アイドルマスターシンデレラガールズ 疾走のR 作:ヒロ@美穂担当P
蓮の過去が絡みます。短編「小さい日向の少年と少女」を読む事を強くお勧めします。
11月14日。
今日は美世の誕生日だ。アイドルになってから初めての誕生日。美世は1年前と同じようにGT-Rで実家に戻っていた。1年前とGT-Rは全く違ったが。
「お帰り美世!」
「おお、お帰り。美世」
両親達に迎えられて、美世は家に入る。
「えへへ・・・。ただいま!」
「さ、上がりな!」
「美世、アイドルとして上手くやれてるか?」
「うん、来月は大きなライブがあってね、あたしソレに出る事になったの!」
「おお!」
「先輩達に負けないようにたくさん努力してきた!プロデューサーさんも褒めてくれたし!」
「そりゃあよかった。美世がそう言うとは、いいプロデューサーじゃないか」
「そうね・・・。美世が自信を持ってやっている事が嬉しいわ」
「だから、これからも美世をお願いします。プロデューサーさん」
美世の母がそう言った途端、奥の部屋の扉が開けられて蓮が出てきた。
「いいプロデューサーだなんて・・・。僕はまだまだ新人ですよ」
「え・・・ええー!?」
何故ここに蓮がいるんだ。美世の疑問を先回りして美世の父が答える。
「美世がお世話になってるプロデューサーを呼んだんだよ」
「あはは・・・。いきなり来てくれって言われた時は何事かと・・・」
家族が用意したサプライズに驚くしかない美世。
「でも・・・。ありがとう。父さん、母さん、蓮君」
ご飯を食べた後、プレゼントを渡す家族達。母は新しい財布、父は写真立て、弟はカバンを渡してくれた。
そして蓮はネックレスを渡してくれた。もう、嬉しさで胸がいっぱいだった。
「ありがとう・・・!」
そして家族に別れを告げる時に美世は言った。
「アイドル『原田美世』を見に来て!」
「見に行くよ。だから、頑張れ!美世!」
東京への帰り道の途中、パーキングエリアで休憩する2人。美世は心境を蓮に告げる。
「あたし・・・すごい嬉しかった。蓮君にも祝ってもらえて嬉しかったんだ。・・・蓮君には感謝してる。もしも、蓮君に会わなきゃあたしは変われなかったと思う」
「感謝ってそんな・・・。僕はただの新人プロデューサーなだけで・・・。まだまだ武内さんみたいなプロデューサーにはなれてないですよ」
「ふふ。本当に蓮君は謙虚な性格してるね」
美世は蓮との出会いで変わった。もしも、蓮が346プロにいなかったらプロデューサーの死を乗り越える事はできなかっただろう。
あたしは蓮君という人がいたからここまで来れたんだ。
蓮も美世に告げる。
「僕も美世さんに出会えて本当によかったと思います。もし、346プロにいなかったら僕は美穂ちゃんに会えていない・・・。そして、みんなに出会えなかっただろうから・・・。美世さんと会って、たくさんの人達と繋がった。そして僕も変わる事が出来た」
お互いの思いを告げ、2人は夢を語る。
「「レーサーを目指してる!」」
2人が目指した夢。
美世は家族を助ける為、カートをやめて自動車整備士を目指し、アイドルにもなった。
蓮はレーサーを目指したが1度自分を見失い、もう1つの
1度は諦めた夢をいつまでも追い続けるーーー。
結局は2人共似たもの同士だった。
お互いの夢を語って2人はそれぞれ愛車に乗り込む。パーキングエリアから黄色いFD3Sと紅いBNR34が出発。事務所に向かい、闇の中の道を進む。
こうしてクリスマスライブ直前まで2人は努力し続けた。美世は振り付けのキレをさらに引き上げた。その動きのキレはマスタートレーナーが驚く程であった。初めてのステージで輝く自分を亡きプロデューサーに届けたい。その一心でレッスンに取り組んだ・・・。
蓮は346プロのアイドル達の宣伝に走っていた。各地を飛び回り、ライブの宣伝をしていた。一日中全国を移動した次の日には、様々な会社を回ってライブのスポンサーを見つける。蓮の熱意に負けて、スポンサーになる会社もあった。蓮の働きぶりは常務が「もう休め」と言う程。だが蓮は仕事の手を緩めることはない。アイドル達が精一杯輝く
