身長160センチ無いと戦えんわ!って、その前にハードモードすぎて泣いた!!!   作:あるれしあちゃん

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第98話

 

ルーピン先生の授業は、ホグワーツであっという間に人気科目になったらしかった。最も、スリザリン生以外にはとつくが。ロングボトムがスネイプ教授におばあさまの服を着せるボガートプレイを行ったせいで、実害の無いスリザリン生としてもいつキレるか少しヒヤヒヤした。

ボガートプレイ効果は絶大すぎて、私は九月終わりから十月の頭にかけての満月前後の期間のほとんどを脱狼薬に毒を仕込まないように見張らなければならなかったのだから勘弁してほしい。二回くらいまぁ止めろと言わんばかりにトリカブトの配合を大幅に言い間違えていたぞ。教授も薬殺したいけど、したいけど...ということだろう、わかる。

ちょっと考えれば嫌いなやつが自分のつきたい授業の担当になり、挙句の果てには生徒に自分じゃないけど自分の模写女装プレイ。生徒も授業プラン立てた嫌いなやつも纏めて薬殺したいですねはい。

 

それでもまあ、ひと月もすれば、私たちも三年生に慣れてきて授業も楽しく過ごすことができるようになってきていた。

しかし、占い学は私にとっては今までに無いほど合わない科目らしい。グレンジャーほどワーワー言うのが得意ではない私にとっては無言で受ける科目だが、占い好きそうな女の子にとっては神の科目だろう。

 

あと、単純に魔法生物飼育学がバカほどつまらなくなったので正直マルフォイを殴りたい。

魔法生物飼育学、植物学、占い学。三科目もつまらないとなると私にとってはかなり苦痛な時間なのは言うまでもない。

 

図書館で天文学の正座図を仕上げた私は、ハロウィンが近づいてきて寒くなってきたなあと大広間で昼食を持ち帰るように包んでから寮へと向かっていた。

 

そこでオレンジ毛の猫が中庭から歩いてくるのを見つけたのだ。

 

その猫が私のそばまでやってくるので、どこかで見たことあるなぁと頭を悩ませていると、中庭に挟まれた向こうの廊下にグレンジャーがいることに気づいた。

 

「クルックシャンクス!」

 

その呼び声に顔だけを向け、猫は返事をしなかった。あぁ、クルックシャンクスって猫がそういえばいたなぁ。

 

「猫ちゃん、ご主人様が呼んでますよ」

 

その言葉を無視するように猫は私の足の周りを歩き始め、足に擦り寄った。可愛い猫だ。毛並みもふわふわだし、グレンジャーは大切にしてるのだろう。

 

「クルックシャンクス、何処なの?」

 

「グレンジャーさん」

 

私が探し回るグレンジャーに声をかけると、ようやく気づいたようで私の元へと駆けてきた。そして私の足元の方で丸まった猫を見て安心したように笑うのだ。

 

「クルックシャンクス、ここに居たのね。ジェフィフィーナありがとう。私の飼い猫なの」

 

「そうなんですね。毛並みもふわふわで、大切にされてるのがわかります」

 

「えぇ、大事な子なの。でも、ロンの鼠を狙うから最近心配で」

 

ロンの鼠...あぁ、あのスキャバーズ。中身はピーター・ペティグリューだったもんね。

 

「そうなんですか。でも、こんなにいい子そうなのに不思議ですね。他の動物には手を出さないんですか?」

 

「えぇ、ロンの鼠だけよ。だから不思議で...最初は私に色々言うロンへの仕返しをしてくれてると思ったのよ、でも違うみたい」

 

「ならその鼠がどうしても気になるんですね。あまり飼い主に心配を掛けないようにしてくださいね、猫さん」

 

私はそう言ってグレンジャーにもう行きますと軽く会釈をした。ゆっくりと足を開いて、猫の気をひかないように気をつけるが、私の足にまた擦り寄ろうとするのをグレンジャーが猫を抱き抱えて私に手を振ってくれたのだ。ありがたい、そう思いながら身長の関係で猫に目線が行き、私は猫にも手を振った。

歩き出して角を曲がったあたりで、私はむずむずする鼻を押さえて軽く揉んだ。

ちょっと目も痒い。私は猫アレルギーなのだ。

 

「へっ..へっく...し」

 

