アイドルマスターシンデレラガールズ 疾走のR 作:ヒロ@美穂担当P
やはりシリアス展開。
バリケードを突破し、バスの前に止まった蓮のFDと美世のR34。2台とも銃痕や擦り傷などでボロボロになっていた。
2人は車を降りる。FDを降りた蓮の表情は険しい表情だ。蓮の視線の先には村岡がいた。
「・・・何故ここまでする」
「お前が関わる全てが気に入らねえ」
「何の罪もない人を巻き込むのが僕への復讐の為にやる事か!?」
交差点付近には大勢の一般人がいた。だが村岡の部下達に銃を向けられていた。警察も居たのだが、村岡が何をするかわからない。もし蓮が抵抗したら一般人が犠牲になってしまうかもしれない。その事態を恐れ、警察も手が出せなかった。
「お前は人を巻き込まないっていう思いがあるんだろ?それは褒めてやる。だが、お前がアイドル達を助けようとしたら部下達が一般人を殺す。かと言って一般人を助けようとしたらアイドル達は死ぬ。お前が選べる選択は無い」
「・・・」
何故ここまでしないと行けないのか。村岡の復讐はあまりにも大きすぎた。
「今から俺の指示に従え。従わなかったらその瞬間に皆殺しだ」
皆殺しという条件。自分への復讐をする相手のせいで罪なき人を巻き込みたくない。蓮は指示に従うしかなかった。
「こっちに来い」
蓮はゆっくりと前に進む。村岡の前まで来る。
その瞬間、村岡の拳が蓮の顔を殴りつける。
「がっ・・・」
蓮はそのまま地面に倒れる。
「蓮さん!」
美穂が叫ぶ。だが、村岡の暴力は止まらない。村岡は蓮の胸ぐらを掴み、持ち上げる。そのまま再び殴る。
蓮は抵抗したかった。だが、自分が何かしたら皆殺される。それだけは避けたい。蓮は無抵抗に殴られ続けた。
「蓮君!」
美世は無抵抗に殴られ続ける蓮を見ていられなかった。村岡は地面に倒れる蓮を蹴る。
「・・・!」
「やめてよ!」
美世が叫ぶ。その瞬間、村岡が美世を見る。
「うるせぇな・・・。ゴチャゴチャ言うな」
村岡は美世に銃を向ける。
「・・・!!」
「やめろーーーっ!」
発砲音が響く。
美世は死を覚悟した。
何故蓮君がこんなにならないといけないんだ。あたしは・・・最後までアイドルらしくなかったな・・・。そんな考えが一瞬で流れた。
・・・だが、いつまでも痛くない。なんで・・・?美世は恐る恐る目を開ける。
美世が見たのは蓮だった。
いや、左肩を撃ち抜かれて真っ赤な血が流れてる蓮だった。
「・・・大丈夫ですか。美世さん」
「・・・え?」
左腕を伝って落ちる血が血溜まりを作る。
「なんで・・・なんで蓮君が撃たれてるの」
「アイドルに何かあったらプロデューサー失格ですからね・・・。アイドルを守るのは当然ですよ・・・」
ついに村岡が発砲した。
撃たれた蓮から血が流れ、蓮が膝を着く。周囲の一般人が悲鳴を上げていた。アイドル達も起きた事の理解が追いつかない。
美穂はパニックに陥っていた。
「蓮さんが・・・嫌だ・・・死なないでください・・・!」
765プロ側も混乱していた。346のプロデューサーが撃たれた。このままだと死ぬ。そんな共通認識がアイドル達にはあった。
警察も動こうとした。だが、村岡の部下達が邪魔をして脅す。
「アンタらが動いたら皆殺しだ!」
撃たれて動けない蓮を足で抑える村岡。美世の前に村岡が来た。
「今度こそ殺すぜ。女」
村岡は再び銃を向ける。今度こそ美世を殺す気だ。周囲のどよめきが聞こえてくる。
「・・・」
美世は静かだった。一言も発さずに蓮を見ていた。村岡は黙ったままの美世に銃を向けている。
「殺される時は静かにするってか?」
すると美世が口を開くーーー。
同時刻、スクランブル交差点に向かう車が2台あった。銀色の
歌織は「ある物」を向かわせる為に、交差点に向かっていた。
「早く・・・。皆を助けないと・・・!」
貴音は
「まだ勝負はついていませんよ。原田美世、小日向蓮。ここで死んだら私は走る意味を持ちません。だから・・・生きてくださいまし」
湾岸の伝説を作った2台が同じ目的の為に、「共闘」していた。
「あなたはなぜ未来を捨てるんですか」
「あ?」
「だから・・・未来を見ようとしない理由を聞いているの」
