身長160センチ無いと戦えんわ!って、その前にハードモードすぎて泣いた!!!   作:あるれしあちゃん

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第86話

さて、もう夏休みも残りわずかという時だった。脱狼薬も改良が進み、最低限どうにかなるところまで来ていると教授は言っている。

 

そんな教授は、夏休みが終わってしまうのに授業のスケジュールだなんだと学校の授業準備にも追われ、現在はベッドの中で撃沈。早めにやっておけばよかったのに、スネイプ教授は薬の改良が楽しくなってしまったらしい。アーメン。

 

(僕、ホグワーツで先生になりたいって思ったことがあってね)

 

(へ〜)

 

(あの教師を見てればもう無理だよね。

ブラック過ぎる。なんでひと科目に一人しか教師がいないんだ?殺す気だろう)

 

(うーん...なんでだろうね。

まぁ途中からは選択式だとか色々で全学年見るわけでは無いし...)

 

(アルレシアもホグワーツの教員はやめておいた方がいいよ)

 

(就職先....)

 

心の中でトムとのんびり会話しながら、教授と自分の食事を準備する。先程まで足りなくなった薬草の処理と片付けをしていたのでだいぶ遅い昼食だ。もうすでにおやつの意を込めて勝手に教授のお金で購入したチョコチップとかでカップケーキまでオーブンにいる。

スネイプ教授はかわいそうに夏休みの間に痩せた。

 

(正直聞くけど、アルレシアは将来魔法界かマグル界、どっちに行くんだい?)

 

(えー、どっちって...)

 

(君たちマグル生まれは、魔法界に何かあったらそっちにすぐに逃げる。だけど、君は残念ながら逃げた先でも居場所を作らなきゃならないだろう?)

 

(なら...魔法界で細々暮らした方がいいかな、でも...うーん...)

 

そう言いながら勝手に奮発した良い牛肉を入れたビーフシチューの鍋をかき混ぜる。

魔法が使えるようになったので鍋を火にかけて温める、冷やす、温めるを繰り返して時間短縮だ。味は冷える時に入ると祖母に教わった記憶があるが本当だろうか。

 

(付け合わせは?寝起きにビーフシチューは重すぎるんじゃないか?)

 

(うーん、普通のサラダと飾りの付け合わせに夏野菜のペッパー炒め)

 

(まぁ...そんなものか)

 

(私の体貸そうか?トムも食べればいいよ)

 

(いや、別に食べたいとは思わない)

 

バッサリ切られてあーはいはいと私は受け応える。だけど、鍋をかき回す過程でチョンと汁というかビーフシチューがシャツに飛んでしまった。

今着ているのは教授のシャツなので、バレたら殺されそうだ。私が寝ている夜中に来てあぁでも無いこうでも無い、煎じた結果の比率がおかしい手伝えオラと現れた教授に慌てて着替えたので寝巻きは漏れ鍋だ。

 

だって昼間に漏れ鍋に煙突使って帰ったら寝巻きですって事後じゃんだめでしょ。

 

怒られませんように〜と思いながらカトラリーを用意してダイニングテーブルに並べようとしたその時だった。

 

ピンポーンとのチャイム。この家にチャイムなんて、なんて珍しいのだろうか。お客さんが来ることはまず無いから、お届け物だろう。ポストに入らないなら荷物。フクロウ便が通常の教授に宅配は本当に稀だろう。

 

「珍しいね」

 

(ダンブルドアなんじゃないか?)

 

私は首を傾げながら杖に指を引っ掛けつつ戸を開けた。この時点で私は、昨日ヤケクソで飲んだワインが残っていたのかもしれない。手伝いで疲れて勝手に飲んだのだ。

普段なら、教授の服を着たまま人前になど出ない。

 

「はーい、今開けますね」

 

「あ...ぁ...」

 

「えっと...この家の主人は今お休みしてまして」

 

「セブルス、結婚したのかい?」

 

(フッ...ロリコン教師か美人局...)

 

(トム、後者なら私が遺産狙いじゃない?)

 

ハァ?麗しき17ぞ我。おじさんと一緒にすんじゃねェよこの野郎。娘に見えたのか妻に見えたのかいえ!場合によっては死刑だぞゴラとは言えないので、キャラメル色のような古びたローブを着た男性をキョトンと見上げた。

 

「えっと、あぁ...ダンブルドア校長からここに来るよう言われた、私はリーマスルーピン」

 

リーマスルーピン!はい原作こんにちはー!!脱狼薬のことかポッターのことか。何かしらでお話にきたのねはいはい。教授は後一時間くらい寝かさないと機嫌悪いから起こしにくいンゴ!!

