身長160センチ無いと戦えんわ!って、その前にハードモードすぎて泣いた!!!   作:あるれしあちゃん

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第79話

「うっ.....ゲホッ.....ウェッ」

 

口の中に広がる味で思わず噎せ返った。瞬きしてなんだなんだと目を動かすと、医務室のようだった。あれ、さっきまでバジリスクの目を見たところじゃ。

しかし、長く眠ったようなだるい感覚。そして口の中のこの味は。

 

あぁ、麻酔のようだ。

前世に盲腸で虫垂を切ったことがあった。それで、麻酔をしたことがある。その時も一瞬で眠りにつき一瞬で目が覚めたのだ。あれに似た感触と、苦味の残る口の中に私は自分が石になっていたことに気づいた。

 

「起きたかね」

 

その声に慌てて体を起こそうとしたけど動かず、まだ治り切って無いのかと目だけを声の方に向けた。ゴブレットを持った教授が不機嫌そうに眉を寄せている。

 

「ジェフィフィーナ、気分はどうかね」

 

「わる..く、ないです」

 

「そうか」

 

そう言いながらも、教授はいつもと違って不機嫌そうな眉を緩めた。少しばかり安堵の表情が現れて、そして一瞬で消えた。教授が手を貸してくれてゆっくりと起き上がると私の他の何人かが同じように処置されているのを見つめた。

 

ミセスノリスがゆっくり、しなやかに伸びをするのをすぐ傍で泣きながら喜ぶフィルチも、原作では書かれていなかった裏側なのだろう。

 

まだ固い体を柔軟しながら、周りを見渡すと教授から声がかかった。

 

「貴様は何を通して、バジリスクを見たのだ」

 

「.....教授はコンタクトレンズというのをご存知でしょうか?」

 

「コンタクトレンズ....あぁ」

 

「本当に効くか心配でしたが、対応してくださったみたいです」

 

そう言って目に手をやり、人差し指と親指でコンタクトレンズを外した。前世はコンタクトだったし、多少は硬い気がするコンタクトレンズだったけど十分使えた。

 

「まさか、正体に気づいていたのか」

 

「いいえ、確証はありませんでした。私が石になる前日、医務室で魔力不足の指摘を受けている際にはまだ全く掴めていませんでした」

 

「魔力不足の原因は風邪だと言っていたか...」

 

「風邪では無かったですね。恐らく、ジニーウィーズリー同様に魂を抜かれていたのでしょう。そのせいで体調を崩していたのだと思います」

 

自分でその言葉を発した瞬間。あ、まずいと思った。まだ私はジニーウィーズリーに接触はしていないし、トムリドルの日記についても何の説明も受けていない。

単純なるミスだが、教授がそれを見逃してくれるはずもない。私が顔を上げて教授を見つめると、教授は険しそうな顔で見つめてきた。

 

「なぜ、ウィーズリーもだと思ったのだ」

 

「考える時間は充分にあったのです。私はハロウィンの日に壁に文字が書かれた時点で誰かが協力者を得て部屋を開けたのだと考えました」

 

「その協力者がウィーズリーだと?」

 

「いいえ、秘密の部屋はサラザール・スリザリンの作った部屋だと調べがつきました。ですから、グリフィンドールの生徒を使うとは考えにくいです。スリザリンとグリフィンドールは喧嘩別れになってしまったそうですし。しかし、隠しやすい点では使いやすかったでしょうが。スリザリンのシンボルは蛇。サラザール・スリザリンは蛇語が話せる。ですよね」

 

「あぁ」

 

教授は頷くと早く続きをと急かすように私を見つめた。

 

「しかし、肝心の部屋は見つからない。という事は、ある一定の条件を満たさなければ開かない部屋か、部屋と部屋の間の空洞。または、地下にあると考えました」

 

「あぁ、秘密の部屋は地下深くにあった。そして、そこにはバジリスクもいた」

 

「はい、怪物とは蛇のことだった。そこまでたどり着きました。そして、石になったカメラを持った少年。あの少年はカメラのレンズ越しに見た。その他にもミセス・ノリスとそばの水、など...ヒントは多くありました」

 

「蛇をなにかを通して見ると石になる。それはバジリスクではないか。そう考えたと言うのかね」

 

「はい。確証はありませんでした。正直、そんな蛇はいないと思っていましたし。しかし、スリザリン内部にマグル生まれの私がいれば真っ先に狙われると思い、コンタクトレンズを購入し、目にはめました」

 

「学生とは思えぬ洞察力ですな。しかし、まぁ.......無事で何よりだ」

 

お、お、お!デレたデレだデレだ!