「俺はもう何も無い!俺が生きているから何もかもが無くなる!こんな俺が生きてるぐらいだったら死んだ方がよっぽどマシなんだよ!」
「それでもこんな事をする理由にはならないでしょう」
「う・・・うるさい!『他人』のお前に俺の生き方を評価される筋合いはない!」
「『他人』・・・?」
その瞬間、美穂は美世の周りの空気が変わるのを感じた。
「『他人』か・・・。確かに蓮君とあたしは1年前までは他人だった。会ったことの無い他人。でも・・・」
「蓮君は夢を持ってあたし達の所に来た。『ステージに立つ美穂ちゃんを見届ける』って
美穂は蓮と交わした約束を思い浮かべる。
「でも・・・。蓮君は
「美世さんはダイヤの原石なんですよ!」
「アイドルとして自信を持ってなかったあたしを信じてくれた。そしてあたしは蓮君と共に進んでいくって決めた」
美世の瞳は光が無い。「ブレイク」が発現していた。しかし、「怒り」や「悲しみ」の感情は見当たらない。
「あたし・・・最初レーサーになりたかった。でも・・・家が苦しくて諦めるしかなかった。・・・現実を見て過ごしてたよ。自動車整備士になって家族を助けるために働いた。でも、諦められなかった。アイドルになってからも消えなかった」
「でも・・・。今すぐに叶わなくても、未来がある限り夢を目指せる。チャンスはいくらでもある!」
「知った事を言うな!」
「蓮君だって、レーサーを目指したんでしょ?その為に努力し続けたのが蓮君。蓮君の努力はアイドルであるあたし達が1番知ってる!」
レーサーを目指していた蓮。だが、村岡に「壊された」蓮が復活してから美穂との約束を優先し、封じ込めていた夢であった。
「例え、苦しくても弱音を吐かなかった!ひたすらにもがいて先に進む姿勢を崩さなかった!絶対に諦めない姿勢をあなたは取ったの!?」
「・・・くそっ」
「すぐ諦めたら本当に苦しい時の辛さがわかるわけがない。ちょっと大変でも乗り越えれる物は我慢すればどうにかなるじゃん!」
「俺はそれが出来ないくらい終わってた!」
「それはあなたが『1人で』抱えてたからでしょう!?誰だって1人でどうにか出来ない事は必ず一個や二個はある!」
「あたしだってそんな事たくさんあったよ!もうしたくない事も!でも!」
「『誰か』と一緒なら少しは変わるでしょう!あたし人前に出るのが苦手だった!でも蓮君のアドバイスで克服出来た!あなたはそんな人がいた!?」
「いなかったよ!俺はロクデナシだった!」
「なら、そんな『友達』を作ればいい!勝手に決めつけるな!」
「こ・・・のっ!」
「そりゃ勝手だったら周りから取り残される!確かに周りに合わせるのは苦手だと思うけどさ!」
「周りが『合わせてくれる』って思うな!自分から『合わせ』るの!」
美世は村岡への『不満』をぶつけていた。
美世は過去の自分を見ているようだった。変わるのを恐れ、行動に移せない。そんな性格だった自分自身を見ているように。だから、村岡を過去の自分と重ね、彼を変えさせたかった。
「そんなに変わるって言うなら今ここで証明しろよ!」
「今すぐではないけど!」
新しい事への挑戦を続けてきた美世。最初は大変でも、それが出来るようになれば捉え方も変わる。
「あたしは夢を諦めない!いろんな事にぶち当たって、必死になってもがいて、あらゆる事を試す!」
「それを『2人で』やる!」
1年間蓮と共に歩んできた美世だから言えた事だ。新人アイドルと新人プロデューサー。お互い初めてがたくさんの芸能界で生きていく為にいろんな事を経験した。心が折れそうな時もあった。それでも。
「嬉しい事も苦しい事も全部!未来に繋ぐんだ!」
美世は今までの、そしてこれからの事への思いを村岡にぶつける。
「このヤローーっ!」
村岡は引き金にかけた指を引こうとした。その時、村岡は自らの足に力が加わるのを感じる。
「・・・生きてる以上、辛い事は避けれない」
蓮が村岡の足を押し上げようとしていた。村岡は足を沈める。
足に押し潰されそうになりながら蓮は抵抗する。
「目指す物を諦めそうになる事だってあるさ・・・。・・・でも」
「最初から『無理』って決めつけるのとやるだけやってから『無理』って言うのならどっちが価値のある選択だと思う・・・?」