 

「ダンブルドア校長先生から...」

 

「えっと...君は」

 

「あ、私は...」

 

教授の服でお出迎えしてるのでお察しだ。さてどうする、と思った瞬間だった。家の奥で扉の開く音がして、私は教授が少し早いが起床したことに気づいた。

 

(リーマスルーピン...なにか妙だね、この男)

 

(スネイプ教授が今頑張って脱狼薬を作ってるじゃない?校長の命で。

で、脱狼薬の完成が見えてきて教授の元に来たってことは...)

 

(この男が人狼ってことなんだね)

 

(えぇ、闇の魔術に対する防衛術担当になる)

 

「アルレシア!校長が人を寄越すと連絡してきた」

 

廊下からそんな声が響いて、私は慌てて声を張り上げる。もう遅い、遅いよ教授。

 

料理をして、食事を済ませてから着替えようと思っていたけど、ルーピン教授が来たなら一緒に食べるだろう。教授と入れ替わりに着替えよう。

 

「アルレシア、何処にいる」

 

「スネイプ教授、お客様です」

 

声を張り上げると、家の奥から教授が姿を現した。寝巻き姿からしっかりと着替えていただけマシだろう。今日はスッキリ起きられたらしく、顔色も悪くない。ビーフシチューでも問題なさそうだ。

 

「セブルス」

 

「...我輩が連絡を受け取るより、随分お早いご到着のようで」

 

「....まぁ、そうだね」

 

待ち侘びていたから、とは口に出さないようだった。ルーピン先生、彼にとってはほしくて仕方ないモノだと思う。

 

しかし、脱狼薬は使っている材料が高級品ばかり。そればかりか下処理も時間がかかり、手間もかかってしょうがない。これでも、魔法薬学のプロである教授が改良を重ねている。それでも、私が一人で煎じることは難しいだろう。

 

「あるれ...ジェフィフィーナ、我輩は食事にする。あー...闇の魔術に対する防衛術担当のリーマスルーピンだ。適当にもてなしておけ」

 

「...ダイニングに一緒に用意しますか?」

 

「無用」

 

そう言ってツカツカと歩いていってしまう教授に、私はビーフシチューの匂いを思い出して私の飯は!?と思いながら見送った。

 

(あーあ、アルレシアのご飯は?カップケーキでも食べるのかい?)

 

(うーん...一応聞いてみてかな)

 

「えっと...ルーピン先生、昼食は済まされました?」

 

「いや...ダンブルドア校長からはちょうど昼食になるだろうからご相伴に預かるといいって」

 

「そうですか、それでしたらダイニングにご案内しますね。

ルーピン先生...スネイプ教授はまだ寝不足で機嫌が悪いかもしれません。疲れが溜まっていて、ちくちく言葉を使います。

ですが...夏休みずっととある薬について研究、改良してきました。なので....」

 

許してね、とは言えない。だから、私は途中で言葉を切った。誰の薬とも、なんの薬とも言わない。だけど、わかってね。そういう意味を込めて、私は困ったように笑った後に背を向けた。

 

(今のセリフ、どう考えたって誰へのなんの薬か本人に伝わってるじゃないか)

 

(伝えてるからいいの。

夏休みなのに、年中無休でスネイプ教授が可哀想だから...まぁ、正直言えば...私はこの人のことあまり好きじゃない)

 

何が...とは言わずに、私は歩き出した。ダイニングに座り紅茶を飲む教授はなんだゴラァ?あぁん?という顔をしていたので、すみませーんと苦笑いだけを浮かべておく。

 

「ダンブルドア校長先生からここでお昼を済ませるように言われたそうですよ。分けやすいビーフシチューで良かったですね。

ルーピン先生、お好きな席へどうぞ」

 

キッチンで盛り付けをしてさっさと三人分セッティングする。正直着替えたい、だけど二人っきりにして大丈夫?一言も言葉を発しない二人に、私は思わず胃を押さえた。

 

この二人のとこにいるの?私死ぬんじゃないの?そう思ったが仕方なし、私はサラダを手にダイニングテーブルへ向かった。

 

「教授、アイスティーもありますよ。

ルーピン先生は紅茶は温かい、冷たい、どうなさいます?」

 

「ジェフィフィーナ、構わん着替えてこい。寝巻きで客の前に出るな」

 

早く言え。

私はさっさか部屋から脱出すると着替えにいった。そもそもの話原作なら二人っきりだから気にしなくて良かった?

