷くと椅子に腰掛けた。
ガラスのような透明な石をローブのポケットから出したと思うと私に握らせてくる。あぁ、なんとか石か。
握ってみるとふわりと昨晩よりも強く光った。淡いブルーが石の中で主張するように揺れて握る手を緩めるとゆっくりゆっくり光が消えた。
「ふむ.....昨晩よりはマシなようですな」
「平均って、どのぐらいなんでしょうか」
「魔力の量には個人差があるが....まぁ、それなりだろう」
答えでは無いぞ!と言いたいのを我慢して石を返すと、教授ははぁとため息をついていた。
「貴様は一体何をしでかしたのだ、我輩に悩みのタネを増やさんで欲しいものですな」
「すみません。原因とかってわかりましたか?」
「急激な魔力使用が原因だと思うが.....校長は大丈夫だと碌に見もしない」
そしてまたため息。
私があははと苦笑いすると教授は口を開いた。
「闇の魔術の線は....まぁ、お察しの通り中々忙しいようですな。生徒に時間をかけられぬほど秘密の部屋探しにお忙しいらしい」
あのクソ野郎!っと口パクで言った教授にさらに苦笑い。
ロックハートですから。そんな事を思いながらも彼最後は記憶がぶっ飛んじゃうんですよと心の中で答えた。
「まぁ、風邪と重なっただけだろう。昼にマダムポンフリーに診てもらってから退院したまえ」
「...はい。ご迷惑をおかけしてしまいすみません」
「構わん」
教授はそう言うとスタスタと医務室を出て行ってしまった。
え、ちょ、心配したお、とか無いわけ!?
マルフォイは毒気無いし。スネイプ教授はなんか冷たいし。
比率考え直してえええ。そんな事を思ってカーテンを閉めようとした矢先。もう1人、変な奴が現れた。
→逃げる
→死んだふり
「やぁ、アルレシア!私がくるのが待ち遠しくて仕方なかったかい?わざわざカーテンを開けて待っているなんて!君もなかなかチャーミングなようだね!」
→笑顔で対応
「あれ?ハリーがいないようだけど何か知っているかい?」
ロックハート降臨、おワタ。
「ポッターさんならもう、退院しました」
「おや、そうなのかい?私と会うのが恥ずかしかったようだね!ハリーは意外にシャイなようだ」
「............」
マシンガントークというのはこのことか。会話のキャッチボールをして。せめて、消える魔球以外にしてくれ。
私が無言で苦笑いしているとロックハートはローブからカードを出したと思うとペンを取り出して何かを書き始めた。
「喜びたまえ!私からのお見舞いカードだよ!さあさあ、君だけのだよ!」
「...あ、ありがとうございます」
「そんな感極まった声なんて出さなくても、いつだってプレゼントしますよ!さあさあ!」
「ロックハート先生!病人の前で騒がないでください!」
大声出すロックハートにそんな声が遠くから飛んできた。その声の後、マダムがすっ飛んできてロックハートのローブを掴んだ。
「で、では!元気になって下さいね!」
そんなセリフを残して、ロックハートは連れて行かれた。
「あれ、もしかして一番心配してくれたのロックハートだった説ある!?」
勘弁してくれ。しかし、カードをよく見てみると思ったよりも綺麗で繊細な字だった。
【アルレシアへ。
あなたが早く良くなる事を願っています】
ハーマイオニーのようななんだかよくわからないチャーミング賞とかは書かれておらずただイニシャルだけが書かれているのだった。
もしかして彼はあの性格を作ってるんだろうか。
そして、きちんと人に合わせられるタイプなんだろうか。どうなんだろうと頭を捻りながらも私はカードをマルフォイのくれた花束の隣に置いた。