ググッと力が加えられていく足を押し返しながら。
「やってから言ってみろ・・・。それだけで物の見方は違う」
「夢を叶える為の努力は自分を動かす『エンジン』だ!」
「夢を持ってるだけで、人は変われる!お前が言う『夢を持つ』事が罪ならそれは全人類が罪人だ!でも言い換えれば僕にとっては同じ目的を持つ『仲間』だ!」
蓮は全力で押し返していく。
「アイドル達の夢を叶えるのがプロデューサーだ!皆が夢を成し遂げる為に僕はいる!」
「皆が夢を掴む為に生きてるんだーーっ!」
蓮が足を村岡ごと押し上げた。押し上げられた村岡はバランスを崩す。
「な・・・っ」
そして蓮はありったけの力を振り絞り、村岡に突進していく。
「いい加減・・・前に進めーーーーーっ!!」
蓮の渾身の右ストレートパンチが村岡の顔面に叩き込まれる。
モロに喰らった村岡は吹っ飛ぶ。
「がふっ・・・。畜生がーーーっ!」
銃が再び蓮に向けられる。村岡の部下達も銃を向けている。今度こそ死ぬ。誰もがそう思った。だが。
「突入しろーっ!」
大勢の警察官が村岡の部下達を捕らえにかかる。あっという間に村岡の部下達が取り押さえれる。
「っと。ボス以外はこれで全員か?」
「・・・みたいね。握野君、ナイス!」
「イヤイヤ、全然。そちらも相変わらずじゃないっスか?早苗さん」
そこに立っていたのは元警察官であり、アイドルの片桐早苗と現役警察官の握野英雄だった。英雄の当時の先輩が早苗だったのである。一般人からの通報を受けた英雄が
部下達が取り押さえられ、村岡は呆然とする。それでも銃で蓮を殺そうと銃を向ける。だが、次の瞬間村岡の持っていた銃が村岡の手から離れた。銃を弾き飛ばされたのだ。驚く村岡の前には、見慣れぬ男がいた。
「娘が関わる男に手を出すとは・・・。いい度胸だ」
男の手にはやはり銃。だが、その銃は「自衛隊」のモノだった。目に見えない程の早撃ちで村岡の銃を弾いたのだ。
状況を飲み込めない蓮達の後ろから爆音が聞こえてきた。蓮と美世が振り向くと、
「間に合った・・・!大丈夫ですか?蓮君」
「僕は・・・大丈夫です。なぜ歌織さんが?」
そういう蓮は左肩から出血してたが。
「765プロのアイドル達が合流場所に来なくて・・・。おかしいと思ったらスマホのニュースでこんな事になってると知って貴音ちゃんと来たの」
「えと・・・そちらの方は・・・?」
「私のお父さんなの」
歌織の父は自衛官だとは聞いていたが、まさかこんな時に会うとは。銃の扱いを見ればわかる。
「なぜこちらに・・・?」
「765プロの皆が危ないって聞いてお父さんが行くって聞かなかったの・・・。守ってくれる人たちも」
「え?」
そう言った途端、歌織の後ろから人が飛び出してきた。しかも結構いる。その人達は村岡に向かっていく。
「何だお前ら!?」
「大人しくしろ!」
歌織のファンの間でウワサになっている「謎の組織」・・・らしい人達が村岡を抑え込む。
「くそーっ!離せっ!」
取り押さえられた村岡に向かっていく英雄。
「午後5時57分。銃刀法違反で緊急逮捕だ」
英雄に手錠をかけられた村岡。
「畜生ーーーっ!!」
警察官数人がかりで村岡を拘束しパトカーに連行する。やがて取り押さえられた部下達も順次パトカーに乗せられていった。
事態が収束していく交差点。交差点の真ん中には蓮と美世しかいない。
美世は泣いていた。
「あたしのせいで・・・蓮君が・・・撃たれて・・・。ごめんね・・・。本当にごめんね・・・」
「僕はこんなの大丈夫です・・・。・・・はっ、っはぁ。だから・・・、美世さん。泣かないでくださいよ・・・。泣いているのを見ると・・・僕も辛いですから・・・」
蓮は平常を保とうとしてるが、息が詰まるような痛みに襲われているのがわかる。それでも尚、美世を気遣っていた。
「あたしなんかがいたから・・・」
そう言った美世。だが・・・。
「美世さん。今なんて言いました」
「あたしなんかがいたから・・・」
「なんでそんな事言うんですか!!」
蓮が「怒った」。蓮が
「美世さんは言いましたよね!『苦しくても弱音を吐かなかった』って!
