身長160センチ無いと戦えんわ!って、その前にハードモードすぎて泣いた!!!   作:あるれしあちゃん

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第96話

木曜日の授業だった。魔法薬学の授業が後半分というころにマルフォイは姿を現したのだ。ふんぞりかえりながら歩く姿に、スネイプ教授を見ても素知らぬ顔でいるだけだった。グリフィンドール生ならば迷わず減点、罰則だろう。でも、マルフォイはいかにも恐ろしい戦いから生き残った英雄気取りなので、私は正直吹き出しそうになるのを舌を噛むことで抑えた。

 

「ドラコ、どう?」

 

パーキンソンが取ってつけたような笑顔で言うので、その心はいかに。マルフォイのこと大好きだもんねウンウン。

 

「ひどく痛むの?」

 

「あぁ」

 

腕をさすりながら、痛みに耐える顔になるマルフォイ。だからもう治ってるじゃーん。ポッター達も同意見なのか、テメェー!という顔をしているので、私はこの茶番面白いなんて薬の調合のために教科書を閉じた。

 

「座りたまえ、さあ」

 

スネイプ教授はそう言って空いてる席を指差す。そう、私の隣だ。ポッター達の席の隣を一つ開けて私なのだ。しかし、他にも空いてる席はある。スリザリンの所にいけば....なんて思いながらいるとあろうことかマルフォイは私の空いた隣へ荷物を投げおくのだ。

 

そして薬の調合が開始された。説明を一切受けていないマルフォイもしっかりやるようで、私とポッター達の間に鍋を据えた。

 

そしてここで、原作か映画か、どこかで聞き覚えのある会話が始まるわけである。

 

「先生」

 

マルフォイの呼びかけに、スネイプ教授はマルフォイの方を向いた。そして、私の方をチラリと見てお前なんとかしろ、という顔をしてくる。しません、はい。

 

「先生、僕、雛菊の根を刻むのを手伝ってもらわないと、こんな腕なので...」

 

そう言いながら私と逆の方に顔を向けるマルフォイ。こいつにやらせろと指示するようだった。

 

「ウィーズリー、マルフォイの根を切ってやりたまえ」

 

マルフォイの姿で、私には向こうの状況はわからないが、相変わらずワーワー言い合ってるのでマルフォイとポッター達はもう仲良しでいいんじゃないだろうか。

 

そんなことを思いながら萎び無花果の皮を剥いて、芋虫を輪切りにしていく。

薬をさっさと作っていく過程で、薬はだんだんと黄緑色に変わっていく。最後にヒルの汁をほんの少し加えて、よくかき混ぜた。

柄杓で掬い上げると、トロトロとした液体になり、私は成功を確信した。そもそも魔法薬学という分野自体が料理みたいなものだと思っているから、私には向いているかもしれない。

 

さて教授に見てもらおうと思ったところで、スネイプ教授がロングボトムのところにいることに気づいた。

 

「オレンジ色か。ロングボトム」

 

ロングボトムは壊滅的に魔法薬学が苦手なのだ。柄杓で掬い上げて垂らされた薬は、オレンジ色に輝いている。

 

「オレンジ色。君、教えていただきたいものだが、君の分厚い頭蓋骨を突き抜けて入っていくものがあるのかね?我輩ははっきり言ったはずだ。ネズミの脾臓は一つでいいと。聞こえなかったのか?ヒルの汁はほんの少しでいいと、明確に申し上げたつもりだが?ロングボトム、いったい吾輩はどうすれば君に理解していただけるかな?」

 

その言葉に、ロングボトムは真っ赤になってカタカタと震えている。その目からは涙がこぼれそうだった。

 

「先生、お願いです。私に手伝わせてください。ネビルにちゃんと直させます」

 

グレンジャーはそう言ってスネイプ教授を見上げた。

 

「君にでしゃばるよう頼んだ覚えはないがね」

 

スネイプ教授は冷たく言い放つと、柄杓を音を立てて置いた。

 

「ロングボトム、このクラスの最後に、この薬を君のヒキガエルに数滴飲ませたらどうなるか見てみることにする。そうすれば、多分君もまともにやろうという気になるだろう」

 

