身長160センチ無いと戦えんわ!って、その前にハードモードすぎて泣いた!!!   作:あるれしあちゃん

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第91話

さて、新学期が始まった。そう、1日目の授業で、グレンジャーが同じ時間に3科目も受けちまうぜ!っていう場面がある朝である。

 

授業の日程表みたいなのを配られるので、私もそれを受け取りにいかなければならない。朝のシャワーを終え、魔法を使って髪を乾かす。今日は髪を下ろして行こう、なんて思いながら身支度を整えた頃に、私の部屋の扉がノックされた。

 

そう、スネイプ教授の自室に繋がる扉だ。

 

「はーい」

 

扉を開けると、スネイプ教授がローブ姿で立っていた。

 

「おはようございます教授」

 

「体はどうだ」

 

「特に問題ないと思います」

 

「さようで。

スフィア石を握りたまえ」

 

そう言われて握りしめると、昨日よりかはいささかマシに光り輝く。青い光がぼやっとし、所々紫がかっているのは何かの補正だろうか。

 

「また花でも出したのかね」

 

「まだ今日は髪を乾かしただけです」

 

「...明日になっても良くならんようならば、ベゾアール石でも口に捩じ込み原因を究明せなばならん」

 

「教授の見せてくださいよ」

 

スネイプ教授は私の手から石をひったくって握りしめた。途端にグリーンの光が輝かしくも指の隙間から溢れ出す。そんな...まるで夜の星と太陽くらいの差ではないか。

 

「綺麗なエメラルドグリーンですね」

 

「これくらい光りたまえ」

 

「また明日にでも握りしめます」

 

「明日はマスタード入りのサンドイッチにしたまえ。それから、軽食に摘めるものを。

今夜はルーピンが報告に来る。アルレシアも同席すると伝え了承済みだ」

 

「わかりました。夜に伺いますね」

 

私は頷くと、扉を閉めた。夏休みにサンドイッチを作り置きしまくったので胃袋をつかめたらしい。教授はホグワーツの食事が油強すぎてあまり受け付けないらしいので、仕方ない作ってあげよう。頭の中にメモをしながら、私は心の中でトムに声をかけた。

 

(トム、いる?)

 

返事はない。まだまだトムの活動可能なところまで来ていないのだろう。仕方ない、そう思いながら鞄に教科書を詰めて寮の部屋を出た。ガヤガヤと人の多い談話室にマルフォイ達は既にいなかった。

 

そういえば朝からポッターのことを揶揄っていた描写が原作にあったような無かったような...。マルフォイと、ビックバークだかバックビークのおじぎぃいいい!!はいつなのだろうか。

 

そう思いながら素早く談話室を出ると、私は大広間へと向かった。見慣れない一年生達がウロウロと彷徨うように歩くので、私は大広間はこっちだよ、と思いながら声をかけるつもりはないので背中で伝える意気込みで歩いた。

 

大広間につき、私はスリザリンの席へと着いた。どうやら時間割が出ているらしく、名前のよくしらないスリザリン生が私の分をくれた。監督生か何かだろうか。

 

「ポッターはまだディメンターに震えてベッドから出てこれないのか?」

 

「あれくらいで気絶してるなんて、英雄なんて嘘なんじゃないの?」

 

ワーワーとマルフォイ達が騒ぎ出すのを横目に、私はさっさと朝食をお皿へ盛り付けた。クロワッサン、オムレツとサラダ。飲み物は紅茶とミルクを人回し分。そしてコンソメスープも一杯だけ。

 

時間割の一つ目が占い学なので、割と楽しみだ。正直マグル学と悩んだが、トレなんとか先生の占いが興味深い。

 

クィレル先生は元気だろうか。生きている、それっきりなんの音沙汰もない。原作補正でどこかへ飛ばされたのだろうか。

 

「あらジェフィフィーナ、ディメンターがいるのに寮から出て大丈夫なのかしら。それに、去年は授業にいなかったんだから、2年生からやり直した方がいいんじゃない?」

 

「...パーキンソンさん」

 

パンをちぎって口に運ぼうとしたところで、私に高笑いしそうな顔で笑いかけてくるので、なんだてめえと笑みを浮かべておく。パンジー・パーキンソンのお嬢さんは私が汽車で寝まくっていたことをよくご存知らしい。

 

「ポッターと同じように気絶したんですって?」

 

「正確にいうと汽車に乗ってからホグワーツに着くまでほとんど寝ていましたね」

 

「でも、ディメンターを見て気絶したって聞いたわよ」

 

「ディメンターが来た時に目を覚ましましたけど、パトローナスを呼んでディメンターを退けてからまた寝た、ってだけですよ」

 

「本当かしら...って、ディメンターは幸福な記憶を吸い取るんですってね。ジェフィフィーナにそんな記憶があったのかしら。ポッターと同じくらい幸が薄そうですものね」

 