私は笑顔を向けて頭を下げた。

 

「ご心配をおかけしました」

 

「別に心配などしておらん」

 

「ふふっ.......お話を続けさせていただきますね。

そして、スリザリンの継承者でなければ開けられない部屋。ということは、スリザリンの生徒なのだと何の疑問も持たずに思ってしまいました。しかし、それがこの継承者を部屋を、問題を紐解くのに時間のかかってしまった点でした。スリザリン生なのか、サラザール・スリザリンの末裔なのか。そこでの決めつけがそもそもの間違いでした」

 

教授もそこで引っかかったのか私の言葉に静かに頷いた。まぁ、原作全てご存知だから別に引っかかったもなにも無いのだけれど。

嘘つくのが上手いっていうのも何だかんだ悲しい。

 

「そして、秘密の部屋へと繋がる扉の候補として、スリザリン生ならば談話室だと最初に考えました。

しかし......マートルさんの言葉で全て纏まりました」

 

「マートル......嘆きのマートルか」

 

「彼女は言いました、トイレに男子が入ってきて何か外国語を喋っていた。そして、出てってと言ったが出て行かず、そして黄色い瞳を見てしまった、と」

 

「その外国語が蛇語だったと」

 

「はい、そしてマートルさんのトイレをよく探したんです。そこで、蛇が掘られた水道があったのに気づいたのです。これは秘密の部屋の入り口だと考えました。そして、50年前に扉を開けてしまった人が誰だったのか、そして今回開けてしまったのが誰か。

 

...正直、スネイプ教授に言う悩みました。図書館で見たのです。ジニー・ウィーズリーの魔力が日記に吸い込まれていくのを、そして、ハロウィンのあの日、ペンキまみれのローブをきたジニー・ウィーズリーを見かけて。あの日記は可笑しいと思いました」

 

「何故、その時に我輩に報告しなかったのだ」

 

「確信がなかったからです。その時には、授業でペンキを塗った後かもしれない、日記もウィーズリーの双子さんの発明品かもしれない。だから、見落としていたのです」

 

「その見落としで死にかけたのですぞ」

 

「本当です、困りますね。でも、その目撃から、私は確かに違和感を持ち続けました。正直、日記一つに何ができるのだろうとも思っていたんです。それでも、私も魔力が何故か減っている。だから危機感を覚えて、コンタクトレンズを購入した直ぐにバジリスクに出会ってしまったのです。

コンタクトレンズをしていなければ、私が殺されていました」

 

「........」

 

なにも言わない教授は静かにため息をこぼした。他のベッドの住人達がどんどん回復していき活気付く医務室。

 

「でも、このことを直ぐに、医務室で伝えていれば。ごめんなさい」

 

「ジェフィフィーナ。貴様が襲われたことは我輩たちに責任がある。内心、スリザリン生は狙われないと、我輩はそう......過信していた」

 

そう言って教授は私から目線を外して下を見つめていた。

 

「........すまない」

 

「そんな、気になさらないでください。私も危機感が足りなかったです」

 

「いや、我輩に非があるのは確かだ。もし、何か我輩にできる事があるのなら頼みたまえ。夏期休暇に時間を作ろう」

 

え、マジで。ちょ、勉強見てくんね!?

私の勉強凄まじく遅れてるんだよ。半年以上だからさ。

夏期講習とかはしてくれないんだろうか。そんなことを思いながらもそんなことをしてもらうのは申し訳ないと断りの口を開こうとしたのを途中でやめた。

 

ここは、受けておいた方が後々もいいかもしれない。

 

「.....では、半年以上も勉強が遅れていて......可能でしたら勉強を見てくださいませんか?」

 

「よかろう。時間を空けておく。

我輩が教えるからには予習もさせますぞ」

 

「もちろんです。よろしくお願いします!」

 

私は笑って頼むと教授は当たり前だと鼻を鳴らした。そしてさっと立ち上がるとそのままカーテンの向こうへと行ってしまった。あ、なんか杖持ってるやん。

 

「へ、あ........」

 

バラバラと頭上から何か転がってきたと思うとベッドに束ねられた羊皮紙が転がっていた。

 

なんだこれ、そんなことを思いながらも羊皮紙をくるくると解くと何か文字が書かれていた。

 

「膨れ薬...の作り方?」

 

教員の字ではない。同年代の字。誰かがノートを取ってくれていたのだろう。有り難いけど、一体誰だろう。

 

そんなことを思いながらも丁寧に羊皮紙を巻き直した。他の羊皮紙を見つめるとなんだかとても笑えた。

 

マルフォイだろうか、ノットだろうか。

 

なんだかとても幸せな気持ちで、私はマダムが診察に来てくれるのを待つのであった。

これから、ハリー・ポッターやロン・ウィーズリーに200点が入るけどきっと、とても楽しい、幸せな宴になることだろう。

マルフォイにとってはとても辛いかもしれないけれど、これがまたハリーポッターシリーズの一年が過ぎた。今作は些か早すぎる終わりだったけど。

 

知らずのうちに過ぎてしまった誕生日も、クリスマスも、来年こそは楽しめるといいなぁ。

 

カーテンを挟んで隣がグレンジャーだったようで、嬉しそうに歓声をあげるウィーズリーとポッターがいた。

あぁ、リドルくんイケメンだったのに勿体無かったなぁ。

パッと目が合ったポッターに笑いかけると、ポッターも微笑み返してくれる。

 

「よかったですね。ポッターさん」

 

「うん!アルレシアも良かった。あ、でも...ここだけの話ね。マートルが残念がってたんだ。アルレシアが此処に来るかもって喜んでたから..」

 

あれ、ポッターは私のことを名前呼びしていただろうか。そんなことを思いながらもふふっと笑い返すとポッターはまたグレンジャーの方へ向き直った。

 

ほかに襲われた人も、仲間達に囲まれて幸せそうに笑っていてよかった。

特に、フィルチはもう高笑いしてる。

 

私もこの嬉しい気持ちを胸に抱きしめて、それを包むように羊皮紙を腕に抱えた。

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