12月。
蓮は美穂の誕生日の為、美穂の家にいた。美穂の誕生日の為に今まで取ってなかったオフを取ったのだ。蓮は誕生日など、人の行事にはちゃんと出るのである。
「わぁ・・・!可愛いですね!」
蓮が美穂に送った物は、シロクマのキーホルダー。美穂が前の写真撮影の時に気に入っていたのを見て買った物だ。
「付けてみていいですか!?」
「もちろん!」
嬉しそうに美穂はキーホルダーを自分の携帯に付ける。携帯に付いているシロクマのキーホルダーが可愛らしい。
「えへへ・・・。ありがとうございますっ!」
「どういたしまして。美穂ちゃんが喜んでくれたら僕も嬉しいよ」
「美穂ちゃん、今回のライブに対しての意気込みは?」
「そうですね・・・。蓮さんが来てから初めてのライブなので・・・。あの時の『約束』を果たしたいです!」
「うん・・・。守るよ。美穂ちゃん」
数年前に2人が交わした約束。
ステージに立つ美穂を蓮は見届ける。1度自分を見失った蓮が立ち直ったのもこの約束があったから。約束を守るために蓮はプロデューサーになった。アイドルになった美穂を見届けられる最高の場所だ。2人が交わした「約束」を果たす日まであと9日であった。暗闇の中に降る雪が、今までの記憶のように降っては消えた。
最終調整も終えライブ前日。
美世と美穂、そして蓮は互いの意気込みを語る。
「最高の
「『約束』を果たしたい!」
「『約束』を守る!」
こうして明日本番に向けて気合いを入れた3人だった。
そして迎えた12月25日。本番の日だ。
AM6:30。もうファンが大勢集まっていた。ライブは午後6時スタートなのだが、「一番最初に入る」と言わんばかりの様子である。
PM3:30。それぞれのプロダクションのプロデューサー達は最終確認を行ってから移動開始。
冬の東京は暗くなるのが早い。4時前というのにもう真っ暗だ。暗い東京の街を走るアイドル達が乗ったバス。その前には黄色いFDに乗る蓮の姿があった。会場まで進んでく。
だが、黒い
道を塞ぐ男に蓮は苦情を言いに行こうとした。だが。
「・・・!?」
「よォ・・・。久しぶりだな・・・。小日向」
蓮が忘れるわけがない顔。自分の手で人生を棒に振り、何もかもを失い、未来を望む者への妨害をし続けた。かつて、蓮とのバトルで蓮を様々な手段を使い、殺そうとした。
そして未来に絶望した考え方でかつて蓮を「壊した」男。
「村岡・・・っ!」
「1年ぶりか・・・随分探したぜ」
「何故お前がいるんだ!」
「簡単だよ。お前への復讐のためさ」
突然バスが止まった。美世は何事かと思い、Rから身を乗り出す。美世はRでバスの後ろをついてきていたのだ。
すると見えたのは、蓮が知らない男と言い争う姿。蓮があそこまで感情をむき出しにしているのは美世は初めて見る。いや、アイドル達全員が初めて見た。
「いい加減にしろ・・・。何故ここまでして僕達を狙う!」
「てめえがそこまで信じている『未来』がいらないんだよ!」
「僕は、いや、みんなが未来のために生きている!それを否定したら何の為に生きるんだ!」
「生きる意味なんてない・・・」
「お前がなった事を押し付けるなんて!」
「ああ。意味はない。生きる意味なんてないさ。そしてお前が生きる意味もない」
そう言うと村岡は拳銃を取り出した。
「!?」
「じゃあ、ここで死ね」
その瞬間、蓮は叫ぶ。
「みんな、早く逃げるんだ!!」
ドン、と音が聞こえた瞬間蓮のすぐ近くに銃弾が着弾した。蓮は咄嗟に回避したのだ。だが、蓮は周りを見回した途端、大勢の男達に囲まれているのがわかった。
「てめえを殺す為に1年・・・。準備し続けた。あの日、てめえにボロボロに負けて、全てを失って、ドン底に堕ちて。何もかもを失った俺は
「黄色いFDに乗ったお前をな!」
周囲から銃弾が飛んでくる。蓮はアイドル達が乗るバスを逃がす。そしてFDに乗り込む。美世にも逃げるように指示する。
「美世さん!早く逃げて!!」
「うん!」
銃弾が当たりながらもFDとR34は走り出す。
