オリ主in暗殺チーム   作:乾燥したマシュマロ

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さぁ、そろそろ原作開始ですね


蜂の始まり

  密輸を初めて約3ヶ月、成果は順調に出ている。勿論組織にもばれずにだ。今のところは問題はなさげだが、この先の事は分からない。

 オリーブの加工品や蜂蜜、金等を運ぶ俺たちは海を渡る事は仕事柄できない、流石に暗殺を止めてしまう事はできないからな。それでも金や食料品は俺達10人程度の金を賄うには有り余る富を、たったの3ヶ月で生んだ。このまま続けていけばいずればれるだろうが…今はもう少し金を貯めるのも悪くはないだろう。

 

 今回の仕事は、環境大臣に突っかかる議員を片付けることだ。この任務はウチのシマだけではなくパッショーネ全体の麻薬取引に関わる案件、それだけ俺達への重圧はかかる。そのぶん取り分は多少大きくなる、ほんの微々たる量だ…まぁこんな仕事俺達からすれば屁でもない仕事なんだ、いつもと同じ仕事で金がいつもより増えるなら安いもんだ。

 

 俺は電話を取り出し、プロシュートの方にかける。今回の仕事はペッシに『殺し』を慣れさせる意味合いも含まれている、というよりは慣れさせるためにこの仕事を利用した。つまりペッシは今日『卒業』なのだ、今までの仕事の様に…言っちゃあ悪いが『チンピラでもできること』から『暗殺チームの仕事』へ昇華する。

 俺達がその辺のチームと違うのはそこなのだ、生半可な覚悟じゃあ潰れちまう、潰れた先は…壊れて病むかクスリで廃人だ。

 人の『殺し』を生業とするならば、派手な『覚悟』はいらない。要るのは必要最小限の、それでいて強固な『覚悟』だ。力んでいつも以上の力を出す必要なんぞない、要るのは安定した殺しなんだから。

 だからペッシには…人の殺しに慣れてもらう必要があるのだ。いちいち死体や血や痛みにビビってるようじゃあまだまだだ、とはプロシュートの談である。

 

 いや…俺も痛いのにはビビるぜ、プロシュート…。

 

 《もしもし…エイブか、どうした》

 

 プロシュートが出た、背後からはペッシの声もある。声色からかなり緊張しているのが窺えるが…しょうがないなぁ。

 

「プロシュート、ペッシはどうだ?」

 

 《…まだ早い気はする、だが暗殺チームに入るには必要な事だぜ》

 

 それはそうなんだが…プロシュートが良いと言うならなにも言うまい。アイツに任せておけばペッシは大丈夫だろう。…大丈夫だよな?ペッシの奴、俺と似たようなコートまで着てるし…最初はただの服だったのに、いつの間にか俺とお揃いのコート着てたんだよなぁ…。曰く『憧れの先輩と同じ服を着れば勇気が湧くと思ったんっス』だそうだ。憧れて…て、照れるわ。

 

 《そろそろ決行だが…対象は入ったのか?》

 

 プロシュートに言われて今回のターゲットに目を向ける、向けると言っても双眼鏡越しだがな。丁度車から降りて向かっている、そこが文字通り『最後の晩餐』となるわけだ…『最期』のな。

 それにしてはいいリストランテなんじゃあねぇのかな、高級志向のいい店だ。

 

「もう着くぜ、準備しときなよ」

 

 プロシュートに連絡だけして俺は配置につく、今回は俺は連絡役なのだ、仕事はほぼ終わりに近い。始末するのはホルマジオ、アイツならば俺がフォローする必要もないだろう。イルーゾォとかだとこっちの世界に落とした武器やらを回収しないといけないからなぁ…。

 

 そんなことはどうでもいいか、さっさとこの仕事を終わらせて寝るとしよう。なんだか今日は胸がムズムズするんでね。

 

 

 

 

 

 

 

 結論から言えば、仕事はほぼパーフェクトだった。連れの女も死んだが、それくらいならば誤差の範囲だろうよ、誉められたものではないけどな。

 

「帰ったぜェ!」

 

 ホルマジオがアジトの扉を勢いよく開く、中にはリゾット達いつものメンバーがいる。だが…ソルベとジェラートの姿が見えない、いつもならこれだけ大がかりな仕事が入れば、必ず姿を見せるのに…。

 

「…首尾は」

 

「パーフェクトだ!任務は果たしたぜ」

 

「連れの女も死んじまったがな…」

 

 得意気なホルマジオに釘を刺すプロシュート、多分ペッシが見てたから張り切りすぎたんだろうね。俺も分かるわ…ペッシに偵察任務のお手本見せるときはかなり緊張したもの。なんとかいつものように上手いこと仕事をこなしたものの、もうちょっとで失態を晒すところだったぜ!

 

 ふと顔をあげてみればギアッチョがキレてリゾットにたしなめられていた、どうも報酬の話でキレたらしいな。全く、いつもの光景過ぎてホッとするぜ。

 

 

 だが、このときの俺は―――

 

 

 

 ゆっくり迫る『原作』の魔の手に気付くこと無く―――

 

 

 

 

「リーダー!すまねェ、ソルベが…ソルベが!」

 

 

 ()()()()()()()()()()()から血を流して倒れ込むジェラートを…

 

 

 

 俺は、眺めることしかできていなかった――――――

 

 


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