身長160センチ無いと戦えんわ!って、その前にハードモードすぎて泣いた!!!   作:あるれしあちゃん

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第99話

「うえっ...」

 

寝起き一発目で、私はそんな声を出しながら渋々ベッドに肘をついた。

 

(今日はホグズミードじゃないのかい)

 

(あれ、久しぶりだねトム)

 

私はガンガンと痛む頭を押さえながら軽く伸びをした。パキパキと鳴る体に、自分がどうやって自分の部屋に戻ってきたのかすら思い出せない。

 

(なんか最近、引きこもってない?)

 

(君がパトローナスの練習をするから僕も疲れるんだよ。あと、ハリーポッターやダンブルドアが近いからね)

 

(なるほど)

 

(それから、しばらく魔力を溜めていたからちょっと君から離れたりしても構わない?)

 

(そんなに離れられるの?)

 

(勿論。ポッターの魔力ほどじゃ無いけど、アルレシアの魔力と僕の魔力をうまく融合できて量が確保できてきたからね)

 

(へぇ〜。でも離れるならホグズミードで人の少ない今日がいいかも。これからシャワー浴びるから出てこないでね)

 

(あぁ)

 

そう言ったきり、トムは静かになった。

頭を押さえながらシャワーを浴びに行くと、鏡に映る自分の顔色が壊滅的に悪くて驚いた。蕁麻疹は完治しているので完璧な二日酔いだ。

 

取り敢えずシャワーを浴びて朝の支度をすると、私は髪をポニーテールにまとめ上げた。朝食を食べに大広間に向かうのだ。女子寮から出る頃には寮全体がカボチャの匂いに包まれていることに気づいた。そういえば今日はホグズミードの日なのでハロウィンだ。誰からも声をかけられないように早歩きをし、私は頭を押さえつつも大広間にたどり着いた。

 

一人で隅の方に座ると、一先ず喉を水で潤す。思ったより二日酔い。そもそも昨日何飲んだんだっけ。バタービル以降を思い出せない。

 

「ジェフィフィーナ」

 

頭を押さえていると声がかかって顔を上げる。私のそばに立っていたのはマルフォイだった。しっかりと秋模様に服を変えてご満悦だ。ホグズミードに行けるのが嬉しそうで何よりですはい。後は取り巻きのグラップ、ゴイルを連れて私を見下ろしていた。おい、後ろの取り巻きが何か両手で持ってる。

 

「あ、マルフォイさん...おはようございます」

 

「...トリックオア...という状態じゃないのか」

 

私の顔を見て、ニヤニヤしていた取り巻きすらも取り敢えず悪戯しようと何かを持っていた拳を下げた。懸命な判断だ、今だとここにゲロをぶちまけるかもしれないもんね。

 

「体調が悪いのか」

 

「いえ、慣れたことなので」

 

「ホグズミードにも行けなさそうだな」

 

「あー...スネイプ教授の所にいけば?」

 

そう口を挟んだのは取り巻きのどっちか。顔が似ていてよくわからん。しかし、あまりに私の顔色がひどいらしくポケットに手を突っ込んで私のテーブルの前に置いた。

 

「体調が悪い時は甘いものが...いい」

 

セロファンに包まれたお菓子たちだった。あと潰れた箱の蛙チョコ。嬉しいけど、食べられるのか。変な効力は...本人が食べる用なのだろうから大丈夫か。それでもお礼を言うと、マルフォイもポケットを漁っていた。御坊ちゃまはハンカチしか出てこなかった。

 

「あー...まぁ、魔法族でないジェフィフィーナはさぞホグズミードに行きたかっただろうね。まあ仕方ないから僕達がお菓子でも買ってきてあげてもいい」

 

ハンカチを素早くポケットに入れながらマルフォイが鼻を鳴らして言った。いやうん、まあ、別にいらないけど。そんなことにより少し遠くに座るパーキンソンたちの顔の方が怖いから早くどっか行ってほしい。

 

「どうしても悪かったら医務室に行け」

 

そう言うとマルフォイ達は他の三年がいる所、パーキンソンたちのところへ歩いて行った。よしよし、パーキンソンの機嫌を取ってくれ。そんなことを思っていると大広間に入ってきたスネイプ教授がいた。チラリとみると私と同じく土気色を通り越して顔色が悪かった。

 

もしかして二日酔い??そう思っていると目が合い、私のところで立ち止まるのだ。

 

「体調不良かね。ホグズミードには行けぬ様ですな。マダムの所にいく必要があるかね」

 