「逃がすなーっ!」
村岡の部下達が蓮達を追う。復讐という為だけにここまでの事態を引き起こしたのだ。
真紅のBNR34が裏道をハイスピードで駆け抜けて行く。後ろには追っ手のチャレンジャー。銃撃を避ける為に美世が選んだルート。2トン近い車重のチャレンジャーに対し、美世のR34は軽量化され約1300kg台。機動性で優位に立つR34で狭い裏道を走っているのだった。
だが、やはり狭い。100kmオーバーで狭い道を走ってるとボディを擦る。R34のボディは傷だらけだ。
「・・・っ」
物凄い集中力でRをコントロールする美世。少しでもミスすれば大事故だ。
その時、交差点を横断する通行人が見えた。このままでは通行人を轢いてしまう。だが美世は減速せず、クラクションで通行人を逃げさせる。
「どいて!じゃないと轢くよ!」
ノンストップで横切って、段差を豪快に越えていく。段差に引っかかった勢いで車体下部から火花を散らす。傷だらけでもなお、GT-RのRB26は吠え続ける。
一方で蓮のFD3Sは表通りを通っていた。自分が
アクセル全開で一般車を抜けていく黄色いFD。物凄い勢いでこちらに突っ込んでくる
交差点に出ようとした所に別の追っ手が現れた。進もうとしたルートを潰され、やむ無く右折。そこに再び銃撃が飛んできた。
FDに銃弾が命中しながら蓮はルートを作る。
「やりたくないけど・・・!」
蓮のFDは歩道に突っ込んで行く。通行人がいる中でだ。クラクションを鳴らしながら歩道を走る。ゴミ袋や看板などを吹き飛ばしながら。
「皆は・・・!?」
アイドル達の乗ったバスが安全な所に逃げれたかを思いながら、逃げる蓮は美世と合流するべく銃痕だらけのFDを走らせる・・・。
一方でアイドル達が乗るバスには追っ手がついてこなかった。追っ手が来ない事に安堵するアイドル達。だが、ただ1人美波だけは険しい表情のままだ。
「ミナミ、もう大丈夫ですよ」
アーニャが言うが、美波は表情を変えない。
「蓮さん達を追いかけていった人達は・・。何故私達を『追わない』の・・・?」
美波の問いに答えられないアーニャ。そう言われると不可解だ。あの男は蓮と一緒に
やがてバスは
「車が動いてない・・・」
まるで、通せんぼされてる。そう思った事が本当に起きていた。
先程のセンチュリーと同様に
「ああっ!」
そこの中にはなんと765プロのバスもあったのだ。どうやら、こちらと同じ方法で閉じ込められたようだ。
蓮の復讐の為に、蓮が関わるあらゆる物を壊すーーー。その為に蓮とは直接関係のない765プロも標的にしたのだ。
「なんて事・・・!」
四方八方を囲まれ、動けない346プロと765プロのバス。下手な動きをしたらみんな殺される。そんな恐怖の中、一同はバスに篭っていた。
追っ手を引き離した蓮と美世。全速力で2人もスクランブル交差点に向かう。
見えたきた交差点は様子がおかしい。
「な・・・!」
蓮と美世が見たのは、囲まれて身動き取れない2台のバス。765プロと346プロのバスだった。
「そんな・・・」
「やるしか・・・ないっ!」
蓮はFDでバリケードに突っ込んで行く。美世のR34も続く。
美穂はこちらに突っ込んでくる車を見る。
「蓮さん・・・」
蓮のFDが見えた。その後ろに美世のRも。
蓮と美世は自分の命を懸けて
シリアス回がまだ続く考えると参りそうです・・・。
さて「小さい日向の少年と少女」から因縁の男村岡が登場しました。未来を奪おうとする村岡に対して蓮と美世の答えはーーー。
今回は真面目に書いてるためネタは一つだけです。
・美世の逃走中の出来事
交差点の通行人をクラクションで逃げさせるのは「ワイルドスピードMAX」でブライアンの行動と同じ。
美世と美穂の誕生日を迎えて美世は21歳、美穂18歳になった設定です。
いよいよ物語は最終局面に入りました。あっという間です。
長いようであっという間にここまで来ました。シリアス展開に私は耐えれるかな・・・。感想評価誤字脱字指摘待ってます。
「疾走のR」完結まであと2話