アイドルマスターシンデレラガールズ 疾走のR 作:ヒロ@美穂担当P
ぶっちゃけると蓮以外のオリキャラ出るかも・・・。
今回も越境あり!
蒼いZが満月をバックに闇の中の首都高を走る。
探し求める。紅い
この車で走る意味がある相手。少女は走り続ける。
眩しい太陽が照らす道。
「レイナさんから聞いた店・・・ココだよね?」
「名前はあってますよね・・・」
「えぇー・・・。自転車屋だよここ・・・」
美世と蓮はこの間の撮影の時にレイナから聞いた店に来ていた。だが、どう見てもただの自転車屋だ。
「レイナさんがウソつくとは思えないし・・・」
すると、店の中から男が出てきた。
「何だお前ら・・・?」
男の顔には大きな傷跡があった。驚く二人に質問する。
「・・・んで何の用だ?」
「あたし達『地獄のチューナー』を探しているんです。あたしの仕事の先輩が教えてくれたんです。『地獄のチューナー』は自転車屋をやっているって」
「・・・冷やかしなら帰んな」
「どうしても知らないふりするんですか?『悪魔のZ』は今も走ってますよ」
「・・・!」
男の表情に僅かだが変化が生じる。
「『悪魔』を作ったのはあなたでしょう、北見淳さん」
「・・・アイドルってヤツか。ったく、アイドルは知りたがりだナ」
北見淳と呼ばれた男が答える。
「アイドルって、何故わかるんですか」
「アイドルってそういうオーラがあるんだヨ。俺の知った顔に似ているんだ・・・」
「北見さんも知ってる人だと思いますよ。この店とあなたの事を教えてくれた人」
「くくく・・・。わかったぜ」
「レイナだろ・・・。あいつは昔ここに来たんだよ。GT-Rを速くしてくれって。ま、断ったけどな」
「まぁ、断った理由はお前らなら答えれるだろうけどな」
「北見さんは何故『悪魔のZ』を作ったんですか?」
悪魔のZ。美世の、いや、首都高ランナーの
意思を持つように走り、認められた者以外が乗ると事故を起こす呪われた車とも言われた。
「・・・そうだな。ただ速く走るための車であるハズだった。だがZは本来の目的すらも置いていく様になったんだ・・・」
「気がつけば、神のような扱いになっていた。スピードの化身、希望と呼ばれた。ただの車にそこまで言わせる程の『なにか』が俺がZに出会う以前、Zが生まれた時からあったんだろうな・・・」
「そういうのありますよね」
「俺は数え切れない程エンジンを組み、たくさんの人の人生を狂わせた・・・。ある時は二度と帰らず、またある時は長い闘病生活を送った。俺のせいで人生を狂わされた者達を俺は忘れていない。忘れられないんだ・・・」
「人生が狂わされた・・・」
未来がない男の事が重なった蓮。
「俺はもうチューニングをしていない。Zのチューニングもな。チューニングをやめて早20年か。その間もZは走り続けた」
北見は今年で61歳。悪魔のパートナーと黒鳥を駆る男が北見の元を離れて10年以上が経った。
「俺はもう歳だ。俺の親父は61で死んだ。俺も親父が死んだ歳になった。俺は自分で人生の終わりが61だと決めてる。もしそれよりも長く生きれたらそれはおまけだ。だがな・・・」
「いつ死んでも、俺のせいで人生を狂わされた者達と地獄で共に過ごすってのは変わらないんだろうさ・・・」
北見の独白に耳を傾ける美世と蓮。
「俺は死ぬまであのZを見届けたい。それがあのZを作った者のケジメだと思うんだよ・・・。でももう体が長くない。はは、昔見たテスタロッサに乗ったカメラマンみたいな事言うようになっちまったな・・・」
「お前達は、まだ若い。俺の代わりにあのZを見届けてくれないか・・・?」
「もちろんです。だってあのZを目指してるんですから」
「くく・・・。言ったな。なら、あのZより速いって証明して見せろ」
「はい!」
二人が行った後、北見は呟く。
「今の時代にスピードを求めるか・・・。今はもう昔の様な事は出来ない。それでも、目指す物は変わらないか・・・」
「アイツらは悪魔を目指すだけでは終わらねぇ。それ以上になるべき存在だ・・・」
そしてこの場にいない
「お前はずっと周りを変えてきた奴だ。今お前はいない。だがお前の様に周りを変えようとしてる奴がいる・・・。そしてZを狙ってる。お前はそれで終わったのかい」
その日の夜、環状線を流れる車達をすり抜けていく車があった。
「まだまださ・・・。こんなものじゃないさ!」
黒い
エボⅨを駆る少女の名は「白瀬咲耶」。モデルをやっている高校生の少女。
彼女がアイドルになるのは後の話。
モデルをしている中で、どうしても「不満」があった。何かが大きく変わる事がないかと探していた。