うーわ、ひどいひどい。正直私も怖いわ...なんて思いながらも鍋の中身が焦げないようにかき混ぜた。ロングボトムにそう言って立ち去るスネイプ教授は私に気づき近寄る。そして、私の柄杓を使って薬の確認をした。上から下へ薬を垂らし、粘度の確認だ。まだ煮込むのだが、ここまでやれば大体薬の結果は見えてくる。

 

「ふむ。ジェフィフィーナ、合格だ。スリザリンに5点加点しよう」

 

ありがとうございます、私はそう言って隣でふんぞり返って薬を調合するマルフォイに声をかけた。

 

「マルフォイさん、お手伝いすることはありますか」

 

「見ての通り、僕は腕が痛くてね。ジェフィフィーナに僕の鍋をかき混ぜるのをやらせてあげるよ。ポッターとウィーズリーが後のものはやってくれるそうだからね」

 

その声に、ウィーズリーがキー!と私を見ている。待て待て、私は悪くないんだが?そう思うが言えず、ポッターは困ったように私を見るだけだった。

 

「そうですか、なら混ぜたりのお手伝いをさせていただきますね」

 

私がそう言って鍋をかき混ぜたり、材料を追加して煎じ始めると、マルフォイは思い出したように口を開くのだ。少し不貞腐れたように私の鍋を覗き込む。

 

「ジェフィフィーナ、一度きりしか医務室に来なかったな」

 

「...何度もはお邪魔かと思いまして」

 

「フン、そうか」

 

「それに...」

 

私はそう言ってマルフォイの耳元に唇を寄せた。正確に言えば、話す間はわざわざマルフォイが腰を曲げて顔を近づけていてくれていたのだ。おかげでコソコソ話がしやすくてありがたい。耳元にある綺麗な髪に少しだけ触れてかきあげながら、小さな声で囁く。

 

「マルフォイさんはもう大丈夫だって、スネイプ教授がいいました。私、嘘が嫌いです。

それに...医務室を逃げ出したこと、ちょっと申し訳なく思っているんです。だから...恥ずかしくて顔を合わせづらかったんです」

 

本当は恥ずかしくとも、申し訳ないとも思ってない。でも、マルフォイの求めている言葉はきっとこれだと思ったのだ。案の定マルフォイは、すぐに機嫌を取り戻したようだった。

 

「ふーん、そうか。僕から譲歩して来ってやったんだ。他の者なら泣いて喜んでいるね」

 

「泣いてなくてすみません...でも、腕と胴体がついてて良かったです」

 

私はそう言ってマルフォイの吊るされた手を撫でた。

 

(今日は随分マルフォイの息子を甘やかすな)

 

「...ジェフィフィーナ?」

 

「いえ、なんでもないです。さて、薬できましたよ。」

 

(トム!なんだかこっちだと久しぶりだね)

 

(しばらく魔力不足なんかで出てこなかったからね)

 

(でも、これで二人楽しく授業できるね)

 

(あぁ...これは縮み薬か)

 

(うん)

 

私は柄杓で黄緑色の液体を掬い上げて落とすと、頷いた。良い仕上がりになっているはずだ。そう思いながらマルフォイに柄杓を手渡す。

 

そして私は使った道具を片付けるために歩き出した。そのタイミングで、またスネイプ教授が声を上げたのだ。

 

「材料は全部加えたはずだ。この薬は服用する前に煮込まねばならぬ。グツグツ煮えている間、後片付けをしておけ。あとでロングボトムの薬を試すことにする」

 

その言葉にロングボトムを見ると、汗だくで必死になって鍋をかき混ぜていた。まだオレンジ色になっている鍋の中身と、泣きそうなロングボトムの姿に、私は道具を片付けるていでそっと近づいた。

 

「ロングボトムさん」

 

「グスッ...な、なに」

 

「落ち着いてください。今のオレンジ色と、スネイプ教授のあげた加えすぎの分を考慮して、ヒキガエルに服用してもそこまで大事にはならないはずです。

グレンジャーさん、無花果をひと欠片、それから雛菊の根の刻みを半分です。火は強めにして、色が青みを帯びてきたら最後にもう一度ヒルの汁を一滴だけ」

 

