身長160センチ無いと戦えんわ!って、その前にハードモードすぎて泣いた!!!   作:あるれしあちゃん

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第97話

ざわめきながら、私たちは闇の魔術に対する防衛術の授業が始まるのを待った。生徒達は皆、思い思いに必要なものを机へと出している。

 

ルーピン先生はまだ教室には来ていなかった。夏休み前に会った時以降、すれ違うタイミングもなかったので結構楽しみに私は鞄だけを机の上に置いていた。中身を出すことはしない。

しばらくすると、ようやく先生は入ってきた。相変わらずの曖昧な微笑みで、かけていた鞄を先生用の机において私たちの方を向くのだ。

 

「やあ、みんな。教科書は鞄に戻してもらおうかな。今日は実地練習をすることにしよう。杖だけあればいいよ」

 

まぁまぁの顔色だ。みんながガタガタと鞄の中に物を詰める音を聞きながら、私も鞄の肩紐を掴む。正直、闇の魔術に対する防衛術で実地練習をするのは初めてだ。何人かの生徒は顔も見合わせている。

 

「よし、それじゃあ。わたしについておいで」

 

ルーピン先生の背中を生徒達がついて行く。私も最後尾の方になるまで待ってからついて行くのだ。みんなの背中であまり良くは見えないが、宙を浮くピーブズがいるのだけは見える。最近は見かけると違う道を通るようにしていたのでここまで近くで見るのは久しぶりだ。

 

(実地練習って何をするんだい)

 

(あー、ボガートだよ)

 

(まね妖怪の?)

 

(そう)

 

「ルーニ、ルーピ、ルーピン。バーカ、マヌケ、ルーピン。ルーニ、ルーピ、ルーピン...」

 

「ピーブス、わたしなら鍵穴からチューインガムをはがしておくけどね。フィルチさんが箒を取りに入れなくなるじゃないか」

 

ルーピン先生の声が前の方で聞こえるが、私にはなんの話をしているのかさっぱりわからなくてなんだろうと思いつつも鞄を肩に掛け直した。

 

「この簡単な呪文は役に立つよりよく見ておきなさい。ワディワジ」

 

その声と共にピーブズはよくわからないけど反転して消えて行った。一体なんだったのか。また進み出す列について行くと、ついたのは職員室の廊下だった。そっか、職員室の中でボガートは勉強したんだっけ。

列を成して職員室へ入って行くと、中にはスネイプ教授が座っていた。映画版ではいなかった気がするから、原作ではいたんだろうか。そんなこと思いながら、私は端っこの方で目立たないように縮こまった。

 

「ルーピン、開けていてくれ。我輩、できれば見たくないのでね」

 

わざわざそれを言うために待っていたのか、それとも職員室片付けて置いてって頼まれたのか、教授が職員室にいる理由はわからんが失敗しろという顔がしっかり刻まれてます教授。バレバレですハイ。

 

「ルーピン、多分誰も君に忠告していないと思うが、このクラスにはネビル・ロングボトムがいる。その子には難しい課題を与えないようにご忠告申し上げておこう。グレンジャーが耳元でヒソヒソ指図を与えるなら別だがね」

 

「術の最初の段階で、ネビルに僕のアシスタントを務めてもらいたいと思ってましてね。それに、ネビルはきっととてもうまくやってくれると思いますよ」

 

その言葉に、スネイプ教授は職員室からさっさと出て行った。そこからはおおむね映画でも見たことある私の記憶通りだ。ボガートの説明、ロングボトムの実践だ。スネイプ教授が可愛い貴婦人の服になった時は流石のスリザリンも気まずい顔をしていたとだけ伝えておこう。

 

そこからは列を成してどんどんとボガートと戦う実践だった。

列をなす生徒に混じりながら,私は押され揉みくちゃにされていた。身長が低いとこういうところで不便。そんなことを思いながら列になろうとしている人混みからなんとか抜け出した。一番後ろはマルフォイだったので、その後ろについたのだ。よしデカいな君も。

 

「ジェフィフィーナ」

 

「はい?」

 

マルフォイが私を見下ろして声をかけるので、なんだなんだと首を傾げると、怪我をしていない方の手が突然伸びてきた。反射的に目を閉じると、頭に手が乗せられて髪を撫でられる。

 

「馬鹿なグリフィンドール達に揉みくちゃにされたのか。鳥の巣だぞ」

 

「本当ですか。ありがとうございます」

 

「思ったよりまともな手触りなんだな」

 

「髪がですか」

 

「あぁ。なぜそこまで伸ばしているんだ」

 

「なぜ...うーん」

 

私は別に理由がないので首を傾げた。髪を切るのが前世からめんどくさくて、伸ばしてはバッサリ、伸ばしてはバッサリを繰り返してきた。それでも、前世は親戚が美容師をして、祖母と一緒に切ってもらっていた。今世ではそんな縁もないからか、余計に足が遠のいているのだ。

 

「切るタイミングがないからですかね」

 

「切った髪で悪魔でも召喚するんじゃないのか」

 

「私のことなんだと思ってるんですか」

 

そんなことを話しながら、私たちは進みゆく授業を見ていた。おおよそ原作通りか、特にトラブルなく進んでいく列。そして私は、前の方にポッターがいるのに気づき、授業の終了がわりと近いことを感じた。

 

「ジェフィフィーナはボガートが何に変身するんだ?」

 

「えっと...さぁ...?」

 

「何が怖いのかすらもないのか」

 

そう言われても、私はさっぱりだと首を傾げた。何が怖いだろうか。正直怖いと思うものが思いつかなかった。

怖い虫、強いて言うなら蛇だろうか。でも、トムが側にいる今、そこまで蛇が怖いとも思えない。人間はお猿さんの頃から捕食者だかなんだかなんとかで蛇が苦手だと前世見た気がする。