ちなみに先程まで立て続けにバトルをしていた。結果7連勝していた。
「どうかな・・・あの車は」
「おや・・・。戦いたいのですか?この車と」
挑まれている以上、引き下がるのも癪だ。
「貴方にとってこの車が相手に足るか・・・」
少女は後ろのエボⅨのドライバーに問いかけるかの様に呟く。
「行きましょうか・・・」
バトル開始。少女の駆る「悪魔」は加速していく。
「速い・・・・!なるほど、レベルが遥かに違うようだね・・・!」
速すぎる。今までバトルしてきた相手とは比較にならない速さだ。咲耶のエボⅨは確実に離されつつあった。
「・・・!?」
咲耶は前を走る車から「オーラ」が出てるのがわかった。妖しさが溢れるオーラが見えた瞬間、咲耶は冷や汗が出るのを感じた。
「そうか・・・。私は最初から勝ち目が無かったのか」
一気に戦意が消えていくのを感じる。ここまでか。
アクセルを抜く。ブローオフバルブが抜けた音が響いた・・・。
「あの車のドライバーはこの車はどう映ったのか・・・」
この車と並ぶ相手が少ない。この「悪魔」と並んだ相手はあの紅い車と銀色の車だけだ。
早くまた戦いたい。それだけ考えている。
後ろから眩しい光が車内を明るく照らす。また戦う相手が現れたみたいだ。
だが、今までの相手とは違う。待ち望んでいた車だ。
「また・・・会えましたね」
「会えたよ悪魔のZ!」
美世のGT-Rが悪魔のZに張り付く。この間は相手にならなかったが今度は違う。
「今度こそ、前を走るから!」
続いてロータリーサウンドが響く。
「あの車、あの時見た・・・」
蓮のFD3Sが美世のGT-Rに続く。
美世にとっては2回目、蓮は初めて戦う相手。伝説のマシンに挑む。
新環状から湾岸へ3台は走る。
湾岸ではZとGT-Rはほぼ互角。蓮のFDはパワー差から湾岸では少し置いていかれる。
「ーーーーーっ!前に出れない・・・」
美世はZの前に出れそうで出れない状態だった。蓮のFDはZとGT-Rの少し後ろを走っている。その距離は約60m。
「ダメだ・・・。パワーがまるで足りない・・・!」
600馬力はないとまず勝負にならない。美世のR34と悪魔のZとのバトルに参加出来そうにないのだ。
膠着状態のまま、湾岸線を駆け抜ける。
「あの車は・・・」
美世がある1台の車を見つける。銀色の機影。
「・・・ブラックバード」
銀色の
「見つけた・・・。原田ちゃんの車と原田ちゃんのプロデューサーさんの車ね」
歌織が呟く。臨戦態勢で待っていたのだ。
ブラックバードを加え走る美世達。
新生ブラックバードを駆る歌織はブラックバードを自由自在に操っていた。
「点と点を繋ぐワープみたいな走り・・・!」
異次元の動きをするブラックバードに驚愕を隠せない美世。
島が乗っていた時のブラックバードその物の動き。歌織はブラックバード完成後、毎日の様に首都高通いをしていたのである。
Zはブラックバードと並走。
「上手いですね。桜守歌織」
Zの少女を見つめ返す歌織。
「上手く走らせてるのが羨ましいわ・・・」
1時間後、八重洲線へ。
蓮のFDはリタイア。負担が響き、
「また、走りたいな・・・」
残ったのは美世のR34と歌織の964ことブラックバード、そして悪魔のZの3台だ。
「踏み切る・・・っ!持ちこたえてGT-R!」
ここで美世が勝負に出た。2車線になった道でZと並ぶ。歌織は物理的に並走不可になった状況のため退く。
この状態にまず持ち込む。そして
シリンダーブロックにNOS噴射が行われ、エンジンの出力が一時的に上昇。この間のみ700馬力に迫るパワーでZに勝負する。
「速い・・・。やりますね」
Zも負けじと加速。R34に並ぶ。道幅が狭い八重洲でサイドバイサイド。200kmオーバーでのサイドバイサイドは狂気の沙汰でしかない。
恐怖を上回るハイテンションだけでアクセルを踏み続ける。
「・・・!」
ガッシャと音がした。ボディとボディが接触する音だ。
それでも尚アクセルは緩めない。前に出るーーー。
その時Zから嫌な音が聞こえた。直後Zが失速。
「クラッチがやられたみたいね・・・」
クラッチトラブルで失速したZを横目に美世のRは降りた。次の
歌織の964はZに並びジェスチャー。
「PAで待ってる」という意味の手。少女はそれを確認する。
「なんて事・・・。残念でしたね・・・」
パーキングエリアで3台が並ぶ。
美世のR34は左リアフェンダーとウイングが損傷していた。
Zも右リアフェンダーと運転席側ドアに傷があった。