息を吐きながらくしゃみをするのがポイントですはい。空いてる手で瞼など目の周りを掻いていると、スネイプ教授が職員室から出てきた。

 

「あ、スネイプ教授。こんにちは」

 

「ジェフィフィーナか...かぶれる薬草にでも触ったのかね」

 

「そんなに酷いです?」

 

「御世辞にもランチを共にしたい顔ではない」

 

「...今のすごく傷つきました」

 

そんなことを言っていると、スネイプ教授は仕方なさそうな顔で一度職員室へ戻って行った。そしてすぐに戻ってくると、私の前でため息を零すのだ。

 

「マダム・ポンフリーは医務室におらん。我輩が薬を煎じてやる、きたまえ」

 

「すぐに落ち着きますから大丈夫です」

 

「二度も言わぬ」

 

それなら仕方ねぇと私はスネイプ教授の後ろをついて行くことにした。もうじき十月末、ハロウィンで脱狼薬の調合があるからか教授の顔も疲れ気味だ。

 

「ホグズミードに行くつもりはあるかね」

 

「行ったことないので興味はありますけど...」

 

「貴様の許可証が出ておらん」

 

そういえばそうだった。私の後見人が誰かわからず困ったのだ。トムさんは私のバイト先であって後見人ではない。かといってスネイプ教授も違うので、私はその紙を自分の手元に置いたまますっかり忘れていた。

 

「あまり興味が無かったようですな。我輩は許可証にサインがなければ行かせられぬと伝えた」

 

「バタービールにはちょっぴり興味があったので残念です」

 

「骨の髄までアルコールに侵食されているのかね」

 

「そんなに呑んでません」

 

「アジア人はアルコールに弱い。ジェフィフィーナの適量は毎度超えているようですな」

 

アルコール大好きなのに...そんなことを話していると、私達は地下牢教室の方へとたどり着いた。そこからスネイプ教授の研究室へと入るのだ。

 

ホルマリン漬けが棚に所狭しと並べられているのだが、カエルが少し増えていることに気づいた。多分ヒキガエルだ。

 

「...ロングボトムさんだってわざとじゃないんですよ」

 

「アルレシア、減らず口を叩く余裕があるのならば早くその辺に座っていたまえ」

 

言われた通り座っていると、スネイプ教授は手慣れた様子で鍋に煎じ始めた。アレルギー用の薬は調合しなれているんだろうか。

 

「猫アレルギーとは聞いておらん」

 

「猫に関わる機会が無いので、今まであまり気にしてませんでした。近づかなければ大丈夫ですし」

 

「アレルギーと分かっていて近づいたのかね」

 

「猫が来てくれたんです。足元に擦り寄るくらいなら大丈夫だと思ったんですけど、飼い主さんが抱き抱えた時にちょうど顔のそばに猫がきてしまって」

 

そう言いながら、私はハッとしてローファーを脱いだ。前世では動物に好かれなかったので、そもそも擦り寄ってもらうことがなかったのだ。クルックシャンクスだったから来てくれたのかな。

 

靴下を両足脱ぐと、猫が丸まった辺りに蕁麻疹ができていることに気づいた。ふくらはぎを覆う靴下だったから気づかなかった。途端に痒いぞ。

 

「馬鹿なのかね」

 

「私、こんなに酷かった覚えないです」

 

「成長と共に変わることもある」

 

悲しいぞ、なんて思っていると研究室の扉が叩かれた。それと共に声がするのだ。

 

「スネイプ教授、僕です」

 

「入りたまえ」

 

「失礼します...ジェフィフィーナか」

 

入ってきたのはマルフォイだった。一応魔法で綺麗にはしたらしいが疲れ漂う感じのクィディッチのスリザリンチームのユニホーム姿だ。練習が始まっているのだろう。

 

「マルフォイさん、お疲れ様です」

 

「なんだその腫れと蕁麻疹は」

 

「ドラコ、周囲で猫を飼ってる者はいるかね」

 

「僕の周囲にはいません」

 

「なら良い」

 

そう言いながら、スネイプ教授は鍋の中身をゴブレットに移して私の元へやってきた。

 

「ジェフィフィーナ、飲みたまえ。ドラコはどうしたのかね」

 

二人っきりの時以外は名前で呼ばないのでマルフォイだけが呼ばれるとなんだかちょっと不思議な感じがするなあと薬の匂いを嗅いだりしつつ観察する。今後は自分で調合させられるだろうし。