私はそれだけ言うと、道具を片付けに戻った。スネイプ教授がいささかいじめすぎなのだ。グレンジャーは唇を動かさないように指示を出し続ける。しかし、オレンジ色になった薬を直すのは材料を入れ直すのが早いので、その配合や微細な感覚が必要になる。スネイプ教授も手伝ったことにはすぐ気づくだろう。

 

全てを片づけ終えて、私がマルフォイ達のテーブルへ戻ると、マルフォイは僕の分もやれと言わんばかりの顔だった。仕方なくそれも片づけて、一息つくのだ。

 

そして授業が終わるという頃に、スネイプ教授はロングボトムのテーブルは近寄るのだ。

 

「諸君、ここに集まりたまえ」

 

全員が集められ、スネイプ教授は手のひらにカエルを乗せた。まって、いつから来たのよトレバーくん。

 

「ロングボトムのヒキガエルがどうなるか、よく見たまえ。なんとか縮み薬が出来上がっていれば、ヒキガエルはおたまじゃくしになる。もし、造り方を間違えていれば、我輩は間違いなくこっちの方だと思うが...ヒキガエルは毒にやられるはずだ」

 

その言葉に私が辺りを見回すと、グリフィンドール生は青い顔で恐々と、スリザリンは嬉々として見ていた。小さなスプーンで薬を一掬いして、二、三滴をヒキガエルの口に流し入れる。黄緑色に薬がなっているから概ね大丈夫だとは思うけど。

 

一瞬辺りが静まり返り、ヒキガエルの喉が動いた。ポンと軽い音がして、ヒキガエルはおたまじゃくしとしてくねくねと動いている。

成功したらしい。グリフィンドールは拍手して喜び、スリザリンとスネイプ教授はつまんねー!という顔だった。温度差あるなぁ。でも、私もアドバイスした身として安堵のため息を心の中で吐いた。教授はポケットから小瓶を取り出しておたまじゃくしの上へと少しかける。今度は飲ませるのではなくかけるのか。また元に戻るヒキガエルはロングボトムの方へ飛んでいった。

 

「グリフィンドール五点減点。手伝うなと言ったはずだ、グレンジャー。授業終了」

 

グリフィンドール生のブーイングがありながら、授業は終了していった。

 

「ジェフィフィーナ、後片付けに居残れ」

 

「はい、教授」

 

私は返事をして、残った材料が集められたテーブルへ向かった。どんどん片付けをしながら、教室を出て行く生徒を見つめる。そんな中で、私はノットと目が合った。ノットはただ私を一目見ただけで、それ以上は何もせずに立ち去る。

 

教室の生徒が全員いなくなった頃に、教授は口を開くのだ。

 

「ロングボトムを手伝ったな」

 

「...手伝ってはいませんよ」

 

「無花果をひと欠片、それから雛菊の根の刻みを半分か?後は火を強めにしたな。あれは加熱不足もあった。熱を加えた後にヒルの汁を一滴、最後に足したか」

 

「教授でも同じような指示を出しました?」

 

「否定はせぬ」

 

「良かったです。間違っていなくて」

 

「ロングボトムに罰則を与える機会を失ったがな」

 

「...そもそも、オレンジ色だったのでヒキガエルに与えてもなんの効力もありませんでしたよね。脅しは可哀想です」

 

「毒になるものを生徒の私物に飲ませれば、我輩がクビになるが...緊張感も必要だと思うがね」

 

「グレンジャーさんが手伝っているのだって知っていて黙認していましたし...」

 

私はそう言いながら、残った雛菊の根をいつもの棚へ押し込む。教授も特別追及するつもりがないのか、杖を振っているだけで片付ける間は口を開かなかった。

教室のものを全て片付け、次の授業で使うものを用意し終わった頃に教授はようやく口を開いたのだ。

 

「午後はルーピンの授業か」

 

「え?あ、そうですね」

 

「昨日から嬉々として凄いものが迷い込んだと話していたが」

 

その言葉に、まね妖怪ボガートのことだろうなぁと頭の片隅で考えていた。ボガード?ボガート?ちょっとどっちだったか忘れたけど。仲良くやっていて何よりだ。

 

「それは楽しみですね。授業で扱ってくれると嬉しいです。でも、スネイプ教授が将来やってくれるのも楽しみにしていますよ」

 

