身長160センチ無いと戦えんわ!って、その前にハードモードすぎて泣いた!!!   作:あるれしあちゃん

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第78話

一度寮に戻った私は談話室に置かれた目当てのカタログを一部持って自分の部屋に向かった。

 

お金の入った袋をローブのポケットに押し込むと寮を出る。フクロウ小屋の方へ急ぎ足で進むとカタログに書かれた商品を注文用紙に書いてフクロウに括り付ける。そして袋にクヌートを4枚入れた。

 

「お願いします。早めにしてもらえるとありがたいなぁ」

 

一言だけホォーとなくフクロウに手を振って空の彼方に消えていくのを見つめた。

十分程度待ってまた現れたと思うと小包を足にくくりつけていて、早い仕事に感心する。自慢げに鳴くフクロウの頭を撫でてやり小屋に戻っていくのを見届けると、小包を開けて説明書を読み込む。まぁ前世でも使っていたのだから慣れているだろう。鏡がなくとも問題ない。

特に苦労することなくそれをつければ、二週間はいつでもかかってこいや状態だ。

そんなことを思いながらももう一度寮へ戻ろうと踵を返した。

 

途中でマートルのいるトイレがあったのでついでに寄っていく。

 

便座に腰掛けて楽しそうに笑って挨拶してくれるマートルに笑顔を向けると少しだけ時間をもらった。

 

「マートルさん。お伺いしたい事があります」

 

「なぁに?アルレシア、あなたの質問ならなんでも答えるわよ」

 

「マートルさんは蛇に見つめられて殺されたのでは無いですか?」

 

その言葉にマートルは歓喜極まる声で笑った。そして座っていたトイレにバッと飛び込んだ。

 

バシャンと飛んでくる水を寸前で避けるとまたバッと出てきた。退避していたので今度は掛からなかったけど、物理的に水に触れるのに首なしニックはさわれなかったはず...うーん

 

よくわかんないなぁ。このホグワーツゴースト達。

 

「そうねぇ......」

 

うっとりとしながら当時を思い出すように目を閉じるマートルを見つめながら既に原作で聞いた話を聞いた。悲劇のヒロインの様に語る姿に、本当に貴方は悲劇だよ、なんて思いながら相槌を打った。

 

「外国語が聞こえたの。それで私、出てけって怒ったのよ」

 

「それは怒りたくなりますね。女子トイレですし」

 

「えぇ、それで見たのよ。そう、黄色くて丸い目だったわ」

 

そして死んだと。むしろこれだけ語ってくれるゴーストがいるのに、何故辿りつけないのか教員達よ。マートルをヒステリックだと一括りにするから良くないのだ。

 

「マートルさん。その黄色い目を見た時、眼鏡って掛けていましたか?」

 

その言葉に不思議そうな顔をしてマートルは首を振った。

 

「泣いてたのよ、だから外してたわ」

 

「そうですか...」

 

「不思議な質問ね!まぁ、あなたが襲われて死んだら、私と一緒に住まわせてあげるわ」

 

「ふふっ、ありがとうございます。マートルさんとなら楽しく過ごせそうです。これから用がありますので、また」

 

マートルに別れを告げてトイレを出ると寒い風が通り抜けた。あの笑顔を見ると罪悪感しか生まれてこなかった。

“貴方はあの時眼鏡さえかけていたら助かっていた”なんて誰が言えようか。そんな酷い事を言ってしまえば、マートルを泣かせたいじめっ子も辛いだろうし。死んだ本人もやるせないはすだ。寒い廊下を進み、ここの角をと前を見ようとした時だった。

 

「こんにちはアルレシア」

 

その声に顔を上げると目の前にはエイブリー先輩がいた。おや、可笑しい。廊下でちょうど授業中なホグワーツには私以外誰もいない。静かだったはずなのになぁ。

 

「今日は...水曜日では無かったですよね?」

 

先程注文したとあるブツを早速使用した私は取り敢えず死ぬことだけは免れたと心の中で安堵のため息をついた。

 

「どうしても会いたくてね。そこの空き教室に入ろう」

 

そう言われてしゃーねぇなーといい子に入った。優しげな表情で私の肩を抱くと、埃っぽい教室でも構わず、エイブリー先輩もとい、トム・リドルは口を開いた。

 

「ねぇ、アルレシア」

 

私の頰を撫でてトムリドルは笑った。新しいおもちゃを見つけたみたいな瞳だった。その瞳を見上げていると、黒い瞳が赤くきらめいた。黒いはずの瞳が、時折赤く輝くのだ。

 

そして次の瞬間、彼は私の首に手をかけた。

 

ガッと力が抜けていく感じがした。魂がとられてんのか、はたまた魔力とられてんのかわかんないけど、転生補正で石にならないとか、気に入った。石にしないよ。とかないかな。あるわけないよなぁ。

