アイドルマスターシンデレラガールズ 疾走のR   作:ヒロ@美穂担当P

9 / 15
ここからはシリアス回が続きます。
蓮の過去が絡みます。短編「小さい日向の少年と少女」を読む事を強くお勧めします。


八章 復讐、未来からの逃走

11月14日。

今日は美世の誕生日だ。アイドルになってから初めての誕生日。美世は1年前と同じようにGT-Rで実家に戻っていた。1年前とGT-Rは全く違ったが。

「お帰り美世!」

「おお、お帰り。美世」

両親達に迎えられて、美世は家に入る。

「えへへ・・・。ただいま!」

「さ、上がりな!」

 

 

「美世、アイドルとして上手くやれてるか?」

「うん、来月は大きなライブがあってね、あたしソレに出る事になったの!」

「おお!」

「先輩達に負けないようにたくさん努力してきた!プロデューサーさんも褒めてくれたし!」

「そりゃあよかった。美世がそう言うとは、いいプロデューサーじゃないか」

「そうね・・・。美世が自信を持ってやっている事が嬉しいわ」

「だから、これからも美世をお願いします。プロデューサーさん」

美世の母がそう言った途端、奥の部屋の扉が開けられて蓮が出てきた。

「いいプロデューサーだなんて・・・。僕はまだまだ新人ですよ」

「え・・・ええー!?」

何故ここに蓮がいるんだ。美世の疑問を先回りして美世の父が答える。

「美世がお世話になってるプロデューサーを呼んだんだよ」

「あはは・・・。いきなり来てくれって言われた時は何事かと・・・」

家族が用意したサプライズに驚くしかない美世。

「でも・・・。ありがとう。父さん、母さん、蓮君」

 

ご飯を食べた後、プレゼントを渡す家族達。母は新しい財布、父は写真立て、弟はカバンを渡してくれた。

そして蓮はネックレスを渡してくれた。もう、嬉しさで胸がいっぱいだった。

「ありがとう・・・!」

そして家族に別れを告げる時に美世は言った。

「アイドル『原田美世』を見に来て!」

「見に行くよ。だから、頑張れ!美世!」

 

 

東京への帰り道の途中、パーキングエリアで休憩する2人。美世は心境を蓮に告げる。

「あたし・・・すごい嬉しかった。蓮君にも祝ってもらえて嬉しかったんだ。・・・蓮君には感謝してる。もしも、蓮君に会わなきゃあたしは変われなかったと思う」

「感謝ってそんな・・・。僕はただの新人プロデューサーなだけで・・・。まだまだ武内さんみたいなプロデューサーにはなれてないですよ」

「ふふ。本当に蓮君は謙虚な性格してるね」

美世は蓮との出会いで変わった。もしも、蓮が346プロにいなかったらプロデューサーの死を乗り越える事はできなかっただろう。

あたしは蓮君という人がいたからここまで来れたんだ。

蓮も美世に告げる。

「僕も美世さんに出会えて本当によかったと思います。もし、346プロにいなかったら僕は美穂ちゃんに会えていない・・・。そして、みんなに出会えなかっただろうから・・・。美世さんと会って、たくさんの人達と繋がった。そして僕も変わる事が出来た」

お互いの思いを告げ、2人は夢を語る。

「「レーサーを目指してる!」」

2人が目指した夢。

美世は家族を助ける為、カートをやめて自動車整備士を目指し、アイドルにもなった。

蓮はレーサーを目指したが1度自分を見失い、もう1つの約束()を叶える為にプロデューサーとなった。

1度は諦めた夢をいつまでも追い続けるーーー。

結局は2人共似たもの同士だった。

お互いの夢を語って2人はそれぞれ愛車に乗り込む。パーキングエリアから黄色いFD3Sと紅いBNR34が出発。事務所に向かい、闇の中の道を進む。

 

 

こうしてクリスマスライブ直前まで2人は努力し続けた。美世は振り付けのキレをさらに引き上げた。その動きのキレはマスタートレーナーが驚く程であった。初めてのステージで輝く自分を亡きプロデューサーに届けたい。その一心でレッスンに取り組んだ・・・。

蓮は346プロのアイドル達の宣伝に走っていた。各地を飛び回り、ライブの宣伝をしていた。一日中全国を移動した次の日には、様々な会社を回ってライブのスポンサーを見つける。蓮の熱意に負けて、スポンサーになる会社もあった。蓮の働きぶりは常務が「もう休め」と言う程。だが蓮は仕事の手を緩めることはない。アイドル達が精一杯輝く舞台(ステージ)を作り出すのはプロデューサーである自分だ。プロデューサーが手を緩めたら、アイドル達が輝けないから。だから自分も全力でやる。蓮は本来数人がかりでやる作業をたった1人でわずか3日で終わらせたのだった・・・。

 

 

 

 