 

「マルフォイさんには怖いものがないんですか?」

 

私の言葉に、マルフォイは待ってましたと言わんばかりに笑った。むしろ質問してくれと言わんばかりだったのだろうか。

 

「母上だろうね」

 

「え?本当ですか」

 

「母上は厳しい人だ。幼少期は僕も馬鹿だったというわけさ」

 

「今は?」

 

マルフォイは私の耳元に口を寄せて小さな小さな声で囁いた。

 

「ディメンター」

 

いやお前もかーい!!私は笑いを隠せないままなんとか心を無にした。閉心だ、心を閉じろ私。

 

「私も...大切なものを吸い取られそうで怖いですよ」

 

「大切なものなんてあるのか」

 

「大切な記憶ぐらいありますよ。ディメンターは幸せな記憶を吸い取るんです、ただでさえカツカツスカスカな幸せを吸い取られたら何にも残ってませんて。ホグズミードでバタービールでも飲んで幸せ充電したいです」

 

「アジア人はアルコールに弱いって聞いたぞ」

 

「...らしいですけど、はい、えっと...酔わない程度に...」

 

「バタービールはかなり弱い酒だから流石のジェフィフィーナでも酔ったりはしないだろう」

 

「だといいんですけどね。バタービールって美味しいんですか」

 

「...まぁまぁだろうな。ジェフィフィーナが甘いもの好きなら、好みだろうけど」

 

「甘いもの大好きです...ホグズミードにいつ行けるのかわかりませんけど、楽しみです」

 

「一人で行くのか」

 

「いつもの私を見ていればわかりますよね。行く相手なんていませんよ。一人でも、お酒は楽しく飲めますから」

 

「スリザリンの秀才がアルコール依存か」

 

「そんなに飲んでないですって」

 

そういうと、マルフォイは少し考えるようにしてから使える手をポケットに突っ込んだ。手をグーにしたまま私に差し出してくるので、なんだなんだと掌を向けると、その拳を開いた。

 

コロンと可愛らしい包紙が二つ転がっていた。なぜこんな可愛いのを?と思いながらマルフォイを見上げると、私のことなんかいませんと言わんばかりに違うところを向いている。

 

「これ、飴ですか?」

 

「見舞いの品で僕のベッド周りが埋まりそうなんでね。捨てるくらいならあげてもいい」

 

「魔法界の飴ですか?」

 

「あぁ」

 

「私、魔法界のお菓子食べたことないんです」

 

そう言いながら飴を見ると、なんの変哲もなく見えるがどうなんだろうか。何用とか、飴によっても効果が違うのかもしれない。

 

「食べたことなかったのか」

 

「初めてです。ありがとうございます、大切に頂きますね」

 

私がそう言って包みをポケットに入れたところで、前の方で誰かが呪文を大声で唱える声がした。

 

チラリと見えた先にはロングボトムだった。終わったらしく、拍手が鳴り響くので同じように手を叩いて置いた。

 

「ネビル、よくできた。みんな、よくやった。そうだな...ボガートと対決したグリフィンドール生一人につき五点をあげよう。ネビルは十点だ。二回やったからね。ハーマイオニーとハリーも五点ずつだ」

 

そんな声が前の方でしてるので、私はマルフォイに向かって声をかけた。

 

「結局スリザリンまで回らなかったんですね」

 

「らしいな」

 

あまり先生を好きに慣れなかったらしく、マルフォイは敵でも見るようにルーピン先生を見ていた。あぁ、そういえば映画とかでもルーピン先生はスリザリンには不人気だったんだっけか。

 

ポッターが何か話してる声が聞こえたあと、課題と解散の声がしたのでスリザリン生達がゾロゾロと帰り出した。私も置いていた鞄を取るために人が減るのを隅の方で待つことにした。

 

スリザリンは一同不満そうに帰って行った。自分達に回らなかったからか、グリフィンドールの贔屓を感じたか。スネイプ教授だってすごい贔屓してるぞ君たち。ようやく鞄を取り、肩にかけたタイミングだった。

 

「アルレシア」

 

そんなことを思っていると、私は声をかけられて思わず立ち止まった。ルーピン先生だった。一体何かと思うと、私の方へ歩いてきて、そっと肩を叩くのだ。

 

「汽車の中ではずっと寝ていたからね、体調が悪そうだったのを気にしていたんだ」

 

「同じコンパートメント席だったと聞いています。すみません、ほとんど記憶になくて」

 

「かなり体調が悪そうだったから仕方ないさ。寝ている君に無理やりチョコレートを食べさせてしまっていたんだけど、大丈夫だったかい?」

 

「はい、正直気づいたら医務室だったので...」

 

「そう、でも汽車の後、少し前からまた顔色が悪かったから心配してたんだ」

 

そう言いながらルーピン先生はポケットから羊皮紙を出して杖を振った。サラサラと何かが書かれるのを見ていると、それを二つに折りたたんで私の前へと出してくれた。

 

「ホグズミードに売ってるおすすめのお菓子だよ。特にチョコレートを食べると元気になれる」

 

「ありがとうございます」

 

「そうだ、ついでにスネイプ教授にお願いしたいメモを届けてもらえないかな。私は嫌われていてなかなか受け取って貰えないんだ」

 

笑いながらウインクされ、確かになぁと頷いた。

 

「そんなことないとは思いますけど...どうなんでしょうかね」

 

「私は魔法薬学が苦手だったから余計さ。さて、引き止めて悪かったね。メモを頼むよ」

 

そのメモも手渡され、私は仕方なくローブのポケットに突っ込んだ。後で教授のところへ行くことを忘れないようにしなくては。

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