「...パーキンソンさんこそ、ディメンターを見てさぞ怖かったでしょうね。ディメンターにキスなんてされてしまえば...魂を抜かれてしまいますよ」

 

そう言いながら、パーキンソンの唇を指差す。そして、無言呪文で指先に気持ち程度の光を灯す。

 

「魂って...どんな色なんですかね」

 

唇へ指を近づけ、そっと遠ざける。パーキンソンは自分の口を覆って、私の方へ顰めっ面のようなものを向けた。

 

「ディメンターにしてもらったら?スリザリンの嫌われ者なんだから、あの世の方がよっぽど居心地がいいかもしれないわよ」

 

「...そうですね。生きるのに疲れたらそれも手かもしれません...その時には、パーキンソンさんにもしっかりお礼をさせてもらってから、ディメンターのところに行きますよ」

 

にっこりと笑ってそう言うと、パーキンソンは顔を青くして足早に立ち去ってしまった。残念。

 

私はざまぁみろと思いながら紅茶を飲みきり、時間割と共に書かれた教室の場所を読んだ。北塔のてっぺんにあるらしい教室まで行くのに十分はかかるだろう。

 

しかし、行ったことのない塔だから探し回らなくてはならないし。マップとかをホグワーツは作った方がいい。そんなことを思いながら鞄を形にかけた。

 

大広間を出たところで、ポッター達ご一行が歩いてくるのも見える。ちょうど入れ違いになるらしい。

 

「あら、ジェフィフィーナ!」

 

その声と共に、グレンジャーは私の元へと駆けてきた。続くようにポッター。そして、ゆっくりのんびり関わりたくないと言わんばかりに歩くのがウィーズリー。

 

「グレンジャーさん、おはようございます」

 

「おはよう、いい朝ね。

昨日の汽車で、同じコンパートメントだったんたけど覚えているかしら」

 

「た...ぶん。すみません、ほとんど寝ていたので」

 

「そうね、貴女すごく顔色が悪かったわ。ルーピン先生っていう男性の先生も座っていたけれど、二人とも体調が悪そうで病人用のコンパートメントかと思ったもの」

 

「...あはは...でも、今日はもうだいぶ良くなりましたよ」

 

「そうみたいね。でも、昨日はすごかったわ。貴女はディメンターを相手に杖を無しで魔法を使ってたもの」

 

「あまり覚えていないんです」

 

「そうなの?でも、貴女は確かに魔法を使えていたわ」

 

「無我夢中だったのかもしれないですね」

 

「そうかもしれないわね。でも、すごかったわ。って、あまり時間がないわ...また話しましょうね!」

 

私は頷くと、軽く会釈してその場を去った。さて、北塔を探さなければならない。私は迷子になりながら、なんとか北塔を見つけたのだ。

 

むろん、一番乗りである。

 

たくさんの階段を登り切り、奇妙なところに扉のついている天井を見上げれば、

 

「シビル・トレローニー...占い学教授」

 

そう書かれているのを見て、私はここが教室の入り口であると確信した。しかし、魔力不足と体力は比例するのか、だいぶ疲れたので近くの段差に座る。そのうち人が増えてどうにかなるだろう。

鞄から教科書を出して、私は暇つぶしにそれを読み始めた。

 

 

 

しばらく経った頃に、他の人たちも段々に集まり始め、私たちはトレローニー先生の授業を受けたのである。

普通にポッターはグリムが取り憑いてる!!とか色々言われたりする映画のシーンらしい感じがあったので特に言うことはない。私の方もお茶っぱで何がわかんねんと思いながらやっていたのでそういうことだろう。

 

たまたま三人グループのポッター達のおかげで、グレンジャーと組むことができたが、グレンジャーはゴリゴリの理系。ソリが合わないらしく、トレローニー先生の話をボコボコに否定することしか言わなかったせいで肝が冷えたのは内緒である。

 

ちなみに私は、カップを見た途端にトレローニー先生からそんなことを言われた。

 

「あぁ...あぁ...こんなこと、私の口からは言えませんわ」

 

「...なら、言わないでいただいていいです」

 

「いいえ、これも運命!貴女には....おぉ...そう、生霊が、死が、魂が取り憑いてる。

その魂は、貴女を求めて今もなお付いているのです」

 

「えっと..はぁ...」

 

「でも...私には貴女の未来が見えませんことよ」

 

紅茶の葉が入ったカップで、一体何が見えると言うのか。私は紅茶の葉が描く模様が幾何学的に見えて無理だった。

受けた結果は、面白くない。とだけ言っておこう。問題は、昼食後の森番の授業である。

そう、午後はマルフォイの腕が羽の生えた鳥にやられる話である。


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