教授の寝室に入って、畳まれた自分の服を引き寄せる。服を着替えて、雑に縛っていた髪を丁寧に結い直す。鏡の向こうにはすっぴんの私、はい嫌。

 

教授の寝室を出て、さっさとダイニングに戻ると、二人は何も言わずに食事を始めていた。気まずい。本当に気まずい。

 

「ジェフィフィーナ...?えっと、美味しいよ」

 

「あ、名乗っていませんでした。失礼しました。えっと...」

 

「我輩の寮生で、今は我輩の元で下働き中のアルレシア・ジェフィフィーナだ。今回の研究にも携わらせた。我輩に何かあれば貴様の薬はジェフィフィーナが担当する」

 

「え、きょ、教授!私にあんな高度な薬を煎じられるわけないですよ」

 

(僕がいればできるだろう)

 

(でも、トムは魔力不足になるとすぐいなくなっちゃうじゃない)

 

(でも、見てるだけなら多少の魔力不足は大丈夫だよ)

 

「何のために貴様にあれだけ指導したと思っている。下処理一つ覚えられなかったとは言わせませんぞ」

 

「教授は見て覚えろ派じゃないですか。下処理は一通り覚えました。ですけど、私にあれだけ高度な薬を煎じるにはまだまだ経験不足です」

 

「2年間あれだけ教えたのだぞ」

 

「えっと...あるれ..しあ。君は、ホグワーツの最終学年か何かなのかい?」

 

「あ、えっと今年3年生です」

 

「なのに脱狼薬の調合を?」

 

「教授の元で勉強はさせてもらっていますが、正直自信はないです。教授ほどの玄人でなければ難しいですから」

 

「...我輩とて毎月確実に煎じられるとは限らん。その場合はジェフィフィーナにやらせるほかあるまい。ポッターが暴走せぬようにせいぜい見張ることですな。

もっとも、シリウス・ブラックが脱獄した今...ポッターにホグズミード外出許可は下りまい」

 

その言葉に、私もそういえばそんなイベントあったなぁと思い出した。ビーフシチューを美味しくいただきつつ、苦笑いだけを浮かべるのにとどめる。その後は、私たちは会話することなく食事食べ進めた。

 

ビーフシチューを食べ終え、杖を振って片付ける。ルーピン先生も、早く薬を確認したいだろうから、私は教授を急かすように研究室へと向かう。でも、私は研究室に案内するだけで入ることはしなかった。

 

(いや、何で入らないの?)

 

(...いや、うん。ちょっとねうん。教授の怒りのボルテージが結構高くて)

 

そう、なんかもうキレ気味なのだ。たしかに、自分を虐めまくった相手のために2ヶ月も時間を割き続けて頑張ってきて何かをしてあげるって本当にできるだろうか。

私ならきっとできないから、投げ出してやったフリをしている。

 

教授の心の内はわからないが、シリウスとジェームズの二人に対して、ピーターなんとか...ペティグリュー?とルーピンはどう見えているのだろう。自分を一緒にいじめていた人なのか、それとも傍観して楽しんでいた人か。怒りのボルテージが、教授の中でどこに向いているのか、私にはいまいちわからなかった。

 

お茶の用意をしておきます、と部屋から出てキッチンへ。晩御飯やお菓子の用意をしようと現れたものたちを布巾で拭いた。

 

(スネイプ教授も何故あんなに冷徹なんだい?)

 

(うーん...教授の中で、まだ心の整理をつけられてないと思う。ルーピン先生の親友が裏切ったせいでポッター夫妻が亡くなっているから)

 

(まだポッターの母に想いを寄せているってことかい?)

 

(うん。教授はずっと、自分と好きな人の中を切り裂いたような、大嫌いで大嫌いで仕方ない...自分の好きな人を守れなかった男と、好きで好きでたまらなくて、ずっとこっちを見て欲しかった女性との子供を守るんだよ)

 

(片想い重すぎない?)

 

(....ウン。

でも、大嫌いな人にポッターはよく似てる。顔も見たくないだろうけど、でも...目だけは大好きな人と同じだから仕方ないね)

 

それくらい愛される人が羨ましいなぁと思いつつも、私はキッチンで二人の話が終わるのを待った。

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