「いえ、病的なものでは無いので。よくあることです、えぇ」

 

そういいながら胸より下を指差してグルグルと回すと教授は大きな溜息をこぼした。伝わったらしい。

 

「...が、あまり強く無いことをお忘れかね、全く」

 

わざと音に出さずに言う教授に、私は弱々しく笑っておいた。周囲からは身体が強くないとでも思われただろう。一応は身体が弱くて入学が遅くなった、という設定があるのだ。全く活用されないけど。

 

「また薬を調合する」

 

「すみません教授」

 

鼻を鳴らして歩いていく教授を見送り、私はテーブルの上のお菓子たちを持った。ポケットの無い服なのだ。食欲はないからやっぱり寮で休もうと両手にそれを抱えて歩いていると、ノットが一人で歩いてくるのが見えた。

 

「アルレシア、おはよう」

 

「おはようございます」

 

「随分酷い顔色だけど?」

 

「ちょっと気分が悪くて。せっかくのハロウィンですけど、もう休もうと思います」

 

「...そう。ところで医務室に行くなら送るけど」

 

残念そうにしつつも、私にそう提案するノットに首を横に振っていく。二日酔いなんです本当に。

 

「いえ、慣れているので」

 

「僕は君が身体弱いなんてダンブルドアの言葉を信じてないけど?」

 

「元々体調を崩しやすくはあるんです。でも...今日は特に身体が辛くて」

 

「魔力不足?それとも単純に?」

 

「魔力?普通にしてたらそんな足りなくなったりなんてしませんよ?どうしてですか」

 

「去年は魔力不足に見えていたからね」

 

ノットは私を見下ろしてよくよく見ると首を振った。

 

「魔力は足りてるみたいだね」

 

「はい、ただ体調が悪いだけなんです。セオドールさんは楽しんできてくださいね」

 

私はそれだけ言うと歩き出した。頭がぐわんぐわんする。もうこれはマジで二日酔い。さっさと自分の部屋へ帰ると、私はそこからスネイプ教授の自室へと入った。後はスネイプ教授がなんとかしてくれるだろう。というか教授も二日酔いだし。

 

適当なソファに腰掛けると、私は目を閉じて教授を待った。無論、スネイプ教授は戻ってきて早々に二日酔い用の薬を煎じてくれて二人で飲んだ。教授も二日酔いだったらしい。二人で飲んだものを照らし合わせると、思ったより飲んでいたのでちょっと休憩してから、私たちはようやく動き出したのである。

 

 

 

「教授、ちゃんと確認してくださいね。トリカブト置いておきますよ」

 

「しておる」

 

私はスネイプ教授が鍋を混ぜる隣で必死に材料の処理をしていた。これから風邪がめちゃめちゃに流行るので、早めに下処理をしておくのだ。まだまだ下処理も完璧にできているとは言い難いのでしっかりと確認してもらう必要もある。

風邪薬と脱狼薬の用意。そしてまだちょっと頭が痛い。顔色が壊滅的だが元気なもんは元気なので問題無し。

 

「ルーピン先生体の方は大丈夫ですかね」

 

「問題はない」

 

「しかし、まだまだ人狼になってしまうという最大の課題が」

 

「正気を保てているのだぞ、充分だろう」

 

「本当はそう思ってないでしょうに」

 

私の言葉に教授はなんだゴラと言わんばかりに眉を吊り上げた。私は研究者ならば絶対そうだと睨みつけるように雛菊の根を瓶に詰めて寄越す。

 

「貴様ほど我輩はマッドサイエンティストではないのだが」

 

「ま?私がですか」

 

「我輩よりもよっぽど研究に勤しんでいるようだが、自覚はあるかね」

 

「そんな自覚ありません」

 

「ルーピンルーピンと最近は校長のガリオン金貨で脱狼薬の研究に勤しんでいるようですがな」

 

「だって、少しでも改良できた方がルーピン先生にとってもいいことじゃないですか」

 

「さようで」

 

「何が言いたいんですか。ちゃんと常識の範囲じゃないですか」

 

「伝え忘れておったが、貴様には今年姿現しの試験を受けさせる故に覚悟しておけ」

 

「まだ六年生?五年生?どちらかが受験でしたよね。私まだですが」

 

「十七歳だ」

 

「最近、どうにも成人したからなんでも宜しいって雰囲気を感じますけど」

 

「ダンブルドアが良いと言ったのならば良いのだろう」

 