歌織の964は傷ひとつない。
それぞれのマシンを降りる3人。美世はZから降りた人物に驚く。
「ええ〜!?四条貴音ちゃん!?」
四条貴音。彼女は765プロのトップアイドルだ。かつて961プロに所属していた。後に765プロ入りをした過去がある。現在は765プロの先輩アイドルとして
「貴女は・・・」
美世を知らない貴音に歌織が説明する。
「原田美世ちゃんよ」
貴音が美世達口を開く。
「原田美世。貴女の車は素晴らしいです。そして貴女も」
「いきなり呼び捨て・・・」
「気にしないで原田ちゃん。貴音ちゃんは相手呼ぶ時はこうだから」
「・・・まぁいいけど。あたし褒められてる?」
「ええ。貴女はこの車と対等に走ったのですから」
「この車と一緒に走った車、そしてどらいばぁが桜守歌織と貴女だけでしたから」
「たぶん、
「・・・え?つまりあたしと歌織さんだけなの?」
「後、黄色い車の彼もです」
「蓮君もかー」
「原田ちゃんのプロデューサーさん?」
「そうです。蓮君降りたけど」
「彼も素晴らしい走りをしておりました」
「貴音ちゃん。ちょっとだけZを見ていい?多分クラッチ壊れてるでしょ」
「良いのですか?私は車に詳しくなくて・・・」
「いいよいいよ。あたし前からこのZが気になっててねー。自分の手でいじってみたいと思ってたから」
「ではお願いします。原田美世」
Zの応急修理をしながら美世が貴音に質問する。
「貴音ちゃんはこのZをどこで見つけたの?」
そう。Zをどこで見つけたのか。前にZに乗っていた
「あれは『アイドルヒーローズ』の撮影の時でした」
「あー!小さい子達が見てた!」
「撮影の途中、倉庫に変な車があると聞いたのです」
数ヶ月前。
貴音や
シーン撮影のため、倉庫の中の物を運び出す作業の時の事だった。
スタッフが車があると言うのだ。プロデューサー達と倉庫に向かうと確かに車があった。だが、ボロボロ。ナンバープレートが着いていたので、持ち主を調べて貰ったが、持ち主に電話が繋がらない。だが、詳しく調べた所、車は「売り物」として置かれていた物だという。この車を売り物として持っている人に電話で聞く。
何故、倉庫にあるか聞いた所、その車の持ち主が車を手放しに来た際、「この車を長く生かして欲しい」と言ったらしい。だが、改造車、しかも修復歴ありと商品にするにはあまりにも価値が低かった。実際、売れなかった。その為処分しようとしたが、オーナーが言っていた事もあり、倉庫に眠らせていたという。
とにかく車をどうするかプロデューサーやスタッフが相談し合っていた。その間アイドル達は車に興味津々。
「すごい古い車だねー」
「なんて車かな?」
そんな事言ってるアイドル達だが貴音だけは車から見える「オーラ」に驚いていた。
「なんて・・・面妖な。この車は物の怪なのですか」
「えっ?」
「貴音さん何言ってんですか?」
貴音の発言にポカンとするアイドル達。
貴音が何か言ってもよく分からない事なのはいつもの事だ。
だが、貴音本人は真面目な話をしている。
「この車は物の怪ですか?」
「物の怪じゃないですよ・・・。ただの車ですよ」
「この車から何も見えないのですか!?」
「何も見えません!」
百合子が貴音に質問する。
「この車が何かすごいって思うんですか?」
「ええ。過去に何かがあった・・・。そう感じます」
貴音の言葉に顔を見合わせるアイドル達。ボロボロのこの車は確かに何かがあってこうなってる様に思える。
「プロデューサー。この車を私にください」
「えっ!?」
その場の全員が貴音に視線を向ける。
「この車は物の怪です。でも裏を返せば生きているとも取れます。この車を持っていた持ち主が『長く生かして欲しい』と言ったのでしょう。この物の怪の様な車を少しでも生かしたいと思ったのです」
「貴音・・・。考え直したらどうだ?」
「悪いですが、考えを変えるつもりは一切ございません」
「・・・わかったよ貴音」
プロデューサーが根負けする。そしてZの売り手に電話をかけ話を進める。
結果、タダで譲ってもらえることになった。その代わり、何かあっても責任は取れないと。
その言葉を不審に思ったプロデューサーが聞く。帰ってきた答えはこの車は過去に次々オーナーを変えたという話。
「貴音、本当にやめた方がいい!」
「構いません。この車しか私はありません」
結局、Zは貴音の手に渡った。
Zを持ったのはいいが、整備出来ない。その為、伊織に相談した。結局、水瀬家の権力を使い、Zを整備する事になった。
伊織が貴音の便利人みたいな事になってるのはいつもの事だ。伊織ちゃん涙目。