12月。

蓮は美穂の誕生日の為、美穂の家にいた。美穂の誕生日の為に今まで取ってなかったオフを取ったのだ。蓮は誕生日など、人の行事にはちゃんと出るのである。

「わぁ・・・!可愛いですね!」

蓮が美穂に送った物は、シロクマのキーホルダー。美穂が前の写真撮影の時に気に入っていたのを見て買った物だ。

「付けてみていいですか!?」

「もちろん!」

嬉しそうに美穂はキーホルダーを自分の携帯に付ける。携帯に付いているシロクマのキーホルダーが可愛らしい。

「えへへ・・・。ありがとうございますっ!」

「どういたしまして。美穂ちゃんが喜んでくれたら僕も嬉しいよ」

 

 

「美穂ちゃん、今回のライブに対しての意気込みは?」

「そうですね・・・。蓮さんが来てから初めてのライブなので・・・。あの時の『約束』を果たしたいです!」

「うん・・・。守るよ。美穂ちゃん」

数年前に2人が交わした約束。

ステージに立つ美穂を蓮は見届ける。1度自分を見失った蓮が立ち直ったのもこの約束があったから。約束を守るために蓮はプロデューサーになった。アイドルになった美穂を見届けられる最高の場所だ。2人が交わした「約束」を果たす日まであと9日であった。暗闇の中に降る雪が、今までの記憶のように降っては消えた。

 

 

最終調整も終えライブ前日。

美世と美穂、そして蓮は互いの意気込みを語る。

「最高の舞台(ステージ)で輝いてみせる!」

「『約束』を果たしたい!」

「『約束』を守る!」

こうして明日本番に向けて気合いを入れた3人だった。

 

 

 

 

 

そして迎えた12月25日。本番の日だ。

AM6:30。もうファンが大勢集まっていた。ライブは午後6時スタートなのだが、「一番最初に入る」と言わんばかりの様子である。

PM3:30。それぞれのプロダクションのプロデューサー達は最終確認を行ってから移動開始。

 

 

冬の東京は暗くなるのが早い。4時前というのにもう真っ暗だ。暗い東京の街を走るアイドル達が乗ったバス。その前には黄色いFDに乗る蓮の姿があった。会場まで進んでく。

 

だが、黒い(センチュリー)が道を塞いでいた。道を塞ぐセンチュリーの前には男が立っていた。

道を塞ぐ男に蓮は苦情を言いに行こうとした。だが。

「・・・!?」

「よォ・・・。久しぶりだな・・・。小日向」

蓮が忘れるわけがない顔。自分の手で人生を棒に振り、何もかもを失い、未来を望む者への妨害をし続けた。かつて、蓮とのバトルで蓮を様々な手段を使い、殺そうとした。

そして未来に絶望した考え方でかつて蓮を「壊した」男。

「村岡・・・っ!」

「1年ぶりか・・・随分探したぜ」

「何故お前がいるんだ!」

「簡単だよ。お前への復讐のためさ」

 

 

 

突然バスが止まった。美世は何事かと思い、Rから身を乗り出す。美世はRでバスの後ろをついてきていたのだ。

すると見えたのは、蓮が知らない男と言い争う姿。蓮があそこまで感情をむき出しにしているのは美世は初めて見る。いや、アイドル達全員が初めて見た。

 

「いい加減にしろ・・・。何故ここまでして僕達を狙う!」

「てめえがそこまで信じている『未来』がいらないんだよ!」

「僕は、いや、みんなが未来のために生きている!それを否定したら何の為に生きるんだ!」

「生きる意味なんてない・・・」

「お前がなった事を押し付けるなんて!」

「ああ。意味はない。生きる意味なんてないさ。そしてお前が生きる意味もない」

そう言うと村岡は拳銃を取り出した。

「!?」

「じゃあ、ここで死ね」

その瞬間、蓮は叫ぶ。

「みんな、早く逃げるんだ!!」

ドン、と音が聞こえた瞬間蓮のすぐ近くに銃弾が着弾した。蓮は咄嗟に回避したのだ。だが、蓮は周りを見回した途端、大勢の男達に囲まれているのがわかった。

「てめえを殺す為に1年・・・。準備し続けた。あの日、てめえにボロボロに負けて、全てを失って、ドン底に堕ちて。何もかもを失った俺は東京(ここ)に来て。ヤクザになって。そして見つけた」

「黄色いFDに乗ったお前をな!」

周囲から銃弾が飛んでくる。蓮はアイドル達が乗るバスを逃がす。そしてFDに乗り込む。美世にも逃げるように指示する。

「美世さん!早く逃げて!!」

「うん!」

銃弾が当たりながらもFDとR34は走り出す。

「逃がすなーっ!」

村岡の部下達が蓮達を追う。復讐という為だけにここまでの事態を引き起こしたのだ。

 

 

 