教授は柄杓で鍋の中身を掬い上げて頷いた。どうやら脱狼薬が出来たらしい。まだ煮込む必要があるが、概ね満足のいくところまでできたのだろう。

 

私も頼まれていたネズミの肝臓を全て取り出して保存し、テーブルについたフジツボを取る作業だ。

 

「脱狼薬、いい出来になったみたいですね」

 

「さよう」

 

「ルーピン先生、そのうち教授が砂糖入れても美味しいのを作ってくれますよ〜」

 

「そんなにルーピンがいいなら、我輩の代わりに貴様が煎じるか」

 

「冷たくあしらう理由がわかりました、さては教授自分が構ってくれないから拗ねているんですね」

 

「ほぅ...摘み出されたいようですな。冬になったらホグズミードで薬草の値切り作業をさせてやっても良いのだぞ」

 

「わぁ、フジツボ結構取れますよ」

 

「そうかそうか、向上心のあるジェフィフィーナ嬢はアクロマンチュラの毒を取りに行きたいらしい。よかろう、我輩が許可する」

 

「...キレのある発言素敵ですね。終わったらランチはカボチャ以外にしましょう。グラタンとかどうです?」

 

「かまって欲しいなどとは」

 

「わかりましたよ!はい、もうルーピン先生の話はしません。教授が決して構ってもらえなくて拗ねたとかそんな幼稚なことは考えませんから」

 

近くにあった本で叩かれた。ぱしんといい音がして、私はひどいひどいと自分の後頭部を汚れていない手の甲で撫でつける。

 

「それより、アルレシア...」

 

「なんです?」

 

「最近...いや、夏休みあたりからよく喋る様になったな」

 

「え?」

 

「前までは黙って上司の言葉にイエスと答える部下の様だったが、今は中堅になったという話だ」

 

「...黙ってたほうがよかったですか」

 

「我輩としては今の方がやり易いがな」

 

「なら、このままでもいいですか?」

 

「...できた」

 

教授はそう言いながら鍋の中身をゴブレットに移し始めた。どうやら脱狼薬が出来上がったらしい。

 

「次回から貴様に調合させる」

 

「まだ無理です」

 

「指示は我輩が出す。肌で感じろ」

 

「それも、ダンブルドア校長先生の指示ですか」

 

そう言うと、教授は少し気まずそうに顔を逸らした。私もなるほど、私は脱狼薬を煎じるスペアにされるために勉強しているのかと納得した。それでも私の銀行には少しずつお金が刻まれているのだから文句はあるまい。

 

「私は教授のスペアにでもされるんですかね」

 

「スペアとは、貴様にそれほどの価値があるとお思いかね。なんたる傲慢さ。ルーピンの所へ行くぞ。貴様も来い」

 

へいへいと私もフジツボを取る手を止めた。まだ煙の上がるゴブレットから香るのはやはりいい匂いとは言えない。

 

「脱狼薬って不味いですか」

 

「飲んでみればよい」

 

「おいしくなかったら嫌です」

 

「ルーピンの顔で美味く見えるなら貴様の目を穿り出して聖マンゴにぶち込んだほうが良いのではないか」

 

「さーて、ルーピン先生のところへ行きましょう」

 

教授が歩き易いように、私は研究室の扉を開けた。鼻を鳴らして歩いていく教授の背中を追いかけて、ルーピン先生の部屋を目指すのだ。

 

特に生徒に会うことなく歩いていると、ルーピン先生の部屋の前に辿り着き、私は部屋をノックした。

 

「どうぞ」

 

ルーピン先生の声がして、ドアを開くと教授を通す。すると入ってすぐに足を止めるのだ。

 

「教授?」

 

「あぁ、セブルス...と、アルレシアも。どうもありがとう。このディスクに置いていってくれないか?」

 

その声を聞きながら私も入ると、そこにいたのはポッターだった。スネイプ教授の顔と私の顔を見てえぇ...みたいな顔をしている。しかし、そんなポッターを無視して、スネイプ教授はディスクの方へ歩いていくのだ。

 

「ちょうどいまハリーに水魔を見せていたところだ」

 

ルーピン先生の指差した先には大きな水槽があり、河童をやったばかりだからそのつながりなのかと思いつつもあまり可愛く無いそれを見た。

 

「それは結構。ルーピン、すぐ飲みたまえ」

 

「はい、はい。そうします」

 

「一鍋分を煎じた。もっと必要とあらば」

 

「多分、明日また少し飲まないと。セブルス、アルレシア、ありがとう」

 