「我輩の後任が居なければならないがな」

 

「教授ほどのプロは、イングランドのどこを探しても居なさそうですね」

 

私がそう言うと、教授は満更でもないのか鼻を鳴らして私の頭を杖の先で小突いた。むしろ、何当たり前のことを言ってるんだ、ということだろう。

 

「アルレシアが使えるようになるまでに、我輩が死なねばいいがな」

 

「ホグワーツ卒業したらあっという間ですよ。あ、でも直ぐには難しいですかね」

 

「ある程度、聖マンゴ魔法疾患傷害病院、ヒーラーの元で経験を積む必要が問われるやもしれんな。貴様なら別に薬草学を専攻しても問題あるまい」

 

「教授は...」

 

私はそう言いかけて、辞めた。そうだった。教授は校長と手を組んでホグワーツの勤務になったようなものだったのだから。私はあぁ、と思い出したような顔をして自分の教科書を詰めた鞄の元へ駆け寄る。教授から顔を背けたのだ。

 

「ホグワーツの図書館に上級魔法薬学の教科書があったんですけど、この豆、汁を多く出すために刻めとあるんです。でも、この豆って小刀で潰した方が汁が多く出ますよね。

薬によって違うのは、汁の量を調節するためですか。でも、汁の量が足りないと失敗に繋がるって」

 

「...上級魔法薬の生ける屍の水薬では刻むと書いてあるが、より効果的にするため、潰すべきだ」

 

「あ、そうですそうです。生ける屍の水薬です。それに書いてあったのですが、より効果を高めるには変えたほうがいいのではないかと思いまして」

 

「レビコーパス」

 

教授が突然そう言って杖を振る。私は突然のことに振り返ると、体が持ち上がって宙吊りになった。

 

「え?」

 

スカートを履いているので必死になって前を押さえるが、髪の毛が全て床につかんばかりに重力に負けていた。正直後ろ側は丸見えだろう。

 

「え!?私何かしました!?」

 

(これ、反対呪文じゃないと恐らく解除できないね)

 

(へぇ〜じゃなくて、なぜ突然私はこんなことされてるの?)

 

(さぁ)

 

「なぜわざわざ生ける屍の水薬など気にしてる」

 

「万年万能薬と、フェリックス・フェリシス。それから解毒薬が気になって。上級魔法薬学なので、その関連で見つけたんです。それよりおろしてくださいー!」

 

「...アルレシア、貴様はまだ三年だがな」

 

「まだまだ煎じるまで先が長いです」

 

「リベラコーパス」

 

ゆっくりと下されるので、反対呪文だと推察して私は地面に足をつけた。一体何がしたかったのか。髪の毛を手櫛で整えながら、私は教授を見上げた。

 

(トム、何がしたかったんだろうね)

 

その言葉には何も返ってこず、私はどうした、と思いながらもう一度声をかける。でも、何も返って来なかった。教授が何か答えてくれるのを私はただ待った。

 

全く、ただ図書館で見た幸運の液体が気になっただけなのに。上級魔法薬学の本達はどれも不確定というか、流石は昔の錬金術師が特定の固有名詞を持たずに作ったことはある。効率が悪いと言うか、言葉ではない!感じろ感がすごい。

 

そんな事をぼんやりと考えていると、ハッとして教授を見た。そうだそうだ、教授と話していたんだった。

 

「で、何がしたかったんですか突然」

 

「...昼食の時間である」

 

「はぐらかすんですか...」

 

「自室に用意させるゆえ、食事の間は質問に答えてやっても良い」

 

突然の柔和な対応に、私は喜んで!と言わんばかりに教科書入りの鞄を抱えた。なんでかはわからないが、宙吊りにされた甲斐があったらしい。

 

「教授!早く行きましょう!」

 

(アルレシア、さっき心を読まれていたこと、気づいてる?)

 

(え?)

 

私は思わず鞄を手から滑り落とした。足に落ちた重い鞄に思わず足を押さえる。痛い痛い。それよりえ?私はなぜ心を読まれた?