 

「僕の腕がまだ不調なので、グリフィンドール戦を遅らせるようにとキャプテンが」

 

なんか深刻そうに聞こえるので部屋に帰りたい。そう思いながら二人のことを見つつゴブレットの中身を飲んでいると、意外と苦く無かった。待て待て避妊薬よりよっぽど飲める。これを開発したのは誰だろう、素晴らしい。

 

「キャプテンではなくドラコが来たのかね」

 

「先輩が僕の方が確実だと言って」

 

「左様かね」

 

二人で話しているのを聞きながら、のんびりとゴブレットの中身を片付けてぼんやりしていると、暫くして話が終わったらしい。スネイプ教授は私のゴブレットが空になったのを確認して取り上げた。

 

「塗り薬が必要ならばまた言いたまえ。しかし...蕁麻疹が落ち着くまでここにいた方が良い。ドラコ、我輩から対戦期間をずらす様、進言しておく」

 

「ありがとうございます。僕、今度こそポッターより先にスニッチを取って見せます」

 

「期待しておる」

 

「マルフォイさん、頑張ってくださいね」

 

「応援するなら見に来たらどうだ。僕はジェフィフィーナが見に来たところを選手になってから見たことがない」

 

「すみません、寒いのが苦手なんです」

 

「フン...そのうちワールドカップでも観れば、クィディッチの良さもわかる。夏休みに気が向いたら招待してやらなくもない」

 

そういいながらスネイプ教授には敬意を払ってから出て行くマルフォイを笑って見送る。スネイプ教授は姿が見えなくなってから途端にわかりやすくため息を零すのだ。

 

「マルフォイさん、大変ですね」

 

「マダムがきちんと治した」

 

「えぇ...でも、マルフォイさんにとってもヒッポグリフに襲われたことがトラウマとして残ってるかもしれません」

 

「温室育ち過ぎたかね」

 

「そういいながらも、やっぱり可愛がっちゃうんですね」

 

「ドラコの父親は我輩の先輩に当たる。無下にはできぬ」

 

そういいながら羊皮紙に羽ペンを滑らせて行く教授はちゃんと腕のことで進言するらしい。なんというかもう、そろそろ休ませてあげた方がいいんじゃないだろうか。

 

「ホグズミードの日は脱狼薬の調合を始めておる。生徒が動き出す頃に来たまえ」

 

「今度こそルーピン先生が美味しく飲める薬になると良いですね」

 

「魔法薬学を料理だと思っているアルレシア嬢はあの材料で美味しくなるとお思いですかな」

 

「料理歴四十年近い私からすると無理ですね」

 

「我輩よりも生きてる割にはアレルギー対策ができておらんのか、馬鹿なのかね」

 

「今ので傷つきました。バタービールのみたいです」

 

「...少しは酒を控えたらどうかね。あと、我輩はあの甘ったるい飲み物をアルコールとは認めぬ」

 

「私は甘いもの大好きなんです。スネイプ教授の作った薬ならすぐ蕁麻疹も治りますから!治ったらバタービール、フクロウ通販で頼んでください」

 

「明日二日酔いになっても知らぬ」

 

「バタービールってそんなにアルコール強くないんですよね?大丈夫です」

 

そう自信満々に言った私に、スネイプ教授は近くにあった本を振り翳した。しっかりと頭を叩かれた私は、アルコール大好きなのに...とスネイプ教授を見上げておいた。流石のホグワーツも学校なので食事にアルコールは出てこないのだ。当然だけど。

 

「蜂蜜酒をアルコールを飛ばして与えても良いのだぞ」

 

「それはただの甘い苦い液体です」

 

そんな会話をしながらも、私は体がだいぶ楽になってきたことに気づいた。しかし、その日結局蕁麻疹が完全には引かなかったので、私はアルコールを断念せざるを得なかったのである。

これなら猫を撫でておけばよかった。アレルギーが怖くてなかなか撫でられないのだ。今度体調が良くて薬がそばにあるタイミングでグレンジャーとクルックシャンクスに会えればいいなぁと私は治ったらバタービールと書いた羊皮紙を教授のディスクに置いておくのである。

 

蕁麻疹がきれいさっぱり無くなったのはホグズミード行きの日前日。そう、ハロウィンの前日だったので、二日酔いでハロウィンを迎えることになったのは言うまでもない。

 

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