俺は北山家の居候   作:Maverick

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もはやなにも言いません。次の更新がいつかもわかりませんというかもう書き上がってるのになんで投稿しないんでしょうかね。

昨日劣等生見返したんですよ、やっぱり面白いですね。原作も完結するらしいですし読みたいです。いつか、きっと、多分。

大学生って忙しい(言い訳)


入学編.2

四分と四十秒かかったが講堂に着いた。仁王立ちする雫の後ろでほのかとケオが苦笑いしている。ここで俺がとるべき行動はもちろんひとつ。

 

「こいつ司波達也。ついこないだ知り合った、経緯については聞くな」

 

話をそらすことに決まっている!

 

「──八幡?」

 

「すみませんでした」

 

俺の背骨が水平となった瞬間だった。無駄な抵抗、ここに極まれり。

俺の後ろにいた司波が回り込んでケオとほのかと話しているのを気配から感じた。ただ、ほのかの機嫌が悪いというか──少し乱れている。

しかしながら今の俺には大切な友人に割く余裕のリソースは無かった。

何とか宥めて講堂に入るけれども、その光景に反吐が出そうになる。それはケオも同じようなのでこそこそ言い合う。

 

「差別意識がすごいな」

 

「ああ、問題はこれがどちらに根強く定着しているかだが──」

 

「たぶん、双方」

 

俺たちの会話が聞こえていた雫が俺の言葉を奪い去った。スティールされた、下着じゃなくてよかったです、まる。

端的に示すなら前に一科生、後ろに二科生が固まっていた。一科生の殆どはチラチラ後ろを見ながらほくそ笑んでるし、二科生は二科生で妬み嫉みの視線を一科生に照射していたりお互いにため息しあっていたりと、お察し定番負け犬感がひしひしを醸し出していた。

 

「だよなあ」

 

「ま、まあ。早く座ろうよ、五人で座るところなくなっちゃうよ」

 

そこでちゃんと司波を頭数に入れるあたりほのかだなと思った。気づいていながらも、気にせず自分がしたいようにする。いつもはふんわりしてるが、こういう時はしっかりしている。

ほのかの言葉に驚くように目を見開いた司波だったが、やんわり断ったあとこちらのそれ以上を聞こうとせず二科生が座る方へ行ってしまった。

とりあえず残念そうにしているほのかを見て司波に一発拳入れなきゃなと思った。理不尽だ?知らん。

 

「座ろ、目立つの嫌でしょ?」

 

そう言われ講堂内を見渡すと、既に立っている人は俺たち以外に数人という状況だった。

その雫の言葉は俺だけでなく、ほのかにも向けられていた。実はこの光井ほのか、注目されることを苦手とする。そのため俺とケオで一高入学試験の実技の時、ほのかに集まる視線を散らしたりしていた。

兎にも角にも座ろうと四人並べる席を探すが見当たらない。仕方なくまたも男女で別れて前後二人分空いていたところに座った。俺の正面には雫の頭がある。

 

「そういやほのか。さっき少し取り乱してたようだが、なんかあったのか?」

 

式までほんの少しあったので気になっていたことを聞いた。

俺の言葉を聞いたほのかは少し驚いたあと、顔を青ざめて呟く。それは周りに聞かれないためか、本人が感情を頑張って抑えようとしたのか。

 

「入試の時に達也さんの魔法を見てたんだけど、それがすっごく綺麗だったの。流石魔法科高校と思ってたのに…なんで二科生なのっ、そんな評価、絶対に正当じゃないもん!」

 

僅かながらに声を荒らげさせてしまったことを悪く思いつつ雫がほのかを宥めるのを見ていた。

そんなことがあったのか…聞くだけ聞いといて何も出来ないとはもどかしい。それは俺もケオもだが、まして俺はあいつの名誉を挽回できる秘密を知っている分さらに居心地が悪い。

とりあえず俺たちもほのかを宥めているとすぐに入学式は始まった。

様々なお偉いさんたちが当たり障りのない挨拶をしていく中、一際目立った人物がいた。

一年生総代、司波深雪。

こちらも見覚えがある。よく司波とFLTに来ている。苗字も同じなのだから、従兄妹関係か双子かはたまた養子か。その辺だろう。

目立った理由は主にその美貌。この世界にあの少女に匹敵する美しさを持つ女性は存在しないと思われるレベルのそれは、顔だけでなく体格や姿勢、言葉遣いに声からでさえも感じられた。

しかし彼女が持つのは美しさだけでなかった。彼女が持つ肩書き通り、実力も余りあるほど持ち合わせており、入学試験の時から他を寄せ付けない記録をマークしていた。というか、二位は俺だった。なかなかいいラインでの手加減って難しかったりする。

彼女の声に皆がうっとりしている中、俺だけは過去の黒歴史を連想せざるを得なかった。あまりにも似すぎだろなんでだよと心の中で悪態をつく。

大半の人はそれらの美しさに見とれていたが、ここにいるうちの数人は違う意味で一目置いていた。

答辞に度々織り込まれていた『等しく』、『一丸となって』、『魔法以外にも』などのワード。

それはつまり、一科と二科の格差を消したいという婉曲表現にほかならなかった。

司波には格差をなくしたいなんて感情を感じられなかったから、あれは司波本人の意志に違いない。

──ややこしくなってきてしまった、心中では達也と深雪としておこう。

しかしなるほど、それほどの意思があれば生徒会役員としてはこれ以上ない戦力となりそうだ。そう思いながら生徒会役員の固まる場所をチラ見した。

そこに佇むは十師族が一柱、七草家の次期当主七草真由美その者だった。以前魔術協会の晩餐に──潮さんによって強制的に──参加させられた時に会ってから、何故か気に入られている。こっちは北山家に居候しているだけの軟弱者なんだから話すだけでも恐れ多いというのに。

閑話休題。

つい先日も呼び出され荷物持ちをしていたのだが、その時ちらりと生徒会役員に入る新入生総代は差別撤廃派がいいと言っていた気がする。あともしそうでなければ俺にも入ってもらうとか。そのため良かったですね七草さんというより、助かったぜ八幡くんという心境だ。

いや、ほんと。安心しました、言葉にできないレベル。

 

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