言われてみれば、たしかに先程の一瞬は奇妙な感覚があった。開心術については習得していなければ、効果しかわからない程度だが、ポッターが謎プリあたりで閉心術と共にやった気がしたし。

 

足から手を離して、私は落とした鞄をそのままに立ち上がった。私の魂にいるトムが言うなら、心を読まれたのは間違いないはずだ。

 

「貴様は何をしているのかね」

 

「きょ...う、じゅ。間違っていたら申し訳ないですし、あまり信じたくはないのですが」

 

「...」

 

「先ほど、開心術を使用しました?」

 

「何を馬鹿げた事を...」

 

そう言いながら、教授は私から目を背けた。思わず教授のローブを掴み、私はこちらを向けと言わんばかりに引っ張る。

 

(閉心術を学ばせる必要がありそうだね。開心術も、だけど)

 

「教授」

 

私は心が冷静になっていくようだった。裏切られた気持ちになったからだ。でも、元々私たちは特別な仲でもなかったから構わないけれど。

 

(開心はレジリメンス、閉心はオクルメンシー。アルレシア、冷静になって心を閉ざして。心を無にするんだ。オクルメンシーに詠唱は必要ない。マインドコントロールのようなものさ)

 

(分かった)

 

冷静に、何も考えるな。心を閉ざす、それだけ。教授がこちらを向くのを待った。ゆっくりとこちらを向き、私と目が合うのだ。明らかに動揺した表情だった。そして、動揺した瞳に私の顔が映り込むのだ。

 

今までやったことのない魔法が一発で成功したことはあまりない。それでも、確信的に成功する時というのがあるのだ。そう、確実にやらなければいけないという使命感がある時。

 

「レジリメンス」

 

バチンと弾かれる感覚がして、私はローブを握る手を強めた。教授も眉を顰めて私を見下ろすのだ。

 

「我輩に開心術を掛けるとは」

 

(オクルメンシーの使い手のことを、オクルメンス、スネイプはその使い手だね)

 

「オクルメンスである教授には無謀みたいですね」

 

「我輩は...プロに、教わったのだ」

 

そう言った教授はさらに動揺したように私から視線を逸らす。奇妙な空気が私たちの間に漂う。耐えきれないと言わんばかりに、教授は私の頭に手を置いた。

 

「我輩が悪かったようですな。貴様にレジリメンスをしたのは認める。今まで魔法薬学において、この場合はどう対処する、この配合ならばこの結果になろう、料理のような研究をしてきた貴様が突然上級魔法薬学、さらに効果的な成分を追求することを不自然に感じたゆえ、このようなことをした」

 

「...脱狼薬だって改良を提案していたじゃないですか」

 

「すまないと言っておる」

 

「配合に関してはかなり研究をしました。配合を変えることでの効果はやりましたから、次は上級魔法薬の様々ある作り方を統一でもしようと思ったんです。失敗率が上がる理由を探そうと思って」

 

「...貴様はつくづく研究馬鹿のようですな」

 

「教授には負けますよ。私が本で読んだ程度で開心術なんて使いこなせませんけど、教授にかけたのは事実ですから...これで喧嘩両成敗です。私にはもう、そんな魔法を掛けないと約束してください」

 

「...約束しよう」

 

そういえば、私は親もわからない怪しい人間だった。スネイプ教授だってなんでも教えてくれるが、突然の方向変換には疑いを向ける。

 

(随分易々と許すね)

 

(...私とトムがセットだし、正直怪しんでも仕方ないよ)

 

(まぁ、今まで掛けられてる気はしなかったんだろう?)

 

(多分、今までは大丈夫だと思う。それよりトムのところまで心が読まれたりとか...)

 

(それはない。僕は侵入されていると感覚でわかるから、ちゃんと僕の魂まで避難するし)

 

(読まれるのは私の感情や記憶だけってことね)

 

(そうなる)

 

「教授、昼食を食べましょう」

 

なるべく笑みを浮かべて、私はそう言った。床に落ちた鞄を拾い上げるために下を向いた時、私はどこか悲しいような悔しいような気持ちが溢れた。教授も気まずそうな顔をしたまま鼻を鳴らして歩き出すのだ。許しているわけではない。でも、やって当然なのだから責める気にもなれない。心の中で気まずい気持ちを溜めて、教授の背をついていった。

 

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