「礼には及ばん。ジェフィフィーナ、ルーピンが飲み終わるのを見張っておけ。それから、其奴の部屋から返し損ねたゴブレットを根こそぎ持ってきたまえ」

 

「え、あ...はい」

 

「悪いねアルレシア、すまないが頼むよ」

 

教授は後退りして部屋を出て行った。おいおい、私はタイミング悪いなぁと水魔を眺め続ける。しかし、水槽で反射したポッターは怪訝そうな顔でゴブレットを見ていた。でも、それに対してルーピン先生は微笑んでいるだけだった。

 

「スネイプ先生が私のためにわざわざ薬を調合してくださった。私はどうも昔から薬を煎じるのが苦手でね。これはとくに複雑な薬なんだ。アルレシア、君もありがとう」

 

「いえ」

 

「砂糖を入れると効き目がなくなるのは残念だ」

 

そう言いながら一口飲み、ルーピン先生は身震いした。美味しくないのだろう。私の方を見ているポッターに気づき、渋々水槽から顔を離した。

 

「どうして?」

 

「このごろどうも調子がおかしくてね。この薬しか効かないんだ。スネイプ先生と同じ職場で仕事ができるのは本当にラッキーだ。これを調合できる魔法使いは少ない」

 

「...スネイプ教授でも中々改良が進まないので煎じようにも他の魔法使いができるレベルまで下がらないんです」

 

「そう、アルレシアも勉強中なんだ。スネイプ教授に嫌われてしまったら次はアルレシアに頼まなければならないからね」

 

「私には無理です。レベルが高すぎます」

 

二人で笑い、無理無理こんな調合超人にしかできないと流しているとポッターだけはゴブレットを苦虫を噛み潰した様な顔で見ていた。まるではたき落としたいとでも言うように。

 

「ポッターさん?」

 

「スネイプ先生は闇の魔術にとっても関心があるんです」

 

「そう?」

 

「人によっては...スネイプ先生は闇の魔術に対する防衛術の座を手に入れるためならなんでもするだろうって、そう言う人がいます」

 

その言葉を、ルーピン先生はゴブレットの中身を飲み干す作業で聞き流した様だった。私も聞き流しておこう。ルーピン先生はしっかりとゴブレットの中身を飲み干して顔を顰めた。

そしてゴブレットを置きながら私に笑いかけるのだ。

 

「酷い味だ。さて、私は仕事を続けることにしよう。ハリー、あとで宴会で会おう。アルレシア、悪いけどゴブレットの確認を頼めるかい?」

 

ポッターと私がそれぞれ返事をしたのを、ルーピン先生が満足げに頷く。ポッターは飲み物の入っていたらしいカップを置いて、私を見て少し悩む様にしてから部屋から立ち去った。

 

私も黙ってゴブレットがいくつも置かれた流し台へ行くのだ。ルーピン先生も口直しと言わんばかりにゴブレットに水を注いで飲み始めた。

 

「ポッターさん、すごく疑わしげでした」

 

「セブルスのことをとても疑っていたね。セブルスが闇の魔術に対する防衛術の担当になろうとするならば...とくに私はトリカブトの毒で殺されているさ」

 

「ふふ...教授はなんだかんだしませんよ」

 

たくさん置かれたゴブレットの中で学校の備品をチェックする。いくつかは私が避妊薬を飲まされるときに使われたものがあるのでちょっと顔を顰めつつまとめておく。

 

「アルレシア、ハリーに薬のことを聞かれても...」

 

「精力剤...とでも?」

 

その瞬間、水を噴き出すような音がして見ると、やはり咳き込むルーピン先生がいた。私は笑いながらすみませんと謝っておく。

 

「風邪薬とか、もろもろの入った栄養剤みたいなものって言っておきますね」

 

「ゴホッ...うん、ありがとう」

 

両手一杯にゴブレットを抱え、その上に今飲んでいた分を乗せてもらう。ルーピン先生は申し訳なさそうにローブのポケットからセロファンに包まれた飴をふたつ取り出して、ゴブレットの中に入れた。

 

「セブルスと一つずつどうぞ」

 

「ありがとうございます。さて、また宴会で」

 

「うん」

 

扉を開けてもらって、私も教授の元へ戻るのだ。夜に、宴会が終わってから太ったレディの絵が破られて、シリウス・ブラックがホグワーツに入り込んだことを知った。

大広間でホグワーツ生全員が寝かされる中に混じり、私も隅の方で寝るのだ。さて、スキャバーズという名前の動物もどきは一体どこにいるのやら。私はぼんやりとそんなことを考えながら眠りにつくのである。

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