一ヶ月後、Zは復活を遂げた。妖しい魅力を持った蒼いボディに魅せられた貴音は走り出した。貴音はZの魔力に染まり切っていた。
語り終えた貴音はラーメンを食べていた。
「やはりらぁめんは美味しいですね」
「どっから出したの・・・」
美世の質問を無視し、今度は貴音が美世に聞く。
「原田美世。貴女はこの車を何の為に追うのですか」
「うーん・・・。理由はふたつかな」
「理由・・・?」
「ひとつは約束。この車を作った人との約束なんだ」
「ふたつめはやっぱり速さを証明するため!」
「約束ですか・・・。この車に乗っていた前の持ち主はこの車をどう見てたんでしょうね」
「どうだろうね・・・。よし、応急修理出来たよー」
応急修理を終えた美世がZの下から出てくる。
「ありがとうございました、原田美世」
Zとのバトルを終えて家に向かう美世。
あの時あたしは勝ったとは思っていない。本気の勝負でトラブルで勝敗が決まることはよくある。でも、勝負としては負けていた。
「次はちゃんと勝つからね」
Zを走らせる貴音。
不本意な形で終わった勝負。だが、この
「またいつか走れるのを楽しみにしております」
964を走らせている歌織。
美世のGT-Rと貴音のZ、そして蓮のRX-7とのバトルに置いていかれた自分。もしこの車で走っていた現役の頃の島と会ったら今の自分はあまりにもブラックバードに相応しくない。だが、こんな自分に愛機を託した島の思いを無駄にする訳には行かない。
「今度は退かないから・・・!」
大黒ふ頭にいた蓮。
峠上がりの自分があそこまでZやブラックバードに着いていけたのが奇跡だ。だが、結果はリタイア。あまりにも足りない物が大きい。パワーも、そしてこの首都高への熟練度も。だが、美世はこんな自分と一緒に走るのを楽しんでいた。次は負けないように。
「次は勝ちたいですよ。美世さん、貴音さん、歌織さん」
ぶつかり合った4人の首都高ランナー。
それぞれの思いを胸に、再び戦う日を待つ。
全てはこの
2011年に咲耶(2018年・シャイニーカラーズ)や歌織先生(2017年・シアターデイズ)、バンドリの人物達(ガルパリリース2017年)が登場しているのは、「あくまで」2011年を元にしているなので・・・。
ぶっちゃけ年代設定はないような物です。ガバガバなのは許して。
ついに悪魔のZのドライバー判明です。四条貴音がドライバーでしたが理由は、Zのイメージと貴音のイメージが似ているからです。これについては後述。
そしてZの生みの親、「北見淳」登場。「地獄のチューナー」と呼ばれた彼の思いは必見です。
また、「アイドルマスターシャイニーカラーズ」より「白瀬咲耶」が登場。今の時点では283プロには所属しておらず、アイドルではありません。主要人物ではありませんが彼女も首都高ランナーです。
ここからはネタ解説です。
・北見の年齢
劇中で61歳と書かれてますが「湾岸ミッドナイト」では40歳となってます。北見の父親が61で死んだとここでも「湾岸ミッドナイト」でも発言してます。チューニングから一線を引いた彼は最期までZを見届けられない自分の代わりに美世と蓮にZを見届けて欲しいと頼んでます。Zを作った者としてケジメをつけようとする姿勢は昔から変わっていなかったんですね。
・テスタロッサに乗ったカメラマン
「湾岸ミッドナイト」に出てきた「イシダヨシアキ」の事です。
彼も悪魔のZに魅せられ、癌に侵された(アニメ版では初期のガン)体を推してまでZとのバトルに臨みました。彼は走りから降りています。その際にアキオに言った「走り続けてくれ」というセリフがとても印象的です。
・Zのドライバー
皆さんご存知の四条貴音がドライバーでしたが、理由は複数。
1つ目の理由はイメージ。湾岸マキシ3まで存在した車種称号というのがありますがS30の車種称号は「貴婦人」。一方、貴音は「お姫様」キャラ。似ていると思ったから。(違う気するが)
2つ目の理由は「古い」共通点。Zは1969年発売開始。貴音は古風というイメージ。実際ゲームでは他のメンバーがスマホを使っているのに対し、ガラケーを使ってる(ステラステージより)などから。
最後の理由が動画の影響。ニコニコ動画の「街道P」の動画に登場する貴音が悪魔のZそっくりなZに乗っている事から。理由の6割がこの事から。
短編も書きましたがどうでしたか?短編の事もこの後関係します。
ちなみに私情ですが、本日誕生日を迎えました。(どーでもいい)
引き続き、感想、評価、誤字脱字指摘待ってます。