『自信を持ってなかったあたしを信じてくれた。そしてあたしは蓮君と共に進んでいくって決めた』って。弱音を吐いてるじゃないですか!もし、美世さんが弱音をこぼしても僕が力になりますから!だから、泣かないでくださいよ!笑顔が似合うのが美世さんだから!」
「・・・うん。ありがとう・・・蓮君」
蓮の怒り。それは自らが美世の力になれなかった事。
美世が弱音をこぼさせた原因を作った自分への怒りであった。蓮は失っていた「怒り」の感情を取り戻していた。
「だから・・・この後頑張りましょう。美世さん。
「そうだね・・・。行こうか、蓮君」
2人はR34とFDに乗り込む。2台ともボロボロだった。だが、その姿は困難を必死に乗り越えてきた2人を表すようだった。
エンジンをかける。13BとRB26が咆哮を上げる。蓮と美世はアイコンタクトを取り、出発。765プロと346プロのアイドル達が乗ったバスはもう行っていた。ただ2人、いや4人で最後の走りに出る。
「今年最後の走り・・・今度こそ決着をつけましょう」
「どれだけやれるか・・・。私、今度こそ退かない」
貴音のZと歌織の964の2台も一緒だ。4人は最後のバトルを望む。
ライブ開演時刻の7時までの残り約1時間。
4人は決着をつけるために首都高にいた。
これだけの速度で、これだけの広いエリアの中で、会えるべくして会う。
呼び合うようにまわりにいる者すべてーーー
たがいに探し呼び寄せた者たちーーー
惹かれあい、求め合いーーー
そして争うーーーーー
仲間でありそして・・・。
この場所で戦うべき相手だ。
それでも。
「誰が一番速いんだ!」
ただ、それだけを知りたい為に。「最速」の称号を手に入れる為の無意味な争い。
脳ミソがズレるようなスピードの中で、あらゆるモノを賭けて戦う。それは今も昔も、そしてこれからも変わることはない。
「最後までよろしく頼むよ・・・。R」
美世は
「私が走ってきた意味をここで見つける」
貴音はZとの走りの「意味」を探して。
「島先生・・・。私、この
歌織は島の思いを背負って。
そして蓮は・・・。
「皆と一緒に目指す物へ進みたい」
同じ目的を持つ
今まさに「首都高最速」を決める最後の
シリアス展開が続いて腹痛に悩まされました・・・。
村岡との因縁を断ち切った蓮と美世。皆さんも未来に対して苦しむ事はあると思います。美世と蓮のセリフは未来への「エール」という風に書きました。これからいろんな事がある人生を乗り切る為に。
ネタ解説です。
・「夢を持つ事」
「お前が言う『夢を持つ』事が罪ならそれは全人類が罪人だ!でも言い換えれば僕にとっては同じ目的を持つ『仲間』だ!」と蓮が言うシーン。これは「仮面ライダーファイズ」の主人公「乾巧」のオマージュ。「ファイズ」では当初巧は「夢」を持っておらず、「夢を持ってる事がそんなに偉いのかよ!」と語るシーンがありました。村岡の性格も初期の巧を参考にしています。
ファイズ最終回で巧も夢を持ちました。蓮の「仲間」という発言も「夢」を持つ仲間と言う蓮の考え方が現れた物なのです。
・握野英雄登場
今回、「SideM」から「握野英雄」が登場しました。警察官なら使わない手はないと思いました。ここではアイドルにはなっていません。片桐早苗とは先輩後輩の関係であり、早苗がアイドルになる前まで同じ警察署で働いており、早苗がアイドルになって警察を辞めた後も交流があったという設定です。
・歌織の父
今回蓮達を助けるために登場しましたが、「シアターデイズ」の設定通り自衛官として登場しました。「シアターデイズ」ではどのくらい偉いかは明確にはなっておりません。ただ、それでもかなり上の偉い人らしいです。ここでは将官クラスの人としています。将官クラスだけあり、いろんな方面に知り合いがいて島先生とも海外での任務の時に出会い知り合ったという過去を持っています。
・蓮の「怒り」
今回、ついに蓮が「怒り」を取り戻しました。未来を諦めた村岡の考え方へのショックで「怒り」を失った蓮が美世と2人で新しい未来への向き合い方を見つけた事で「怒り」を取り戻したのです。ただ、怒ると言っても今回の怒りの理由は「美世の力になれず、美世に弱音をこぼさせた自分自身」です。やっぱりアイドルには怒鳴ったりできないのです。
・首都高最速を争う者達
解説は「湾岸ミッドナイト」の中で登場した言い回しです。どこで出たか調べてみよう!(人任せ)
「湾岸ミッドナイト」でも様々な人物がそれぞれの目的を持ってアキオの「悪魔のZ」にバトルを挑んでいます。過去も未来でも首都高ランナーは様々な思いを持って首都高を走るのです。
シリアス展開終わった・・・。そして長かったようで実は短かったこの物語もいよいよ次回最終回!
美世、蓮、貴音、歌織の4人。誰が「首都高最速」の称号を手に入れるのか。
蓮は「約束」を果たす為に美穂が立つステージを見届けられるか?
美世は初めてのライブで亡きプロデューサーにステージで輝く自分を届けられるのか?
そして蓮、美世は自らの手で
次回もお楽しみに!感想など待ってます!
「疾走のR」次回最終回。