 

赤い目に変わる時はなんなんだろうかと思いながらも、その美しい瞳を見つめていた。

 

この先、この瞳を見ることなど私しか叶わないことだろう。長い睫毛に縁取られた瞳はとても綺麗で綺麗で見惚れてしまう。思わずその瞳に手を伸ばしてしまいそうになる。

 

「マグル風情に愛情など抱くわけないだろう?」

 

先程とは打って変わって小馬鹿にしたようにトム・リドルは笑った。

いっけめんやん。

 

「そうでしょうね。エイブリー先輩、いいえ..........トム・リドルさん」

 

その言葉に眉を寄せて私を睨んでくる。よくもこう表情が変わるものだと感心しながら首に当たる手が私のことを絞め殺さないことを願うばかりだ。

 

「いつから気づいていた?最初からか?」

 

「少し前です。最初は全く気付きませんでした」

 

「まぁ、ここで君は死ぬわけだし、別に構わない。せいぜい泣き虫な間抜け、マートルと一緒にトイレで這いつくばっていればいい」

 

マートル一回も這いつくばってないけどね。いつも元気だよ。むしろ、彼女はいじめから解放されて嬉しかったのかもしれないし。

いじめた男の子のせいでトイレにこもってって.......男の子は責められただろうね。

むしろゴーストになった瞬間はスカッとしたかもしれない。

 

「死にたくはありませんけど、助けてって言えば助けてくれるんですか?」

 

「君はそう思うのか」

 

「いいえ」

 

「答えが出ているじゃないか」

 

「殺す意味がありますか?」

 

「マグル風情がスリザリンにいる時点で虫唾が走るね。死んだら僕の魔力の肥やしにでもするさ。でも、君は驚くほど魔力が少ない。困るよ。

君が死んだ時、君の魔力を貰いたかったんだ。何故かわからないけど、思ったよりも君と僕の魔力は相性が良く感じたし」

 

鼻で笑って、トム・リドルは私の首から手を離した。一歩距離を保って、髪の毛を撫で付けている。その姿だけでも絵になりそうだと頭の片隅で思った。

 

「魔法で殺してあげたいんだけど、まだ魔力が足りていないんだ。

ハリー・ポッターに接触できてなくてね。でも、君から少しでも補給できて助かったよ。あの魔力のおかげで随分と楽に事が進めたよ。全く、分霊箱とわかっていながら魔力を注いだのか。僕にしては有難いが、馬鹿なんだろうね」

 

魔力を注いだ馬鹿はマルフォイ家の誰かか、それともウィーズリーの末か。全く迷惑な話だ、なんてそんなことを思いながらも笑ってそれを褒めた。

 

「それは良かったですね。記憶媒体ではできることも多くはなかったでしょう」

 

「本当にね。まぁ、君のお陰でもあるし。楽な死に方はさせてあげるよ」

 

「死にたくは無いんですが」

 

「しかし、その様子だとバジリスクについてもわかっているんたろう?」

 

「えぇ、多少は」

 

「それにしても、首に手をかけられてもぴくりともしない。君、死にたいのかい?もう少し抵抗するなりしてもいいと思うよ」

 

「死にたくないと申していますがね」

 

「そうは見えないけどね?売女って噂も立ってるくらいだ。本当は死にたくて死にたくてたまらないんじゃないか」

 

そう言いながら私の首を撫でて、トム・リドルは笑った。死にたくてたまらないとか、そんな事を思うわけないのだが。正直言ってここで死んでしまえばどうなるのかは気になるが。

 

「貴方の目には、私はどう映っています?死にたがりに?生きる事を諦めている様に見えているのですか。

私も、貴方のように麗しい人に殺されるならまた戻れるのかもしれませんね。戻れたらいいんですけどね。きっと、その方が幸せです」

 

いや、まーったく死にたくないし。原作見たい!マルフォイの成長が見たい!

私は袖に隠していた杖を手に持ってくると瞬間的に走り出した。体に力が入りにくいがまぁ走れる事だろう。幽霊に失神呪文なんかしても無意味だと思って逃げることにしてが、一発くらいはやればよかった。

 

「アルレシア!」

 

背後から怖い声が聞こえてきたと思うと足の音が聞こえた。私の魔力分ここで使うのか。教室を出て廊下に、走り出して角を曲がろうとした時だった。

 

 

 

 

 

黄色い目が見えたのは。

 

「な.......」

 

足元から硬くなっていく体にやられたと思った頭に、耳元から声が聞こえた。トム・リドルだった。

 

「そんなにバカなわけないだろう?」

 

固まっていく足、お腹、胸。

 

私は最後にこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「バカはそっちじゃない」

 

 

 

 

 

そして私の記憶はブラックアウトした

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