真紅のBNR34が裏道をハイスピードで駆け抜けて行く。後ろには追っ手のチャレンジャー。銃撃を避ける為に美世が選んだルート。2トン近い車重のチャレンジャーに対し、美世のR34は軽量化され約1300kg台。機動性で優位に立つR34で狭い裏道を走っているのだった。

だが、やはり狭い。100kmオーバーで狭い道を走ってるとボディを擦る。R34のボディは傷だらけだ。

「・・・っ」

物凄い集中力でRをコントロールする美世。少しでもミスすれば大事故だ。

その時、交差点を横断する通行人が見えた。このままでは通行人を轢いてしまう。だが美世は減速せず、クラクションで通行人を逃げさせる。

「どいて!じゃないと轢くよ!」

ノンストップで横切って、段差を豪快に越えていく。段差に引っかかった勢いで車体下部から火花を散らす。傷だらけでもなお、GT-RのRB26は吠え続ける。

 

 

一方で蓮のFD3Sは表通りを通っていた。自分が標的(ターゲット)なら目立つよう動いてアイドル達から追っ手を離せばいい。

アクセル全開で一般車を抜けていく黄色いFD。物凄い勢いでこちらに突っ込んでくるFD()にクラクションを鳴らす対向車。反対車線に出て追っ手を振り切ろうとする。

交差点に出ようとした所に別の追っ手が現れた。進もうとしたルートを潰され、やむ無く右折。そこに再び銃撃が飛んできた。

FDに銃弾が命中しながら蓮はルートを作る。

「やりたくないけど・・・!」

蓮のFDは歩道に突っ込んで行く。通行人がいる中でだ。クラクションを鳴らしながら歩道を走る。ゴミ袋や看板などを吹き飛ばしながら。

「皆は・・・!?」

アイドル達の乗ったバスが安全な所に逃げれたかを思いながら、逃げる蓮は美世と合流するべく銃痕だらけのFDを走らせる・・・。

 

 

 

一方でアイドル達が乗るバスには追っ手がついてこなかった。追っ手が来ない事に安堵するアイドル達。だが、ただ1人美波だけは険しい表情のままだ。

「ミナミ、もう大丈夫ですよ」

アーニャが言うが、美波は表情を変えない。

「蓮さん達を追いかけていった人達は・・。何故私達を『追わない』の・・・?」

美波の問いに答えられないアーニャ。そう言われると不可解だ。あの男は蓮と一緒にアイドル達(私達)を殺すつもりなら、何故追ってこないのか。

やがてバスは渋谷駅前交差点(スクランブル交差点)に差し掛かる。だが、運転手が異変に気づいたのはその時だった。

「車が動いてない・・・」

まるで、通せんぼされてる。そう思った事が本当に起きていた。

先程のセンチュリーと同様に(チャレンジャー)がバリケードを張っていたのだった。気づくも既に遅し。バスは交差点の中に入ってしまい、四方八方を塞がれてしまう。

「ああっ!」

そこの中にはなんと765プロのバスもあったのだ。どうやら、こちらと同じ方法で閉じ込められたようだ。

蓮の復讐の為に、蓮が関わるあらゆる物を壊すーーー。その為に蓮とは直接関係のない765プロも標的にしたのだ。

「なんて事・・・!」

 

 

四方八方を囲まれ、動けない346プロと765プロのバス。下手な動きをしたらみんな殺される。そんな恐怖の中、一同はバスに篭っていた。

 

 

 

追っ手を引き離した蓮と美世。全速力で2人もスクランブル交差点に向かう。

見えたきた交差点は様子がおかしい。

「な・・・!」

蓮と美世が見たのは、囲まれて身動き取れない2台のバス。765プロと346プロのバスだった。

「そんな・・・」

「やるしか・・・ないっ!」

蓮はFDでバリケードに突っ込んで行く。美世のR34も続く。

 

 

 

美穂はこちらに突っ込んでくる車を見る。

「蓮さん・・・」

蓮のFDが見えた。その後ろに美世のRも。

蓮と美世は自分の命を懸けてアイドル(みんな)を救おうとしていた・・・。




シリアス回がまだ続く考えると参りそうです・・・。
さて「小さい日向の少年と少女」から因縁の男村岡が登場しました。未来を奪おうとする村岡に対して蓮と美世の答えはーーー。
今回は真面目に書いてるためネタは一つだけです。
・美世の逃走中の出来事
交差点の通行人をクラクションで逃げさせるのは「ワイルドスピードMAX」でブライアンの行動と同じ。




美世と美穂の誕生日を迎えて美世は21歳、美穂18歳になった設定です。
いよいよ物語は最終局面に入りました。あっという間です。
長いようであっという間にここまで来ました。シリアス展開に私は耐えれるかな・・・。感想評価誤字脱字指摘待ってます。





「疾走のR」完結まであと2話
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。